スポーツ振興法


第一章 総則

(目的)
第一条
 この法律は、スポーツの振興に関する施策の基本を明らかにし、もつて国民の心身の健全な発達と明るく豊かな国民生活の形成に寄与することを目的とする。

 この法律の運用に当たつては、スポーツをすることを国民に強制し、又はスポーツを前項の目的以外の目的のために利用することがあつてはならない。

(定義)
第二条
 この法律において「スポーツ」とは、運動競技及び身体運動(キャンプ活動その他の野外活動を含む。)であつて、心身の健全な発達を図るためにされるものをいう。

(施策の方針)
第三条
 国及び地方公共団体は、スポーツの振興に関する施策の実施に当たつては、国民の間において行なわれるスポーツに関する自発的な活動に協力しつつ、ひろく国民があらゆる機会とあらゆる場所において自主的にその適性及び健康状態に応じてスポーツをすることができるような諸条件の整備に努めなければならない。

 この法律に規定するスポーツの振興に関する施策は、営利のためのスポーツを振興するためのものではない。

(計画の策定)
第四条
 文部科学大臣は、スポーツの振興に関する基本的計画を定めるものとする。

 文部科学大臣は、前項も基本的計画を定めるについては、あらかじめ、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。第二十三条において同じ。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。

 都道府県及び市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、第一項の基本的計画を参しやくして、その地方の実情に即したスポーツの振興に関する計画を定めるものとする。

 都道府県及び第十八条第二項の審議会その他の合議制の機関が置かれている市町村の教育委員会は、前項の計画を定めるについては、あらかじめ、同条第三項に規定するスポーツ振興審議会等の意見を聴かなければならない。

第二章 スポーツの振興のための措置

(体育の日の行事)
第五条
 国及び地方公共団体は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条に規定する体育の日において、国民の間にひろくスポーツについての理解と関心を深め、かつ、積極的にスポーツをする意欲を高揚するような行事を実施するとともに、この日において、ひろく国民があらゆる地域及び職域でそれぞれその生活の実情に即してスポーツをすることができるような行事が実施されるよう、必要な措置を講じ、及び援助を行なうものとする。

(国民体育大会)
第六条
 国民体育大会は、財団法人日本体育協会、国及び開催地の都道府県が共同して開催する。

 国民体育大会においては、都道府県ごとに選出された選手が参加して総合的に運動競技をするものとする。

 国は、国民体育大会の円滑な運営に資するため、財団法人日本体育協会及び開催地の都道府県に対し、必要な援助を行なうものとする。

(スポーツ行事の実施及び奨励)
第七条
 地方公共団体は、ひろく住民が自主的かつ積極的に参加できるような運動会、競技会、運動能力テスト、スポーツ教室等のスポーツ行事を実施するように努め、かつ、団体その他の者がこれらの行事を実施するよう奨励しなければならない。

 国は、地方公共団体に対し、前項の行事の実施に関し必要な援助を行なうものとする。

(青少年スポーツの振興)
第八条
 国及び地方公共団体は、青少年スポーツの振興に関し特別の配慮をしなければならない。

(職場スポーツの奨励)
第九条
 国及び地方公共団体は、勤労者が勤労の余暇を利用して積極的にスポーツをすることができるようにするため、職場スポーツの奨励に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(野外活動の普及奨励)
第十条
 国及び地方公共団体は、心身の健全な発達のために行なわれる徒歩旅行、自転車旅行、キャンプ活動その他の野外活動を普及奨励するため、コースの設定、キャンプ場の開設その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(指導者の充実)
第十一条
  国及び地方公共団体は、スポーツの指導者の養成及びその資質の向上のため、講習会、研究集会等の開催その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(施設の整備)
第十二条
 国及び地方公共団体は、体育館、水泳プールその他政令で定めるスポーツ施設(スポーツの設備を含む。以下同じ。)が政令で定める基準に達するよう、その整備に努めなければならない。

(学校施設の利用)
第十三条
 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第二条第二項に規定する国立学校及び公立学校の設置者は、その設置する学校の教育に支障のない限り、当該学校のスポーツ施設を一般のスポーツのための利用に供するよう努めなければならない。

 国及び地方公共団体は、前項の利用を容易にさせるため、当該学校の施設(設備を含む。)の補修等に関し適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

(スポーツの水準の向上のための措置)
第十四条
 国及び地方公共団体は、わが国のスポーツの水準を国際的に高いものにするため、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 国は、前項に定める措置のうち、財団法人日本オリンピック委員会が行う国際的な規模のスポーツの振興のための事業に関する措置を講ずるに当たつては、財団法人日本オリンピック委員会との緊密な連絡に努めるものとする。

(顕彰)
第十五条
 国及び地方公共団体は、スポーツの優秀な成績を収めた者及びスポーツの振興に寄与した者の顕彰に努めなければならない。

(スポーツ事故の防止)
第十六条
 国及び地方公共団体は、登山事故、水泳事故その他のスポーツ事故を防止するため、施設の整備、指導者の養成、事故防止に関する知識の普及その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

(プロスポーツの選手の競技技術の活用)
第十六条の二
 国及び地方公共団体は、スポーツの振興のための措置を講ずるに当たつては、プロスポーツの選手の高度な競技技術が我が国におけるスポーツに関する競技水準の向上及びスポーツの普及に重要な役割を果たしていることにかんがみ、その活用について適切な配慮をするよう努めなければならない。

(科学的研究の促進)
第十七条
 国は、医学、生理学、心理学、力学その他の諸科学を総合して、スポーツに関する実際的、基礎的研究を促進するよう努めるものとする。

第三章 スポーツ振興審議会等及び体育指導委員

(スポーツ振興審議会等)
第十八条
 都道府県に、スポーツの振興に関する審議会その他の合議制の機関を置くものとする。

 市町村に、スポーツの振興に関する審議会その他の合議制の機関を置くことができる。

 前二項の審議会その他の合議制の機関(以下「スポーツ振興審議会等」という。)は、第四条第四項に規定するもののほか、都道府県の教育委員会若しくは知事又は市町村の教育委員会に建議する。

 スポーツ振興審議会等の委員は、スポーツに関する学識経験のある者及び関係行政機関の職員の中から、教育委員会が任命する。この場合において、都道府県の教育委員会は知事の、市町村の教育委員会はその長の意見を聴かなければならない。

 第一項から前項までに定めるもののほか、スポーツ振興審議会等の委員の定数、任期その他スポーツ振興審議会等に関し必要な事項については、条例で定める。

(体育指導委員)
第十九条
 市町村の教育委員会は、社会的信望があり、スポーツに関する深い関心と理解を持ち、及び次項に規定する職務を行うのに必要な熱意と能力を持つ者の中から、体育指導委員を委嘱するものとする。

 体育指導委員は、教育委員会規則の定めるところにより、当該市町村におけるスポーツの振興のため、住民に対し、スポーツの実技の指導その他スポーツに関する指導、助言を行なうものとする。

 体育指導委員は、非常勤とする。

第四章 国の補助等

(国の補助)
第二十条
 国は、地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次の各号に掲げる経費について、その一部を補助する。この場合において、国の補助する割合は、それぞれ当該各号に掲げる割合によるものとする。

 地方公共団体の設置する学校の水泳プールその他の政令で定めるスポーツ施設の整備に要する経費 三分の一
 地方公共団体の設置する一般の利用に供するための体育館、水泳プールその他の政令で定めるスポーツ施設の整備に要する経費 三分の一

 国は、地方公共団体に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、次の各号に掲げる経費について、その一部を補助する。

 国民体育大会の運営に要する経費であつてその開催地の都道府県において要するもの
 その他スポーツの振興のために地方公共団体が行なう事業に要する経費であつて特に必要と認められるもの

 国は、学校法人に対し、その設置する学校のスポーツ施設の整備に要する経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。この場合においては、私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条までの規定の適用があるものとする。

 国は、スポーツの振興のための事業を行なうことを主たる目的とする団体であつて当該事業がわが国のスポーツの振興に重要な意義を有すると認められるものに対し、当該事業に関し必要な経費について、予算の範囲内において、その一部を補助することができる。

(他の法律との関係)
第二十一条
 前条第一項から第三項までの規定は、他の法律の規定に基づき国が負担し、又は補助する経費については、適用しない。

(地方公共団体の補助)
第二十二条
 地方公共団体は、スポーツの振興のための事業を行なうことを主たる目的とする団体に対し、当該事業に関し必要な経費についてその一部を補助することができる。

(審議会への諮問等)
第二十三条
 国又は地方公共団体が第二十条第四項又は前条の規定により団体に対し補助金を交付しようとする場合には、あらかじめ、国にあつては文部科学大臣が第四条第二項の政令で定める審議会等の、地方公共団体にあつては教育委員会がスポーツ振興審議会等の意見を聴かなければならない。この意見を聴いた場合においては、社会教育法(昭和二十四年法律第二百七号)第十三条の規定による意見を聴くことを要しない。

附則 抄

(施行期日)
 この法律中第四条第四項及び第十八条の規定、第二十三条の規定(地方公共団体に係る部分に限る。)並びに附則第七項の規定は昭和三十七年四月一日から、その他の規定は公布の日から起算して三箇月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。

(体育指導委員の設置に関する経過措置)
 第十九条の規定の施行の際、現に同条第二項に規定するような職務を行なう者として市町村に置かれている者は、別に辞令を発せられないときは、同条の規定による体育指導委員として市町村の教育委員会が任命したものとみなす。

(国の無利子貸付け等)
 国は、当分の間、地方公共団体に対し、第二十条第一項の規定により国がその経費について補助する同項第一号又は第二号に掲げるスポーツ施設の整備で日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号。次項において「社会資本整備特別措置法」という。)第二条第一項第二号に該当するものに要する費用に充てる資金について、予算の範囲内において、第二十条第一項の規定(この規定による国の補助の割合について、この規定と異なる定めをした法令の規定がある場合には、当該異なる定めをした法令の規定を含む。附則第八項において同じ。)により国が補助する金額に相当する金額を無利子で貸し付けることができる。

 国は、当分の間、地方公共団体に対し、前項の規定による場合のほか、当該地方公共団体の設置する学校のスポーツ施設又は一般の利用に供するためのスポーツ施設の整備で社会資本整備特別措置法第二条第一項第二号に該当するものに要する費用に充てる資金の一部を、予算の範囲内において、無利子で貸し付けることができる。

 前二項の国の貸付金の償還期間は、五年(二年以内の据置期間を含む。)以内で政令で定める期間とする。

 前項に定めるもののほか、附則第四項及び第五項の規定による貸付金の償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は、政令で定める。

 国は、附則第四項の規定により地方公共団体に対し貸付けを行つた場合には、当該貸付けの対象であるスポーツ施設の整備に係る第二十条第一項の規定による国の補助については、当該貸付金の償還時において、当該貸付金の償還金に相当する金額を交付することにより行うものとする。

 国は、附則第五項の規定により地方公共団体に対し貸付けを行つた場合には、当該貸付けの対象である当該地方公共団体の設置する学校のスポーツ施設又は一般の利用に供するためのスポーツ施設の整備について、当該貸付金に相当する金額の補助を行うものとし、当該補助については、当該貸付金の償還時において、当該貸付金の償還金に相当する金額を交付することにより行うものとする。

10 地方公共団体が、附則第四項又は第五項の規定による貸付けを受けた無利子貸付金について、附則第六項及び第七項の規定に基づき定められる償還期限を繰り上げて償還を行つた場合(政令で定める場合を除く。)における前二項の規定の適用については、当該償還は、当該償還期限の到来時に行われたものとみなす。

 

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