オバデヤ書 (文語訳)

<聖書<文語訳旧約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1953年

w:明治元訳聖書

w:オバデヤ書

第1章

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オバデヤの預言 主ヱホバ、エドムにつきて斯いひたまふ 我らヱホバより出たる音信を聞けり 一人の使者國々の民の中に遣されて云ふ 起よ我儕起てエドムを攻撃んと

我汝をして國々の中において小き者たらしむ 汝は大に藐視らるるなり

山崖の巖屋に居り高き處に住む者よ 汝が心の傲慢なんぢを欺けり 汝心の中に謂ふ誰か我を地に曵くだすことを得んと

汝たとひ鷲のごとくに高く擧り星の間に巣を造るとも我そこより汝を曵くださん ヱホバこれを言たまふ

盜賊汝に來り 強盜夜なんぢに來り竊むともその心に滿るときは止ざらんや 嗚呼なんぢは滅されて絶ゆ 葡萄を摘む者汝にいたるも尚 幾何を遺さざらんや

嗚呼エサウは搜されその隱しおける物は探りいださる

汝と盟約を結べる人々はみな汝を國境に逐やり汝と和好をなせる人々はみな汝を欺きて汝に勝ち汝の食物を食ふ者等は汝の下に羂を設く 彼の中には穎悟あらず

ヱホバ言たまふ當日には我智慧ある者をヱドムより絶除き穎悟をエサウの山より絶除かざらんや

テマンよ汝の勇士は驚き懼れん 而して人みな終に殺されてエサウの山より絶除かるべし

汝はその兄弟ヤコブに暴虐を加へたるに因て恥辱なんぢを蒙はん 汝は永遠に至るまで絶るべし

汝が遠く離れて立をりし日即ち異邦人これが財寳を奪ひ他國人これが門に進み入りエルサレムのために籤を掣たる日には汝も彼らの一人のごとくなりき

汝は汝の兄弟の日すなはちその災禍の日を觀るべからず 又ユダの子孫の滅亡の日を喜ぶべからず その苦難の日には汝口を大きく開べからざるなり

我民の滅ぶる日には汝その門に入べからず其滅ぶる日には汝その患難を見べからず 又その滅ぶる日には汝その財寳に手をかく可らず

汝路の辻々に立て その逃亡者を斬べからず 其患難の日にこれが遺る者を付すべからず

ヱホバの日萬國に臨むこと邇し 汝の爲せるごとく汝も爲られ汝の應報なんぢの首に歸すべし

汝等のわが聖山にて飮しごとく萬國の民も恒に飮ん 即ちみな飮かつ啜りて從前より有ざりし者のごとく成ん

シオン山には救はるる者等をりてその山聖所とならん またヤコブの家はその産業を獲ん

ヤコブの家は火となりヨセフの家は火燄となりエサウの家は藁とならん 即ち彼等これが上に燃てこれを焚ん エサウの家には遺る者一人も無にいたるべし ヱホバこれを言なり

南の人はエサウの山を獲 平地の人はペリシテを獲ん 又彼らはエフライムの地およびサマリヤの地を獲 べニヤミンはギレアデを獲ん

かの擄はれゆきしイスラエルの軍旅はカナン人に屬する地をザレパテまで取ん セパラデにあるエルサレムの俘擄人は南の邑々を獲ん

然る時に救者シオンの山に上りてエサウの山を鞫かん而して國はヱホバに歸すべし