<聖書<文語訳旧約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1953年

w:明治元訳聖書

w:ミカ書

第1章

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ユダの王ヨタム、アハズおよびヒゼキヤの代にモレシテ人ミカに臨めるヱホバの言是すなはちサマリアとエルサレムの事につきて彼が示されたる者なり

萬民よ聽け 地とその中の者よ耳を傾けよ 主ヱホバ汝らに對ひて證を立たまはん 即ち主その聖殿より之を立たまふべし

視よヱホバその處より出てくだり地の高處を踏たまはん

山は彼の下に融け谷は裂けたり 火の前なる蝋のごとく坡に流るる水の如し

是みなヤコブの咎の故イスラエルの家の罪のゆゑなり ヤコブの愆とは何か サマリヤにあらずや ユダの崇邱とは何か エルサレムにあらずや

是故に我サマリヤを野の石堆となし葡萄を植る處と爲し又その石を谷に投おとしその基を露さん

その石像はみな碎かれその獲たる價金はみな火にて焚れん 我その偶像をことごとく毀たん 彼妓女の價金よりこれを積たれば是はまた歸りて妓女の價金となるべし

我これがために哭き咷ばん 衣を脱ぎ裸體にて歩行ん 山犬のごとくに哭き駝鳥のごとくに啼ん

サマリヤの傷は醫すべからざる者にてすでにユダに至り我民の門エルサレムにまでおよべり

ガテに傳ふるなかれ 泣さけぶ勿れ ベテレアフラにて我塵の中に輾びたり

サピルに住る者よ 汝ら裸になり辱を蒙りて進みゆけ ザアナンに住る者は敢て出ず ベテエゼルのの哀哭によりて汝らは立處を得ず

マロテに住る者は己の幸福につきて思ひなやむ 其は災禍ヱホバより出てエルサレムの門に臨めばなり

ラキシに住る者よ馬に車をつなげ ラキシはシオンの女の罪の根本なり イスラエルの愆は汝の中に見ゆ

この故に汝モレセテガテに離別の饋物を與へよ アクジブの家々はイスラエルの王等におけること人を欺く溪川のごとくなるべし

マレシヤにすめる者よ 我また汝の地を獲べき者を汝に携へ往べし イスラエルの榮光アドラムに往ん

汝その悦ぶところの子等の故によりて汝の髪を剃おろせ 汝の首の剃し處を大きくして鷲のごとくにせよ 其は彼等擄へられて汝を離るればなり

第2章

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その牀にありて不義を圖り惡事を工夫る者等には禍あるべし 彼らはその手に力あるが故に天亮におよべばこれを行ふ

彼らは田圃を貧りてこれを奪ひ家を貧りて是を取りまた人を虐げてその家を掠め人を虐げてその産業をかすむ

是故にヱホバかく言たまふ 視よ我此族にむかひて災禍を降さんと謀る 汝らはその頸を是より脱すること能はじ また首をあげて歩くこと能はざるべし 其時は災禍の時なればなり

その日には人汝らにつきて詩を作り悲哀の歌をもて悲哀て言ん 事既にいたれり 我等は悉く滅さる 彼わが民の産業を人に與ふ 如何なれば我よりこれを離すや 我儕の田圃を違逆者に分ち與ふ

然ば汝らヱホバの會衆の中には籤によりて繩をうつ者一人も有じ

預言する勿れ 彼らは預言す 彼らは是等の者等にむかひて預言せじ 恥辱彼らを離れざるべし

汝ヤコブの家と稱へらるる者よ ヱホバの氣短からんや ヱホバの行爲是のごとくならんや 我言は品行正直者の益とならざらんや

然るに我民は近頃起りて敵となれり 汝らは夫の戰爭を避て心配なく過るところの者等に就てその衣服の外衣を奪ひ

我民の婦女をその悦ぶところの家より逐いだしその子等より我の妝飾を永く奪ふ

起て去れ 是は汝らの安息の地にあらず 是は已に汚れたれば必ず汝らを滅さん 其滅亡は劇かるべし

人もし風に歩み謊言を宣べ我葡萄酒と濃酒の事につきて汝に預言せんと言ことあらばその人はこの民の預言者とならん

ヤコブよ我かならず汝をことごとく集へ 必ずイスラエルの遺餘者を聚めん 而して我之を同一に置てボヅラの羊のごとく成しめん 彼らは人數衆きによりて牧塲の中なる群のごとくにその聲をたてん

打破者かれらに先だちて登彼ら遂に門を打敗り之を通りて出ゆかん 彼らの王その前にたちて進みヱホバその首に立たまふべし

第3章

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我言ふヤコブの首領よイスラエルの家の侯伯よ 汝ら聽け公義は汝らの知べきことに非ずや

汝らは善を惡み惡を好み民の身より皮を剥ぎ骨より肉を剔り

我民の肉を食ひその皮を剥ぎその骨を碎きこれを切きざみて鍋に入る物のごとくし鼎の中にいるる肉のごとくす

然ば彼時に彼らヱホバに呼はるともヱホバかれらに應へたまはじ 却てその時には面を彼らに隱したまはん 彼らの行惡ければなり

我民を惑す預言者は齒にて噛べき物を受る時は平安あらんと呼はれども何をもその口に與へざる者にむかひては戰門の準備をなす ヱホバ彼らにつきて斯いひたまふ

然ば汝らは夜に遭べし 復異象を得じ 黒暗に遭べし 復卜兆を得じ 日はその預言者の上をはなれて沒りその上は晝も暗かるべし

見者は愧を抱き卜者は面を赧らめ皆共にその唇を掩はん 神の垂應あらざればなり

然れども我はヱホバの御靈によりて能力身に滿ち公義および勇氣衷に滿ればヤコブにその愆を示しイスラエルにその罪を示すことを得

ヤコブの家の首領等およびイスラエルの家の牧伯等公義を惡み一切の正直事を曲る者よ汝ら之を聽け

彼らは血をもてシオンを建て不義をもてエルサレムを建つ

その首領等は賄賂をとりて審判をなしその祭司等は値錢を取て教晦をなす 又その預言者等は銀子を取て占卜を爲しヱホバに倚頼みて云ふヱホバわれらと偕に在すにあらずや 然ば災禍われらに降らじと

是によりてシオンは汝のゆゑに田圃となりて耕へされエルサレムは石堆となり宮の山は樹の生しげる高處とならん

第4章

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末の日にいたりてヱホバの家の山諸の山の巓に立ち諸の嶺にこえて高く聳へ萬民河のごとく之に流れ歸せん

即ち衆多の民來りて言ん 去來我儕ヱホバの山に登ヤコブの神の家にゆかん ヱホバその道を我らに教へて我らにその路を歩ましめたまはん 律法はシオンより出でヱホバの言はエルサレムより出べければなり

彼衆多の民の間を鞫き強き國を規戒め遠き處にまでも然したまふべし 彼らはその劍を鋤に打かへその鎗を鎌に打かへん 國と國とは劍を擧て相攻めず また重て戰爭を習はじ

皆その葡萄の樹の下に坐しその無花果樹の下に居ん 之を懼れしむる者なかるべし 萬軍のヱホバの口之を言ふ

一切の民はみな各々その神の名によりて歩む 然れども我らはわれらの神ヱホバの名によりて永遠に歩まん

ヱホバ言たまふ 其日には我かの足蹇たる者を集へかの散されし者および我が苦しめし者を聚め

その足蹇たる者をもて遺餘民となし遠く逐やられたりし者をもて強き民となさん 而してヱホバ、シオンの山において今より永遠にこれが王とならん

羊樓シオンの女の山よ最初の權汝に歸らん 即ちエルサレムの女の國祚なんぢに歸るべし

汝なにとて喚叫ぶや 汝の中に王なきや 汝の議者絶果しや 汝は産婦のごとくに痛苦を懷くなり

シオンの女よ産婦のごとく劬勞て産め 汝は今邑を出て野に宿りバビロンに往ざるを得ず 彼處にて汝救はれん ヱホバ汝を彼處にて汝の敵の手より贖ひ取り給ふべし

今許多の國民あつまりて汝におしよせて言ふ 願くはシオンの汚されんことを 我ら目にシオンを觀てなぐさまんと

然ながら彼らはヱホバの思念を知ずまたその御謀議を曉らず ヱホバ麥束を打塲にあつむるごとくに彼らを聚め給へり

シオンの女よ起てこなせ 我なんぢの角を鐵にし汝の蹄を銅にせん 汝許多の國民を打碎くべし 汝かれらの掠取物をヱホバに獻げ彼らの財産を全地の主に奉納べし

第5章

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軍隊の女よ今なんぢ集りて隊をつくれ 敵われらを攻圍み杖をもてイスラエルの士師の頬を撃つ

ベテレヘム、エフラタ汝はユダの郡中にて小き者なり 然れどもイスラエルの君となる者汝の中より我ために出べし その出る事は古昔より永遠の日よりなり

是故に産婦の産おとすまで彼等を付しおきたまはん 然る後その遺れる兄弟イスラエルの子孫とともに歸るべし

彼はヱホバの力に由りその神ヱホバの名の威光によりて立てその群を牧ひ之をして安然に居しめん 今彼は大なる者となりて地の極にまでおよばん

彼は平和なり アッスリヤ人われらの國に入り我らの宮殿を踏あらさんとする時は我儕七人の牧者八人の人君を立てこれに當らん

彼ら劍をもてアッスリヤの地をほろぼしニムロデの地の邑々をほろぼさん アッスリヤの人我らの地に攻いり我らの境を踏あらす時には彼その手より我らを救はん

ヤコブの遺餘者は衆多の民の中に在こと人に頼ず世の人を俟ずしてヱホバより降る露の如く青草の上にふりしく雨の如くならん

ヤコブの遺餘者の國々にをり衆多の民の中にをる樣は林の獸の中に獅子の居るごとく羊の群の中に猛き獅子の居るごとくならん その過るときは踏みかつ裂ことをなす救ふ者なし

望らくは汝の手汝が諸の敵の上にあげられ汝がもろもろの仇ことごとく絶れんことを

ヱホバ言たまふ其日には我なんぢの馬を汝の中より絶ち汝の車を毀ち

汝の國の邑々を絶し汝の一切の城をことごとく圮さん

我また汝の手より魔術を絶ん 汝の中に卜筮師無にいたるべし

我なんぢの彫像および柱像を汝の中より絶ん 汝の手にて作れる者を汝重て拜むこと無るべし

我また汝のアシラ像を汝の中より抜たふし汝の邑々を滅さん

而して我忿怒と憤恨をもてその聽從はざる國民に仇を報いん

第6章

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請ふ汝らヱホバの宣まふところを聽け 汝起あがりて山の前に辨爭へ 崗に汝の聲を聽しめよ

山々よ地の易ることなき基よ 汝らヱホバの辨爭を聽け ヱホバその民と辨爭を爲しイスラエルと論ぜん

我民よ我何を汝になししや 何において汝を疲勞たるや 我にむかひて證せよ

我はエジプトの國より汝を導きのぼり奴隷の家より汝を贖ひいだしモーセ、アロンおよびミリアムを遣して汝に先だたしめたり

我民よ請ふモアブの王バラクが謀りし事およびベオルの子バラムがこれに應へし事を念ひシツテムよりギルガルにいたるまでの事等を念へ 然らば汝ヱホバの正義を知ん

我ヱホバの前に何をもちゆきて高き神を拜せん 燔祭の物および當歳の犢をもてその御前にいたるべきか

ヱホバ數千の牡羊萬流の油を悦びたまはんか 我愆のためにわが長子を獻げんか 我靈魂の罪のために我身の産を獻げんか

人よ彼さきに善事の何なるを汝に告たり ヱホバの汝に要めたまふ事は唯正義を行ひ憐憫を愛し謙遜りて汝の神とともに歩む事ならずや

ヱホバの聲邑にむかひて呼はる 智慧ある者はなんぢの名を仰がん 汝ら笞杖および之をおくらんと定めし者に聽け

惡人の家に猶惡財ありや 詛ふべき縮小たる升ありや

我もし正からざる權衡を用ひ袋に僞の碼子をいれおかば爭で潔からんや

その富る人は強暴にて充ち其居民は謊言を言ひその舌は口の中にて欺くことを爲す

是をもて我も汝を撃て重傷を負はせ汝の罪のために汝を滅す

汝は食ふとも飽ず腹はつねに空ならん 汝は移すともつひに拯ふことを得じ 汝が拯ひし者は我これを劍に付すべし

汝は種播とも刈ることあらず 橄欖を踐ともその油を身に抹ることあらず 葡萄を踐ともその酒を飮ことあらじ

汝らはオムリの法度を守りアハブの家の一切の行爲を行ひて彼等の謀計に遵ふ 是は我をして汝を荒さしめ且その居民を胡盧となさしめんが爲なり 汝らはわが民の恥辱を任べし

第7章

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我は禍なるかな 我の景况は夏の菓物を採る時のごとく遺れる葡萄を斂むる時に似たり 食ふべき葡萄あること無く我が心に嗜む初結の無花果あること無し

善人地に絶ゆ 人の中に直き者なし 皆血を流さんと伏て伺ひ各々網をもてその兄弟を獵る

兩手は惡を善なすに急がし 牧伯は要求め裁判人は賄賂を取り力ある人はその心の惡き望を言あらはし斯共にその惡をあざなひ合す

彼らの最も善き者も荊棘のごとく最も直き者も刺ある樹の垣より惡し 汝の觀望人の日すなはち汝の刑罰の日いたる 彼らの中に今混亂あらん

汝ら伴侶を信ずる勿れ 朋友を恃むなかれ 汝の懐に寢る者にむかひても汝の口の戸を守れ

男子は父を藐視め女子は母の背き媳は姑に背かん 人の敵はその家の者なるべし

我はヱホバを仰ぎ望み我を救ふ神を望み俟つ 我神われに聽たまふべし

我敵人よ我につきて喜ぶなかれ 我仆るれば興あがる 幽暗に居ればヱホバ我の光となりたまふ

ヱホバわが訴訟を理し我ために審判をおこなひたまふまで我は忍びてその忿怒をかうむらん 其は我これに罪を得たればなり ヱホバつひに我を光明に携へいだし給はん 而して我ヱホバの正義を見ん

わが敵これを見ん 汝の神ヱホバは何處にをるやと我に言る者恥辱をかうむらん 我かれを目に見るべし 彼は街衢の泥のごとくに踏つけらるべし

汝の垣を築く日いたらん 其日には法度遠く徙るべし

その日にはアッスリヤよりエジプトの邑々より人々汝に來りエジプトより河まで海より海まで山より山までの人々汝に來り就ん

その日地はその居民の故によりて荒はつべし 是その行爲の果報なり

汝の杖をもて汝の民即ち獨離れてカルメルの中の林にをる汝の産業の羊を牧養ひ之をして古昔の日のごとくバシヤンおよびギレアデにおいて草を食はしめたまへ

汝がエジプトの國より出來し日のごとく我ふしぎなる事等を彼にしめさん

國々の民見てその一切の能力を恥ぢその手を口にあてん その耳は聾となるべし

彼らは蛇のごとくに塵を餂め地に匍ふ者の如くにその城より振ひて出で戰慄て我らの神ヱホバに詣り汝のために懼れん

何の神か汝に如ん 汝は罪を赦しその産業の遺餘者の愆を見過したまふなり 神は憐憫を悦ぶが故にその震怒を永く保ちたまはず

ふたたび顧みて我らを憐み我らの愆を踏つけ我らの諸の罪を海の底に投しづめたまはん

汝古昔の日われらの先祖に誓ひたりし其眞實をヤコブに賜ひ憐憫をアブラハムに賜はん