プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと/計画の価値


戦いに備えるにあたり、私はいつも計画は役に立たないと思っている。それでも、計画することは不可欠だ。

ジョージ・スミス・パットン将軍の「どんな戦術も眼前の敵には無力だ」という言葉が好きなプロジェクト・マネジャーがいます。彼らはこの言葉を、計画するのは時間のムダだという言い訳にしています。これにはほとんど根拠がありません。こうした姿勢は数多くのプロジェクトを失敗へと追いやってきました。計画することよりも行動を支持するマネジャーは必ずいるものです。行動することは魅力的で、計画することは退屈だからです。

確かに計画することは退屈かもしれませんが、一連のドキュメントを作ることだけが目的ではありません。アイゼンハワー大統領は、計画するという訓練はプロジェクトについて考えるきっかけになると考えていました。計画セッションはプロジェクトに対する深い理解をもたらします。ここでは、仕事、予算、リソース、リスク、スケジュールなどを考慮します。計画することにより、成功するために何が必要とされているのか、もっとうまく見抜けるようになります。計画は目標が達成可能かどうか、どのように達成可能なのかを理解するのにも役立ちます。完成した計画は、プロジェクトについてコミュニケーションするための貴重な手段にもなるのです。

計画ドキュメントには議論され、決定されたことを記録しておきます。お固い行動指針を示すためにあるわけではありません。残念ながら、当初の計画はすぐにその価値と妥当性を失うでしょう。初期計画と実行計画の2 種類があるのはそのためです。

初期計画の目的は、プロジェクトの進路を定めることにあります。初期計画ではプロジェクト全体を俯瞰しつつ、すべての領域(リスク、時間、品質など)について検討します。そして、プロジェクトの意図を定めて、目標までの妥当な道筋を導き出すのです。新たな情報が得られて状況が変化すると、プロジェクトの進路も変更されます。これは自然なことです。ただし目標を変えることはめったにないことであり、もし変えるのであればくれぐれも慎重にすべきです。

初期計画を作るためには、プロジェクトについてよく知り、リスクと制約について理解し、成功への道づくりをする必要があります。プロジェクト・マネジャーとして、チームを計画セッションに参加させましょう。初期段階で相互理解を築いておくことは極めて重要です。「敵とのファーストコンタクト(戦闘の開始=プロジェクト問題との遭遇)」が起きた直後はなおさらです。

「ファーストコンタクト」は計画してきたことが報われるときです。なぜなら全員が計画を理解しているため、各メンバーは計画の意図に合わせて自主的に対応できるためです。全体の目標と制約を知ることによって、チームはすばやく適切な判断が下せるようになります。これが実行計画を始めるタイミングとなります。

実行計画プロセスとは、既存の計画をベースとして、新たな現実を反映させるために修正することです。5 月1 日に開発を始めるよう計画していましたが、6 月1日になるまで開始できなかったとしましょう。あなたはどうやって時間の穴埋めをしますか?

5 月に着手可能な他のタスクにリソースをアサインしますか?

もっと時間やお金が必要ですか?

これが実行計画の検討です。計画して、調整して、実行するのです。

計画するたびに、あなたはプロジェクトについて検討し、周囲と協議します。これらは必要不可欠なアクティビティであり、必ずコスト以上に大きな利益をもたらしてくれるでしょう。

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