プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと/契約紛争を避ける


PMP(Project Management Professionals)® を取得しているプロジェクト・マネジャーなら、各種契約について詳しく知っているはずです。そして、どの契約のタイプを使うかは、対象とする製品やサービスはもちろんのこと、自分や売り手が想定するリスクレベルにも依存することを承知しているでしょう。しかし、知ってはいても、必ずしもうまくいくとは限りません。つまり、最善の契約があっても紛争が起こらない保証はない、ということです。

明確に定義された要求を前提とすることは、衝突が起こるのを避ける確かな方法のひとつです。何が期待されているのかが明確に定義されているということは、何が成果物なのかに双方が合意できているということです。しかし、実際のところプロジェクトマネジメントの世界では、明確に定義された要求が常に存在するとは限りません。顧客からの不可避な変更要求を受け入れて、ビジネスを獲得するために失った利幅は後で取り返せばよいと、安値で仕事を受ける売り手(あなたの営業チーム)もいるかもしれません。プロジェクトに適正な値がつけられ、プロジェクトのスコープについて明確に定義された要求があるときですら、双方が解決しなければならない変更が発生するおそれがあります。結局どんな状況においても、こうした紛争が起こる可能性はあるのです。

ではプロジェクト・マネジャーはどうすればよいのでしょう?

顧客は味方であって敵ではない、と考えてプロジェクトに取り組みましょう。売り手(あなた)と買い手(顧客)の双方がプロジェクトの成功に力を注いでいれば、たとえ意見の不一致が起こっても、簡単に平和的に解決できます。お互いが自分の関心に注力しすぎると、たとえ小さな意見の不一致であっても大きな紛争へと発展してしまい、プロジェクトは頓挫してしまうでしょう。

意見の不一致が起こったときには、双方がともに勝者になれるよう解決に取り組んでください。たとえ契約上はあなたの方が正しくても、何とか折り合いをつけるのです。裁判所で自分の正当性を証明したくなるかもしれませんが、裁判で解決するまでのあいだ、両者の関係に対するダメージとプロジェクトの行き詰まりは、プロジェクトの最終的な成功に大きな影響を及ぼします。法的手段に出るしかない状況もあるかもしれませんが、それは最後の手段にすべきです。

紛争が起こらないようにする一番の方法は、フェアな契約交渉をすることです。例えば、契約にペナルティがあるのなら、ボーナスも入れておきましょう。勝ち負けのチャンスが平等にあると双方が感じる必要があります。たとえ定額契約であったとしても、買い手(顧客)がプロジェクトを完了するよりも中止した方がましだと感じているようであれば、彼らと再交渉した方がよいかもしれません。

また、話がうますぎると感じる値付けには気をつけましょう。あなたの営業チームがその場に居合わせていないのであれば、そのプロジェクトを完了させるのに何が必要なのか、買い手が十分理解できていないのかもしれません。自分たちが払いすぎだと気がつくと、再交渉しようとするか、さもなくば立ち去ってしまうでしょう。

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