マンダレー駐屯地慰安所規定

目次

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第1章 総則
第2章 経営
第3章 衛生
第4章 雑則及其ノ他

      駐屯地慰安所に関する規定   

第1章 総則

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第1条 本規定ハ駐屯地慰安所ニ関スル必要ナル事項ヲ規定ス
第2条 慰安所ハ日本軍人軍属二於テ使用スルヲ原則トスルモ軍人軍属ノ使用ニ支障与ヘサル限度ニ於テ下記各項ヲ厳守ノ上当分ノ中「マンダレー」在住ノ日本人ハ24:30以降ニ限リ特ニ登楼ヲ許可ス従ッテ24:30以前ニ於ケル立入リハ之ヲ厳守ス
                 下記

  1. 軍人軍属ノ遊興ヲ妨害セサルコト
  2. 規則ニ違反シ又ハ風紀ヲ紊スカ如キ行為ヲナサザルコト
  3. 登楼時刻以前ニ於ケル予約ヲ厳守ス
  4. 料金ハ総テ将校ノ額トス
  5. 前各項ニ違背セル者ニ対シテハ許可証ヲ引上ケ爾後立入ヲ禁止スル外其ノ行為ノ如何ニ拠リテハ其ノ商社ハモトヨリ日本人全部ヲ禁止スルコトアルヘシ

但シ奥地等ヨリノ来縵者ニシテ右の時間以降ニ登楼シ得サル特別ノ事情アルモノ限リ日本人会長ハ自己ノ責任ヲ以テ其ノ都度予定時間資格氏名等ヲ記入セル証明書ヲ本人ニ交付シテ之ヲ楼主ニ明示スルニ依リ開業時間内適宜登楼スルコトヲ得
第3条 本規定ニ将校トアルハ准士官、見習士官及高等文官同待遇嘱託ニ又下士官トアルハ判任文官同待遇嘱託同雇員ニ兵トアルハ待遇ヲ定メザル嘱託同雇員及傭人ニ適用ス
第4条 慰安所ニ於ケル軍紀風紀及非違行為ノ取締リハ巡察将校又ハ駐屯地司令部娯楽係将校下士官ヲ以テ行フヲ本則トス
第5条 慰安所使用日ハ下士官兵ニアリテハ各隊外出日トス
第6条 慰安所ニ出入スル下士官兵ハ外出証ヲ有スルモノニ限リ且ツ部隊ノ規定セル部隊標識及階級章ヲ附スルモノトシ慰安所内ニ掲示シアル注意事項ヲ厳守スルモノトス
第7条 慰安所ニ於テ営業者又ハ慰安婦ヨリ不当ノ取扱ヲ受ケルカ或ハ金銭等ノ強要ヲ受ケタル場合ハ直チニ其ノ旨ヲ所属隊長ヲ経テ駐屯地司令部ニ報告スルモノトシ如何ナル場合ト雖モ殴打暴行等ノ所為アルベカラズ
第8条 慰安所内ニ於テ規定ヲ履行セザル者ハ直チニ其ノ使用ヲ禁止スルノミナラズ駐屯地会報ヲ以テ一般ニ告知シ要スレバ当該部隊ノ使用ヲ一時停止スルコトアリ
    

第2章 経営

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第9条 慰安所ニ於ケル料金ハ軍ノ定ムル軍票ニ依ルモノトシ其ノ他ノ物品ヲ以テナスコトヲ得ズ
第10条 慰安所ノ使用時間及ヒ料金ハ別紙第1ニ拠ルモ状況ニ依リ変更スルコトアリ
第11条 慰安所経営者ハ各慰安婦室ノ入口並ニ見易キ箇所ニ木札ヲ以テ慰安婦ノ芸名及合不合格ヲ掲示シ置クモノトス
第12条 設備費及患者ノ治療費ハ総テ経営者ノ負担トスルモ営繕ニ関スル簡単ナル設備ハ軍ニ於テ実施スルコトアリ
第13条 経営者ハ其ノ月ノ売上高ヲ翌月五日迄ニ別紙第2様式ニ拠リ駐屯地司令部ニ提出スルモノトス
第14条 貨物廠等ヨリ交付ヲ受クベキ調味品類其ノ他ノ必需品ハ所要一ヶ月前ニ駐屯地司令部ニ請求スルモノトス
   

第3章 衛生

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第15条 慰安所ニ必ズ消毒所ヲ経営者ニ依リ設置スルモノトス
第16条 消毒所ノ消毒設備ハ灌水器ニ一万倍ノ過マン剥液ヲ満タシ置クモノトス
第17条 「サック」(星秘膏)ヲ使用セザル者ハ遊興セシメザルトス
第18条 遊興者及其ノ相方ハ毎回消毒所ニ於テ確実ニ消毒ヲ行フモノトス
第19条 慰安婦ノ健康ニ就イテハ経営者ハ特ニ注意シ営業開始前慰安婦ヲシテ軍ノ実施スル一般身体検査及局部検査ヲ受ケセシムルモノトス
第20条 毎週一回慰安婦ノ身体検査ヲ実施シ其ノ程度ニ依リ下ノ如ク区分シ其ノ証票ヲ慰安婦ニ所持セシムルモノトス
         下記
  合 格   営業ヲ許可セラレタル者
  不合格   休業スヘキ者
第21条 経営者(慰安婦)ハ軍人軍属ヨリ毎週ノ検査成績ノ提示ヲ要求セラレタル時ハ之ヲ拒ムコトヲ得ス
  

第4章 雑則及其の他

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第22条 管理部隊ハ別紙第3ノ慰安所注意事項ヲ営業所ニ掲示スルモノトス
第23条 慰安婦ノ他出ニ際シテハ経営者ノ証印アル他出証ヲ携行セシムルモノトス

別紙第1 慰安所使用時間及ヒ遊興料金

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区 分 時 間 遊興時間 遊興料金
兵  自 10:00      至 17:00 30分  1円50銭
下士官 自 17:00      至 21:00 40分  2円00銭
将 校 自 21:00      至 24:00 50分  3円00銭
自 24:00     至 翌8:00 泊リ 8円00銭
備考 商社関係使用者ハ規定第2条ヲ厳守スルモノトス

別紙第2 慰安所売上高報告

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自   月  日    慰安所売上高報告       慰安所名

至   月  日                   経営者氏名         印

区分 遊興人員 売上高 摘   要
将 校
下士官 
兵 
計 
備考 現存スル慰安婦名ヲ本欄ニ記入スルモノトス


別紙第3 慰安所ニ於ケル軍人軍属其ノ他使用者ノ守ル可キ注意事項

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  1. 大日本帝国軍人軍属及日本人たる事ヲ自覚シ其ノ威信ヲ失墜スルガ如キ行為ヲナサザルコト
  2. 特ニ防諜ニ注意スルコト
  3. 慰安所ニ於テ使用スル通貨ハ「ルピー」又ハ「ドル」軍票タルコト
  4. 料金ハ規定ノ料金表ヨリ現金ニテ予メ支払ヒタル後遊興ヲナスコト
  5. 過度ノ飲酒者ハ遊興セザルコト
  6. 従業員(慰安婦ヲ含ム)ニ対シ粗暴ノ振舞ヲナサザルコト
  7. 「サック」(星秘膏)ヲ必ズ使用シ確実ニ洗浄ヲ行ヒ性病予防ヲ完全ナラシムコト
  8. 規定ノ時間ヲ厳守スルコト

 昭和  年  月  日   「マンダレー」駐屯地司令部  印