コリント後書 (ラゲ訳)

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

コリント後書

第1章

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1かみ思召おぼしめしによりてイエズス、キリストの使徒しとたるパウロ、およ兄弟きやうだいチモテオ、コリントにかみ敎會けうくわいならびにアカヤぜん地方ちはう聖徒せいと一同いちどうに[書簡しよかんおくる]。 2ねがはくはわがちちにてましまかみおよしゆイエズス、キリストより、恩寵おんちよう平安へいあんとをなんぢたまはらんことを。 3しゆくすべきかな我主わがしゆキリスト、イエズスのかみおよちち慈悲じひちちもろもろなぐさめかみすなは4わが一切いつさい患難くわんなんおいわれなぐさたまへるは、われをして、おのかみよりなぐさめらるるなぐさめもつて、またみづか一切いつさいなんせまれる人々ひとびとなぐさむることしめたまはんとなり。 5けだしキリストのためくるしみわれあふるるがごとく、われなぐさめまたキリストをもつあふるるなり。 6そもそもわれ苦難くなんへるもなんぢ慰安なぐさめ救靈たすかりとのためなぐさめらるるもなんぢなぐさめためにして、なんぢにもわれしのべるごとくるしみしのことしむるなり。 7かくなんぢくるしみともにするがごとく、またなぐさめをもともにせんことれば、われなんぢたいする希望きぼうかたし。 8けだし兄弟等きやうだいたちよ、われが[せう]アジアにおいひし困難こんなんきて、なんぢらざるをこのまず、すなはめらるること過度くわどにして、ちからおよばず、くるのぞみをすらうしなふにいたりしかば、 9こころうちにはすとの返答へんたふちたりき。これおのれたのまずして、死者ししや復活ふくくわつせしめたまふかみたのみたてまつらんためなり。 10すなはさきかかよりわれすくたまひていますくたまへば、なほすくたまふべきこと信賴しんらいするなり。 11これまたなんぢわれためいのりてたすくるにる、けだしおほくのひとねがひによりてわれたまはるめぐみを、おほくのひともつわれため感謝かんしやせられんとてなり。 12われほこりとするところは、すなは世中よのなかことなんぢたいしてしよするに質直すなほなるこころかみたまへる眞實しんじつとをもつてし、また肉的にくてき智惠ちゑらずかみ恩寵おんちようりてせるを、わが良心りやうしんしようすることこれなり。 13けだしわれ書遣かきおくるはなんぢところところほかならず、 14なんぢすでほぼわれりたれば、またしゆイエズス、キリストのおいわれなんぢ名譽めいよなるがごとく、なんぢわれ名譽めいよなることを、をはりまでらんこと希望きぼうす。 15かか希望きぼうもとふたた恩寵おんちようさせんとて、われさきなんぢいたり、 16なんぢてマケドニアにき、マケドニアよりさらまたなんぢいたり、なんぢよりユデアへおくられんとこころざししが、 17こころざしたればとて、われあに輕々かろがろしくせしものならんや、またさだむることをばにくりてさだめ、われおいしかりとひ、またしからずとふがごとことあらんや。 18かみ眞實しんじつましまして、なんぢうちかたりしところには、しかしからずとことなきをしようたまふ。 19けだしわれもつて、すなはわれとシルヴァノとチモテオとをもつて、なんぢうちべられたまひしかみ御子おんこイエズス、キリストにおいては、しかしからずとことなく、ただしかりとことあるのみ。 20すなはちかみおん約束やくそくかれおいことごとしかりとなりたれば、われかれもつかみむかひてその光榮くわうえいためにアメンととなふるなり。 21なんぢともわれをキリストにおい堅固けんごならしめ、かつわれ注油ちゆうゆたまひしものはかみにてまします。 22しかしなほわれしようしるたまひ、保證ほしようとしてれいわれこころたまひしなり。 23われたましひけて、かみびて證者しようしやとしたてまつる、すなはさらなんぢいたらざりしは、なんぢ宥恕いうじよするゆゑなり。 24われなんぢ信仰しんかうせんとするものあらずして、なんぢよろこび協力けふりよくしやなり、なんぢ信仰しんかうりててばなり。

第2章

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1われこころうちに、ふたたかなしみもつなんぢいたらじとさだめたり、 2けだしわれもしなんぢかなしましめば、かなしましむる其者そのものならでたれわれよろこばしめんや。 3さきなんぢ書遣かきおくりしも、いたらんときわれよろこばすべきはず人々ひとびとりて、かえつかなしみかなしみかさぬることなからんためにして、わがよろこびなんぢ一同いちどうよろこびなりと、なんぢ一同いちどうきてしんずるゆゑなり。 4けだしわれおほいなる患難くわんなん心痛しんつうとにより、おほくのなみだもつなんぢ書遣かきおくれり、これなんぢかなしましめんとにはあらず、なんぢたいするわがいつくしみことふかきをらしめんためなりき。 5もしかなしましめたるひとあらば、われ[のみ]をかなしましめたるにあらずして、幾許いくばくなんぢ一同いちどうかなしましめたるなり、われはげしくめじとてふ。 6ひとおほくのひとよりけたる譴責けんせきにて事足ことたりれり。 7なんぢむしろこれ宥恕いうじよかつなぐさめよ、おそらくはそのひとがたかなしみにしづむべければ、 8われなんぢかれたいして、いよいよあいくはへんことこひねがふ。 9さき書遣かきおくりしもこれためにして、なんぢ萬事ばんじしたがへるやいなやをこころみらんとてなりき。 10そもそもなんぢ何事なにごとをかひとゆるしたらばわれしかせん、ゆるしたることあるもなんぢたいしてキリストの御前みまへゆるしたるなり。 11われサタンのはかりごとらざるにあらざれば、これ籠絡ろうらくせられざらんためなり。 12さてわれキリストの福音ふくいんためトロアデ[まち]にいたりしに、しゆわれもんひらたまひたれど、 13われわが兄弟きやうだいチトにはざるによりて心安こころやすからず、わかれ彼等かれらげてマケドニアに出發しゆつぱつせり。 14われをして何時いつもキリスト、イエズスによりてかちさせ、かつわれもつかれことかをり何處いづこにもあらはたまへるかみ感謝かんしやたてまつる。 15けだしすくはるるひとにもほろぶるひとにも、われかみおんためキリストのかうばしきかをりなり、 16あるひとにはかをりにしていたらしむれど、あるひとにはせいかをりにしてせいいたらしむ。しかも、たれこれにんへたるものぞ。 17けだしわれおほくのひとごとくにかみ御言おんことば僞造ぎざうせず、眞實しんじつままかみよりづるごとく、かみ御前みまへにキリストにおいかたる。

第3章

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1われまたおのれてんとするか、はたある人々ひとびとごとく、なんぢたいして、もしくはなんぢより、添書てんしよえうするものなるか、 2なんぢこそわれこころかきしるされたるわれ書簡しよかんにして、萬民ばんみんられかつまるるなれ。 3なんぢあきらかに、われりてみとめられたるキリストの書簡しよかんにして、しかすみもつてせずいきたまへかみれいもつてし、また石碑せきひうへならでこころにくうへきたるものなり。 4われキリストにりてかくごとかみ御前みまへ確信かくしんす、 5これ何事なにごとかをおのれよりおもるにはあらず、われるはかみによれり。 6すなはかみわれ新約しんやく相當そうたうなる役者えきしやとならしめたまへり、ぶん役者えきしやあられい役者えきしやなり、けだしぶんころれいかしたまふ。 7イスラエルの、モイゼのかほをはりある光榮くわうえいために、そのかほ熟視みつざりしほどに、えきすら文字もんじにていし刻銘きざみつけられ、光榮くわうえいうちりたれば、 8れいえきあに一層ひとしほ光榮くわうえいあらざらんや。 9けだしつみさだむるえき光榮くわうえいなれば、いはんさだむるえきなほゆたか光榮くわうえいあるべきをや。 10かのときかがやきしは、すぐれたる光榮くわうえいたいしては光榮くわうえいならず、 11けだしをはるべきものすら光榮くわうえいもつりたれば、いはん永存えいそんすべきものはまさりて光榮くわうえいあるべきをや。 12ればわれかか希望きぼういだけるうへに、はばからずものいひて、 13モイゼのごとくにはざるなり。かれをはるべきそのえきをはりをイスラエルのせざらんためおのかほおほひきたり。 14かく彼等かれら精神せいしんにぶりて、今日こんにちいたるまで、舊約きうやくむにそのおほひ依然いぜんとしてとりのぞかれず。けだし舊約きうやくはキリストにおいをはるものなれども、 15今日こんにちいたるまでモイゼのしよときに、おほひ彼等かれらこころうへかれたり。 16れどしゆたちかへらんときそのおほひとりのぞかるべし。 17しゆかのれいなり、しゆれいあるところには自由じいうあり、 18われみな素顏すがほにてしゆ光榮くわうえいかがみうつすがごとたてまつりて、光榮くわうえいより光榮くわうえいすすみ、しゆおなすがたくわす、これしゆれいりてなるがごとし。

第4章

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1このゆゑわれは、おん慈悲じひかうむりたるによりてせいえきいうするものなれば、よわことなく、 2はじかくところて、狡猾かうくわつ擧動ふるまことず、またかみ御言おんことば僞造ぎざうせずして眞理しんりあらはし、かみ御前みまへすべてのひと良心りやうしんうつたへておのれつるなり。 3もしわれ福音ふくいんにしてなほおほひもつつつまれたりとせば、ほろぶる人々ひとびとたいしてつつまれたるなり。 4すなは彼等かれらおいて、世間せけんかみ信者しんじやこころくらまし、かみすがたましませるキリストの光榮くわうえい福音ふくいんひかりを、彼等かれらうへかがやかしめじとせるなり。 5けだしわれおのことべず、我主わがしゆイエズス、キリストのことべて、イエズス、キリストのためおのれなんぢしもべとなす。 6けだしめいじてひかりやみよりかがやかしめたまひしかみは、キリスト、イエズスの御顏みかほかみ光榮くわうえい知識ちしきかがやかしめんために、みづかわれこころらしたまへり。 7しかれどもわれこのたから土器どきうちてるなり、これちから偉大ゐだいなるところは、われらずしてかみるべきゆゑなり。 8われ萬事ばんじ患難くわんなんくれども苦惱くなうせず、窮迫きうはくきはまれども失望しつぼうせず、 9迫害はくがいくれどもてられず、たふさるれどもほろびず、 10何時いつもイエズスのわがぶ、これイエズスの生命せいめいまたわれおいあらはれんためなり。 11すなはわれけるものなれども、つねにイエズスのためわたさる、これイエズスの生命せいめいが、またすべきわが肉身にくしんおいあらはれんためなり。 12ればわれうちはたらき、生命せいめいなんぢうちはたらくなり。 13しかるに信仰しんかうおなれいいうすれば、かきしるして、「われしんじたるがゆゑかたりしなり」とあるがごとく、われまたしんずるがゆゑかたる、 14イエズスを復活ふくくわつせしめたまひしものが、われをもイエズスととも復活ふくくわつせしめ、なんぢともたしめたまふべしとればなり。 15けだし萬事ばんじなんぢためにして、これ恩寵おんちようゆたかに、かみ光榮くわうえいとしていよいよおほくのひと感謝かんしやゆたかならしめんためなり。 16ゆゑわれ沮喪そさうせず、われ外面ぐわいめんひと腐敗ふはいすれども、内面ないめんひとかえつ日々ひびあらたなり。 17われみじかかろ現在げんざい患難くわんなんが、われ永遠えいゑん重大ぢゆうだいにして無比むひなる光榮くわうえい準備じゆんびすればなり。 18われかへりみるはゆるものにあらずしてえざるものなり、ゆるものはこのかぎれどえざるものは永遠えいゑんなればなり。

第5章

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1けだしわれは、幕屋まくやなる地上ちじやう住處すみかやぶるれば、ひとらずしてかみよりたまはれる住處すみか永遠えいゑんいへわれためてんことる。 2すなはわれはこの住處すみかりてなげきつつ、このままにしててんよりの住處すみかうへせられんことこひねがふ。 3これすでたるものにしてはだかにて見出みいだされずばまことしかあるべし。 4けだしわれこの幕屋まくやりて、壓迫あつぱくかうむりてなげくは、これがるるをこのまず、かえつこのうへせられ、すべき部分ぶぶんただち生命せいめいのみれられんことほつすればなり。 5これためわれつくたまへるものすなはかみましまし、これ保證ほしようとして[せい]れいわれたまひたるなり。 6ればわれ何時いつおくすることなく、この肉體にくたいあひだしゆはなれて流浪るらうするものなることりて、 7げんすがた信仰しんかうもつあゆものなれば、 8えておくすることなく、むしろ肉體にくたいはなれてしゆはべらんことほつす。 9れば肉體にくたいるもこれはなるるも御意みこころかなはんことつとむむ、 10われみなキリストの法廷はふていおいあらはれ、あるひぜんあるひあくおのおの肉體にくたいりてししところむくいらるべければなり。 11かくごとく、われしゆおそたてまつるべきことしりて人々ひとびとすすむ。われあきらかかみられたれば、なんぢ良心りやうしんにもあきらかられたるべきことしんず。 12われまたなんぢまへおのれつるものあらず、ただわれもつほこりとなす機會きくわいなんぢあたへんとす、これこころにならでおもてほこれる人々ひとびとこたふることさせんためなり。 13すなはわれうかるるもかみためおのこと謙遜けんそんかたるもまたなんぢためなり。 14けだしキリストのいつくしみわれせまれり、われおもへらく、すべてのひとため一人ひとりたまひしなれば、これすべてのひとしたるなり。 15またキリストが(すべてのひとために)たまひしは、けるひとをして最早もはやおのためきず、むしろおのれためかつ復活ふくくわつたまひしものためきしめんとてなり。 16ゆゑいまよりのちわれひと肉身にくしんによりてらず、かつてはキリストを肉身にくしんによりてりたりとも、いま最早もはやかくごとくにしてるにあらず。 17ひともしキリストにれば、あらたつくられたるものとなりて、ふるところすで過去すぎさり、何事なにごとあらたになりたるなり。 18これことみなかみよりづ、すなはかみはキリストをもつわれおのれ和睦わぼくせしめ、かつ和睦わぼくつとめわれさづたまへり。 19けだしかみはキリストのうちましましておのれ和睦わぼくせしめ、また人々ひとびとそのつみはせず、われゆだぬるに和睦わぼくことばもつてしたまへり。 20ればわれはキリストのため使節しせつたり、あたかかみわれもつなんぢすすたまふにひとし。キリストにかはりてこひねがふ、かみ和睦わぼくたてまつれ。 21つみたまはざるものわれためつみ見做みなたまひしは、われがキリストにおいかみとせられんためなり。

第6章

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1われは[キリストの]助手じよしゆとして、なんぢかみ恩寵おんちよういたづらけざらんことすすむ、 2けだしのたまはく、「われときなんぢねがひすくひなんぢたすけたり」と。いまこそはときなれ、いまこそはすくひなれ。 3われせいえきそしられざらんためたれこころをもそこなはず、 4かえつ萬事ばんじおいおのれかみ役者えきしやとしてあらはす。すなはおほいなる堪忍かんにんもつて、患難くわんなんにも、困窮こんきうにも、苦惱くなうにも、 5負傷ふしようするも、監獄かんごくるも、騷亂さうらんにも、勞働らうどうにも、徹夜てつやにも、斷食だんじきにも。 6貞潔ていけつ學識がくしきと、耐忍たいにん溫良をんりやうと、聖靈せいれい[の好果かうくわ]といつはりなきあいと、 7眞理しんりことばかみおんちからと、左右さいうもて武器ぶきとをもつて、 8また尊榮そんえい耻辱ちじよく惡評あくひやう好評かうひやうとをもつて、ひとまどはすものごとくにしてしか眞實しんじつに、られざるがごとくにしてしかひとられ、 9するにしかくることかくごとく、こらさるるにしかころされず、 10うれふるがごとくなるもつねよろこび、とぼしきがごとくなるもおほくのひとましめ、いうするところなきがごとくにして一切いつさいいうし、[もつかみ役者えきしやとしておのれあらはすなり]。 11嗚呼ああコリントじんよ、われくちなんぢひらき、われこころひろくなれり、 12なんぢわれうちせばめらるるにはあらず、なんぢはらわたこそせばきなれ。 13われわがふがごとくにかたらん、われひとしくむくいんためなんぢひらかれよ。 14なんぢ信者しんじやくびきおなじうすることなかれ、けだし不義ふぎなんあづかところかあらん、ひかりやみなんくみするところかあらん、 15キリストとベリアルとなんやくするところかあらん、信者しんじや信者しんじやなんかかはところかあらん、 16神殿しんでん偶像ぐうざうなん一致いつちするところかあらん、かみのたまへるごとく、なんぢけるかみの[しん]殿でんなり、いはく、「われ彼等かれらうちみ、彼等かれらあひだあゆまんとす、しかしてわれ彼等かれらかみとなり、彼等かれらわがたみとなるべし」、 17また、「しゆのたまはく、ればなんぢ彼等かれらうちよりでてこれはなれよ、不潔ふけつなるものにふることなかれ、 18かくわれなんぢけてなんぢちちとなり、なんぢわが子女しぢよとならん、と全能ぜんのうかみのたまへり」と。

第7章

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1ればわが至愛しあいなるものよ、われこのおん約束やくそくおのれ靈肉れいにくすべてのけがれよりきよめ、かみおそたてまつりてせいとなることまつたうすべし。 2われ承容うけいれよ、われたれをもがいせず、たれをもそこなはず、たれをもかすめしことなし。 3かくごとふはなんぢとがめんとにはあらず、生死せいしともにすべくなんぢわれこころりとはすでひたるところなればなり。 4われなんぢ信用しんようすることおほいにして、なんぢもつほこりとすることおほいなり。われ一切いつさい患難くわんなんうちおいて、われなぐさめ滿よろこびへず。 5けだしマケドニアにいたりしときわれ肉身にくしんいささかやすことなく、一切いつさい患難くわんなんひ、そとにはあらそひうちにはおそれありき。 6れどへりくだ人々ひとびとなぐさたまかみは、チトの來着らいちやくりてわれなぐさたまへり。 7ただその來着らいちやくりてのみならず、なほかれなんぢうちなぐさめられしなぐさめもつてせり。すなはなんぢわれしたことそのなげきその熱心ねつしんわれげしかば、わがよろこびさらおほいなりき。 8けだしわれ書簡しよかんもつなんぢかなしましめたれども、これ後悔こうくわいせず、假令たとひその書簡しよかんしばしにてもなんぢかなしましめしを後悔こうくわいしたることありとも、 9いまよろこべり。これなんぢかなしみしゆゑあらず、かなしみて改心かいしんするにいたりたるゆゑなり。なんぢかなしみしはかみしたがひしものなれば、われより何等なんら損害そんがいをもけざるなり。 10けだしかみしたがひてのかなしみは、くいなき救靈たすかりいたるべき改心かいしんしやうじ、世間せけんかなしみしやうず。 11なんぢかみしたがひてかなしみしは、如何いかばかりの奮發ふんぱつしか弁駁べんばくしか憤激ふんげきしか恐怖きようふしか愛慕あいぼしか熱心ねつしんしかつみむることなんぢうちしやうじたるかを。なんぢ萬事ばんじうへこのけんきてけがれまざることあらはせり。 12ればなんぢ書遣かきおくりしは、がいししひとためあらず、がいけしひとためにもあらず、われなんぢたいしてかみ御前みまへてる奮發ふんぱつあらはさんためなり。 13かくわれなぐさめなぐさめたるうへなほチトのよろこびによりて一層ひとしほよろこべり。かれ精神せいしんなんぢ一同いちどうりてやすんぜられたればなり。 14われかつかれまへなんぢもつほこりとせしもはじとするところなく、われなんぢかたりしところみなまことなりしごとく、チトのまへほこりしことまたまこととなれり。 15かれなんぢ一同いちどう從順じゆうじゆんおそれおののきつつおのれ歡迎くわんげいしたるさまとをおもひいだして、そのはらわたなんぢむかへることさらふかし、 16われ萬事ばんじにつけてなんぢ信用しんようするをよろこぶ。

第8章

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1兄弟等きやうだいたちよ、われマケドニア[こく]のしよ敎會けうくわいたまはりたるかみ恩寵おんちようなんぢぐ、 2すなは彼等かれらおびただしき患難くわんなんためしひたれども、そのよろこびあふれ、そのはなはだしき貧窮ひんきうは、ゆたかそのをしみなきこころざしとみあらはせり。 3彼等かれらちからおうじて、いなわれ彼等かれらため保證ほしようす、ちから以上いじやうこころよほどこせり。 4すなはしきり聖徒せいとたちたいする醵金きよきんあづかめぐみもとめて、 5われ希望きぼう以外いぐわいにもまたみづから、まづおのれしゆまかせ、つぎかみ思召おぼしめしによりてわれにもまかせたり。 6ればわれチトにのぞみて、すでこの慈善じぜん事業じげふはじめたれば、なんぢうちにもまたこれ爲遂なしとげんことねがへり。 7ゆゑなんぢ信仰しんかうに、言語げんごに、學識がくしきに、すべての奮發ふんぱつに、またわれたいするあいに、一切いつさいおいめるがごとく、この慈善じぜんにもものとなれかし。 8われこれめいずるがごとくにははず、他人たにん奮發ふんぱつもつなんぢあい眞實しんじつこころみんとす。 9けだしなんぢわがしゆイエズス、キリストの恩寵おんちようれり、すなはめるものにてましましながら、おのまづしきをもつなんぢましめんとて、なんぢためまづしきものとなりたまひしなり。 10これきてわれ勸告くわんこくす、この慈善じぜんなんぢえきあり、けだしなんぢさきこれはじめしのみならず、一ねんまへよりこころざしたることなれば、 11いま實際じつさいこれ爲遂しとげよ、これこころざしはやかりしごとく、所有物もちものおうじて爲遂なしとぐることまたはやからんためなり。 12假令たとひこころざことはやくとも嘉納かなふせらるるはたざるものにらずしててるものにればなり。 13これ他人たにんゆるやかにしてなんぢくるしめんとするにあらず、平均へいきんためなり。 14げんなんぢあまところは、彼等かれら缺乏けつぼうおぎなはざるべからず、しからば彼等かれらあまところまたなんぢ缺乏けつぼうおぎなひて、平均へいきんするにいたるべし。かきしるして、 15おほたりしひとあまことなく、すくなたりしひとらざることなかりき」、とあるがごとし。 16かみ感謝かんしやす、チトのこころにもなんぢたいしておな奮發ふんぱつたまひたるによりて、 17かれすすめれしのみならず、奮發ふんぱつこころなほふかくして、すすみてなんぢもと出立しゆつたつせり。 18われまたかれとも一人ひとり兄弟きやうだいつかはしたるが、このひと福音ふくいんきてしよ敎會けうくわいあまねほまれある 19のみならず、しゆ光榮くわうえいためまたわれこころざしあらはさんためおこなへる慈善じぜんきて、しよ敎會けうくわいよりわれたびともとせられたるなり。すなはわれ注意ちゆういして、 20多額たがく醵金きよきん取扱とりあつかふに、ひととがめられざらんとす。 21かみ御前みまへのみならず、ひとまへにもからんことをおもんぱかればなり。 22なほ彼等かれらともまた一人ひとり兄弟きやうだいつかはしたるが、われその奮發ふんぱつおほくのこときてしばしばみとめたるのみならず、いまおほいになんぢ信用しんようするにりてその奮發ふんぱつしんさらいちじるしきをみとむ。 23ればともたりなんぢたいする協力けふりよくしやたるチトにおいても、しよ敎會けうくわい使つかひたりキリストの名譽めいよたるわれ兄弟等きやうだいたちおいても、 24なんぢあいと、われなんぢきてほこれることとのしるししよ敎會けうくわい面前めんぜんあらはせ。

第9章

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1聖徒せいとたちためにせらるる醵金きよきんきては、われなんぢ書遣かきおくるにおよばず、 2なんぢこころざしおもむけるをればなり。これによりてわれ、アカヤ[しう]は昨年さくねんよりすで準備じゆんびせりとて、マケドニアじんまへなんぢもつほこりす、かくなんぢ奮發ふんぱつおびただしき人々ひとびとはげましたるなり。 3しかるを兄弟等きやうだいたちつかはしたるは、かつなんぢきてほこことこのてんおいむなしからず、すでへるごと準備じゆんびらんためなり。 4もしマケドニアじんわれともいたりて、なんぢ準備じゆんびいまだらざるをば、このてんおいて、なんぢふにおよばず、おそらくはわれ赤面せきめんするならん。 5ゆゑわが兄弟等きやうだいたちひて、さきだちてなんぢいたり、すで約束やくそくせられし醵金きよきんを、をしむがごとくにせずめぐむがごとくにして、あらかじそなへかしめんこと必要ひつえうおもへり。 6ここおいわれふ、をしみてすくなひとまたすくなり、ゆたかひとまたゆたからん。 7おのおのこころけつせしごとく、をしまず、むをざるにでずしてほどこすべし、かみよろこびてあたふるひとよみたまへばなり。 8そもそもかみすべての恩寵おんちようなんぢうちあふれしめ、なんぢをして何時いつ萬事ばんじ十分じふぶんならざるところなく、すべての善業ぜんげふゆたかならしむることをたまふ、 9かきしるして、「[義人ぎじん]まきらして貧人ひんじんあたへたり、その世々よよそんす」、とあるがごとし。 10ひとたねたまものしよくすべきぱんをもたまひ、なんぢたねふやし、かつなんぢむすたまふべし。 11かくなんぢ萬事ばんじみ、すべこころよほどこすをもつて、ひとわれきてかみ感謝かんしやたてまつるにいたらん。 12けだしこの祭務さいむおこなふは、聖徒せいとたち缺乏けつぼうおぎなのみならず、なほまたしゆたいしておほくの感謝かんしやゆたかならしむるなり。 13すなは聖徒せいとたちこのつとめ證據しようことして、なんぢがキリストの福音ふくいんたいしてあらはところ服從ふくじゆうおよ彼等かれらにもすべてのひとにもこころよほどこせることきて、かみ光榮くわうえいたてまつらん。 14またかみなんぢたまひしすぐれたる恩寵おんちようき、なんぢしたひてなんぢためいのらん。 15言盡いいつくがたおんたまものきてかみ感謝かんしやたてまつるべし。

第10章

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1面前めんぜんときなんぢうちへりくだりて、らざるときなんぢたいしてあへ大膽だいたんなるわれパウロ、みづからキリストの柔和にうわ謙遜けんそんとをもつなんぢこひねがふ。 2ある人々ひとびとわれあたかにくしたがひてあゆむがごとおもふがゆゑに、なんぢねがところは、其處そこりておもはるる大膽だいたんもつあへ人々ひとびとむかはざらんことこれなり。 3けだしわれにくおいあゆむといへども、にくしたがひてたたかふにはあらず。 4すなはわれたたかひ武器ぶき肉的にくてきあらずして、城塞じやうさいやぶるほどかみによりてつよきなり。これもつ謀計はかりごとと、 5かみ智識ちしきさからひてたかぶ計畧けいりやく堡壘はうるゐとをことごとくづし、すべての理性りせいとりこにしてキリストに服從ふくじゆうせしむ。 6またなんぢ服從ふくじゆう完全くわんぜんになりたらんとき一切いつさい悖逆はいぎやくばつせんとす。 7外面ぐわいめんことよ、ひとみづからキリストのものなりとおもはば、またかへりみてみづからキリストのものとなるがごとく、われまたしかりとかんがふべし。 8けだし假令たとひわれ權力けんりよくすなはしゆなんぢやぶためならでつるために、われたまひたる權力けんりよくきていよいよほこるとも、われ赤面せきめんせざるべし。 9ただしわれ書簡しよかんもつなんぢおどすとおもはれざらんため、 {{Verse|10|10:――すなは彼等かれらふ、その書簡しよかんこそきびしくかつつよけれ、面前まのあたりにはよわ談話だんわつたなしと、―― 11かくごとひとわれらざるとき書簡しよかんによりてかたるがごとく、ときまた實際じつさいしかりと覺悟かくごせざるべからず。 12けだしおのれつる人々ひとびとには、われならまたくらぶることあへてせず、彼等かれらおのれもつおのれはかり、おのれおのれくらべてさとらざるものなり。 13われ度外どぐわいほこらず、かみわれはかりてたまひたる分界ぶんかいはかりによりてほこる、そのはかりなんぢにまでおよべることすなはこれなり。 14なんぢまでとどかざるもののごとく、はかりえてばしたるにあらずして、まことにキリストの福音ふくいんもつなんぢおよびたればなり。 15われ他人たにんはたらきもつ度外どぐわいほこらず、ただなんぢ信仰しんかう彌增いやますにしたがひて、おの分界ぶんかいおうじてなんぢうちますますおほいならんこと希望きぼうし、 16またすで準備じゆんびせられたる他人たにん分界ぶんかいほこらずして、なほなんぢえてにも福音ふくいんべんこと希望きぼうす。 17ほこひとよろしくしゆによりてほこるべし、 18よしとせらるるものは、おのれつるひとあらずして、しゆたまところひとなればなり。

第11章

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1こひねがはくはなんぢおろかなるところいささか容赦ようしやせんことを、またわれをも容赦ようしやせよ。 2わがかみごとねたみもつなんぢため奮發ふんぱつし、なんぢ一人ひとりをつとおけ潔白けつぱくなる少女せうぢよとしてキリストに婚約いひなづけしたればなり。 3れどおそるるところは、へび狡猾かうくわつによりてエワのまどはされしごとく、なんぢこころそこなはれてキリストにたいする質朴しつぼくうしなはんことこれなり。 4けだしひときたりて、われべざりしのキリストをべ、またなんぢかつかうむらざりしれいもしくはかつ承容うけいれざりし福音ふくいんけんか、なんぢこれれん。 5れどわれ何事なにごとおいてもかのだい使徒しとたちおとらずとおもふ、 6けだし談話だんわにはつたなけれども學識がくしきしからず、れど萬事ばんじおいなんぢには顯然けんぜんたり。 7あるひわれなんぢたかめんためみづかへりくだりて、報酬はうしうなくしてかみ福音ふくいんべたるが犯罪はんざいなりや、 8われ敎會けうくわいはぎりて給金きふきんけ、もつなんぢためつとめ、 9またなんぢうちりてとぼしかりしもたれをもわづらはさず、マケドニアよりきたりし兄弟等きやうだいたちらざるをおぎなへり、かくごとみづか注意ちゆういして、萬事ばんじおいなんぢわづらはさじとしたるが、以後いごまた注意ちゆういせんとす。 10われるキリストの眞理しんりによりてちかふ、この名譽めいよはアカヤ地方ちはうおいわれきてそこなはれざるべし、 11これ何故なにゆゑぞ、なんぢあいせざるゆゑなるか、かみたまへり。 12おこなところわれなほこれおこなはんとす、これ機會きくわいもとむる人々ひとびと機會きくわいち、彼等かれらをしてみづかほこところきてわれおなじからしめんためなり。 13けだしかか人々ひとびと使徒しとにして狡猾かうくわつなる勞働らうどうしやをキリストの使徒しとよそほへるものなり。 14めづらしきことあらず、サタンすらみづかひかり使つかひおのれよそほものなれば、 15その役者えきしやまた役者えきしやごとよそほふは大事だいじあらず、彼等かれらをはりそのわざかなふべし。 16われふたたはん、われすこしくほこるべければ、たれわれなりとすることなかれ、らずばとしてわれ承容うけいれよ。 17この名譽めいよてんきてかたところは、しゆしたがひてかたるにあらず、なるものごとくにしてかたるなり。 18おほくのひと肉身上にくしんじやうほこゆゑに、われまたほこらん。 19けだしなんぢみづか智者ちしやなれば、よろこびて愚者ぐしやしのぶなり。 20すなはひとありてなんぢ奴隷どれいとするも、くひつくすも、かすむるも、たかぶるも、なんぢかほつも、なんぢこれしのぶ。 21はづかしながらわれふ、われこのてんきてよわものごとくなりき。おろかにもはん、ひとあへおくせざるところわれもあえておくせず。 22彼等かれらヘブレオじんなるか、われまたしかり、彼等かれらイスラエルじんなるか、われまたしかり、彼等かれらアブラハムのすゑなるか、われまたしかり、 23彼等かれらキリストの役者えきしやなるか、われくるへるがごとくにはん、われなほしかり。わがはたらきなほおびただしく、監獄かんごくりしことなほおほく、きずつけられしこと無量むりやうにして、へることしばしばなりき。 24ユデアじんよりじふひとつらず打擲ちやうちやくせられしこといつたび25笞刑ちけいけしことたびいしなげうたれしこと一度ひとたび破船はせんひしことたびにして、一晝夜いつちうやあひだ海中かいちゆうりき。 26數次しばしば旅行りよかうして、かはなん盜賊たうぞくなん邦人はうじんよりのなん異邦いはうじんよりのなん都會とくわいおけなん僻地へきちおけなん海上かいじやうなん兄弟きやうだいよりのなんひ、 27勞働らうどうかつなやみ、數次しばしばよるねむらず、飢渴うゑかわき、斷食だんじきすること度々たびたびにしてこごかつはだかなりき。 28これ外部ぐわいぶことほかまた日々にちにちさしせまれるしよ敎會けうくわいうれひあり、 29よわれるものあるにわれよわらざらんや、つまづものあるにわれこころけざらんや。 30ほこるべくんば弱點じやくてんきてほこらん、 31世々よよしゆくせられたま我主わがしゆイエズス、キリストのかみおよちちは、いつはらざることたまふ。 32ダマスコにおいてアレタわうもとなるしうちやうわれとらへんとてダマスコひと都會とくわいまもりしかば、 33われかごもつまどより石垣いしがきづたひにつりおろされ、そののがれたりき。

第12章

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1ほこるべくんば、無益むえきことながら、われしゆたまひし幻影まぼろし默示もくしとにおよばん。 2われはキリストに一人ひとりひとれり、かれは十四ねんぜん、――肉體にくたいりてか肉體にくたいほかりてか、ところあらず、かみしろしめす、――だいてんまでげられしなり。 3われまたれり。このひとは ――肉體にくたいりてか肉體にくたいほかりてかところあらず、かみしろしめす、 4――樂土らくどとりげられて、はずひとかたるべからざることばきしなり。 5われかかひとためほこらんとすれども、わがためにはわが弱點じやくてんほかほこことじ。 6けだしほこらんとすともなるべきにはあらず、まことかたらんとすればなり。れどひとわれところあるひわれよりところぎてわれおもんずることなからんためわれめん。 7かうむりたる默示もくし偉大ゐだいなるにより、われをしてたかぶらざらしめんために、肉身にくしんひとつとげすなはわれつべきサタンの使つかひあたへられたり。 8ここおいわがよりらんことたびまでしゆもとたてまつりしに、 9のたまへらく、なんぢにはわが恩寵おんちようにてれり、ちからよわうちおいまつたうせらるればなり、と。ればキリストの能力のうりよくわれ宿やどらんために、むしろよろこびてわが弱點じやくてんによりてほこらん。 10ゆゑわれはキリストのためわが弱點じやくてんに、耻辱ちじよくに、缺乏けつぼうに、迫害はくがいに、患難くわんなんやすんず、よわときおいてこそつよければなり。 11われおろかになれり、なんぢひられてなり。けだしなんぢより引立ひきたてらるるはずなりき、われるにらざるものなりといへども、何事なにごとかの無上むじやうだい使徒しとおとらざればなり。 12使徒しとたるの證據しようこは、すべての忍耐にんたいしるし奇蹟きせき不思議ふしぎとによりて、なんぢうへ成立なりたてり。 13そもそもなんぢしよ敎會けうくわいよりすくなたりしはなんぞ、あるひなんぢわづらはさざりしことなるか、この不義ふぎわれゆるせ。 14いまたびなんぢいたらんとして支度したくせしが、なほなんぢわづらはさじ、これもとむるところなんぢにして、なんぢ所有物もちものあらざればなり。すなは子等こどもおやため貯蓄ちよちくすべきにあらず、おやこそ子等こどもためこれおこなふべきなれば、假令たとひなんぢおほあいして、すくなあいせらるることありとも、 15われもつとよろこびてなんぢたましひためつくし、またおのれをもつくさん。 16よしわれなんぢわづらはさざりしも、狡猾かうくわつにしてなんぢ籠絡ろうらくせりとせんか、 17れどなんぢつかはしし人々ひとびとうちたれもつなんぢ籠絡ろうらくせしぞ。 18チトにたのみ、かれともまた一人ひとり兄弟きやうだいつかはししが、チトはなんぢ籠絡ろうらくせしか、われどういつ精神せいしんもつどういつ足跡あしあとあゆみしにあらずや。 19なんぢかねて、われなんぢたいして弁解べんかいすとおもへり、われかみ御前みまへにキリストにりてかたるなり。わが至愛しあいなるものよ、萬事ばんじなんぢとくてんがためなるぞ。 20れどわれおそらくは、あるひいたりてなんぢんに、おもへるごとくならず、またなんぢわれんにも、おもへるがごとくならざらんか、あるひなんぢあひだ闘爭あらそひ嫉妬ねたみ怨恨うらみ爭論さうろん誹謗ひばう呟言つぶやき驕慢たかぶり擾亂さうらんあらんか、 21またあるひいたらんときわがかみわれはぢしめたまひて、おほくのひとかつつみをかしたるに、おこなひし不潔ふけつ私通しつうはなはだしきつみとを悔改くいあらためざるをなげことあらんか。

第13章

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1いまわれたびなんぢいたらんとす、二三の證人しようにんくちりて、すべてのことけつせらるべし。 2すでげしことながら、いまわれ其處そこらざれどもるとひとしく、さきつみをかしし人々ひとびとおよすべてのひとにもぐ、われふたたいたらばけつしてゆるさじ。 3なんぢキリストのわれおいかたたま證據しようこもとめんとすれば、キリストはなんぢむかひてよわましまさず、なんぢうちおほいに能力のうりよくあり。 4けだしよわきによりて十字架じふじかけられたまひしかど、かみちからによりてたまへばなり。すなはわれかれおいよわしといへども、かみちからによりてかれともなんぢうちきんとす、 5なんぢ信仰しんかうるやいなやを、みづかこころみづかしようせよ、なんぢうちにキリストのましまことみづからざるか、あるひ非認ひにんせられたるものなるか、 6われわれ非認ひにんせられたるものあらざるをなんぢらんこと希望きぼうす。 7われかみいのるは、なんぢすこしあくさざらんことこれなり。これわれ是認ぜにんせられたることあらはれんためあらずして、假令たとひわれ非認ひにんせらるとも、なんぢ善事ぜんじおこなはんためなり。 8けだしわれ眞理しんりためちからあり、これそむきては何事なにごとあたはざればなり。 9われわれよわなんぢつよきをよろこぶ、またいのところなんぢ改善かいぜんなり。 10不在ふざいにしてこれこと書贈かきおくるはいたらんときほろぼさんためならでてんためしゆよりたまはりたる權力けんりよくもつて、あまりにきびしくせざらんとてなり。 11其外そのほか兄弟等きやうだいたちよ、なんぢよろこかつ完全くわんぜんにして、あひなぐさめ、こころおなじうして平和へいわたもて、しからば平和へいわあいとのかみなんぢともましまさん。 12せいなる接吻せつぷんもつたがひよろしくへ、聖徒せいとみななんぢよろしくとへり。 13ねがはくは我主わがしゆイエズス、キリストの恩寵おんちようと、かみ寵愛いつくしみと、聖靈せいれい交際まじはりと、なんぢ一同いちどうともらんことを、アメン。