プロジェクト・マネジャーが知るべき97のこと/ビジョンと期待される成果に合わせる
ソフトウェア開発プロジェクトは非常に難しいものです。というのもニーズと期待が必ずしも明確ではないためです。そのためプロジェクト・マネジャーの仕事は、以下を確実に実施することになります。
- プロジェクトの主たる目的を明確にすること。
- なぜこのプロジェクトをやるのか、全員が理解すること。
- 3つのP(人(People)、プロセス(Process)、プラットフォーム(Platform))への影響を明確にすること。
- ニーズと期待が要求ドキュメントに含まれていること。そして、何がスコープ内で、何がスコープ外かを判断して、チームに伝えること。
チームメンバーをビジョンと期待される成果に合わせるため、プロジェクト・マネジャーは以下の3 つの視点を使いこなす必要があります。1. ビジネスの視点:どうしてこのプロジェクトが解決策になるのか?
(プロジェクトはどんな問題や機会を解決しようとしているのか、もしくは、組織にどのような価値をもたらすのか?)2. SMARTの視点:ソフトウェアは何をすべきなのか?
(具体的に(Specific)計測可能で(Measurable)、合意された(Agreed upon)、現実的な(Realistic)機能を時間制約(Time constraint)内で実現する)3. 主観的な視点:エンドユーザーはシステムに何を期待しているのか?
(開始フェーズで、エンドユーザーの期待と認識を獲得する)
ポイント1:開発チームとプロジェクト・マネジャーは実装が始まると、組織がプロジェクトに資金提供することにした本来の理由を忘れて、具体的機能やプロジェクトの技術的側面に注目してしまいがちです。チームは必ずしも解決すべき真のビジネス問題を念頭に置いているわけではないため、チームの判断には誤解や落とし穴、エラーが発生するおそれがあります。プロジェクトが組織にもたらすべき利益は、必ずしも最先端の技術や機能にあるとは限りません。こうした落とし穴に陥らないよう、プロジェクト・マネジャーはプロジェクトの目的、前提、制約、リスクを明確にする必要があります。
ポイント2:プロジェクトの技術的目標および機能的目標は、スポンサーも含めたチームメンバー全員が理解できるよう、明確でなければなりません。そしてその成果は、最終的にシステムのオーナーの戦略的ビジネス目標と一致している必要があります。
ポイント3:プロジェクト・マネジャーはエンドユーザーが何を期待しているか特定しなくてはなりません。彼らはこの新しいアプリケーションが日々の業務をどのように支援することを期待しているのでしょうか?
プロジェクト・マネジャーはエンドユーザーの利益と期待を明確に理解して、それを実現できるよう開発チームに正しく伝えなくてはなりません。これを明確にすることではじめて、プロジェクト・マネジャーはソフトウェア製品の現実的な最終ビジョンに基づいて、エンドユーザーにその長所を正確に伝え、彼らを支援することができるようになります。
プロジェクトの目的や利点を細部にわたって理解していると、あなたは簡単にその場で的確な判断が下せるようになります。また、ユーザーが何を期待しているのか、システムが何のためにあるのかをプロジェクト・マネジャーが本当に理解していれば、効率よく変更管理提案を評価することができます。これはプロジェクト実行フェーズで間違った指示やズレが発生するのを防ぎます。
私たちはプロジェクト・マネジャーとして、技術的なプロジェクト要求とプロジェクトが目的とするビジネス価値の両方を十分理解するよう、努力しなくてはなりません。それらを十分理解してようやく、プロジェクトライフサイクルを通じてすぐれたソフトウェアを生み出し、プロとして不確実性を管理する備えができあがるのです。
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