スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律


スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律をここに公布する。

御名御璽

令和六年六月十九日


第五十八号
スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律
目次
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 特定ソフトウェア事業者の指定等(第三条・第四条)
第三章 指定事業者の義務
第一節 指定事業者の禁止行為(第五条―第九条)
第二節 指定事業者の講ずべき措置(第十条―第十三条)
第三節 指定事業者による報告書の提出等(第十四条)
第四章 違反に対する措置等
第一節 調査等(第十五条―第十七条)
第二節 排除措置命令等(第十八条―第三十条)
第五章 差止請求、損害賠償等(第三十一条―第四十一条)
第六章 雑則(第四十二条―第四十八条)
第七章 罰則(第四十九条―第五十八条)
附則

第一章 総則

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(目的)

第一条
この法律は、我が国においてスマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤としての役割を果たしていることに鑑み、スマートフォンの利用に特に必要な特定ソフトウェアの提供等を行う事業者に対し、特定ソフトウェアの提供等を行う事業者としての立場を利用して自ら提供する商品又は役務を競争上優位にすること及び特定ソフトウェアを利用する事業者の事業活動に不利益を及ぼすことの禁止等について定めることにより、特定ソフトウェアに係る公正かつ自由な競争の促進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条
この法律において「スマートフォン」とは、次の各号のいずれにも該当する端末をいう。
一 常時携帯して利用できる大きさであること。
二 当該端末にソフトウェア(プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)の集合体であって、特定の目的のために電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条及び第八条第三号において同じ。)を追加的に組み込み、当該ソフトウェアを当該端末で利用できること。
三 当該端末を用いて電話及びインターネットの利用ができること。
2 この法律において「基本動作ソフトウェア」とは、スマートフォンに組み込まれ、主としてスマートフォンの中央演算処理装置における演算の制御その他のスマートフォンの動作の制御を行うための情報処理を行うよう構成されたソフトウェアをいう。
3 この法律において「個別ソフトウェア」とは、スマートフォンに組み込まれ、基本動作ソフトウェアを通じて電子メールの送受信、地図の表示その他のスマートフォンの利用者の個別の用途に供されるよう構成されたソフトウェアをいう。
4 この法律において「アプリストア」とは、個別ソフトウェアのうち、他の個別ソフトウェアを有償又は無償で提供して、当該他の個別ソフトウェアをスマートフォンに組み込む用途に供されるものをいう。
5 この法律において「ブラウザ」とは、個別ソフトウェアのうち、主としてインターネットを利用してウェブページ(インターネットを利用した情報の閲覧の用途に供される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十五条及び第三十六条第一項第一号において同じ。)であって公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下同じ。)を閲覧する用途に供されるものをいう。
6 この法律において「検索エンジン」とは、入力された検索情報(検索により求める情報をいう。)に対応して当該検索情報が記録された不特定多数のウェブページのドメイン名(インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。)その他の所在に関する情報を出力するソフトウェアをいう。
7 この法律において「特定ソフトウェア」とは、基本動作ソフトウェア、アプリストア、ブラウザ及び検索エンジンを総称する。
8 この法律において「特定ソフトウェアの提供等」とは、基本動作ソフトウェア、アプリストア若しくはブラウザの提供又は検索エンジンを用いた検索役務(スマートフォンの利用者が検索により求める情報を特定の分野又は画像、映像その他の特定の形式に限定することなく表示する役務をいう。第九条及び第十二条第二号イにおいて同じ。)の提供をいう。
9 この法律において「個別アプリ事業者」とは、個別ソフトウェアを提供する事業者(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)第二条第一項に規定する事業者をいう。以下同じ。)をいう。
10 この法律において「ウェブサイト事業者」とは、商品又は役務の提供を目的として、スマートフォンを利用する公衆へのウェブページ又はその集合物の提示を行う事業者をいう。

第二章 特定ソフトウェア事業者の指定等

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(特定ソフトウェア事業者の指定)

第三条
公正取引委員会は、特定ソフトウェアの提供等を行う事業者(次項において「特定ソフトウェア事業者」という。)のうち、当該特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が他の事業者の事業活動を排除し、又は支配し得るものとして特定ソフトウェアの種類ごとに利用者の数その他の当該事業の規模を示す指標により政令で定める規模以上であるものを、次章の規定の適用を受ける者として指定するものとする。
2 特定ソフトウェア事業者は、その行う特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が前項の政令で定める規模以上であるときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、特定ソフトウェアの種類ごとに公正取引委員会規則で定める事項を公正取引委員会に届け出なければならない。ただし、同項の規定による指定(以下この章及び次章において単に「指定」という。)を受けた者(以下「指定事業者」という。)にあっては、当該指定に係る特定ソフトウェアについては、この限りでない。
3 指定は、文書によって行い、指定書には、指定に係る特定ソフトウェアの種類を示し、委員長及び第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第六十五条第一項の規定による合議に出席した委員がこれに記名押印しなければならない。
4 指定は、その名宛人に指定書の謄本を送達することによって、その効力を生ずる。

(特定ソフトウェア事業者の指定の変更及び取消し)

第四条
指定事業者は、その指定に係る特定ソフトウェアの種類の全部又は一部について、次の各号のいずれかに掲げる事由が生じたときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、公正取引委員会に、その指定を変更し、又は取り消すべき旨の申出をすることができる。
一 特定ソフトウェアの提供等を行わなくなったとき。
二 特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が前条第一項の政令で定める規模を下回った場合において、再び当該規模以上となることがないと明らかに認められるとき。
2 公正取引委員会は、前項の申出があった場合において、当該申出に理由があると認めるときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、遅滞なく、指定を決定で変更し、又は取り消すものとする。同項の申出がない場合において、同項各号のいずれかに掲げる事由が生じたと認められるときも、同様とする。
3 公正取引委員会は、指定事業者について、その指定に係る特定ソフトウェア以外の特定ソフトウェアに関し、その行う特定ソフトウェアの提供等に係る事業の規模が前条第一項の政令で定める規模以上となったときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該指定を決定で変更するものとする。
4 前条第三項及び第四項の規定は、前二項の規定による決定について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「指定書」とあるのは、「決定書」と読み替えるものとする。

第三章 指定事業者の義務

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第一節 指定事業者の禁止行為

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(取得したデータの不当な使用の禁止)

第五条
指定事業者は、その指定に係る次の各号に掲げる特定ソフトウェアについて、当該各号に定める行為を行ってはならない。
一 基本動作ソフトウェア 他の個別アプリ事業者による個別ソフトウェアの提供に係る当該基本動作ソフトウェアの利用に伴い当該指定事業者が取得した当該個別ソフトウェアの利用状況に係るデータ、当該個別ソフトウェアの作動状況に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータ(既に公開されているデータを除く。)について、これを当該他の個別アプリ事業者が提供する商品又は役務と競争関係にある商品又は役務の提供のために自ら使用し、又はその子会社等(独占禁止法第二条の二第二項に規定する子会社等をいう。以下同じ。)に使用させること。
二 アプリストア 他の個別アプリ事業者による個別ソフトウェアの提供に係る当該アプリストアの利用に伴い当該指定事業者が取得した当該個別ソフトウェアの売上げに係るデータ、当該個別ソフトウェアの仕様に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータ(既に公開されているデータを除く。)について、これを当該他の個別アプリ事業者が提供する商品又は役務と競争関係にある商品又は役務の提供のために自ら使用し、又はその子会社等に使用させること。
三 ブラウザ 他のウェブサイト事業者が提示するウェブページの当該ブラウザによる表示に伴い当該指定事業者が取得した当該ウェブページの閲覧履歴(スマートフォンの利用者がブラウザを利用してウェブページを閲覧する際に当該ブラウザに記録される閲覧日時その他の履歴をいう。第十条第一項第三号において同じ。)に係るデータ、当該ウェブページの作動状況に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータ(既に公開されているデータを除く。)について、これを当該他のウェブサイト事業者が提供する商品又は役務と競争関係にある商品又は役務の提供のために自ら使用し、又はその子会社等に使用させること。

(個別アプリ事業者に対する不公正な取扱いの禁止)

第六条
指定事業者(基本動作ソフトウェア又はアプリストアに係る指定を受けたものに限る。)は、その指定に係る基本動作ソフトウェア又はアプリストアに関し、個別アプリ事業者に対し、当該個別アプリ事業者が提供する個別ソフトウェアの作動中に表示される当該個別ソフトウェアの仕様等の表示の方法等に係る条件その他の個別アプリ事業者による当該基本動作ソフトウェア又はアプリストアの利用に係る条件及び当該条件に基づく取引の実施について、不当に差別的な取扱いその他の不公正な取扱いをしてはならない。

(基本動作ソフトウェアに係る指定事業者の禁止行為)

第七条
指定事業者(基本動作ソフトウェアに係る指定を受けたものに限る。)は、その指定に係る基本動作ソフトウェアに関し、次に掲げる行為を行ってはならない。ただし、当該基本動作ソフトウェアが組み込まれたスマートフォンについて、サイバーセキュリティの確保等(スマートフォンの利用に係るサイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティの確保、スマートフォンの利用に伴い取得される氏名、性別その他のスマートフォンの利用者に係る情報の保護、スマートフォンの利用に係る青少年の保護その他政令で定める目的をいう。次条において同じ。)のために必要な行為を行う場合であって、他の行為によってその目的を達成することが困難であるときは、この限りでない。
一 当該基本動作ソフトウェアを通じて提供されるアプリストアについて、次に掲げる行為を行うこと。
イ 当該基本動作ソフトウェアを通じて提供されるアプリストアを当該指定事業者(その子会社等を含む。次号において同じ。)が提供するものに限定すること。
ロ イに掲げるもののほか、他の事業者が当該基本動作ソフトウェアを通じてアプリストアを提供し、又はスマートフォンの利用者が当該基本動作ソフトウェアを通じて他の事業者が提供するアプリストアを利用することを妨げること。
二 当該基本動作ソフトウェアにより制御される音声を出力する機能その他のスマートフォンの動作に係る機能であって、当該指定事業者が個別ソフトウェアの提供に利用するものについて、同等の性能で他の事業者が個別ソフトウェアの提供に利用することを妨げること。

(アプリストアに係る指定事業者の禁止行為)

第八条
指定事業者(アプリストアに係る指定を受けたものに限る。)は、その指定に係るアプリストアに関し、個別アプリ事業者に対し、次に掲げる行為を行ってはならない。ただし、第一号から第三号までに掲げる行為(同号の個別ソフトウェアがブラウザである場合を除く。)にあっては、当該アプリストアが組み込まれたスマートフォンについて、サイバーセキュリティの確保等のために必要な行為を行う場合であって、他の行為によってその目的を達成することが困難であるときは、この限りでない。
一 当該個別アプリ事業者がその提供する個別ソフトウェアを通じて商品又は役務を提供する場合においてスマートフォンの利用者による当該商品又は役務の対価の支払の用に供する前払式支払手段(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第三条第一項に規定する前払式支払手段をいう。)その他の支払手段(以下この号において単に「支払手段」という。)に関し、次に掲げる行為を行うこと。
イ 当該指定事業者(その子会社等を含む。以下この条において同じ。)が提供する支払管理役務(スマートフォンの利用者が個別ソフトウェアの作動中に支払手段を用いることができるようにする役務をいう。以下この号において同じ。)以外の支払管理役務を当該個別アプリ事業者が利用しないことを当該アプリストアを通じて個別ソフトウェアを提供する際の条件とすること。
ロ イに掲げるもののほか、当該指定事業者が提供する支払管理役務以外の支払管理役務を当該個別アプリ事業者が利用すること又は当該個別アプリ事業者が支払管理役務を利用せずにスマートフォンの利用者に対して支払手段を用いることができるようにすることを妨げること。
二 当該個別アプリ事業者がその提供する個別ソフトウェア(以下この号において「本個別ソフトウェア」という。)を通じて商品又は役務を提供し、これと同一の商品又は役務をウェブページ又は本個別ソフトウェア以外の個別ソフトウェア(以下この号において「関連ウェブページ等」という。)を通じて提供する場合(これに準ずるものとして政令で定める場合を含む。)において、次に掲げる行為を行うこと。
イ 関連ウェブページ等を通じて提供する商品又は役務の価格その他の情報について、本個別ソフトウェアの作動中に表示されないようにすることを当該アプリストアを通じて本個別ソフトウェアを提供する際の条件とすること(本個別ソフトウェアを経由して関連ウェブページ等を閲覧できる機能として公正取引委員会規則で定めるものの利用を拒み、又は制限する条件を付することを含む。)。
ロ イに掲げるもののほか、本個別ソフトウェアを利用するスマートフォンの利用者に対して関連ウェブページ等を通じて商品又は役務を提供することを妨げること。
三 当該個別アプリ事業者が提供する個別ソフトウェアの構成要素であるブラウザエンジン(ブラウザの一部を構成するソフトウェアであって、ウェブページに係る情報を閲覧することができる状態に処理するものをいう。以下この号において同じ。)について、次に掲げる行為を行うこと。
イ 当該指定事業者が提供するブラウザエンジンを当該個別ソフトウェアの構成要素とすることを当該アプリストアを通じて個別ソフトウェアを提供する際の条件とすること。
ロ イに掲げるもののほか、当該指定事業者が提供するブラウザエンジン以外のブラウザエンジンを当該個別ソフトウェアの構成要素とすることを妨げること。
四 当該個別アプリ事業者が提供する個別ソフトウェアに係る利用者確認(スマートフォンの利用者が個別ソフトウェアを利用する際に符号その他の情報により当該スマートフォンの利用者を他の者と区別して識別することをいう。)の方法について、当該指定事業者が提供するものを当該個別ソフトウェアの作動中に表示することを当該アプリストアを通じて個別ソフトウェアを提供する際の条件とすること。

(検索エンジンに係る指定事業者の禁止行為)

第九条
指定事業者(検索エンジンに係る指定を受けたものに限る。)は、その指定に係る検索エンジンを用いて提供する検索役務において、スマートフォンの利用者が検索により求める商品又は役務に係る情報を表示する際に、当該指定事業者(その子会社等を含む。)が提供する商品又は役務を、正当な理由がないのに、これと競争関係にある他の商品又は役務よりも優先的に取り扱ってはならない。

第二節 指定事業者の講ずべき措置

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(データの取得等の条件の開示に係る措置)

第十条
指定事業者は、その指定に係る次の各号に掲げる特定ソフトウェアについて、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該各号に定める措置を講じなければならない。
一 基本動作ソフトウェア 他の個別アプリ事業者による個別ソフトウェアの提供に係る当該基本動作ソフトウェアの利用に伴い当該指定事業者が取得する当該個別ソフトウェアの利用状況に係るデータ、当該個別ソフトウェアの作動状況に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータに関し、当該指定事業者による取得又は使用に関する条件(取得するデータの内容及びその管理体制を含む。以下この条において同じ。)及び当該他の個別アプリ事業者による取得に関する条件(取得の可否及び方法並びに取得できるデータの内容を含む。次号において同じ。)について、当該他の個別アプリ事業者に開示する措置
二 アプリストア 他の個別アプリ事業者による個別ソフトウェアの提供に係る当該アプリストアの利用に伴い当該指定事業者が取得する当該個別ソフトウェアの売上げに係るデータ、当該個別ソフトウェアの仕様に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータに関し、当該指定事業者による取得又は使用に関する条件及び当該他の個別アプリ事業者による取得に関する条件について、当該他の個別アプリ事業者に開示する措置
三 ブラウザ 他のウェブサイト事業者が提示するウェブページの当該ブラウザによる表示に伴い当該指定事業者が取得する当該ウェブページの閲覧履歴に係るデータ、当該ウェブページの作動状況に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータに関し、当該指定事業者による取得又は使用に関する条件及び当該他のウェブサイト事業者による取得に関する条件(取得の可否及び方法並びに取得できるデータの内容を含む。)について、当該他のウェブサイト事業者に開示する措置
2 指定事業者は、スマートフォンの利用者による前項各号に掲げる特定ソフトウェアの利用に伴い当該指定事業者が取得する当該利用の状況に係るデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータに関し、当該指定事業者による取得又は使用に関する条件について、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該利用者に開示する措置を講じなければならない。

(取得したデータの移転に係る措置)

第十一条
指定事業者は、その指定に係る次の各号に掲げる特定ソフトウェアについて、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該特定ソフトウェアが組み込まれたスマートフォンの利用者の求めに応じて、当該利用者又は当該利用者が指定する者に対して、当該各号に定めるデータを円滑に移転するために必要な措置を講じなければならない。
一 基本動作ソフトウェア 当該利用者による当該基本動作ソフトウェアの利用に伴い当該指定事業者が取得した当該利用者の連絡先に関するデータその他の公正取引委員会規則で定めるデータ
二 アプリストア 当該利用者による当該アプリストアの利用に伴い当該指定事業者が取得した当該利用者が購入した個別ソフトウェアに関する情報その他の公正取引委員会規則で定めるデータ
三 ブラウザ 当該利用者による当該ブラウザの利用に伴い当該指定事業者が取得した当該利用者がその閲覧の利便のために当該ブラウザに記録したウェブページの所在に関する情報その他の公正取引委員会規則で定めるデータ

(標準設定等に係る措置)

第十二条
指定事業者は、その指定に係る次の各号に掲げる特定ソフトウェアについて、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該各号に定める措置を講じなければならない。
一 基本動作ソフトウェア イからニまでに掲げる措置
イ 当該基本動作ソフトウェアに係る標準設定(基本動作ソフトウェアにより特定の個別ソフトウェアが自動的に選択され、起動する設定をいう。ロにおいて同じ。)について、当該指定事業者(その子会社等を含む。以下この条において同じ。)が提供する個別ソフトウェアが起動する場合には、スマートフォンの利用者が簡易な操作により当該標準設定を変更することができるようにするために必要な措置
ロ 個別ソフトウェアのうちスマートフォンの利用者の選択の機会が特に確保される必要があるものとして政令で定めるものについて、当該基本動作ソフトウェアに係る標準設定をすることができる同種の複数の個別ソフトウェアについての選択肢が表示されるようにすることその他のスマートフォンの利用者の選択に資する措置
ハ 当該指定事業者が提供する個別ソフトウェアについて、スマートフォンに追加的に組み込む場合において当該スマートフォンの利用者の同意を得るために必要な措置
ニ 当該指定事業者が提供する個別ソフトウェアについて、スマートフォンの利用者が簡易な操作によりそのスマートフォンから消去(スマートフォンの設定を操作する個別ソフトウェアその他のスマートフォンの動作に不可欠であり、かつ、他の事業者が技術的に提供できない個別ソフトウェアにあっては、当該個別ソフトウェアを起動させるための標章を表示しないことその他の消去に相当する操作)をすることができるようにするために必要な措置
二 ブラウザ イ及びロに掲げる措置
イ 当該ブラウザに係る標準設定(ブラウザにより特定の検索役務その他の役務が自動的に選択され、提供される設定をいう。ロにおいて同じ。)について、当該指定事業者による役務が提供される場合には、スマートフォンの利用者が簡易な操作により当該標準設定を変更することができるようにするために必要な措置
ロ 当該ブラウザに係る標準設定に係る役務のうちスマートフォンの利用者の選択の機会が特に確保される必要があるものとして政令で定めるものについて、当該ブラウザに係る標準設定をすることができる同種の複数の役務についての選択肢が表示されるようにすることその他のスマートフォンの利用者の選択に資する措置

(特定ソフトウェアの仕様等の変更等に係る措置)

第十三条
指定事業者は、その指定に係る次の各号に掲げる特定ソフトウェアについて、仕様の設定若しくは変更、利用に係る条件の設定若しくは変更又は利用の拒絶をするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、当該各号に定める事業者が当該措置に円滑に対応するための期間の確保、情報の開示、必要な体制の整備その他の必要な措置を講じなければならない。
一 基本動作ソフトウェア 当該基本動作ソフトウェアを利用する個別アプリ事業者及びウェブサイト事業者
二 アプリストア 当該アプリストアを利用する個別アプリ事業者
三 ブラウザ 当該ブラウザにより表示されるウェブページを提示するウェブサイト事業者

第三節 指定事業者による報告書の提出等

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第十四条
指定事業者は、毎年度、公正取引委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した報告書を作成し、公正取引委員会に提出しなければならない。
一 指定事業者の事業の概要に関する事項
二 第五条から前条までの規定を遵守するために講じた措置に関する事項
三 前二号に掲げるもののほか、この法律の規定の遵守の状況の確認のために必要な事項
2 公正取引委員会は、事業者の秘密を除いて、前項の報告書を公表しなければならない。

第四章 違反に対する措置等

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第一節 調査等

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(公正取引委員会に対する申出等)

第十五条
何人も、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、公正取引委員会に対し、その事実を報告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2 指定事業者は、前項の規定による報告及び求めをした者に対し、当該報告及び求めをしたことを理由として、特定ソフトウェアの利用の拒絶その他の不利益な取扱いをしてはならない。
3 第一項の規定による報告があったときは、公正取引委員会は、当該報告に係る事件について必要な調査をしなければならない。
4 第一項の規定による報告が、公正取引委員会規則で定めるところにより、書面で具体的な事実を摘示してされた場合において、当該報告に係る事件について、適当な措置をとり、又は措置をとらないこととしたときは、公正取引委員会は、速やかに、その旨を当該報告をした者に通知しなければならない。
5 公正取引委員会は、この法律の規定に違反する事実があると思料するときは、職権をもって適当な措置をとることができる。

(調査のための処分)

第十六条
公正取引委員会は、前章の規定に違反する行為に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
一 当該事件の関係人若しくは参考人に出頭を命じて審尋し、又はこれらの者から意見若しくは報告を徴すること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 帳簿書類その他の物件の所持者に対し、当該物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 当該事件の関係人の営業所その他必要な場所に立ち入り、業務及び財産の状況、帳簿書類その他の物件を検査すること。
2 公正取引委員会は、政令で定めるところにより、公正取引委員会の職員を審査官に指定し、前項の規定による処分をさせることができる。
3 前項の規定により職員に立入検査をさせる場合においては、これに身分を示す証明書を携帯させ、関係者に提示させなければならない。
4 第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(調書の作成)

第十七条
公正取引委員会は、前章の規定に違反する行為に係る事件について必要な調査をしたときは、その要旨を調書に記載し、かつ、特に前条第一項の規定による処分があったときは、処分をした年月日及びその結果を明らかにしておかなければならない。

第二節 排除措置命令等

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(排除措置命令)

第十八条
第五条から第九条までの規定に違反する行為があるときは、公正取引委員会は、指定事業者に対し、当該行為の差止め、事業の一部の譲渡その他これらの規定に違反する行為を排除するために必要な措置を命ずることができる。
2 公正取引委員会は、第五条から第九条までの規定に違反する行為が既になくなっている場合においても、特に必要があると認めるときは、次に掲げる者に対し、当該行為が既になくなっている旨の周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置を命ずることができる。ただし、当該行為がなくなった日から三年を経過したときは、この限りでない。
一 当該行為をした指定事業者
二 当該行為をした指定事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三 当該行為をした指定事業者が法人である場合において、当該法人から分割により当該行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四 当該行為をした指定事業者から当該行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた事業者

(課徴金納付命令)

第十九条
指定事業者が、第七条又は第八条(第一号及び第二号に係る部分に限る。)に違反する行為(以下この条から第二十一条までにおいて単に「違反行為」という。)をしたときは、公正取引委員会は、当該指定事業者に対し、当該違反行為に係る違反行為期間(次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める日から当該違反行為がなくなる日までの期間をいう。次項及び第二十一条第五項において同じ。)における、政令で定めるところにより算定した当該指定事業者及びその特定非違反供給子会社等(独占禁止法第二条の二第七項に規定する特定非違反供給子会社等をいう。次項において同じ。)が供給した当該違反行為に係る商品又は役務の売上額に、百分の二十を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
一 当該違反行為をした日が当該違反行為に係る事件についての調査開始日(第十六条第一項(第二号に係る部分を除く。)の規定による処分が最初に行われた日(当該処分が行われなかった場合にあっては、当該指定事業者が第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第六十二条第四項において読み替えて準用する独占禁止法第五十条第一項の規定による通知を受けた日)をいう。次号及び次条において同じ。)の十年前の日以後である場合 当該違反行為をした日
二 前号に掲げる場合以外の場合 当該違反行為に係る事件についての調査開始日の十年前の日
2 前項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)をする場合において、当該指定事業者が公正取引委員会又は当該違反行為に係る事件について第十六条第二項の規定により指定された審査官その他の当該違反行為に係る事件の調査に関する事務に従事する職員による当該違反行為に係る課徴金の計算の基礎となるべき事実に係る事実の報告又は資料の提出の求めに応じなかったときは、公正取引委員会は、当該指定事業者に係る違反行為期間のうち当該事実の報告又は資料の提出が行われず課徴金の計算の基礎となるべき事実を把握することができない期間における前項に規定する売上額を、当該指定事業者、その特定非違反供給子会社等又は当該違反行為に係る商品若しくは役務を供給する他の事業者若しくは当該商品若しくは役務の供給を受ける他の事業者から入手した資料その他の資料を用いて、公正取引委員会規則で定める合理的な方法により推計して、課徴金納付命令をすることができる。

(割増算定率)

第二十条
課徴金納付命令をする場合において、当該指定事業者が次の各号のいずれかに該当する者であるときは、前条第一項中「百分の二十」とあるのは、「百分の三十」とする。
一 当該違反行為に係る事件についての調査開始日から遡り十年以内に、課徴金納付命令を受けたことがある者(当該課徴金納付命令が確定している場合であって、かつ、当該課徴金納付命令の日以後において当該違反行為をしていた場合に限る。)
二 前号に該当する者を除き、当該違反行為に係る事件についての調査開始日から遡り十年以内に、その完全子会社(独占禁止法第二条の二第三項に規定する完全子会社をいう。以下この号において同じ。)が課徴金納付命令を受けたことがある者(当該課徴金納付命令の日において当該指定事業者の完全子会社である場合であって、かつ、当該課徴金納付命令の日以後において当該違反行為をしていた場合に限る。)
三 前二号に該当する者を除き、当該違反行為に係る事件についての調査開始日から遡り十年以内に課徴金納付命令を受けたことがある他の事業者である法人と合併した事業者である法人又は当該他の事業者である法人から当該課徴金納付命令に係る違反行為に係る事業の全部若しくは一部を譲り受け、若しくは分割により当該事業の全部若しくは一部を承継した事業者である法人(当該合併、譲受け又は分割の日以後において当該違反行為をしていた場合に限る。)

(課徴金の納付義務)

第二十一条
課徴金納付命令を受けた者は、前二条の規定により計算した課徴金を納付しなければならない。
2 前二条の規定により計算した課徴金の額に一万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
3 違反行為をした指定事業者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときは、当該法人がした違反行為及び当該法人が受けた課徴金納付命令は、合併後存続し、又は合併により設立された法人がした違反行為及び当該合併後存続し、又は合併により設立された法人が受けた課徴金納付命令とみなして、第十九条からこの条までの規定を適用する。
4 違反行為をした指定事業者が法人である場合において、当該法人がその一若しくは二以上の子会社等に対して当該違反行為に係る事業の全部を譲渡し、又は当該法人(会社である場合に限る。)がその一若しくは二以上の子会社等に対して分割により当該違反行為に係る事業の全部を承継させ、かつ、合併以外の事由により消滅したときは、当該法人がした違反行為及び当該法人が受けた課徴金納付命令は、当該事業の全部若しくは一部を譲り受け、又は分割により当該事業の全部若しくは一部を承継した子会社等(以下この項において「特定事業承継子会社等」という。)がした違反行為及び当該特定事業承継子会社等が受けた課徴金納付命令とみなして、第十九条からこの条までの規定を適用する。この場合において、当該特定事業承継子会社等が二以上あるときは、第十九条第一項中「当該指定事業者に対し」とあるのは「特定事業承継子会社等(第二十一条第四項に規定する特定事業承継子会社等をいう。以下この項及び同条第一項において同じ。)に対し、この項の規定による命令を受けた他の特定事業承継子会社等と連帯して」と、第一項中「受けた者は」とあるのは「受けた特定事業承継子会社等は、課徴金納付命令を受けた他の特定事業承継子会社等と連帯して」とする。
5 違反行為期間の終了した日から三年を経過したときは、公正取引委員会は、当該違反行為に係る課徴金納付命令をすることができない。

(確約手続に係る通知)

第二十二条
公正取引委員会は、第五条から第九条までの規定に違反する事実があると思料する場合において、その疑いの理由となった行為について、公正かつ自由な競争の促進を図る上で必要があると認めるときは、当該行為をしている者に対し、次に掲げる事項を書面により通知することができる。ただし、第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第五十条第一項(第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第六十二条第四項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による通知をした後は、この限りでない。
一 当該行為の概要
二 違反する疑いのある法令の条項
三 次条第一項の規定による認定の申請をすることができる旨

(排除措置計画に係る認定の申請等)

第二十三条
前条の規定による通知を受けた者は、疑いの理由となった行為を排除するために必要な措置を自ら策定し、実施しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、その実施しようとする措置(以下この条から第二十五条までにおいて「排除措置」という。)に関する計画(以下この条及び第二十五条第一項第一号において「排除措置計画」という。)を作成し、これを当該通知を受けた日から六十日以内に公正取引委員会に提出して、その認定を申請することができる。
2 排除措置計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 排除措置の内容
二 排除措置の実施期限
三 その他公正取引委員会規則で定める事項
3 公正取引委員会は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その排除措置計画が次の各号のいずれにも適合すると認めるときは、その認定をするものとする。
一 排除措置が疑いの理由となった行為を排除するために十分なものであること。
二 排除措置が確実に実施されると見込まれるものであること。
4 前項の認定は、文書によって行い、認定書には、委員長及び第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第六十五条第一項の規定による合議に出席した委員がこれに記名押印しなければならない。
5 第三項の認定は、その名宛人に認定書の謄本を送達することによって、その効力を生ずる。
6 公正取引委員会は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その排除措置計画が第三項各号のいずれかに適合しないと認めるときは、決定でこれを却下しなければならない。
7 第四項及び第五項の規定は、前項の規定による決定について準用する。この場合において、第四項及び第五項中「認定書」とあるのは、「決定書」と読み替えるものとする。
8 第三項の認定を受けた者は、当該認定に係る排除措置計画を変更しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、公正取引委員会の認定を受けなければならない。
9 第三項から第七項までの規定は、前項の規定による変更の認定について準用する。

(排除措置計画に係る認定の効果)

第二十四条
第十八条及び第十九条第一項の規定は、公正取引委員会が前条第三項の認定(同条第八項の規定による変更の認定を含む。次条第一項及び第三項において同じ。)をした場合において、当該認定に係る疑いの理由となった行為及び排除措置に係る行為については、適用しない。ただし、次条第一項の規定による決定があった場合は、この限りでない。

(排除措置計画に係る認定の取消し)

第二十五条
公正取引委員会は、次の各号のいずれかに該当するときは、決定で、第二十三条第三項の認定を取り消さなければならない。
一 当該認定を受けた排除措置計画に従って排除措置が実施されていないと認めるとき。
二 当該認定を受けた者が虚偽又は不正の事実に基づいて当該認定を受けたことが判明したとき。
2 第二十三条第四項及び第五項の規定は、前項の規定による決定について準用する。この場合において、同条第四項及び第五項中「認定書」とあるのは、「決定書」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定による第二十三条第三項の認定の取消しがあった場合において、当該取消しが第十八条第二項ただし書に規定する期間の満了する日の一年前の日以後にあったときは、当該認定に係る疑いの理由となった行為に対する同項の規定による命令は、同項ただし書の規定にかかわらず、当該取消しの決定の日から一年間においても、することができる。
4 前項の規定は、課徴金納付命令について準用する。この場合において、同項中「第十八条第二項ただし書」とあるのは「第二十一条第五項」と、「同項ただし書」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。

(既往の行為に対する確約手続に係る通知)

第二十六条
公正取引委員会は、第五条から第九条までの規定に違反する疑いの理由となった行為が既になくなっている場合においても、公正かつ自由な競争の促進を図る上で特に必要があると認めるときは、第一号に掲げる者に対し、第二号に掲げる事項を書面により通知することができる。ただし、第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第五十条第一項(第四十二条において読み替えて準用する独占禁止法第六十二条第四項において読み替えて準用する場合を含む。)の規定による通知をした後は、この限りでない。
一 次に掲げる者
イ 疑いの理由となった行為をした者
ロ 疑いの理由となった行為をした者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
ハ 疑いの理由となった行為をした者が法人である場合において、当該法人から分割により当該行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
ニ 疑いの理由となった行為をした者から当該行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者
二 次に掲げる事項
イ 疑いの理由となった行為の概要
ロ 違反する疑いのあった法令の条項
ハ 次条第一項の規定による認定の申請をすることができる旨

(排除確保措置計画に係る認定の申請等)

第二十七条
前条の規定による通知を受けた者は、疑いの理由となった行為が排除されたことを確保するために必要な措置を自ら策定し、実施しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、その実施しようとする措置(以下この条から第二十九条までにおいて「排除確保措置」という。)に関する計画(以下この条及び第二十九条第一項第一号において「排除確保措置計画」という。)を作成し、これを当該通知を受けた日から六十日以内に公正取引委員会に提出して、その認定を申請することができる。
2 排除確保措置計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 排除確保措置の内容
二 排除確保措置の実施期限
三 その他公正取引委員会規則で定める事項
3 公正取引委員会は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その排除確保措置計画が次の各号のいずれにも適合すると認めるときは、その認定をするものとする。
一 排除確保措置が疑いの理由となった行為が排除されたことを確保するために十分なものであること。
二 排除確保措置が確実に実施されると見込まれるものであること。
4 第二十三条第四項及び第五項の規定は、前項の規定による認定について準用する。
5 公正取引委員会は、第一項の規定による認定の申請があった場合において、その排除確保措置計画が第三項各号のいずれかに適合しないと認めるときは、決定でこれを却下しなければならない。
6 第二十三条第四項及び第五項の規定は、前項の規定による決定について準用する。この場合において、同条第四項及び第五項中「認定書」とあるのは、「決定書」と読み替えるものとする。
7 第三項の認定を受けた者は、当該認定に係る排除確保措置計画を変更しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、公正取引委員会の認定を受けなければならない。
8 第三項から第六項までの規定は、前項の規定による変更の認定について準用する。

(排除確保措置計画に係る認定の効果)

第二十八条
第十八条及び第十九条第一項の規定は、公正取引委員会が前条第三項の認定(同条第七項の規定による変更の認定を含む。次条第一項及び第三項において同じ。)をした場合において、当該認定に係る疑いの理由となった行為及び排除確保措置に係る行為については、適用しない。ただし、次条第一項の規定による決定があった場合は、この限りでない。

(排除確保措置計画に係る認定の取消し)

第二十九条
公正取引委員会は、次の各号のいずれかに該当するときは、決定で、第二十七条第三項の認定を取り消さなければならない。
一 当該認定を受けた排除確保措置計画に従って排除確保措置が実施されていないと認めるとき。
二 当該認定を受けた者が虚偽又は不正の事実に基づいて当該認定を受けたことが判明したとき。
2 第二十三条第四項及び第五項の規定は、前項の規定による決定について準用する。この場合において、同条第四項及び第五項中「認定書」とあるのは、「決定書」と読み替えるものとする。
3 第一項の規定による第二十七条第三項の認定の取消しがあった場合において、当該取消しが第十八条第二項ただし書に規定する期間の満了する日の一年前の日以後にあったときは、当該認定に係る疑いの理由となった行為に対する同項の規定による命令は、同項ただし書の規定にかかわらず、当該取消しの決定の日から一年間においても、することができる。
4 前項の規定は、課徴金納付命令について準用する。この場合において、同項中「第十八条第二項ただし書」とあるのは「第二十一条第五項」と、「同項ただし書」とあるのは「同項」と読み替えるものとする。

(勧告及び命令)

第三十条
公正取引委員会は、指定事業者が前章第二節又は第十五条第二項の規定に違反したと認めるときは、当該指定事業者に対し、速やかにその違反に係る行為をやめるべきこと、同節に規定する措置を講ずべきことその他必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
2 公正取引委員会は、前項の規定による勧告を受けた指定事業者が、正当な理由がなく、当該勧告に係る措置を講じなかったときは、当該勧告を受けた者に対し、当該勧告に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。

第五章 差止請求、損害賠償等

編集

(差止請求権)

第三十一条
第五条から第九条までの規定に違反する行為によってその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する指定事業者又は侵害するおそれがある指定事業者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

(無過失損害賠償責任)

第三十二条
第五条から第九条までの規定に違反する行為をした指定事業者は、被害者に対し、損害賠償の責めに任ずる。
2 指定事業者は、故意又は過失がなかったことを証明して、前項に規定する責任を免れることができない。
3 第一項の規定による損害賠償の請求権は、排除措置命令(第十八条第一項又は第二項の規定による命令をいう。以下同じ。)(排除措置命令がされなかった場合にあっては、課徴金納付命令)が確定した後でなければ、裁判上主張することができない。
4 前項の請求権は、排除措置命令(排除措置命令がされなかった場合にあっては、課徴金納付命令)が確定した日から三年を経過したときは、時効によって消滅する。

(不正の目的による提訴に対する担保の提供)

第三十三条
第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、被告の申立てにより、決定で、相当の担保を立てるべきことを原告に命ずることができる。
2 前項の申立てをするには、同項の訴えの提起が不正の利益を得る目的、他人に損害を加える目的その他の不正の目的によるものであることを疎明しなければならない。

(公正取引委員会への通知等)

第三十四条
裁判所は、第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えが提起されたときは、その旨を公正取引委員会に通知するものとする。
2 裁判所は、前項の訴えが提起されたときは、公正取引委員会に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を求めることができる。
3 公正取引委員会は、第一項の訴えが提起されたときは、裁判所の許可を得て、裁判所に対し、当該事件に関するこの法律の適用その他の必要な事項について、意見を述べることができる。

(書類の提出等)

第三十五条
裁判所は、第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟においては、当事者の申立てにより、当事者に対し、当該侵害行為について立証するため必要な書類又は電磁的記録の提出を命ずることができる。ただし、その書類の所持者又はその電磁的記録を利用する権限を有する者においてその提出を拒むことについて正当な理由があるときは、この限りでない。
2 裁判所は、前項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかの判断をするため必要があると認めるときは、書類の所持者又は電磁的記録を利用する権限を有する者にその提示をさせることができる。この場合においては、何人も、その提示された書類又は電磁的記録の開示を求めることができない。
3 裁判所は、前項の場合において、第一項ただし書に規定する正当な理由があるかどうかについて前項後段の書類又は電磁的記録を開示してその意見を聴くことが必要であると認めるときは、当事者等(当事者(法人である場合にあっては、その代表者)又は当事者の代理人(訴訟代理人及び補佐人を除く。)、使用人その他の従業者をいう。次条第一項において同じ。)、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該書類又は電磁的記録を開示することができる。
4 前三項の規定は、第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟における当該侵害行為について立証するため必要な検証の目的の提示について準用する。

(秘密保持命令)

第三十六条
裁判所は、第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴訟において、その当事者が保有する営業秘密(不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第二条第六項に規定する営業秘密をいう。以下この条及び次条第五項において同じ。)について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当することにつき疎明があった場合には、当事者の申立てにより、決定で、当事者等、訴訟代理人又は補佐人に対し、当該営業秘密を当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用し、又は当該営業秘密に係るこの項の規定による命令を受けた者以外の者に開示してはならない旨を命ずることができる。ただし、その申立ての時までに当事者等、訴訟代理人又は補佐人が第一号に規定する準備書面の閲読又は同号に規定する証拠の取調べ若しくは開示以外の方法により当該営業秘密を取得し、又は保有していた場合は、この限りでない。
一 既に提出され、若しくは提出されるべき準備書面に当事者の保有する営業秘密が記載され、又は既に取り調べられ、若しくは取り調べられるべき証拠(前条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定により開示された書類若しくは電磁的記録又は検証の目的を含む。)の内容に当事者の保有する営業秘密が含まれること。
二 前号の営業秘密が当該訴訟の追行の目的以外の目的で使用され、又は当該営業秘密が開示されることにより、当該営業秘密に基づく当事者の事業活動に支障を生ずるおそれがあり、これを防止するため当該営業秘密の使用又は開示を制限する必要があること。
2 前項の規定による命令(以下「秘密保持命令」という。)の申立ては、次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 秘密保持命令を受けるべき者
二 秘密保持命令の対象となるべき営業秘密を特定するに足りる事実
三 前項各号に掲げる事由に該当する事実
3 秘密保持命令が発せられた場合には、その電子決定書(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された同法第三条の七第三項に規定する電磁的記録(同法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定により裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されたものに限る。)をいう。次項及び次条第二項において同じ。)を秘密保持命令を受けた者に送達しなければならない。
4 秘密保持命令は、秘密保持命令を受けた者に対する電子決定書の送達がされた時から、効力を生ずる。
5 秘密保持命令の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

(秘密保持命令の取消し)

第三十七条
秘密保持命令の申立てをした者又は秘密保持命令を受けた者は、訴訟記録の存する裁判所(訴訟記録の存する裁判所がない場合にあっては、秘密保持命令を発した裁判所)に対し、前条第一項に規定する要件を欠くこと又はこれを欠くに至ったことを理由として、秘密保持命令の取消しの申立てをすることができる。
2 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判があった場合には、その電子決定書をその申立てをした者及び相手方に送達しなければならない。
3 秘密保持命令の取消しの申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
4 秘密保持命令を取り消す裁判は、確定しなければその効力を生じない。
5 裁判所は、秘密保持命令を取り消す裁判をした場合において、秘密保持命令の取消しの申立てをした者又は相手方以外に当該秘密保持命令が発せられた訴訟において当該営業秘密に係る秘密保持命令を受けている者があるときは、その者に対し、直ちに、秘密保持命令を取り消す裁判をした旨を通知しなければならない。

(訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)

第三十八条
秘密保持命令が発せられた訴訟(全ての秘密保持命令が取り消された訴訟を除く。)に係る訴訟記録につき、民事訴訟法第九十二条第一項の決定があった場合において、当事者から同項に規定する秘密記載部分の閲覧等の請求があり、かつ、その請求の手続を行った者が当該訴訟において秘密保持命令を受けていない者であるときは、裁判所書記官は、同項の申立てをした当事者(その請求をした者を除く。第三項において同じ。)に対し、その請求後直ちに、その請求があった旨を通知しなければならない。
2 前項の場合において、裁判所書記官は、同項の請求があった日から二週間を経過する日までの間(その請求の手続を行った者に対する秘密保持命令の申立てがその日までにされた場合にあっては、その申立てについての裁判が確定するまでの間)、その請求の手続を行った者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせてはならない。
3 前二項の規定は、第一項の請求をした者に同項の秘密記載部分の閲覧等をさせることについて民事訴訟法第九十二条第一項の申立てをした当事者の全ての同意があるときは、適用しない。

(損害賠償請求訴訟等における公正取引委員会の意見)

第三十九条
第三十二条第一項の規定による損害賠償に関する訴えが提起されたときは、裁判所は、公正取引委員会に対し、同項に規定する違反行為によって生じた損害の額について、意見を求めることができる。
2 前項の規定は、第三十二条第一項の規定による損害賠償の請求が相殺のために裁判上主張された場合について準用する。

(緊急停止命令)

第四十条
裁判所は、緊急の必要があると認めるときは、公正取引委員会の申立てにより、第五条から第九条までの規定に違反する疑いのある行為をしている者に対し、当該行為を一時停止すべきことを命じ、又はその命令を取り消し、若しくは変更することができる。
2 前項の規定による裁判は、非訟事件手続法(平成二十三年法律第五十一号)により行う。

(供託による緊急停止命令の執行の免除等)

第四十一条
前条第一項の規定による裁判については、裁判所の定める保証金又は有価証券(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二百七十八条第一項に規定する振替債を含む。次項において同じ。)を供託して、その執行を免れることができる。
2 前項の規定により供託をした場合において、前条第一項の規定による裁判が確定したときは、裁判所は、公正取引委員会の申立てにより、供託に係る保証金又は有価証券の全部又は一部を没取することができる。
3 前条第二項の規定は、前二項の規定による裁判について準用する。

第六章 雑則

編集

(独占禁止法の準用)

第四十二条
独占禁止法第四十三条、第四十三条の二、第四十九条から第六十二条まで、第六十五条第一項及び第二項、第六十六条、第六十八条から第七十条まで、第七十条の三第三項及び第四項、第七十条の六から第七十条の九まで、第七十五条から第七十七条まで並びに第八十四条の二から第八十八条までの規定は、この法律に基づく公正取引委員会の職務及び訴訟に関する手続について準用する。この場合において、次の表の上欄に掲げる独占禁止法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句に読み替えるものとする。
第四十九条 第七条第一項若しくは第二項(第八条の二第二項及び第二十条第二項において準用する場合を含む。)、第八条の二第一項若しくは第三項、第十七条の二又は第二十条第一項 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第十八条第一項又は第二項
第五十四条第一項 第四十七条第二項 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第十六条第二項
第六十二条第一項 第七条の二第一項(第八条の三において読み替えて準用する場合を含む。)、第七条の九第一項若しくは第二項又は第二十条の二から第二十条の六までの規定による命令(以下「納付命令」という。) スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第十九条第一項の規定による命令(以下「課徴金納付命令」という。)
第六十二条第二項 納付命令は 課徴金納付命令は
第六十二条第四項 納付命令 課徴金納付命令
第六十五条第一項 納付命令、競争回復措置命令、第四十八条の三第三項の認定及び第四十八条の七第三項の認定並びにこの節の規定による決定(第七十条第二項に規定する支払決定を除く。以下同じ。) 課徴金納付命令、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三条第一項の規定による指定、同法第四条第二項及び第三項の決定、同法第二十三条第三項の認定(同条第八項の規定による変更の認定を含む。)、同条第六項の決定、同法第二十五条第一項の決定、同法第二十七条第三項の認定(同条第七項の規定による変更の認定を含む。)、同条第五項の決定、同法第二十九条第一項の決定、同法第三十条第二項の規定による命令並びに同法第四十二条において読み替えて準用する第七十条の三第三項の決定(以下「命令等」という。)
第六十八条第一項 第四十八条の三第三項の認定 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第二十三条第三項の認定(同条第八項の規定による変更の認定を含む。)
第四十七条 同法第十六条
第四十八条の五第一項各号 同法第二十五条第一項各号
第六十八条第二項 第四十八条の七第三項の認定 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第二十七条第三項の認定(同条第七項の規定による変更の認定を含む。)
第四十七条 同法第十六条
第四十八条の九第一項各号 同法第二十九条第一項各号
第六十八条第三項 競争回復措置命令が確定した スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十条第二項の規定による命令をした
第四十七条 同法第十六条
第七十条第一項 第七条の八第四項(第七条の九第三項若しくは第四項又は第二十条の七において読み替えて準用する場合を含む。) スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第二十一条第四項
第七条の二第一項、第七条の九第一項若しくは第二項又は第二十条の二から第二十条の六までの規定による課徴金の納付を命じた 課徴金納付命令をした
これらの規定による納付命令 課徴金納付命令
とき(第六十三条第五項に規定する場合を除く。) とき
第七十条の三第三項 排除措置命令又は競争回復措置命令 排除措置命令
第七十五条 第四十七条第一項第一号若しくは第二号又は第二項 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第十六条第一項第一号若しくは第二号又は第二項
第七十六条第一項 事件の処理手続及び届出、認可又は承認の申請 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三章の規定に違反する行為に係る事件の処理手続及び届出、報告
第七十六条第二項 排除措置命令、納付命令、競争回復措置命令、第四十八条の三第三項の認定及び第四十八条の七第三項の認定並びに前節の規定による決定(以下「排除措置命令等」という。) 命令等
第七十七条 排除措置命令等 命令等
第八十四条の二 第二十四条 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十一条
第八十四条の三 第八十九条から第九十一条まで スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第五十条
第八十五条第一号 排除措置命令等 命令等
第八十五条第二号 第七十条の四第一項、第七十条の五第一項及び第二項、第九十七条並びに第九十八条 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第四十条第一項、第四十一条第一項及び第二項、第五十六条並びに第五十七条
第八十五条の二 第二十五条 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十二条第一項
第八十七条の二 第二十四条 スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十一条
第八十八条 排除措置命令等 命令等

(関係行政機関の意見の聴取)

第四十三条
公正取引委員会は、第七条ただし書又は第八条ただし書の規定の適用に関し必要があると認めるときは、内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣又はこども家庭庁長官その他の関係行政機関の長に対し、意見を求めることができる。
2 前項に定めるもののほか、公正取引委員会は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、意見を求めることができる。
3 内閣総理大臣、総務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣及びこども家庭庁長官その他の関係行政機関の長は、第七条ただし書及び第八条ただし書の規定の適用について、公正取引委員会に対して意見を述べることができる。
4 前項に定めるもののほか、関係行政機関の長は、この法律の施行に関し、公共の利益を保護するため、公正取引委員会に対して意見を述べることができる。

(行政手続法の適用除外)

第四十四条
公正取引委員会がする第十六条第一項の規定による処分(同条第二項の規定によって審査官がする処分を含む。)、排除措置命令、課徴金納付命令、第二十三条第一項又は第二十七条第一項の規定による申請に係る処分及び第四十二条において準用する独占禁止法の規定による処分(当該規定によって指定職員(同条において準用する独占禁止法第五十三条第一項に規定する指定職員をいう。次条において同じ。)がする処分を含む。)については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章及び第三章の規定は、適用しない。

(審査請求の制限)

第四十五条
公正取引委員会がこの法律に基づいてした処分(第十六条第二項の規定による審査官の処分及び第四十二条において準用する独占禁止法の規定による指定職員の処分を含む。)又はその不作為については、審査請求をすることができない。

(指針の公表)

第四十六条
公正取引委員会は、第三章第一節及び第二節に定める事項に関して、指定事業者が適切に対処するために必要な指針を公表するものとする。

(政令への委任)

第四十七条
この法律に定めるものを除くほか、公正取引委員会の調査に関する手続その他第三章の規定に違反する行為に係る事件の処理及び第四十一条第一項の供託に関し必要な事項は、政令で定める。

(政令又は規則の改廃における経過措置)

第四十八条
この法律に基づき、政令又は公正取引委員会規則を制定し、又は改廃する場合においては、その政令又は公正取引委員会規則で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

第七章 罰則

編集
第四十九条
秘密保持命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
第五十条
排除措置命令が確定した後においてこれに違反したときは、当該違反行為をした者は、二年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第五十一条
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第十六条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定による当該事件の関係人又は参考人に対する処分(同条第二項の規定によって審査官がする処分を含む。)に違反して出頭せず、陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、又は報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたとき。
二 第十六条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定による鑑定人に対する処分(同条第二項の規定によって審査官がする処分を含む。)に違反して出頭せず、鑑定をせず、又は虚偽の鑑定をしたとき。
三 第十六条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定による物件の所持者に対する処分(同条第二項の規定によって審査官がする処分を含む。)に違反して物件を提出しないとき。
四 第十六条第一項(第四号に係る部分に限る。)の規定による検査(同条第二項の規定によって審査官がする検査を含む。)を拒み、妨げ、又は忌避したとき。
第五十二条
第三十条第二項の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、百万円以下の罰金に処する。
第五十三条
次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第三条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
二 第十四条第一項の規定による報告書を提出せず、又は報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして報告書を提出したとき。
第五十四条
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第四十九条第一項の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して三億円以下の罰金刑を、その人に対して同項の罰金刑を科する。
2 法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項及び次条において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、当該各号に定める罰金刑を科する。
一 第五十条 三億円以下の罰金刑
二 第五十一条 二億円以下の罰金刑
三 第五十二条又は前条 各本条の罰金刑
3 第一項の規定により第四十九条第一項の違反行為につき法人又は人に罰金刑を科する場合における時効の期間は、同項の罪についての時効の期間による。
4 第二項の規定により法人でない団体を処罰する場合には、その代表者又は管理人がその訴訟行為につきその団体を代表するほか、法人を被告人又は被疑者とする場合の訴訟行為に関する刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。
第五十五条
第五十条の違反があった場合においては、その違反の計画を知り、その防止に必要な措置を講ぜず、又はその違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかった当該法人の代表者に対しても、同条の罰金刑を科する。
第五十六条
排除措置命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。ただし、その行為につき刑を科するべきときは、この限りでない。
第五十七条
第四十条第一項の規定による裁判に違反した者は、三十万円以下の過料に処する。
第五十八条
第五十条の場合において、裁判所は、情状により、刑の言渡しと同時に、次に掲げる宣告をすることができる。ただし、第一号に掲げる宣告をするのは、その特許権又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権が、犯人に属している場合に限る。
一 違反行為に供せられた特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権は取り消されるべき旨
二 判決確定後六月以上三年以下の期間、政府との間に契約をすることができない旨
2 前項第一号に掲げる宣告をした判決が確定したときは、裁判所は、判決の謄本を特許庁長官に送付しなければならない。
3 前項の規定による判決の謄本の送付があったときは、特許庁長官は、その特許権の特許又は特許発明の専用実施権若しくは通常実施権を取り消さなければならない。

附 則 抄

編集

(施行期日)

第一条
この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 附則第五条、第六条及び第八条の規定 公布の日
二 第二条(第九項及び第十項を除く。)、第二章、第四十二条(同章に係る部分に限る。)、第四十三条、第四十五条、第四十七条、第四十八条、第五十三条(第一号に係る部分に限る。)並びに第五十四条第二項(第三号に係る部分(第五十三条第一号に係る部分に限る。)に限る。)及び第四項の規定 公布の日から起算して六月を経過した日

(検討)

第二条
政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の規定の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(調整規定)

第三条
この法律の施行の日(附則第六条において「施行日」という。)が民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和四年法律第四十八号)の施行の日(以下この条及び附則第六条において「民訴法等一部改正法施行日」という。)前である場合には、民訴法等一部改正法施行日の前日までの間における第三十五条第一項から第三項まで及び第三十六条第一項第一号の規定の適用については、第三十五条第一項から第三項までの規定中「書類又は電磁的記録」とあり、及び第三十六条第一項第一号中「書類若しくは電磁的記録」とあるのは「書類」と、第三十五条第一項中「所持者又はその電磁的記録を利用する権限を有する者」とあり、及び同条第二項中「所持者又は電磁的記録を利用する権限を有する者」とあるのは「所持者」とする。
2 前項に規定する場合における民訴法等一部改正法施行日前に提起された第三十一条の規定による侵害の停止又は予防に関する訴えについての第三十六条第三項及び第四項、第三十七条第二項並びに第三十八条第一項の規定の適用については、第三十六条第三項中「電子決定書(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第百二十二条において準用する同法第二百五十二条第一項の規定により作成された同法第三条の七第三項に規定する電磁的記録(同法第百二十二条において準用する同法第二百五十三条第二項の規定により裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されたものに限る。)をいう。次項及び次条第二項において同じ。)」とあり、並びに同条第四項及び第三十七条第二項中「電子決定書」とあるのは「決定書」と、第三十八条第一項中「民事訴訟法」とあるのは「民事訴訟法(平成八年法律第百九号)」とする。

(民事訴訟費用等に関する法律及び民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部改正)

第四条
次に掲げる法律の規定中「第八十二条第一項の規定による申立て」の下に「、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)第三十六条第一項若しくは第三十七条第一項の規定による申立て」を加える。
一 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)別表第一の一七の項ホ
二 民事関係手続等における情報通信技術の活用等の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和五年法律第五十三号)第八十八条のうち民事訴訟費用等に関する法律別表第一の改正規定

(民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正)

第五条
民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部を次のように改正する。
第四条のうち民事訴訟費用等に関する法律別表第一の次に一表を加える改正規定中「第八十二条第一項の規定による申立て」の下に「、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十六条第一項若しくは第三十七条第一項の規定による申立て」を加える。

(民事訴訟法等の一部を改正する法律の一部改正に伴う調整規定)

第六条
民訴法等一部改正法施行日が施行日前である場合には、施行日の前日までの間における民事訴訟費用等に関する法律別表第二の一三の項ハの規定の適用については、同項ハ中「申立て、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律第三十六条第一項若しくは第三十七条第一項の規定による申立て」とあるのは、「申立て」とする。

(デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律の一部改正)

第七条
デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和五年法律第六十三号)の一部を次のように改正する。
附則第二条第一号中「第十条」の下に「又はスマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(令和六年法律第五十八号)第四十二条」を加える。

(政令への委任)

第八条
この附則に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。


 

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