ベン・シラの智慧 第三十章

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第三十章

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1 あいするものえずこれを鞭打むちうたん。をはりにそのよろこびんためなり。
2 そのこらしむるものはこれをえきし、その知人しりびとあひだかれにつきてほこらん。
3 そのをしふるものてきねたみおこさしめ、ともまへかれのためによろこばん。
4 そのちちぬとも、なぬがごとし。そのあとおのれごとひと一人ひとりのこせばなり。
5 そのけるあひだこれをよろこび、ぬるときにもかなしまず。
6 かれはそのてきあだむくゆるもの、そのともおんかへものを、おのあとのこす。
7 そのあまえさすものおのきずをつつみ、さけごとにそのこころわづらはさん。
8 らさぬうま強情がうじゃうとなり、ままなる頑固かたくなとなる。
9 あまえしめば、かれかれおそれしめ、ともあそばばなんぢうれへしめん。
10 かれともわらふな。おそらくはなんぢかれとともかなしみ、をはりには切齒はがみするにいたらん。
11 そのわかときこれに自由じいうあたふな、またそのおろか見逃みのがすな。
12 わかときそのくびおさへ、をさなときそのわきて、おそらくはかれ頑固かたくなになりてなんぢしたがはず、なんぢたましひなやましめん。
13 なんぢこらし、かれのために苦心くしんせよ、そのはぢらぬ行爲おこなひなんぢいからしめざらんためなり。

14 その體格たいかくつよく、すこやなるまづしきひとは、その身體からだよわめるひとまさる。
15 健康けんかう體格たいかくとはすべての黄金こがねまさり、つよ身體からだかぎりなきとみまさる。
16 身體からだすこやかさにまさとみはなく、こころよろこびまさよろこびはなし。
17 にが生命いのちまさり、永遠とこしへ安息やすみえざる疾病やまひまさる。
18 ふさがれしくちうへそそがれたるきものははかうへかれし食物くひものごとし。
19 供物そなへもの偶像ぐうぞうなにえきあらんや。くらふこともぐこともあたはず。しゅによりてくるしめらるるものかくごとし。
20 處女をとめいだきてうめ閹人えんじんごとく、うめくなり。

21 なんぢたましひ悲哀かなしみわたすな。なんぢ計畫はかりごとをもておのなやますな。
22 ひと生命いのちこころよろこびなり、たかよはひひとよろこびなり。
23 なんぢたましひあいし、なんぢこころなぐさめ、また悲哀かなしみなんぢよりとほざけよ。悲哀かなしみおほくのひとほろぼし、そのうちなにえきなし。
24 ねたみいかりとはひとよはひみじかくし、煩悶おもひわづらひとききたまへひといしむ。
25 快活ほがらかなるこころ飮食のみくひもちふべし。