ガラチヤの書 (ラゲ訳)

<聖書<我主イエズスキリストの新約聖書

『公敎宣敎師ラゲ譯 我主イエズスキリストの新約聖書』公敎會、

1910年発行

〔ローマ・カトリック訳〕

ラゲ訳新約聖書エミール・ラゲ(Emile Raguet,MEP)

ガラチヤの書

第1章 編集

1ひとよりにあらず、ひとによるにもあらず、イエズス、キリストと、これ死者ししやうちより復活ふくくわつせしめたまひしちちにてましまかみとによりて使徒しとたるパウロ、 2ならびわれとも兄弟きやうだい一同いちどう、ガラチアのしよ敎會けうくわいに[書簡しよかんおくる]。 3ねがはくはちちにてましまかみおよ我主わがしゆイエズス、キリストより、恩寵おんちよう平安へいあんとをなんじたまはらんことを。 4このキリストはすなはわがちちにてましまかみ思召おぼしめしによりて、われこのあしより救出すくひいださんとて、われつみためおのれささたまひしものなれば、 5これ世々よよ光榮くわうえいあれかし、アメン。 6われなんじがキリストの恩寵おんちようもつおのれたまひしものとほざかりて、かくすみやかことなる福音ふくいんうつれるをあやしむ。 7これことなる福音ふくいんあるにあらず、ただある人々ひとびとなんじみだして、キリストの福音ふくいんひるがへさんとするなり。 8れどわれにまれ、てんよりの使つかひにまれ、われなんじべしところはんして福音ふくいんぶるならば、のろはれよかし。 9われさきひしがいままたかさねてふ、なんじけしところはんして福音ふくいんぶるものあらばのろはれよかし。 10けだしいまわれひとこころんとするか、はたかみ御意みこころんとするか、ひとこころかなはんとつとむるか、われなほひとこころかなはばキリストのしもべあらざるべし。 11けだし兄弟等きやうだいたちよ、なんじつげらせん、べし福音ふくいんひとによれるものにあらず、 12すなはわれひとよりこれこれまなびたるにあらず、イエズス、キリストの默示もくしによれるなり。 13けだしユデアけうおけさきわが行狀ぎやうじよう如何いかんは、なんじきしところなり。すなはわれかみ敎會けうくわいはなはだしく迫害はくがいしてこれあらし、 14わがぞくちゆうなる同年輩どうねんぱい人々ひとびとまさりてユデアけうすすみ、わが先祖せんぞつたへため一層いつそう熱中ねつちゆうして奮發ふんぱつたりしなり。 15しかるにはは胎内たいないよりえらみて、その恩寵おんちようもつわれたまへるものは、 16われをしてその福音ふくいん異邦いはうじんうちべしめんとて、御子おんこわがこころあらははしたまふことの御意みこころかなひしかば、そのときわれただち血肉けつにくはからず、 17またエルザレムすなはわが先輩せんぱいなる使徒しとたちもとにもかず、アラビアにいたり、またダマスコにかへれり。 18て三ねんてペトロを訪問はうもんせんとてエルザレムにいたり、十五にちあひだかれいへとどまりしも、 19使徒しとたちには、しゆ兄弟きやうだいヤコボのほかたれにもはざりき。 20なんじ書遣かきおくことかみ御前みまへにていつはりなし。 21そののちわれシリアおよびシリシア地方ちはういたりしが、 22キリストにるユデアのしよ敎會けうくわいわがかほらず、 23ただかつわれ迫害はくがいしつつありしひといまおのさきほろぼさんとしたりし信仰しんかう宣傳のべつたふとき、 24われきて光榮くわうえいかみたてまつりつつありき。

第2章 編集

1そののち十四ねんて、バルナバとともにチトをもたづさへて、ふたたびエルザレムにのぼりしが、 2これ神託しんたくによりてのぼりしなり。かく異邦いはうじんうちぶる福音ふくいん彼等かれらこといちじるしき人々ひとびとつげらせたり、これ萬一まんいちにもはしことまたかつはしりしことむなしくならざらんためなりき。 3しかるに、われともりしチトすら、もと異邦いはうじんなるも割禮かつれいくることひられず、 4ただくぐりりたる兄弟きやうだいありて、われがキリスト、イエズスにおいてる自由じいうさぐり、われ奴隷どれいたらしめんとして入來いりきたりたれど、 5われ片時かたときゆずらず、彼等かれらふくせざりき、これ福音ふくいん眞理しんりなんじうちそんせしめんためなり。 6殊更ことさらいちじるしき人々ひとびといたりては、――そのかつなにものたりしかはわれくわんせず、かみひとにつきてかたよたまことなし、――そのいちじるしき人々ひとびと何事なにごとをもわれくはへざりき。 7かえつ割禮かつれいある人々ひとびと福音ふくいんぶることのペトロにゆだねられたるごとく、割禮かつれいなき人々ひとびとぶることわれゆだねられたるをしかば、 8――はペトロに割禮かつれいある人々ひとびと使徒しととなるちからたまひしものは、われにも異邦いはうじんうちおいちからたまひたればなり、―― 9はしらともえたるヤコボとケファとヨハネとは、われたまはりたる恩寵おんちようわきまへて、一致いつちしるしとしてみぎわれとバルナバとにあたへたり。これわれ異邦いはうじんいたり、彼等かれら割禮かつれいある人々ひとびといたらんためなり。 10ただ彼等かれらねがところは、われ貧者ひんしやかへりみんことなりしが、われ心懸こころがけてこれおこなへり。 11しかれどもケファアンチオキアにきたりしときとがむべきことありしかば、われ面前まのあたりこれ反對はんたいせり。 12は、ある人々ひとびとのヤコボのもとよりきたまでは、かれ異邦いはうじんともしよくたれど、彼等かれらきたりしかばケファは割禮かつれいある人々ひとびとはばかり、ひかへて異邦いはうじんはなたればなり。 13のユデアじんこの匿行かくしだて同意どういせしかば、バルナバもまた彼等かれらよりその匿行かくしだてさそはるるにいたれり。 14かく彼等かれら福音ふくいん眞理しんりしたがひてただしくあゆまざるをて、われ一同いちどうまへにてケファにへらく、なんじユデアじんにてありながら、ユデアじんごとくにせず、異邦いはうじんごとおこなへるに、なん異邦いはうじんひてユデアじん習慣しうかんしたがはせんとはする。 15われ生來せいらいユデアじんにして、異邦いはうじんよりでし罪人つみびとにはあらず、 16りながらひととせらるるは、律法りつぱふわざらずして、ただイエズス、キリストにおけ信仰しんかうるをるがゆゑに、われ律法りつぱふわざらず、キリストにおけ信仰しんかうりてとせられんために、キリスト、イエズスをしんずるなり、何人なにびと律法りつぱふわざりてとせられざればなり。 17もしキリストにおいとせられんことつとめて、なほ罪人つみびととせられなばキリストはつみ役者えきしやなるか、否々いないな18もしわれすでこぼちたるものをふたたつれば、みづか僞譎いつはりものとなるなり。 19ればわれかみきんため律法りつぱふもつ律法りつぱふし、 20キリストととも十字架じふじかけられたるなり。それわれくといへども、最早もはやわれあらず、キリストこそわれおいたまふなれ。われ肉體にくたいくといへども、われあいしてわがためおのれわたたまひしかみ御子おんこ信仰しんかうおいくるなり。 21わがかみ恩寵おんちようつるにあらず、もしとせらるること律法りつぱふらば、キリストはいたづらたまひしなり。

第3章 編集

1おろかなるかなガラチアじんよ、十字架じふじかけられたまひしイエズス、キリスト、なんじ目前もくぜんえがかれたまひたるに、たれなんじとらかして眞理しんりそむかしめしぞ、 2われただこのことかんとほつす、なんじ聖靈せいれいかうむりしは律法りつぱふわざによるか、信仰しんかうしたがひしによるか。 3なんじ聖靈せいれいもつはじまりしものを、いまにくもつをはまでおろかなるか。 4おびただしくくるしみしは無益むえきとならんか、いな無益むえきあらざれかし。 5ればなんじに[せい]れいたまひて、なんじうち奇蹟きせきおこなたまへるものたまふは律法りつぱふわざによるか、信仰しんかうしたがひしによるか、 6かきしるして、「アブラハムかみしんぜり、しかしてこのこととしてこれせられたり」とあるがごとし。 7ゆゑ信仰しんかう人々ひとびとは、これアブラハムの子等こどもなりとれ。 8かく聖書せいしよは、かみ信仰しんかうりて異邦いはうじんとしたまことあらかじりて、かつてアブラハムに福音ふくいんげていはく、「萬民ばんみんなんじおいしゆくせられん」と。 9れば信仰しんかう人々ひとびとは、忠實ちゆうじつなるアブラハムとともしゆくせらるべきなり。 10おほよそ律法りつぱふわざ人々ひとびとのろひしたり、かきしるして、「すべ律法りつぱふしよかきしるされたることことごとまもらんとして、これとどまらざるひとのろはるべし」、とあればなり。 11そもそもひと律法りつぱふによりてかみ御前みまへとせられざることは、「義人ぎじん信仰しんかうによりてく」、とあるをもつあきらかなり。 12律法りつぱふ信仰しんかうによるにあらずして、「おきておこなひとこれによりてきん」、とあり。 13かきしるして、「すべつるさるるひとのろはれたるなり」、とあれば、キリストはわれためのろはれたるものとなりて、律法りつぱふのろひよりわれあがなたまひしなり。 14これアブラハムの祝福しゆくふくがキリスト、イエズスによりて異邦いはうじんおよぼされ、約束やくそくせられたまひし聖靈せいれい信仰しんかうによりてわれけんためなり。 15兄弟等きやうだいたちよ、われひとふがごとくにへば、ひと公正くわうせいなる遺書ゐしよはいするひとなくかきくはふるひとなし。 16アブラハムとそのすゑとに約束やくそくせられしときおほくのひとすがごとすゑ[]とはのたまはずして、一人ひとりしてなんじすゑのたまへり、これすなはちキリストなり。 17われはん、かみすでかたたまひし契約けいやくをば、それより四百三十ねんのちあたへられし律法りつぱふが、約束やくそくむなしからしめんとてはいしたるにあらず。 18けだし世繼よつぎもし律法りつぱふらば、これすで約束やくそくらざるなり。れどかみ約束やくそくもつて、これをアブラハムにたまひたるなり。 19しからば律法りつぱふなんぞや、これ約束やくそくせられしすゑきたまであひだ犯則はんそくためかれしものにして、仲裁ちゆうさいしや天使等てんしたちによりて布告ふこくせられたるものなり。 20仲裁ちゆうさいしや一方いつぽうのものにあらざるに、かみゆゐいつにてまします。 21れば律法りつぱふかみ約束やくそくはんするか、否々いないなけだしもしひとかすべき律法りつぱふあたへられたらんには、じつ律法りつぱふによりづべし 22いへども、聖書せいしよ萬物ばんぶつつみもと閉籠とぢこめたり。これ約束やくそくはイエズス、キリストにおけ信仰しんかうりて、しんずるひとあたへられんためなり。 23信仰しんかうきたまへには、われ律法りつぱふもと閉籠とぢこめめられて、あらはれんとする信仰しんかうきたるまでまもられつつありき。 24ればわれ信仰しんかうりてとせられんために、律法りつぱふわれをキリストにみちび指導しどうしやとなれり。 25れど信仰しんかうすできたりては、われ最早もはや指導しどうしやもとらず、 26なんじ、キリスト、イエズスにおけ信仰しんかうりて、みなかみ子等こどもなればなり。 27すなはちキリストにりてせんせられたるなんじは、ことごとくキリストをちやくせるなり。 28かくてユデアじんもなくギリシアじんもなく、奴隷どれい自由じいうもなく、をとこをんなもなし、なんじキリスト、イエズスにおいみな一人ひとりなればなり。 29なんじもしキリストのものならば、これアブラハムのすゑなり、約束やくそくままなる世嗣よつぎなり。

第4章 編集

1われはん、世嗣よつぎ家督かとくしゆなりといへども、小兒せうにあひだ奴隷どれいことなることなく、 2ちちさだめたるときまでは、後見人こうけんにんおよ治産ちさんしやもとり。 3かくごとく、われ小兒せうにうち小學せうがくもとつかへつつありき。 4れど滿期まんきときいたりて、かみ御子おんこをんなよりりたるもの、律法りつぱふもとりたるものとしてつかはしたまへり。 5これ律法りつぱふもとりし人々ひとびとあがなひ、われをしてとせらるることをしめたまはんためなり。 6かくなんじたるによりて、かみは、アバ、ちちよ、とさけたまへる御子おんこれいを、なんじこころつかはしたまへり。 7れば最早もはや奴隷どれいあらずしてたるなり、たるうへまたかみによりて世嗣よつぎたるなり。 8かのときにはなんじかみらず、生來せいらいかみたらざるものにつかへて奴隷どれいたりき。 9れどいますでかみり、しかまたかみられたるに、如何いかんふたたよわとぼしき小學せうがくかへりて、さらこれつかへんとはする。 10なんじつき季節きせつとしとをまもる。 11われなんじためづかひ、あるひなんじうちはたらきしこと無益むえきとならんことをおそる。 12兄弟等きやうだいたちよ、われなんじごとくにれば、こひねがはくはなんじごとくにれ。なんじかつわれがいせしことなし、 13かえつれるごとく、はじ福音ふくいんなんじべしとき身體しんたい虛弱きよじやくもつてし、その身體しんたいなんじこころみとなれるを、 14いやしむことなくきらこともなくして、われかみ使つかひごとく、キリスト、イエズスのごとくにさへけたりき。 15なんじ主張しゆちようせしさいはひ何處いづこにかある、われなんじため證明しようめいす、べくんばなんじおのをもえぐりてわれあたへしならん。 16ればわれなんじまことかたりてなんじてきとなりたるか、 17かの人々ひとびとなんじため盡力じんりよくすれども、これ好意かういあらず、おのため盡力じんりよくせしめんとて、なんじをしてはなれしめんとほつせるなり。 18えず善事ぜんじきて盡力じんりよくせらるるはきことながら、なんじうちときのみにてはらざるなり。 19小子せうしよ、なんじうちにキリストのかたちづくられたままでは、われなんじため陣痛ぢんつうへり。 20のぞむらくはなんじうちりて聲音こわねへんことを、なんじきて當惑たうわくすればなり。 21律法りつぱふもとらんとほつするものよ、われかたれ、なんじ律法りつぱふきしことなきか、 22けだしかきしるして、アブラハムに二人ふたりありしに、一人ひとり奴隷どれいをんなよりし、一人ひとり自由じいうなるをんなよりせり、とあり。 23奴隷どれいをんなにくしたがひてうまれしに、自由じいうなるをんな約束やくそくによりてうまれたり。 24これことはれしは前表ぜんぺうにして、かのをんな兩約りやうやくす、いつはシナイざんよりして奴隷どれいむ、これすなはちアガルなり。 25けだしシナイざんはアラビアにりて、いまのエルザレムにあたり、その子等こどもとも奴隷どれいなり。 26れどうへなるエルザレムは自由じいうにして、これわれははなる。 27けだしかきしるして、「石女うまずめにしてまざるものよ、よろこべ、さんせざるものよ、こゑげてよばはれ、ひとのこされたるをんなは、をつとあるものよりもおほければなり」、とあり。 28兄弟等きやうだいたちよ、われはイザアクのごと約束やくそくなり、 29かのときにくによりてうまれたりしものが、れいによれるもの迫害はくがいしたりしごとく、いまなほしかるなり。 30れど聖書せいしよなんとかへる、「奴隷どれいをんなそのとを遂拂おひはらへ、奴隷どれいをんな自由じいうなるをんなとも世嗣よつぎたるべからざればなり」、とあり。 31れば兄弟等きやうだいたちよ、われ奴隷どれいをんなあらず、自由じいうなるをんななり、キリストのわれあがなたまへるは自由じいうためなり。

第5章 編集

1毅然きぜんとしてふたた奴隷どれいくびきせいせらるることなかれ。 2われパウロなんじ斷言だんげんす、もし割禮かつれいけなば、キリストはいささかなんじえきあらざるべし。 3われまたさらに、すべ割禮かつれいくるひと證明しようめいす、かれことごと律法りつぱふまもるべき負債ふさいあり。 4律法りつぱふによりてとせられんとする人々ひとびとよ、なんじはキリストをはなれたるなり、恩寵おんちようより墮落だらくせるなり。 5われすなはち[せい]れいもつ信仰しんかうりてこそ希望きぼう[するところ]をてるなれ。 6けだしキリスト、イエズスにおい價値かちあるは割禮かつれいあら割禮かつれいあらず、あいもつはたらところ信仰しんかうこれなり。 7なんじはしたりしものを、たれ眞理しんりしたがはせじとてさまたげしぞ、 8かかすすめなんじたまふものよりでず、 9すこしのたねぱん全體ぜんたい腐敗ふはいせしむ、 10なんじしゆによりて希望きぼうするところは、なんじべつなからんことこれなり。れどたれにもあれなんじみだひとは、そのつみふべし。 11兄弟等きやうだいたちよ、われもしなほ割禮かつれいこと宣傳のべつたふるならば、なん迫害はくがいけつつあらんや。はたしてしからば、十字架じふじかつまづことみたるならん。 12ねがはくはなんじまどはす人々ひとびと裁除とりのぞかれんことを。 13けだし兄弟等きやうだいたちよ、なんじすでされて自由じいうたれば、その自由じいうにく機會きくわいとしてあたふることなく、(れいの)あいもつたがひつかへよ。 14は、「なんじちかものおのれごとあいすべし」、との一言いちごんおいて、律法りつぱふことごとまつたうせらるればなり。 15れどなんじもしたがひあひあひまば、たがひほろぼされざるやう用心ようじんせよ。 16われはん、れいしたがひてあゆめ、しからばにくよくおこなふまじ。 17けだしにくのぞところれいはんし、れいのぞところにくはんす、そのあひもどるはなんじほつするところことごとさざらんためなり。 18なんじもしれいみちびかるれば、律法りつぱふもとらず。 19にくわざあらはなり、すなは私通しつう不潔ふけつ猥褻わいせつ邪淫じやいん20偶像ぐうざう崇拜すうはい魔術まじゆつ怨恨うらみ爭闘あらそひ嫉妬ねたみ憤怒はらだち喧嘩けんくわ擾亂そうらん異說いせつ21猜忌そねみ殺人ひとごろし酩酊めいてい饕食たうしょくなどこれなり。すであらかじなんじげしごといまく、かかことひとかみくにざるべし。 22しかるにれい好果かうくわは、(あい)、よろこび平安へいあん堪忍かんにん慈惠じけい善良ぜんりやう、(忍耐にんたい)、 23溫良をんりやう眞實しんじつ謹愼きんしん節制せつせい貞操ていさうなり、かかるものにむかひては律法りつぱふあることなし。 24それキリストのものたる人々ひとびとは、おの肉身にくしんその惡德あくとくおよしよよくとも十字架じふじかけたるなり。 25われもしれいによりてきなば、またれいによりてあゆむべし。 26虛榮きよえいこのみてあひいどあひそねものることなかれ。

第6章 編集

1兄弟等きやうだいたちよ、ひともしいざなはれてあやまことありとも、なんじれいみちびかるるものなれば、おのれまたいざなはるることあるべきをかへりみて、柔和にうわなる精神せいしんもつこれ改善かいぜんせしめよ。 2なんじたがひへ、しからばキリストの律法りつぱふまつたうすべし。 3けだしひと何者なにものにもあらざるに、何者なにものかなりとおもふはみづかあざむくなり。 4おのおのおの行狀ぎやうじようためよ、しからば他人たにんたいしてほこらず、おのれのみによりてほこるならん、 5ひとおのおのおのふべければなり。 6をしへまなひとは、まなばしむるひと一切いつさい所有物もちものうちわけあたへよ。 7みづかあざむなかれ、かみあなどられたまふものにあらず、 8ひとそのきしところ刈取かりとらん、すなはおのにくためひとは、またにくより腐敗ふはい刈取かりとり、れいためひとは、またれいより永遠えいえん生命せいめい刈取かりとらん。 9われぜんすにむべからず、時機じきいたらば、まずして刈取かりとるべければなり。 10ればいとまあるあひだは、われ衆人しゆうじんこと信仰しんかう家人かじんぜんすべし。 11よ、われづから如何いかなる大字たいじにてなんじ書贈かきおくれるかを。 12およそにくおい人心じんしんんとほつするひとは、ひてなんじ割禮かつれいけしむ、これただキリストの十字架じふじかによりて迫害はくがいけざらんためのみ。 13割禮かつれいくる人々ひとびとが、みづか律法りつぱふまもらずしてなんじ割禮かつれいけしめんとするは、なんじ肉身にくしんきてほこらんためなり。 14われ我主わがしゆイエズス、キリストの十字架じふじかおいてのほかけつしてほこことなかるべし。かれもつわれりて十字架じふじかけられたるものにして、おけるもまたしかり。 15けだしキリスト、イエズスにおい價値かちあるは、割禮かつれいあら割禮かつれいあらず、あらたなる造物ざうぶつなり。 16たれにもあれ、このはふしたがへる人々ひとびとうへに、こひねがはくは平安へいあん慈悲じひとあれかし、かみのイスラエルのうへにもまたしかあれかし。 17いまよりのちたれわれわづらはすべからず、われしゆイエズスの傷痕きづあとへばなり。 18兄弟等きやうだいたちよ、ねがはくは我主わがしゆイエズス、キリストの恩寵おんちようなんじれいともらんことを、アメン。