マテオ聖福音書1 (ラゲ訳)

『公敎宣敎師ラゲ譯　我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

マテオ聖福音書1

第1章編集

¹アブラハムの（こ）なるダヴィドの（こ）イエズス、キリストの（けいづ）。 ²アブラハムイザアクを（う）み、イザアクヤコブを（う）み、ヤコブユダと（その）（きやうだいら）とを（う）み、 ³ユダタマルによりてファレスとザラとを（う）み、ファレスエスロンを（う）み、エスロンアラムを（う）み、 ⁴アラムアミナダブを（う）み、アミナダブナアソンを（う）み、ナアソンサルモンを（う）み、 ⁵サルモンラハブによりてボオズを（う）み、ボオズルトによりてオベドを（う）み、オベドイエッセを（う）み、イエッセダヴィド（わう）を（う）み、 ⁶ダヴィド（わう）ウリアの[（つま）]たりし（もの）によりてサロモンを（う）み、 ⁷サロモンロボアムを（う）み、ロボアムアビアを（う）み、アビアアザを（う）み、 ⁸アザヨザファトを（う）み、ヨザファトヨラムを（う）み、ヨラムオジアを（う）み、 ⁹オジアヨアタムを（う）み、ヨアタムアカズを（う）み、アカズエゼキアを（う）み、 ¹⁰エゼキアマナッセを（う）み、マナッセアモンを（う）み、アモンヨジアを（う）み、 ¹¹バビロンに（うつ）さるる（ころ）ヨジアイエコニアと（その）（きやうだいら）とを（う）み、 ¹²バビロンに（うつ）されたる（のち）イエコニアサラチエルを（う）み、サラチエルゾロバベルを（う）み、 ¹³ゾロバベルアビユドを（う）み、アビユドエリアキムを（う）み、エリアキムアゾルを（う）み、 ¹⁴アゾルサドクを（う）み、サドクアキムを（う）み、アキムエリユドを（う）み、 ¹⁵エリユドエレアザルを（う）み、エレアザルマタンを（う）み、マタンヤコブを（う）み、 ¹⁶ヤコブマリアの（をつと）ヨゼフを（う）み、（この）マリアよりキリストと（しよう）するイエズス（うま）れ（たま）へり。 ¹⁷（さ）れば（れきだい）は、（すべ）てアブラハムよりダヴィドまで十四（だい）、ダヴィドよりバビロンに（うつ）さるるまで十四（だい）、バビロンに（うつ）されてよりキリストまで十四（だい）[とす]。 ¹⁸（さ）てキリストの（うま）れ（たま）ひし（しだい）は（つぎ）の（ごと）し。（その）（はは）マリアヨゼフに（いひなづけ）せられしに、（どうきよ）せざる（まへ）（せいれい）によりて（くわいたい）せる（こと）（あらは）れしが、 ¹⁹（おつと）ヨゼフ（ぎじん）にして（かれ）を（うつた）ふる（こと）を（この）まざれば、（ひそか）に（これ）を（りべつ）せんと（おも）へり。 ²⁰（これ）（ら）の（こと）を（おも）ひ（めぐ）らす（をり）しも、（しゆ）の（つかひ）（かれ）が（ゆめ）に（あらは）れて（い）ひけるは、ダヴィドの（こ）ヨゼフよ、（なんぢ）の（つま）マリアを（い）るる（こと）を（おそ）るる（なか）れ、（けだし）（かれ）に（やど）れるものは（せいれい）によれり。 ²¹（かれ）（いつし）を（う）まん、（なんぢ）（その）（な）をイエズスと（なづ）くべし、（そ）は（みづから）（おのれ）が（たみ）を（その）（つみ）より（すく）ふべければなり、と。 ²²（すべ）て（この）（こと）の（な）りしは、（しゆ）が（かつ）て（よげん）（しや）を（もつ）て（のたま）ひし（こと）の（じやうじゆ）せん（ため）なり、 ²³（いは）く「（み）よ（どうていぢよ）（くわいたい）して（いつし）を（う）まん、（その）（な）はエンマヌエルと（とな）へられん」と。エンマヌエルとは（われ）（ら）と（とも）に（ましま）す（かみ）の（ぎ）なり。 ²⁴ヨゼフ（ねむり）より（お）きて、（しゆ）の（つかひ）より（めい）ぜられし（ごと）くにして（その）（つま）を（い）れしが、 ²⁵（とこ）を（とも）にせずして（うひ）（ご）を（う）むに（いた）れり、（しか）して（その）（こ）の（な）をイエズスと（なづ）けたり。

第2章編集

¹（かく）てイエズス、ヘロデ（わう）の（とき）、ユデアのベトレヘムに（うま）れ（たま）ひしかば、（をり）しも（はかせ）（たち）（とうはう）よりエルザレムに（きた）りて、 ²（い）ひけるは、（うま）れたるユデア（じん）の（わう）は（いづこ）に（いま）すぞ、（すなはち）（われ）（ら）（とうはう）にて（かれ）が（ほし）を（み）、（これ）を（をが）みに（きた）れり、と。 ³ヘロデ（わう）（これ）を（き）きて（うろた）へしが、エルザレムも（また）（こぞ）りて（しか）ありき。 ⁴（わう）は（しさい）（ちやう）と（みんかん）の（りつぱふ）（がくし）とを（ことごと）く（あつ）めて、キリスト（いづこ）に（うま）るべきかと（と）ひたるに、 ⁵（かれら）（い）ひけるは、ユデアのベトレヘムに、（そ）は（よげん）（しや）の（かきしる）して、 ⁶「ユダの（ち）ベトレヘムよ、（なんぢ）はユダの（ぐんちゆう）に（もつと）も（ちひさ）き（もの）には（あら）ず、（けだし）（われ）イスラエルの（たみ）を（ぼく）すべき（きみ）（なんぢ）の（うち）より（いで）ん。」とあればなり、と。 ⁷（その）（とき）ヘロデ（ひそか）に（はかせ）（たち）を（め）して、（ほし）の（あらは）れし（とき）を（きき）（ただ）し、 ⁸（かれら）をベトレヘムに（おく）るとて（い）ひけるは、（ゆ）きて（つまびらか）に（をさなご）の（こと）を（たず）ね、（そ）を（みいだ）さば（われ）に（つ）げよ、（われ）も（ゆ）きて（これ）を（をが）まん、と。 ⁹（かれら）（わう）の（ことば）を（き）きて（いで）（ゆ）きけるに、（をり）しも（とうはう）にて（み）たりし（ほし）（かれら）の（さき）に（た）ち、（つひ）に（をさなご）の（を）る（ところ）に（いた）りて（その）（うへ）に（とどま）れり。 ¹⁰（かれら）（その）（ほし）を（み）て（はなはだ）（よろこ）び、 ¹¹（いへ）に（い）りて（をさなご）の（その）（はは）マリアと（とも）に（を）るを（み）、（ひれふ）して（これ）を（はい）し、（たから）（ばこ）を（ひら）きて（わうごん）（にうこう）（もつやく）の（れいもつ）を（ささ）げたり。 ¹²（かく）てヘロデに（かへ）ること（なか）れとの（しめし）を（ゆめ）に（え）て、（た）の（みち）より（おの）が（くに）に（かへ）れり。 ¹³（はかせ）（たち）の（さ）りし（のち）、（をり）しも（しゆ）の（つかひ）ヨゼフの（ゆめ）に（あらは）れて（い）ひけうるは、（お）きて（をさなご）と（その）（はは）とを（たづさ）へてエジプトに（のが）れ、（わ）が（なんぢ）に（つ）ぐるまで（かしこ）に（を）れ、（そ）はヘロデ（をさなご）を（ころ）さんとて（これ）を（もと）めんとすればなり、と。 ¹⁴ヨゼフ（お）きて（をさなご）と（その）（はは）とを（たづさ）へて（よる）エジプトに（さ）け、 ¹⁵ヘロデの（し）するまで（そこ）に（を）れり、（これ）（しゆ）より（かつ）て（よげん）（しや）を（もつ）て（い）はれし（こと）の（じやうじゆ）せん（ため）なり、（いは）く「（われ）（わが）（こ）をエジプトより（よびいだ）せり」と。 ¹⁶（とき）にヘロデ、（はかせ）（たち）に（あざむ）かれしを（み）て（おほい）に（いか）り、（ひと）を（つか）はして（はかせ）（たち）に（き）きたりし（とき）を（はか）りて、ベトレヘム（および）（その）（しはう）に（あ）る（に）（さい）（いか）の（だんじ）を（ことごと）く（ころ）せり。 ¹⁷（かく）て（よげん）（しや）エレミアに（よ）りて（い）はれたる（こと）（じやうじゆ）せり、 ¹⁸（いは）く「ラマに（こゑ）あり、（なげき）にして（おほい）なる（さけび）なりけり、ラケル（その）（こども）を（なげ）き、（かれら）の（な）きに（よ）り（あへ）て（なぐさめ）を（い）れず」と。 ¹⁹ヘロデ（し）せしかば、（をり）しも（しゆ）の（つかひ）エジプトに（おい）てヨゼフの（ゆめ）に（あらは）れ、 ²⁰（い）ひけるは、（お）きて（をさなご）と（その）（はは）とを（たづさ）へてイスラエルの（ち）に（ゆ）け、（けだし）（をさなご）の（いのち）を（もと）めし（ひとびと）は（すで）に（し）せり、と。 ²¹ヨゼフ（お）きて（をさなご）と（その）（はは）とを（たづさ）へ、イスラエルの（ち）に（いた）りしに、 ²²アルケラオ（その）（ちち）ヘロデに（つ）ぎてユデアを（をさ）むと（き）き、（かしこ）に（ゆ）く（こと）を（おそ）れしが、た（ゆめ）に（つげ）ありてガリレアの（ちはう）に（さ）け、 ²³ナザレトと（い）ふ（まち）に（いた）りて（す）めり。（これ）（よげん）（しや）（たち）によりて「（かれ）はナザレト（じん）と（とな）へられん」と（い）はれし（こと）の（じやうじゆ）せん（ため）なり。