エゼキエル書(文語訳)

<聖書<文語訳旧約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1953年

w:明治元訳聖書

w:エゼキエル書

第1章

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第三十年四月の五日に我ケバル河の邊にてかの擄うつされたる者の中にをりしに天ひらけて我神の異象を見たり

是ヱコニヤ王の擄ゆかれしより第五年のその月の五日なりき

時にカルデヤ人の地に於てケバル河の邊にてヱホバの言祭司ブシの子エゼキエルに臨めりヱホバの手かしこにて彼の上にあり

我見しに視よ烈き風大なる雲および燃る火の團塊北より出きたる又雲の周圍に輝光ありその中よりして火の中より熱たる金族のごときもの出づ

其火の中に四箇の生物にて成る一箇の形あり其狀は是のごとし即ち人の象あり

各四の面あり各四の翼あり

その足は直なる足その足の跖は犢牛の足の跖のごとくにして磨ける銅のごとくに光れり

その生物の四方に翼の下に人の手ありこの四箇の物皆面と翼あり

その翼はたがひに相つらなれりその往ときに回轉ずして各その面の向ふところに行く

その面の形は人の面のごとし四箇の者右には獅子の面あり四箇の者左には牛の面あり又四箇の者鷲の面あり

その面とその翼は上にて分るその各箇の翼二箇は彼と此と相つらなり二箇はその身を覆ふ

各箇その面の向ふところへ行き靈のゆかんとする方に行く又行にまはることなし

その生物の形は爇る炭の火のごとく松明のごとし火生物の中に此彼に行き火輝きてその火の中より電光いづ

その生物奔りて電光の如くに往來す

我生物を觀しに生物の近邊にあたりてその四箇の面の前に地の上に輪あり

其輪の形と作は黄金色の玉のごとしその四箇の形は皆同じその形と作は輪の中に輪のあるがごとくなり

その行く時は四方に行く行にまはることなし

その輪輞は高くして畏懼かり輪輞は四箇ともに皆遍く目あり

生物の行く時は輪その傍に行き生物地をはなれて上る時は輪もまた上る

凡て靈のゆかんとする所には生物その靈のゆかんとする方に往く輪またその傍に上る是生物の靈輪の中にあればなり

此の行く時は彼もゆき此の止る時は彼も止り此地をはなれて上る時は輪も共にあがる是生物の靈輪の中にあればなり

生物の首の上に畏しき水晶のごとき穹蒼ありてその首の上に展開る

穹蒼の下に其翼直く開きて此と彼とあひ連る又各二箇の翼ありその各の二箇の翼此方彼方にありて身をおほふ

我その行く時の羽聲を聞に大水の聲のごとく全能者の聲のごとし其聲音の響は軍勢の聲のごとしその立どまる時は翼を垂る

その首の上なる穹蒼の上より聲ありその立どまる時は翼を垂る

首の上なる穹蒼の上に靑玉のごとき寶位の狀式ありその寶位の狀式の上に人のごとき者在す、

又われその中と周圍に磨きたる銅のごとく火のごとくなる者を見る其人の腰より上も腰より下も火のごとくに見ゆ其周圍に輝光あり

その周圍の輝光は雨の日に雲にあらはるる虹のごとしヱホバの榮光かくのごとく見ゆ我これを見て俯伏したるに語る者の聲あるを聞く

第2章

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彼われに言たまひけるは人の子よ起あがれ我なんぢに語はんと

斯われに言給ひし時靈われにきたりて我を立あがらしむ爰に我その我に語りたまふを聞くに

われに言たまひけるは人の子よ我なんぢをイスラエルの子孫に遣すすなはち我に叛ける叛逆の民につかはさん彼等とその先祖我に悖りて今日にいたる

その子女等は厚顏にして心の剛愎なる者なり我汝をかれらに遣す汝かれらに主ヱホバかくいふと告べし

彼等は悖逆る族なり彼等は之を聽も之を拒むも預言者の己等の中にありしを知ん

汝人の子よたとひ薊と棘汝の周圍にあるとも亦汝蠍の中に住ともこれを懼るるなかれその言をおそるるなかれ夫かれらは悖逆る族なり汝その言をおそるるなかれ其面に慄くなかれ

彼等は悖逆る族なり彼らこれを聽もこれを拒むも汝吾言をかれらに告よ

人の子よわが汝に言ところを聽け汝かの悖逆る族のごとく悖るなかれ汝の口を開きてわが汝にあたふる者をくらふべし

時に我見に吾方に伸たる手ありて其中に卷物あり

彼これをわが前に開けり卷物は裏と表に文字ありて上に嗟嘆と悲哀と憂患とを錄す

第3章

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彼また我に言たまひけるは人の子よ汝獲るところの者を食へ此卷物を食ひ往てイスラエルの家に告よ

是に於て我口をひらけばその卷物を我に食はしめて

我にいひ給ひけるは人の子よわが汝にあたふる此卷物をもて腹をやしなへ膓にみたせよと我すなはち之をくらふに其わが口に甘きこと蜜のごとくなりき

彼また我にいひたまひけるは人の子よイスラエルの家にゆきて吾言を之につげよ

我なんぢを唇の深き舌の重き民につかはすにあらずイスラエルの家につかはすなり

汝がその言語をしらざる唇の深き舌の重き多くの國人に汝をつかはすにあらず我もし汝を彼らに遣さば彼等汝に聽べし

然どイスラエルの家は我に聽ことを好まざれば汝に聽ことをせざるべしイスラエルの全家は厚顏にして心の剛愎なる者なればなり


視よ我かれらの面のごとく汝の面をかたくしかれらの額のごとく汝の額を堅くせり

我なんぢの額を金剛石のごとくし磐よりも堅くせり彼らは背逆る族なり汝かれらを懼るるなかれ彼らの面に戰慄くなかれ

又われに言たまひけるは人の子よわが汝にいふところの凡の言を汝の心にをさめ汝の耳にきけよ

往てかの擄へ移されたる汝の民の子孫にいたりこれに語りて主ヱホバかく言たまふと言へ彼ら聽も拒むも汝然すべし

時に靈われを上に擧しが我わが後に大なる響の音ありてヱホバの榮光のその處より出る者は讚べきかなと云ふを聞けり

また生物の互にあひ連る翼の聲とその傍にある輪の聲および大なる響の音を聞く

靈われを上にあげて携へゆけば我苦々しく思ひ心を熱くして往くヱホバの手強くわが上にあり

爰に我ケバル河の邊にてテラアビブに居るかの擄移れたる者に至り驚きあきれてその坐する所に七日俱に坐せり

七日すぎし後ヱホバの言われにのぞみて言ふ

人の子よ我なんぢを立てイスラエルの家の爲に守望者となす汝わが口より言を聽き我にかはりてこれを警むべし

我惡人に汝かならず死べしと言んに汝かれを警めず彼をいましめ語りその惡き道を離れしめて之が生命を救はずばその惡人はおのが惡のために死んされど其血をば我汝の手に要むべし

然ど汝惡人を警めんに彼その惡とその惡き道を離れずば彼はその惡の爲に死ん汝はおのれの靈魂を救ふなり

又義人その義事をすてて惡を行はんに我躓礙をその前におかば彼は死べし汝かれを警めざれば彼はその罪のために死てそのおこなひし義き事を記ゆる者なきにいたらん然ば我その血を汝の手に要むべし

然ど汝もし義き人をいましめ義き人に罪ををかさしめずして彼罪を犯すことをせずば彼は警戒をうけたるがためにかならずその生命をたもたん汝はおのれの靈魂を救ふなり

茲にヱホバの手かしこにてわが上にあり彼われに言たまひけるは起て平原にいでよ我そこにて汝にかたらん

我すなはち起て平原に往にヱホバの榮光わがケバル河の邊にて見し榮光のごとく其處に立ければ俯伏たり

時に靈われの中にいりて我を立あがらせ我にかたりていふ往て汝の家にこもれ


人の子よ彼等汝に繩をうちかけ其をもて汝を縛らん汝はかれらの中に出ゆくことを得ざるべし

我なんぢの舌を上咢(大漢和03947)に堅く着しめて汝を啞となし彼等を警めざらしむべし彼等は悖逆る族なればなり

然ど我汝に語る時は汝の口をひらかん汝彼らにいふべし主ヱホバかく言たまふ聽者は聽べし拒む者は拒むべし彼等は悖逆る族なり

第4章

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人の子よ汝磚瓦をとりて汝の前に置きその上にヱルサレムの邑を畵け

而して之を取圍み之にむかひて雲梯を建て壘を築き陣營を張り邑の周圍に破城槌を備へて之を攻めよ

汝また鐵の鍋を取り汝と邑の間に置て鐵の石垣となし汝の面を之に向よ斯この邑圍まる汝之を圍むべし是すなはちイスラエルの家にあたふる徴なり

又汝左側を下にして臥しイスラエルの家の罪を其上に置よ汝が斯臥ところの日の數は是なんぢがその罪を負ふ者なり

我かれらが罪を犯せる年を算へて汝のために日の數となす即ち三百九十日の間汝イスラエルの家の罪を負ふべし

汝これを終なば復右側を下にして臥し四十日の間ユダの家の罪を負ふべし我汝のために一日を一年と算ふ

汝ヱルサレムの圍に面を向け腕を袒して其の事を預言すべし

視よ我索を汝にかけて汝の圍の日の終るまで右左に動くことを得ざらしめん

汝 小麥 大麥 豆 扁豆 粟および裸麥を取て之を一箇の器にいれ汝が横はる日の數にしたがひてこれを食とせよ即ち三百九十日の間これを食ふべし

汝食を權りて一日に二十シケルを食へ時々これを食ふべし

又汝水を量りて一ヒンの六分一を飮め時々これを飮むべし

汝大麥のパンの如くにして之を食へ即ち彼等の目のまへにて人の糞をもて之を烘べし

ヱホバいひ給ふ是のごとくイスラエルの民はわが追やらんところの國々においてその汚穢たるパンを食ふべし

是において我いふ嗚呼主ヱホバよわが魂は絕て汚れし事なし我は幼少時より今にいたるまで自ら死し者や裂殺れし者を食ひし事なし又絕て汚れたる肉わが口にいりしことなし

ヱホバ我にいひ給ふ我牛の糞をもて人の糞にかふることを汝にゆるす其をもて汝のパンを調ふべし

又われに言たまふ人の子よ視よ我ヱルサレムに於て人の杖とするパンを打碎かん彼等は食をはかりて惜みて食ひ水をはかりて驚きて飮まん

斯食と水と乏しくなりて彼ら互に面を見あはせて駭きその罪に亡びん

第5章

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人の子よ汝利き刀を執り之を剃刀となして汝の頭と頷をそり權衡をとりてその毛を分てよ

而して圍城の日の終る時邑の中にて火をもて其三分の一を燒き又三分の一を取り刀をもて邑の周圍を撃ち三分の一を風に散すべし我刀をぬきて其後を追ん

汝その毛を少く取りて裾に包み

又その中を取りてこれを火の中になげいれ火をもて之をやくべし火その中より出てイスラエルの全家におよばん

主ヱホバかくいひ給ふ我このヱルサレムを萬國の中におき列邦をその四圍に置けり

ヱルサレムは異邦よりも惡くわが律法に悖り其四圍の國々よりもわが法憲に悖る即ち彼等はわが律法を蔑如にしわが法憲に歩行まざるなり

故に主ヱホバかくいひたまふ汝等はその周圍の異邦人よりも甚だしく噪ぎたち吾憲にあゆまず吾法をおこなはず又汝らの周圍なる異邦人の法のごとくに行ふことすらもせざるなり

是故に主ヱホバかくいひ給ふ視よ我 われは汝を攻め異邦人の目の前にて汝の中に鞫をおこなはん

なんぢの爲せし諸の惡むべき事のために我わが未だ爲ざりしところの事此後ふたたび其ごとく爲ざるべきところの事を汝になさん

是がために汝の中にて父たる者はその子を食ひ子たる者はその父を食はん我汝の中に鞫をおこなひ汝の中の餘れる者を盡く四方の風に散さん

是故に主ヱホバいひ給ふ我は活く汝その忌むべき物とその憎むべきところの事とをもてわが聖所を穢したれば我かならず汝を減さん我目なんぢを惜み見ず我なんぢを憐まざるべし

汝の三分の一は汝の中において疫病にて死に饑饉にて滅びん又三分の一は汝の四周にて刀に仆れん又三分の一をば我四方の風に散し刀をぬきて其後をおはん

斯我怒を洩し盡しわが憤を彼らの上にかうむらせて心を安んぜん我わが憤を彼らの上に洩し盡す時は彼ら我ヱホバの熱心をもてかたりたる事をしるに至らん

我汝を荒地となし汝の周圍の國々の中に汝を笑柄となし凡て往來の人の目に斯あらしむべし

我怒と憤と重き責をもて鞫を汝に行ふ時は汝はその周圍の邦々の笑柄となり嘲となり警戒となり驚懼とならん我ヱホバこれを言ふ

即ち我饑饉の惡き矢を彼等に放たん是は滅亡すための者なり我汝らを滅さんために之を放つべし我なんぢらの上に饑饉を増しくはへ汝らが杖とするところのパンを打碎かん

我饑饉と惡き獸を汝等におくらん是汝をして子なき者とならしめん又疫病と血なんぢの間に行わたらん我刀を汝にのぞましむべし我ヱホバこれを言ふ

第6章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ汝の面をイスラエルの山々にむけて預言して言ふべし

イスラエルの山よ主ヱホバの言を聽け主ヱホバ山と岡と谷と平原にむかひて斯いひたまふ視よ我劍を汝等に遣り汝らの崇邱を滅ぼす

汝等の壇は荒され日の像は毀たれん我汝らの中の殺さるる者をして汝らの偶像の前に仆れしむべし

我イスラエルの子孫の尸骸をその偶像の前に置ん汝らの骨をその壇の周圍に散さん

凡て汝らの住ところにて邑々は滅され崇邱は荒されん斯して汝らの壇は壞れて荒れ汝らの偶像は毀たれて滅び汝等の日の像は斫たふされ汝等の作りし者は絕されん

又殺さるる者なんぢらの中に仆れん汝等これに由て吾ヱホバなるを知るにいたらん

我或者を汝らにのこす即ち劍をのがれて異邦の中にをる者國々の中にちらさるる者是なり

汝等の中の逃れたる者はその擄ゆかれし國々において我を記念ふに至らん是は我かれらの我をはなれたるその姦淫をなすの心を挫き且かれらの姦淫を好みてその偶像を慕ふところの目を挫くに由てなり而して彼等はその諸の憎むべき者をもて爲たるところの惡のために自ら恨むべし

斯彼等はわがヱホバなるを知るにいたらん吾がこの災害をかれらになさんと語しことは徒然にならざるなり

主ヱホバかく言たまふ汝手をもて撃ち足を踏ならして言へ嗚呼凡てイスラエルの家の惡き憎むべき者は禍なるかな皆刀と饑饉と疫病に仆るべし

遠方にある者は疫病にて死に近方にある者は刀に仆れん又生存りて身を全うする者は饑饉に死ぬべし斯我わが憤怒を彼等に洩しつくすべし

彼等の殺さるる者その偶像の中にありその壇の周圍にあり諸の高岡にあり諸の山の頂にあり諸の靑樹の下にあり諸の茂れる橡樹の下にあり彼等が馨しき香をその諸の偶像にささげたる處にあらん其時汝等はわがヱホバなるを知るべし

我手をかれらの上に伸べ凡てかれらの住居ところにて其地を荒してデブラの野にもまさる荒地となすべし是によりて彼らはわがヱホバなるを知るにいたらん

第7章

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ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

汝人の子よ主ヱホバかくいふイスラエルの地の末期いたる此國の四方の境の末期來れり

今汝の末期いたる我わが忿怒を汝に洩らし汝の行にしたがひて汝を鞫き汝の諸の憎むべき物のために汝を罰せん

わが目は汝を惜み見ず我なんぢを憫まず汝の行の爲に汝を罰せん汝のなせし憎むべき事の報汝の中にあるべし是によりて汝等はわがヱホバなるを知らん

主ヱホバかくいひ給ふ視よ災禍あり非常災禍きたる

末期きたる其末期きたる是起りて汝に臨む視よ來る

此地の人よ汝の命數いたる時いたる日ちかし山々には擾亂のみありて喜樂の聲なし

今我すみやかに吾憤恨を汝に蒙らせわが怒氣を汝に洩しつくし汝の行爲にしたがひて汝を鞫き汝の諸の憎むべきところの事のために汝を罰せん

わが目は汝を惜み見ず我汝をあはれまず汝の行のために汝を罰せん汝の爲し憎むべき事の果報汝の中にあるべし是によりて汝等は我ヱホバの汝を撃なるを知ん

視よ日きたる視よ來れり命數いたりのぞむ杖花咲き驕傲茁す

暴逆おこりて惡の杖と成る彼等もその群衆もその驕奢も皆失んかれらの中には何も殘る者なきにいたるべし

時きたる日ちかづけり買者は喜ぶなかれ賣者は思ひわづらふなかれ怒その群衆におよぶべければなり

賣者は假令その生命ながらふるともその賣たる者に歸ることあたはじ此地の全の群衆をさすところの預言は廢らざるべければなり其惡の中にありて生命を全うする者なかるべし

人衆ラツパを吹て凡て預備をなせども戰にいづる者なし其はわが怒その全の群衆におよべばなり

外には劍あり内には疫病と饑饉あり田野にをる者は劍に死なん邑の中にをる者は饑饉と疫病これをほろぼすべし

その中の逃るる者は逃れて谷の鴿のごとくに山の上にをりて皆その罪のために悲しまん

手みな弱くなり膝みな水となるべし

彼等は麻の衣を身にまとはん恐懼かれらを蒙まん諸の面には羞あらはれ諸の首は髮をそりおとされん

彼等その銀を街にすてん其金はかれらに塵芥のごとくなるべしヱホバの怒の日にはその金銀もかれらを救ふことあたはざるなり是等はその心魂を滿足せしめず其腹を充さず唯彼等をつまづかせて惡におとしいるる者なり

彼の美しき飾物を彼等驕傲のために用ひ又これをもてその憎べき偶像その憎むべき物をつくれり是をもて我これを彼らに芥とならしむ

我これを外國人にわたして奪はしめ地の惡人にわたして掠めしめん彼等すなはちこれを汚すべし

我かれらにわが面を背くべければ彼等わが密たる所を汚さん強暴人其處にいりてこれを汚すべし

汝鏈索を作れよ死にあたる罪國に滿ち暴逆邑に充たり

我國々の中の惡き者等を招きて彼らの家を奪しめん我強者の驕傲を止めんその聖所は汚さるべし

滅亡きたれり彼等平安を求むれども得ざるなり

災害に災害くははり注進に注進くははる彼等預言者に默示を求めん律法は祭司の中に絕え謀略は長老の中に絕べし

王は哀き牧伯は驚惶を身に纏ひ國の民の手は慄へん我その行爲に循ひて彼らを處置ひその審判に循ひて彼らを罰せん彼等は我ヱホバなるを知にいたるべし

第8章

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爰に六年の六月五日に我わが家に坐しをりユダの長老等わがまへに坐りゐし時主ヱホバの手われの上に降れり

我すなはち視しに火のごとくに見ゆる形象あり腰より下は火のごとく見ゆ腰より上は光輝て見え燒たる金屬の色のごとし

彼手のごとき者を伸て吾が頭髮を執りしかば靈われを地と天の間に曳あげ神の異象の中に我をヱルサレムに携へゆき北にむかへる内の門の口にいたらしむ其處に嫉妬をおこすところの嫉妬の像たてり

彼處にイスラエルの神の榮光あらはる吾が平原にて見たる異象のごとし

彼われに言たまふ人の子よ目をあげて北の方をのぞめと我すなはち目をあげて北の方を望むに視よ壇の門の北にあたりてその入口に此嫉妬の像あり

彼また我にいひたまふ人の子よ汝かれらが爲ところ即ちイスラエルの家が此にてなすところの大なる憎むべき事を見るや我これがために吾が聖所をはなれて遠くさるべし汝身を轉らせ復大なる憎むべき事等を見ん

斯て彼われを領て庭の門にいたりたまふ我見しに其壁に一の穴あり

彼われに言たまふ人の子よ壁を穿てよと我すなはち壁を鑿つに一箇の戸あるを視る

茲に彼われにいひ給ひけるは入て彼等が此になすところの惡き憎むべき事等を見よと

便ち入りて見るに諸の爬蟲と憎むべき獸畜の形およびイスラエルの家の諸の偶像その周圍の壁に畵きてあり

イスラエルの家の長老七十人その前に立てりシヤパンの子ヤザニヤもかれらの中に立ちてあり各手に香爐を執るその香の煙雲のごとくにのぼれり

彼われに言たまひけるは人の子よ汝イスラエルの家の長老等が暗におこなふ事即ちかれらが各人その偶像の間におこなふ事を見るや彼等いふヱホバは我儕を見ずヱホバこの地を棄てたりと

また我に言たまはく汝身を轉らせ復かれらが爲すところの大なる憎むべき事等を見ん

斯て彼我を携てヱホバの家の北の門の入口にいたるに其處に婦女等坐してタンムズのために哭をる

彼われに言たまふ人の子よ汝これを見るや又身を轉らせよ汝これよりも大なる憎むべき事等を見ん

彼また我を携てヱホバの家の内庭にいたるにヱホバの宮の入口にて廊と壇の間に二十五人ばかりの人その後をヱホバの宮にむけ面を東にむけ東にむかひて日の前に身を鞠めをる

彼われに言たまふ人の子よ汝これを見るやユダの家はその此におこなふところの憎むべき事等をもて瑣細き事となすにや亦暴逆を國に充して大に我を怒らす彼等は枝をその鼻につくるなり

然ば我また怒をもて事をなさん吾目はかれらを惜み見ず我かれらを憫まじ彼等大聲にわが耳に呼はるとも我かれらに聽じ

第9章

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斯て彼大聲に吾耳に呼はりて言たまふ邑を主どる者等各々剪滅の器具を手にとりて前み來れと

即ち北にむかへる上の門の路より六人の者おのおの打壞る器具を手にとりて來る其中に一人布の衣を着筆記人の墨盂を腰におぶる者あり彼等來りて銅の壇の傍に立てり

爰にイスラエルの神の榮光その居るところのケルブの上より起あがりて家の閾にいたり彼の布の衣を着て腰に筆記人の墨盂をおぶる者を呼ぶ

時にヱホバかれに言たまひけるは邑の中ヱルサレムの中を巡れ而して邑の中に行はるるところの諸の憎むべき事のために歎き哀しむ人々の額に記號をつけよと

我聞に彼またその他の者等にいひたまふ彼にしたがひて邑を巡りて撃てよ汝等の目人を惜み見るべからず憐れむべからず

老人も少者も童女も孩子も婦人も悉く殺すべし然ど身に記號ある者には觸べからず先わが聖所より始めよと彼等すなはち家の前にをりし老人より始む

彼またかれらに言たまふ家を汚し死人をもて庭に充せよ汝等往けよと彼等すなはち出ゆきて邑の中に人を撃つ

彼等人を撃ちける時我遺されたれば俯伏て叫び言ふ嗚呼主ヱホバよ汝怒をヱルサレムにもらしてイスラエルの殘餘者を悉くほろぼしたまふや

彼われに言たまひけるはイスラエルとユダの家の罪甚だ大なり國には血盈ち邑には邪曲充つ即ち彼等いふヱホバは此地を棄てたりヱホバは見ざるなりと

然ば亦わが目かれらを惜み見ず我かれらを憐まじ彼らの行ふところを彼等の首に報いん

時にかの布の衣を着て腰に筆記人の墨盂をおぶる人復命まをして言ふ汝が我に命じたまひしごとく爲たりと

第10章

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茲に我見しにケルビムの首の上なる穹蒼に靑玉のごとき者ありて寶位の形に見ゆ彼そのケルビムの上にあらはれたまひて

かの布の衣を着たる人に告て言たまひけるはケルビムの下なる輪の間に入りて汝の手にケルビムの間の炭火を盈し之を邑に散すべしとすなはち吾目の前にて其處に入しが

其人の入る時ケルビムは家の右に立をり雲その内庭に盈り

茲にヱホバの榮光ケルブの上より昇りて家の閾にいたる又家には雲滿ちその庭にはヱホバの榮光の輝光盈てり

時にケルビムの羽音外庭に聞ゆ全能の神の言語たまふ聲のごとし

彼布の衣を着たる人に命じて輪の間ケルビムの間より火を取れと言たまひければ即ち入りて輪の傍に立ちけるに

一のケルブその手をケルビムの間より伸てケルビムの間の火を取り之をかの布の衣を着たる人の手に置れたれば彼これを取りて出づ

ケルビムに人の手の形の者ありて其翼の下に見ゆ

我見しにケルビムの側に四箇の輪あり此ケルブにも一箇の輪あり彼ケルブにも一箇の輪あり輪の式は黄金色の玉のごとくに見ゆ

その式は四箇みな同じ形にして輪の中に輪のあるがごとし

その行ときは四方に行く行にまはることなし首の向ふところに從ひ行く行にまはることなし

その全身その脊その手その翼および輪には四周に徧く目ありその四箇みな輪あり

我聞に轉回れと輪にむかひてよばはるあり

其は各々四の面あり第一の面はケルブの面第二の面は人の面第三のは獅子の面第四のは鷲の面なり

ケルビムすなはち昇れり是わがケバル河の邊にて見たるところの生物なり

ケルビムの行く時は輪もその傍に行きケルビム翼をあげて地より飛上る時は輪またその傍を離れず

その立つときは立ちその上る時は俱に上れりその生物の靈は其等の中にあり

時にヱホバの榮光家の閾より出ゆきてケルビムの上に立ちければ

ケルビムすなはちその翼をあげ出ゆきてわが目の前にて地より飛のぼれり輪はその傍にあり而して遂にヱホバの家の東の門の入口にいたりて止るイスラエルの神の榮光その上にあり

是すなはち吾がケバル河の邊にてイスラエルの神の下に見たるところの生物なり吾そのケルビムなるを知れり

是等には各々四宛の面あり各箇四の翼あり又人の手のごとき物その翼の下にあり

その面の形は吾がケバル河の邊にて見たるところの面なりその姿も身も然り各箇その面にしたがひて行けり

第11章

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茲に靈我を擧げてヱホバの室の東の門に我を携へゆけり門は東に向ふ視るにその門の入口に二十五人の人あり我その中にアズルの子ヤザニヤおよびベナヤの子ペラテヤ即ち民の牧伯等を見る

彼われに言たまひけるは人の子よ此邑において惡き事を考へ惡き計謀をめぐらす者は此人々なり

彼等いふ家を建ることは近からず此邑は鍋にして我儕は肉なりと

是故にかれらに預言せよ人の子よ預言すべし

時にヱホバの靈わが上に降りて我にいひ給ひけるはヱホバかく言ふと言べしイスラエルの家よ汝等は斯いへり汝等の心におこる所の事は我これを知るなり

汝等は此邑に殺さるる者を増し死人をもて街衢に充せり

是故に主ヱホバ斯いふ汝等が邑の中に置くところのその殺されし者はすなはち肉にして邑は鍋なり然ど人邑の中より汝等を曳いだすべし

汝等は刀劍を懼る我劍を汝等にのぞましめんと主ヱホバいひたまふ

我なんぢらを其中よりひき出し外國人の手に付して汝等に罰をかうむらすべし

汝等は劍に踣れん我イスラエルの境にて汝等を罰すべし汝等は是によりてわがヱホバなるを知るにいたらん

是は汝らの鍋とならず汝らはその中の肉たることを得ざるなりイスラエルの境にて我汝らに罰をかうむらすべし

汝ら即ちわがヱホバなるを知にいたらん汝らはわが憲法に遵はずわが律法を行はずしてその周圍の外國人の慣例のごとくに事をなせり

斯てわが預言しをる時にベナヤの子ペラテヤ死たれば我俯向に伏て大聲に叫び嗚呼主ヱホバよイスラエルの遺餘者を盡く滅ぼさんとしたまふやといふに

ヱホバの言われに臨みていふ

人の子よ汝の兄弟汝の兄弟たる者は汝の親族の人々にして即ちイスラエルの全家全躰なりヱルサレムに居る人々は是にむかひて汝等は遠くヱホバをはなれて居れ此地はわれらの所有としてあたへらると言ふ

是故に汝言ふべしヱホバかく言ひたまふ我かれらを遠く逐やりて國々に散したればその往る國々に於て暫時の間かれらの聖所となると

是故に言ふべし主ヱホバかく言たまふ我なんぢらを諸の民の中より集へ汝等をその散されたる國々より聚めてイスラエルの地を汝らに與へん

彼等は彼處に到りその諸の汚たる者とその諸の憎むべき者を彼處より取除かん

我かれらに唯一の心を與へ新しき靈を汝らの衷に賦けん我かれらの身の中より石の心を取さりて肉の心を與ヘ

彼らをしてわが憲法に遵はしめ吾律法を守りて之を行はしむべし彼らはわが民となり我はかれらの神とならん

然どその汚れたる者とその憎むべき者の心をもておのれの心となす者等は我これが行ふところをその首に報ゆべし主ヱホバこれを言ふ

茲にケルビムその翼をあぐ輪その傍にありイスラエルの神の榮光その上に在す

ヱホバの榮光つひに邑の中より昇りて邑の東の山に立てり

時に靈われを擧げ神の靈に由りて異象の中に我をカルデヤに携へゆきて俘囚者の所にいたらしむ吾見たる異象すなはちわれを離れて昇れり

かくて我ヱホバの我にしめしたまひし言を盡く俘囚者に告たり

第12章

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ヱホバの言また我にのぞみて云ふ

人の子よ汝は背戻る家の中に居る彼等は見る目あれども見ず聞く耳あれども聞ず背戻る家なり

然ば人の子よ移住の器具を備へかれらの目の前にて晝の中に移れ彼らの目の前にて汝の處より他の處に移るべし彼等は背戻る家なれども或は見て考ふることあらん

汝移住の器具のごとき器具を彼等の目の前にて晝の中に持いだせ而して移住者の出ゆくがごとく彼等の目の前にて宵の中に出ゆくべし

即ちかれらの目の前にて壁をやぶりて之を其處より持いだせ

彼らの目の前にてこれを肩に負ひ黑暗の中にこれを持いだすべし汝の面を掩へ地を見るなかれ我汝を豫兆となしてイスラエルの家に示すなり

我すなはち命ぜられしごとく爲し移住の器具のごとき器具を晝の中に持いだし又宵に手をもて壁をやぶり黑暗の中にこれを持いだし彼らの目の前にてこれを肩に負り

明旦におよびてヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ背戻る家なるイスラエルの家汝にむかひて汝なにを爲やと言しにあらずや

汝かれらに言ふべし主ヱホバかく言たまふこの負荷はヱルサレムの君主および彼等の中なるイスラエルの全家に當るなり

汝また言ふべし我は汝等の豫兆なりわが爲るごとく彼等然なるべし彼等は擄へうつされん

彼らの中の君主たる者黑暗のうちに物を肩に載て出ゆかん彼等壁をやぶりて其處より物を持いだすべし彼はその面を覆ひて土地を目に見ざらん

我わが網を彼の上に打かけん彼はわが羅にかかるべし我かれをカルデヤ人の地に曳ゆきてバビロンにいたらしめん然れども彼はこれを見ずして其處に死べし

凡て彼の四周にありて彼を助くる者およびその軍兵は皆我これを四方に散し刀刃をぬきて其後をおふべし

吾がかれらを諸の民の中に散し國々に撒布さん時にいたりて彼らは我のヱホバなるをしるべし

但し我かれらの中に僅少の人を遺して劍と饑饉と疫病を免れしめ彼らをしてそのおこなひし諸の憎むべき事をその到るところの民の中に述しめん彼等はわがヱホバなるを知るにいたらん

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よ汝發震て食物を食ひ戰慄と恐懼をもて水を飮め

而してこの地の民に言べし主ヱホバ、ヱルサレムの民のイスラエルにをる者に斯いひたまふ彼等は懼れて食物を食ひ驚きて水を飮にいたるべし是はその地凡てその中に住る者の暴逆のために富饒をうしなひて荒地となるが故なり

人の住る邑々は荒はて國は滅亡ぶべし汝等すなはち我がヱホバなるを知ん

ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よイスラエルの國の中に汝等いふ日は延び默示はみな空しくなれりと是何の言ぞや

是故に汝彼等に言べし主ヱホバかくいひ給ふ我この言を止め彼等をして再びこれをイスラエルの中に言ことなからしめん即ち汝かれらに言へ其日とその諸の默示の言は近づけりと

イスラエルの家には此後重ねて空浮き默示と虛僞の占卜あらざるべし

夫我はヱホバなり我わが言をいださん吾いふところは必ず成んかさねて延ることあらじ背戻る家よ汝等が世にある日に我言を發して之を成すべし主ヱホバこれを言ふ

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よ視よイスラエルの家言ふ彼が見たる默示は許多の日の後の事にして彼は遙後の事を預言するのみと

是故にかれらに言ふべし主ヱホバかくいひたまふ我言はみな重ねて延ず吾がいへる言は成べしと主ヱホバこれを言ふなり

第13章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ預言を事とするイスラエルの預言者にむかひて預言せよ彼のおのれの心のままに預言する者等に言ふべし汝らヱホバの言を聽け

主ヱホバかくいひ給ふ彼の何をも見ずして己の心のままに行ふところの愚なる預言者は禍なるかな

イスラエルよ汝の預言者は荒墟にをる狐のごとくなり

汝等は破壞口を守らずまたイスラエルの家の四周に石垣を築きてヱホバの日に防ぎ戰はんともせざるなり

彼らは虛浮者および虛妄の占卜を見る彼等はヱホバいひたまふと言ふといへどもヱホバはかれらを遣さざるなり然るに彼らその言の成らんことを望む

汝らは空しき異象を見虛妄の占卜を宣べ吾が言ふことあらざるにヱホバいひ給ふと言ふにあらずや

是故に主ヱホバかくいひたまふ汝等空虛き事を言ひ虛僞の物を見るによりて我なんぢらを罰せん主ヱホバこれをいふ

我手はかの虛浮き事を見虛僞の事を卜ひいふところの預言者等に加はるべし彼等はわが民の會にをらずなりイスラエルの家の籍にしるされずイスラエルの地にいることをえざるべし汝等すなはち吾のヱホバなるをしるにいたらん

かれらは吾民を惑はし平安あらざるに平安といふ又わが民の屏を築くにあたりて彼等灰砂をもて之を圬る

是故にその灰砂を圬る者に是は圮るべしと言へ大雨くだらん雹よ降れ大風よ吹べし

視よ屏は圮る然ば人々汝等が用ひて圬たる灰砂は何處にあるやと汝等に言ざらんや

即ち主ヱホバかく言たまふ我憤恨をもて大風を吹せ忿怒をもて大雨を注がせ憤恨をもて雹を降せてこれを毀つべし

我なんぢらが灰砂をもて圬たる屏を毀ちてこれを地に倒しその基礎を露にすべし是すなはち圮れん汝等はその中にほろびて吾のヱホバなるを知にいたらん

斯われその屏とこれを灰砂にてぬれる者とにむかひてわが憤恨を洩しつくして汝等にいふべし屏はあらずなり又灰砂にてこれを圬る者もあらずなれりと

是すなはちイスラエルの預言者等なり彼等はヱルサレムにむかひて預言をなし其處に平安のあらざるに平安の默示を見たりといへり主ヱホバこれをいふ

人の子よ汝の民の女等の其心のままに預言する者に汝の面をむけ之にむかひて預言し

言べし主ヱホバかくいひたまふ吾手の節々の上に小枕を縫つけ諸の大さの頭に帽子を造り蒙せて靈魂を獵んとする者は禍なるかな汝等はわが民の靈魂を獵て己の靈魂を生しめんとするなり

汝等小許の麥のため小許のパンのために吾民の前にて我を汚しかの僞言を聽いるる吾民に僞言を陳て死べからざる者を死しめ生べからざる者を生しむ

是故に主ヱホバかくいひたまふ我汝等が用ひて靈魂を獵ところの小枕を奪ひ靈魂を飛さらしめん我なんぢらの臀より小枕を裂とりて汝らが獵ところの靈魂を釋ち其靈魂を飛さらしむべし

我なんぢらの帽子を裂き吾民を汝らの手より救ひいださん彼等はふたたび汝等の手に陷りて獵れざるべし汝らは吾ヱホバなるを知にいたらん

汝等虛僞をもて義者の心を憂へしむ我はこれを憂へしめざるなり又汝等惡者の手を強くし之をしてその惡き道を離れかへりて生命を保つことをなさしめず

是故に汝等は重ねて虛浮き物を見ることを得ず占卜をなすことを得ざるに至るべし我わが民を汝らの手より救ひいださん汝等すなはちわがヱホバなるを知にいたるべし

第14章

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爰にイスラエルの長老の中の人々我にきたりて吾前に坐しけるに

ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よこの人々はその偶像を心の中に立しめ罪に陷いるるところの障礙をその面の前に置なり我あに是等の者の求を容べけんや

然ば汝かれらに告げて言ふべし主ヱホバかくいひたまふ凡そイスラエルの家の人のその心の中に偶像を立しめその面のまへに罪に陷いるるところの障礙を置きて預言者に來る者には我ヱホバその偶像の多衆にしたがひて應をなすべし

斯して我イスラエルの家の人の心を執へん是かれら皆その偶像のために我を離れたればなり

是故にイスラエルの家に言ふべし主ヱホバかくいひたまふ汝等悔い汝らの偶像を棄てはなるべし汝等面を回らしてその諸の憎むべき物を離れよ

凡てイスラエルの家およびイスラエルに寓るところの外國人若われを離れてその偶像を心の中に立しめ其面の前に罪に陷るるところの障礙をおきて預言者に來りその心のままに我に求むる時は我ヱホバわが心のままにこれに應ふべし

即ち我面をその人にむけこれを滅して兆象となし諺語となし之をわが民の中より絕さるべし汝等これによりて我がヱホバなるを知るにいたらん

もし預言者欺かれて言を出すことあらば我ヱホバその預言者を欺けるなり我かれの上にわが手を伸べ吾民イスラエルの中より彼を絕さらん

彼等その罪を負ふべしその預言者の罪はかの問求むる者の罪のごとくなるべし

是イスラエルの民をして重ねて我を離れて迷はざらしめ重ねてその諸の愆に汚れざらしめんため又かれらの吾民となり我の彼らの神とならんためなり主ヱホバこれをいふ

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よ國もし悖れる事をおこなひて我に罪を犯すことあり我手をその上に伸て其杖とたのむところのパンを打碎き饑饉を之におくりて人と畜とをその中より絕ことある時には

其處にかのノア、ダニエル、ヨブの三人あるも只其義によりて己の生命を救ふことをうるのみなり主ヱホバこれをいふ

我もし惡き獸を國に行めぐらしめて之を子なき處となし荒野となして其獸のために其處を通る者なきに至らん時には

主ヱホバ言ふ我は活く此三人そこにをるもその子女を救ふことをえず只その身を救ふことを得るのみ國は荒野となるべし

又は我劍を國に臨ませて劍よ國を行めぐるべしと言ひ人と畜をそこより絕さらん時には

主ヱホバいふ我は活く此三人そこにをるもその子女をすくふことをえず只その身をすくふことを得るのみ

又われ疫病を國におくり血をもてわが怒をその上にそそぎ人と畜をそこより絕さらん時には

主ヱホバいふ我は活くノア、ダニエル、ヨブそこにをるもその子女を救ふことをえず只その義によりて己の生命を救ふことを得るのみ

主ヱホバかくいひたまふ然ばわが四箇の嚴しき罰すなはち劍と饑饉と惡き獸と疫病をヱルサレムにおくりて人と畜をそこより絕さらんとする時は如何にぞや

其中に逃れて遺るところの男子女子あり彼等携へ去らるべし彼ら出ゆきて汝等の所にいたらん汝らかれらの行爲と擧動を見ば吾がヱルサレムに災をくだせし事につきて心をやすむるにいたるべし

汝ら彼らの行爲と擧動を見ばこれがためにその心をやすむるにいたりわがこれに爲たる事は皆故なくして爲たるにあらざるなるをしるにいたらん主ヱホバこれを言ふ

第15章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ葡萄の樹森の中にあるところの葡萄の枝なんぞ他の樹に勝るところあらんや

其木物をつくるに用ふべけんや又人これを用ひて器をかくる木釘を造らんや

視よ是は火に投いれられて燃ゆ火もしその兩の端を燒くあり又その中間焦たらば爭でか物をつくるに勝べけんや

是はその全かる時すらも物を造るに用ふべからざれば况て火のこれを焚焦したる時には爭で物をつくるに用ふべけんや

是故に主ヱホバかく言たまふ我森の樹の中なる葡萄の樹を火になげいれて焚く如くにヱルサレムの民をも然するなり

我面をかれらに向けて攻む彼らは火の中より出たれども火なほこれを燒つくすべし我面をかれらにむけて攻むる時に汝らは我のヱホバなるをしらん

彼等悖逆る事をおこなひしに由て我かの地を荒地となすべし主ヱホバこれを言ふ

第16章

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ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よヱルサレムに其憎むべき事等を示して

言ふべし主ヱホバ、ヱルサレムに斯いひたまふ汝の起本汝の誕生はカナンの地なり汝の父はアモリ人汝の母はヘテ人なり

汝の誕生を言んに汝の生れし日に汝の臍帶を斷ことなく又水にて汝を洗ひ潔むることなく鹽をもて汝を擦ることなく又布に裹むことなかりき

一人も汝を憐み見憫をもて是等の事の一をも汝になせし者なし汝の生れたる日に人汝の生命を忌て汝を野原に棄たり

我汝のかたはらを通りし時汝が血の中にをりて踐るるを見汝が血の中にある時汝に生よと言り即ち我なんぢが血の中にある時に汝に生よといへり

我野の百卉のごとくに汝を増して千萬となせり汝は生長て大きくなり美しき姿となるにいたり乳は堅くなり髮は長たりしが衣なくして裸なりき

茲に我汝の傍を通りて汝を見に今は汝の時汝の愛せらるべき時なりければ我衣服の裾をもて汝を覆ひ汝の恥るところを蔽し而して汝に誓ひ汝に契約をたてたり汝すなはち吾所屬となれり主ヱホバこれを言ふ

斯て我水をもてなんぢを洗ひ汝の血を滌ぎおとして膏を汝にぬり

文繡あるものを着せ皮の鞋を穿たしめ細布を蒙らせ絹をもて汝の身を罩めり

而して飾物をもて汝をかざり腕環をなんぢの手にはめ金索を汝の項にかけしめ

鼻には鼻環 耳には耳環 首には華美なる冠冕をほどこせり

汝すなはち金銀をもて身を飾り細布と絹および文繡をその衣服となし麥粉と蜜と油とを食へり汝は甚だ美しくして遂に榮えて王の權勢に進みいたる

汝の美貌のために汝の名は國々にひろまれり是わが汝にほどこせしわれの飾物によりて汝の美麗極りたればなり主ヱホバこれを言ふ

然るに汝その美麗を恃み汝の名によりて姦淫をおこなひ凡て其傍を過る者と縱恣に姦淫をなしたり是その人の所屬となる

汝おのれの衣服をとりて崇邱を彩り作りその上に姦淫をおこなへり是爲べからず有べからざる事なり

汝はわが汝にあたへし金銀の飾の品を取り男の像を造りて之と姦淫をおこなひ

汝の繡衣を取りて之に纒ひ吾の膏と香をその前に陳へ

亦わが汝にあたへし我の食物我が用ひて汝をやしなふところの麥粉油および蜜を其前に陳へて馨しき香氣となせり是事ありしと主ヱホバいひ給ふ

汝またおのれの我に生たる男子女子をとりてこれをその像にそなへて食はしむ汝が姦淫なほ小き事なるや

汝わが子等を殺し亦火の中を通らしめてこれに献ぐ

汝その諸の憎むべき事とその姦淫とをおこなふに當りて汝が若かりし日に衣なくして裸なりしことおよび汝が血のうちにをりて蹈れしことを想はざるなり

主ヱホバまた言たまふ汝は禍なるかな禍なるかな

汝その諸の惡をおこなひし後街衢街衢に樓をしつらひ臺を造り

また路の辻々に臺をつくりて汝の美麗を汚辱むることを爲し凡て傍を過るところの者に足をひらきて大に姦淫をおこなふ

汝かの肉の大なる汝の隣人エジプトの人々と姦淫をおこなひ大に姦淫をなして我を怒らせたれば

我手を汝の上にのべて汝のたまはる分を減し彼の汝を惡み汝の淫なる行爲を羞るところのペリシテ人の女等の心に汝をまかせたり

然るに汝は厭ことなければ亦アツスリヤの人々と姦淫をおこなひしが之と姦淫をおこなひたるも尚厭ことなかりき

汝また大に姦淫をおこなひてカナンの國カルデヤに迄およびしが是にても尚厭ことなし

主ヱホバいひたまふ汝の心如何に戀煩ふにや汝この諸の事を爲り是氣隨なる遊女の行爲なり

汝道の辻々に樓をしつらひ衢々に臺を造りしが金錢を輕んじたれば娼妓のごとくならざりき

夫淫婦はその夫のほかに他人と通ずるなり

人は凡て娼妓に物を贈るなるに汝はその諸の戀人に物をおくり且汝と姦淫せんとて四方より汝に來る者に報金を與ふ

汝は姦淫をおこなふに當りて他の婦と反す即ち人汝を戀求むるにあらざるなり汝金錢を人にあたへて人金錢を汝にあたへざるは是その相反するところなり

然ば娼妓よヱホバの言を聽け

主ヱホバかく言たまふ汝金銀を撒散し且汝の戀人と姦淫して汝の恥處を露したるに由り又汝の憎むべき諸の偶像と汝が之にささげたる汝の子等の血の故により

視よ我汝が交れる諸の戀人および凡て汝が戀たる者並に凡て汝が惡みたる者を集め四方よりかれらを汝の所に集め汝の恥處を彼らに現さん彼ら汝の恥處を悉く見るべし

我姦淫を爲せる婦および血をながせる婦を鞫くがごとくに汝を鞫き汝をして忿怒と嫉妬の血とならしむべし

我汝を彼等の手に付せば彼等汝の樓を毀ち汝の臺を倒しなんぢの衣服を褫取り汝の美しき飾を奪ひ汝をして衣服なからしめ裸にならしむべし

彼等群衆をひきゐて汝の所にのぼり石をもて汝を撃ち劍をもて汝を切さき

火をもて汝の家を焚き多くの婦女の目の前にて汝を鞫かん斯われ汝をして姦淫を止しむべし汝は亦ふたたび金錢をあたふることなからん

我ここに於て汝に對するわが怒を息め汝にかかはるわが嫉妬を去り心をやすんじて復怒らざらん

主ヱホバいひたまふ汝その若かりし日の事を記憶えずしてこの諸の事をもて我を怒らせたれば視よ我も汝の行ふところを汝の首に報ゆべし汝その諸の憎むべき事の上に此惡事をなしたるにあらざるなり

視よ諺語をもちふる者みな汝を指てこの諺を用ひ言ん母のごとくに女も然りと

汝の母はその夫と子女を棄たり汝はその女なり汝の姉妹はその夫と子女を棄たり汝はその姉妹なり汝の母はヘテ人汝の父はアモリ人なり

汝の姉はサマリヤなり彼その女子等とともに汝の左に住む汝の妹はソドムなり彼その女子等とともに汝の右に住む

汝は只少しく彼らの道に歩み彼らの憎むべきところの事等を行ひしのみにあらず汝の爲る事は皆かれらのよりも惡かりき

主ヱホバ言たまふ我は活く汝の妹ソドムと其女子らが爲しところは汝とその女子らが爲しところの如くはあらざりき

汝の妹ソドムの罪は是なり彼は傲り食物に飽きその女子らとともに安泰にをり而して難める者と貧しき者を助けざりき

かれらは傲りわが前に憎むべき事をなしたれば我見てかれらを掃ひ除けり

サマリヤは汝の罪の半分ほども罪を犯さざりき汝は憎むべき事等を彼らよりも多く行ひ増し汝の爲たる諸の憎むべき事のために汝の姉妹等をして義きが如くならしめたり

然ば汝が曾てその姉妹等の蒙るべき者と定めたるところの恥辱を汝もまた蒙れよ汝が彼等よりも多くの憎むべき事をなしたるその罪の爲に彼等は汝よりも義くなれり然ば汝も辱を受け恥を蒙れ是は汝その姉妹等を義き者となしたればなり

我ソドムとその女等の俘囚をかへしサマリヤとその女等の俘囚をかへさん時に其と同じ擄はれたる汝の俘囚人を歸し

汝をして恥を蒙らしめ汝が凡て爲たるところの事を羞しむべし汝かく彼らの慰とならん

汝の姉妹ソドムとその女子等は舊の樣に歸りサマリヤとその女子等は舊の樣に歸らん又汝と汝の女子等も舊の樣にかへるべし

汝はその驕傲れる日には汝の姉妹ソドムの事を口に述ざりき

汝の惡の露れし時まで即ちスリアの女子等と凡て汝の周圍の者ペリシテ人の女等が四方より汝を嬲りて辱しめし時まで汝は是のごとくなりき

ヱホバいひたまふ汝の淫なる行爲と汝のもろもろの憎むべき事とは汝みつからこれを身に負ふなり

主ヱホバかく言たまふ誓言を輕んじて契約をやぶりたるところの汝には我汝の爲るところにしたがひて爲べし

我汝の若かりし日に汝になせし契約を記憶え汝と限りなき契約をたてん

汝その姉妹の汝より大なる者と小き者とを得る時にはおのれの行爲をおぼえて羞ん彼等は汝の契約に屬する者にあらざれども我かれらを汝にあたへて女となさしむべし

我汝と契約をたてん汝すなはち吾のヱホバなるを知にいたらん

我なんぢの凡て行ひしところの事を赦す時には汝憶えて羞ぢその恥辱のために再び口を開くことなかるべし主ヱホバこれを言ふ

第17章

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爰にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ汝イスラエルの家に謎をかけ譬言を語りて

言べし主ヱホバかく言たまふ大なる翼長き羽ありて種々の色の毛の滿たる大鷲レバノンに來りて香柏の梢を採り

其芽の巓を摘みカナンの地にこれを持きたりて商人の邑に置きけるが

又その地の種をとりて之を種田に播けりすなはち之を水の多き處にもちゆきて柳のごとくにこれを樹しに

成長ちて丈卑き垂さがりたる葡萄樹となり其枝は鷲にむかひその根は鷲の下にあり遂に葡萄樹となりて芽をふき葉を出す

此に又大なる翼多くの羽ある一箇の大鷲ありしがその葡萄樹根をこれにむかひて張り枝をこれにむかひて伸べ之をしてその植りたる地の外より水を灌がしめんとす

抑是を善き圃に多くの水の旁に植たるは根を張り實をむすびて盛なる葡萄樹とならしめんためなりき

なんぢ主ヱホバかく言ふといふべし是旺盛になるや鷲その根を拔きその果を絕ちて之を枯しめざらんや其芽の若葉は皆枯ん之を根より擧るには強き腕と多くの人を用ふるにおよばざるなり

是は樹られたれども旺盛にならんや東風これに當らば枯果てざらんや是その生ひたるところの地に枯べし

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

背ける家に言ふべし汝等此の何たるを知ざるかと又言へ視よバビロンの王ヱルサレムに來りその王とその牧伯等を執へてこれをバビロンに曳ゆけり

彼また王の族の一人を取てこれと契約を立て誓言をなさしめ又國の強き者等を執へゆけり

是この國を卑くして自ら立つことを得ざらしめその人をして契約を守りてこれを堅うせしめんがためなりき

然るに彼これに背きて使者をエジプトに遣し馬と多くの人を己におくらしめんとせり彼旺盛にならんや是を爲る者逃るることをえんや彼その契約をやぶりたり爭で逃るることを得んや

主ヱホバいひたまふ我は活く必ず彼は己を王となしたる彼王の處に偕にをりてバビロンに死べし彼その王の誓言を輕んじ其契約を破りたるなり

夫壘を築き雲梯を建てて衆多の人を殺さんとする時にはパロ大なる軍勢と衆多の人をもて彼のために戰爭をなさじ

彼は誓言を輕んじて契約を破る彼手を與へて却つて此等の事をなしたれば逃るることを得ざるべし

故に主ヱホバかく言たまふ我は活く彼が我の誓言を輕んじ我の契約をやぶりたる事を必ずかれの首にむくいん

我わが網をかれの上にうちかけ彼をわが羅にとらへてバビロンに曳ゆき彼が我にむかひて爲しところの叛逆につきて彼を鞫くべし

彼の諸の軍隊の逃脱者は皆刀に仆れ生殘れる者は八方に散さるべし汝等は我ヱホバがこれを言しなるを知にいたらん

主ヱホバかく言たまふ我高き香柏の梢の一を取てこれを樹ゑその芽の巓より若芽を摘みとりて之を高き勝れたる山に樹べし

イスラエルの高山に我これを植ん是は枝を生じ果をむすびて榮華なる香柏となり諸の類の鳥皆その下に棲ひその枝の蔭に住はん

是に於て野の樹みな我ヱホバが高き樹を卑くし卑き樹を高くし綠なる樹を枯しめ枯木を綠ならしめしことを知ん我ヱホバこれを言ひ之を爲なり

第18章

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ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

汝等なんぞイスラエルの地に於て此諺語を用ひ父等酸き葡萄を食ひたれば子等の齒齼くと言ふや

主ヱホバいふ我は生く汝等ふたたびイスラエルに於てこの諺語をもちふることなかるべし

夫凡の靈魂は我に屬す父の靈魂も子の靈魂も我に屬するなり罪を犯せる靈魂は死べし

若人正義して公道と公義を行ひ

山の上に食をなさず目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず人の妻を犯さず穢れたる婦女に近づかず

何人をも虐げず質物を還し物を奪はずその食物を飢る者に與へ裸なる者に衣を着せ

利を取て貸さず息を取ず手をひきて惡を行はず眞實の判斷を人と人の間になし

わが法憲にあゆみ又吾が律例を守りて眞實をおこなはば是義者なり彼は生べし主ヱホバこれを言ふ

然ど彼子を生んにその子暴き者にして人の血をながし是の如き事の一箇を行ひ

是をば凡て行はずして山の上に食をなし人の妻を犯し

惱める者と貧しき者を虐げ物を奪ひ質物を還さず目をあげて偶像を仰ぎ憎むべき事をおこなひ

利をとりて貸し息を取ば彼は生べきや彼は生べからず彼この諸の憎むべき事をなしたれば必ず死べしその血はかれに歸せん

又子生れんに其子父のなせる諸の罪を視しかども視て斯有ことを行はず

山の上に食をなさず目をあげてイスラエルの家の偶像を仰がず人の妻を犯さず

何人をも虐げず質物を存留めず物を奪はず飢る者にその食物を與へ裸なる者に衣を着せ

その手をひきて惱める者を苦めず利と息を取ずわが律法を行ひわが法度に歩まば彼はその父の惡のために死ことあらじ必ず生べし

その父は甚だしく人を掠めその兄弟を痛く虐げその民の中に善らぬ事をなしたるに由てその惡のために死べし

しかるに汝等は子なんぞ父の惡を負ざるやと言ふ夫子は律法と公義を行ひわが凡ての法度を守りてこれを行ひたれば必ず生べし

罪を犯せる靈魂は死べし子は父の惡を負ず父は子の惡を負ざるなり義人の義はその人に歸し惡人の惡はその人に歸すべし

然ど惡人もしその凡て行ひしところの惡を離れわが諸の法度を守り律法と公義を行ひなばかならず生ん死ざるべし

その爲しところの咎は皆記念られざるべしその爲し義き事のために彼は生べし

主ヱホバ言たまふ我爭で惡人の死を好まんや寧彼がその道を離れて生んことを好まざらんや

若義人その義をはなれて惡を行ひ惡人の爲る諸の憎むべき事をなさば生べきや其なせし義き事は皆記念られざるべし彼はその爲る咎とその犯せる罪とのために死べし

然るに汝等主の道は正しからずと言ふ然ばイスラエルの家よ聽け吾道正しからざるやその正しからざる者は汝らの道にあらずや

若義人その義をはなれて惡を爲し其がために死ることあらば是その爲る惡のために死るなり

若惡人その爲る惡をはなれて律法と公義を行はばその靈魂を生しむることをえん

彼もし視てその行ひし諸の咎を離れなば必ず生ん死ざるべし

然るにイスラエルの家は主の道は正しからずといふイスラエルの家よわが道正しからざるやその正しからざる者は汝らの道にあらずや

主ヱホバいひ給ふ是故に我汝らをば各その道にしたがひて審くべし汝らその諸の咎を悔改めよ然らば惡汝らを躓かせて滅ぼすことなかるべし

汝等その行ひし諸の罪を棄去り新しき心と新しき靈魂を起すべしイスラエルの家よ汝らなんぞ死べけんや

我は死者の死を好まざるなり然ば汝ら悔て生よ主ヱホバこれを言ふ

第19章

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汝イスラエルの君等のために哀の詞をのべて

言ふべし汝の母なる牝獅は何故に牡獅の中に伏し小獅の中にその子を養ふや

彼その一の子を育てたれば小獅となりて食を攫ことを學ひ遂に人を食へり

國々の人これの事を聞きこれを陷阱にて執へ鼻環をほどこしてこれをエジプトの地にひきいたれり

牝獅姑く待しがその望を失ひしを見たれば又一個の子を取てこれを小獅とならしむ

是すなはち牝獅の中に歩みて小獅となり食を攫ことを學ひしが亦人を食ひ

其寡婦をしりその邑々を滅せりその咆哮聲によりてその地とその中に盈る者荒たり

是をもて四方の國人その國々より攻來り網をこれにうちかけ陷阱にてこれを執へ

鼻環をほどこして籠にいれ之をバビロンの王の許に曳いたりて城の中に携へ入れ其聲を再びイスラエルの山々に聞えざらしむ

汝の母は汝の血にして水の側に植たる葡萄樹のごとし水の多きがために結實多く蔓はびこれり

是に強き枝ありて君王等の杖となすべし是の長は雲に至りその衆多の枝のために高く聳えて見へたり

然るに是怒をもて拔れて地に擲たる東風その實を吹乾かしその強き枝は折れて枯れ火に焚る

今これは荒野にて乾ける水なき地に植りてあり

その枝の芽より火いでてその果を燒けば復強き枝の君王等の杖となるべき者其になし是哀の詞なり哀の詞となるべし

第20章

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七年の五月十日にイスラエルの長老の中の人々ヱホバに問んとて來りてわが前に坐しけるに

ヱホバの言我にのぞみて云ふ

人の子よイスラエルの長老等に告て之にいふべし主ヱホバかく言ふ汝等我に問んとて來れるや主ヱホバいふ我は活く我汝らの問を容じと

汝かれらを鞫かんとするや人の子よ汝かれらを鞫かんとするや彼等の先祖等のなしたる憎むべき事等をかれらに知しめて

言べし主ヱホバかくいふ我イスラエルを選みヤコブの家の裔にむかひてわが手をあげエジプトの地にて我をかれらに知せかれらにむかひて吾手をあげて我は汝らの神ヱホバなりと言し日

その日に我かれらにむかひて吾手をあげエジプトの地よりかれらをいだし吾がかれらのために求め得たるその乳と蜜の流るる地に導かんとせり是諸の地の中の美しき者なり

而して我かれらに言けらく各人その目にあるところの憎むべき事等を棄てよエジプトの偶像をもてその身を汚すなかれ我は汝らの神ヱホバなりと

然るに彼らは我に背きて我に聽したがふことを好まざりき彼等一人もその目にあるところの憎むべき者を棄てずエジプトの偶像を棄てざりしかば我エジプトの地の中において吾憤恨をかれらに注ぎわが忿怒をかれらに洩さんと言り

然れども我わが名のために事をなして彼らをエジプトの地より導きいだせり是吾名の異邦人等の前に汚されざらんためなりその異邦人等の中に彼等居り又その前にて我おのれを彼等に知せたり

すなはち我エジプトの地より彼等を導き出して曠野に携ゆき

わが法憲をこれに授けわが律法をこれに示せり是は人の行ひて之に由て生べき者なり

我また彼らに安息日を與へて我と彼らの間の徴となしかれらをして吾ヱホバが彼らを聖別しを知しめんとせり

然るにイスラエルの家は曠野にて我に背き人の行ひて之によりて生べき者なるわが法度にあゆまず吾が律法を輕んじ大に吾が安息日を汚したれば曠野にてわが憤恨をかれらに注ぎてこれを滅さんと言ひたりしが

我わが名のために事をなせり是わが彼らを導きいだして見せしところの異邦人等の目のまへにわが名を汚されざらしめんためなりき

但し我曠野にて彼らにむかひて吾手をあげ彼らをわが與へしその乳と蜜の流るる地に導かじと誓へり是は諸の地の中の美しき者なり

是かれら心にその偶像を慕ひてわが律法を輕んじ棄てわが法憲にあゆまずわが安息日を汚したればなり

然りといへども吾かれらを惜み見てかれらを滅ぼさず曠野にて彼らを絕さざりき

我曠野にてかれらの子等に言り汝らの父の法度にあゆむなかれ汝らの律法を守るなかれ汝らの偶像をもて汝らの身を汚すなかれ

我は汝らの神ヱホバなり吾法度にあゆみ吾律法を守りてこれを行ひ

わが安息日を聖くせよ是は我と汝らの間の徴となりて汝らをして我が汝らの神ヱホバなるを知しめんと

然るにその子等我にそむき人の行ひてこれによりて活べき者なるわが法度にあゆまず吾律法をまもりて之をおこなはずわが安息日を汚したれば我わが憤恨を彼らにそそぎ曠野にてわが忿怒をかれらに洩さんと言たりしが

吾手を翻してわが名のために事をなせり是わが彼らを導き出して見せしところの異邦人等の目のまへにわが名を汚されざらしめんためなりき

但し我汝らを國々に散し處々に撒んと曠野にてかれらにむかひて我手を擧たり

是かれらわが律法を行はずわが法度を輕じわが安息日をけがしその父の偶像を目に慕ひたればなり

我かれらに善らぬ法度を與へかれらが由て活べからざる律法を與へ

彼らをしてその禮物によりて己の身を汚さしむ即ちかれらその長子をして火の中を通過しめたり是は我彼らを滅し彼らをして我のヱホバなるを知しめんためなり

然ば人の子よイスラエルの家につげて之にいふべし主ヱホバかくいひたまふ彼らの父等は更にまた不忠の罪ををかし我を瀆せり

我わが彼らに與へんと手をあげし此地にかれらを導きいれしに彼ら諸の高丘と諸の茂樹を尋ね得てその犠牲を其處に供へその憤らしき禮物をそこに獻げその馨しき佳氣をそこに奉つりその神酒をそこに灌げり

我かれらに言り汝らが往ところの崇き處は何なるやと其名は今日にいたるまでバマと言ふなり

この故にイスラエルの家に言ふべし主ヱホバかくいひたまふ汝らの先祖の途をもて汝らはその身を汚し彼等の憎むべき物をしたひてこれと姦淫を行ふにあらずや

汝等はその禮物を獻げその子女に火の中を通らしめて今日にいたるまで汝らの諸の偶像をもてその身を汚すなり然ばイスラエルの家よ我なんぢらの問を容るべけんや主ヱホバいふ我は活く我は汝らの問を容ざるなり

汝ら我儕は木と石に事へて異邦人の如くなり國々の宗族のごとくならんと言ば汝らの心に起るところの事は必ず成ざるべし

主ヱホバいふ我は生く我かならず強き手と伸たる腕をもて怒を注ぎて汝らを治めん

我強き手と伸たる腕をもて怒を注ぎて汝らを國々より曳いだし汝らが散れたる處々より汝らを集め

國々の曠野に汝らを導き其處にて面をあはせて汝らを鞫かん

主ヱホバいふ我エジプトの曠野にて汝らの先祖等を鞫きしごとくに汝らを鞫くべし

我なんぢらをして杖の下を通らしめ契約の索に汝らを入しめ

汝らの中より背ける者および我に悖れる者を別たんその寓れる地より我かれらをいだすべし彼らはイスラエルの地に來らざるべし汝らすなはち我のヱホバなるを知ん

然ばイスラエルの家よ主ヱホバかくいふ汝等おのおの往てその偶像に事へよ然ど後には汝らかならず我に聽て重てその禮物と偶像をもてわが名を汚さざるべし

主ヱホバいふ吾が聖山の上イスラエルの高山の上にてイスラエルの全家その地の者皆我に事へん其處にて我かれらを悦びて受納ん其處にて我なんぢらの獻物および初成の禮物すべて汝らが聖別たる者を求むべし

我汝らを國々より導き出し汝らが散されたる處々より汝らを集むる時馨しき香氣のごとくに汝らを悦びて受納れ汝らによりて異邦人等の目のまへに我の聖ことをあらはすべし

我が汝らをイスラエルの地すなはちわが汝らの先祖等にあたへんと手をあげしところの地にいたらしめん時に汝等は我のヱホバなるを知るにいたらん

汝らは其身を汚したるところの汝らの途と汝らのもろもろの行爲を彼處にて憶え其なしたる諸の惡き作爲のために自ら恨み視ん

イスラエルの家よ我汝らの惡き途によらず汝らの邪なる作爲によらずして吾名のために汝等を待はん時に汝らは我のヱホバなるを知るにいたらん主ヱホバこれを言ふなり

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よ汝の面を南方に向け南にむかひて言を垂れ南の野の森の事を預言せよ

すなはち南の森に言ふべしヱホバの言を聽け主ヱホバかく言ふ視よ我なんぢの中に火を燃さん是なんぢの中の諸の靑樹と諸の枯木を焚べしその烈しき火焰消ることなし南より北まで諸の面これがために燒ん

肉ある者みな我ヱホバのこれを燒しなるを見ん是は消ざるべし

我是において言り嗚呼主ヱホバよ人われを指て言ふ彼は譬言をもて語るにあらずやと

第21章

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ヱホバの言われにのぞみて言ふ

人の子よ汝の面をヱルサレムに向け聖き處々にむかひて言を垂れイスラエルの地にむかひて預言し

イスラエルの地に言ふべしヱホバかく言ふ視よ我汝を責め吾刀を鞘より拔はなし義者と惡者とを汝の中より絕ん

我義者と惡者とを汝の中より絕んとすればわが刀鞘より脱出て南より北までの凡て肉ある者を責ん

肉ある者みな我ヱホバのその刀を鞘より拔はなちしを知らん是は歸りをさまらざるべし

人の子よ腰の碎くるまでに歎き彼らの目のまへにて痛く歎け

人汝に何て歎くやと言ば汝言べし來るところの風聞のためなり心みな鎔け手みな痿え魂みな弱り膝みな水とならん視よ事いたれりかならず成ん主ヱホバこれを言ふ

ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ預言して言ふべしヱホバかく言ふ劍あり研ぎ且磨きたる劍あり

是は大に殺す事をなさんがために研てあり光り閃かんがために磨きてあり我子の杖は萬の樹を藐視ずとて我等喜ぶべけんや

是を手に執んために與へて磨かしむ是劍は殺す者の手に付さんために之を研かつ磨かしむるなり

人の子よ叫び哭け其は是わが民の上に臨みイスラエルの諸の牧伯等の上に臨めばなり彼らはわが民とともに劍に仆る故に汝腿を撃べし

その試すでに成る若かの藐視ずるところの杖きたらずば如何ぞや主ヱホバこれを言ふ

人の子よ汝預言し手を拍べし劍人を刺透すところの劍三倍に働かん是は人を刺透し大なる者を殺すところの劍にして彼らを責る者なり

彼らの心を鎔し礙く物を増んがために我拔身の劍をその諸の門に立つ嗚呼是は光ひらめき脱いでて人を殺さんとす

汝合して右に向へ進んで左に向へ汝の刃の向ふところに隨ヘ

我また吾手を拍ちわが怒を靜めん我ヱホバこれを言ふなり

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よバビロンの王の劍の由て來るべき二の途を設けよ其二の途を一の國より出しめて道標の記號を畵き邑の途の首處にこれを畵くべし

汝またアンモンの子孫のラバとユダの堅き城の邑ヱルサレムとに劍のきたるべき途を設けよ

バビロンの王その道の首處その途の岐處に止りて占卜をなし箭を搖りテラピムに問ひ肝を察べをるなり

彼の右にヱルサレムといふ占卜いづ云く破城槌を備へ口をひらきて喊き殺し聲をあげて吶喊を作り門にむかひて破城槌を備へ壘をきづき雲梯を建べしと

是はかれらの目には虛僞の占考と見ゆ聖き誓言かれらに在ばなり然れども彼罪を憶ひおこさしむ即ちかれらは取るべし

是故に主ヱホバかく言ふ汝ら旣にその罪を憶おこさしめて汝らの愆著明になりたれば汝らの罪その諸の行爲に顯る汝ら旣に憶いださるれば必ず手に執へらるべし

汝刺透さるる者罪人イスラエルの君主よ汝の罪その終を來らしめて汝の罰せらるる日至る

主ヱホバかく言ふ冕旒を去り冠冕を除り離せ是は是ならざるべし卑き者は高くせられ高き者は卑くせられん

我顚覆をなし顚覆をなし顚覆を爲ん權威を持べき者の來る時まで是は有ことなし彼に我之を與ふ

人の子よ汝預言して言べし主ヱホバ、アンモンの子孫とその嘲笑につきて斯言ふと即ち汝言べし劍あり劍あり是殺すことのために拔てあり滅すことのために磨きありて光ひらめくなり

人なんぢに虛淨を預言し汝に假僞の占考を示して汝をその殺さるる惡人の頸の上に置んとす彼らの罪その終を來らしめて彼らの罰せらるる日いたる

これをその鞘にかへし納めよ汝の造られし處なんぢの生れし地にて我汝を鞫き

わが怒を汝に斟ぎ吾憤恨の火を汝にむかひて燃し狂暴人滅すことに巧なる者の手に汝を付すべし

汝は火の薪となり汝の血は國の中にあらん汝は重ねて憶えらるることなかるべし我ヱホバこれを言ばなり

第22章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ汝鞫かんとするや此血を流すところの邑を鞫かんとするや汝これにその諸の憎むべき事を示して

言へ主ヱホバかく言ふ己の中に血を流してその罰せらるる時を來らせ己の中に偶像を作りてその身を汚すところの邑よ

汝はその流せる血によりて罪を得その作れる偶像をもて身を汚し汝の日を近づかせすでに汝の年にいたれり是故に我汝を國々の嘲とならしめ萬國の笑とならしむべし

汝に近き者も遠き者も汝が名の汚れたると混亂の多きとを笑はん

視よイスラエルの君等各その力にしたがひて血を流さんと汝の中にをる

彼ら汝の中にて父母を賤め汝の中にて他國の人を虐げ汝の中にて孤兒と寡婦を惱ますなり

汝わが聖き物を賤めわが安息日を汚す

人を譖づる者血を流さんと汝の中にあり人汝の中にて山の上に食をなし汝の中にて邪淫をおこなひ

汝の中にてその父の妻に交り汝の中にて月經のさはりに穢れたる婦女を犯す

又汝の中にその鄰の妻と憎むべき事をおこなふものあり邪淫をおこなひてその嫁を犯すものありその父の女なる己の姊妹を犯すものあり

人汝の中にて賄賂をうけて血を流すことをなすなり汝は利と息を取り汝の隣の物を掠め取り又我を忘る主ヱホバこれを言ふ

見よ我汝が掠めとる事をなし且血を汝の中に流すによりて我手を拍つ

我が汝を攻る日には汝の心堅く立ち汝の手強くあることを得んや我ヱホバこれを言ひこれをなすなり

我汝を異邦の中に散し國々の中に播き全く汝の汚穢を取のぞくべし

汝は己の故によりて異邦人の目に汚れたる者と見えん而して汝我のヱホバなるを知べし

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よイスラエルの家は我に渣滓のごとくなれり彼等は凡て爐の中の銅錫鐵鉛のごとし彼らは銀の渣滓のごとく成れり

此故に主ヱホバかく言ふ汝らは皆渣滓となりたれば視よ我なんぢらをヱルサレムの中に集む

人の銀銅鐵鉛錫を爐の中に集め火を吹かけて鎔すが如く我怒と憤をもて汝らを集め入て鎔すべし

即ち我汝らを集め吾怒の火を汝らに吹かけん汝らはその中に鎔ん

銀の爐の中に鎔るがごとくに汝らはその中に鎔け我ヱホバが怒を汝らに斟ぎしを知にいたらん

ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ是に言ふべし汝は怒の日に日も照らず雨もふらざる地なり

預言者等の徒黨その中にありその食を撕くところの吼ゆる獅子のごとくに彼らは靈魂を呑み財寶と貴き物を取り寡婦をその中に多くす

その祭司等はわが法を犯しわが聖き物を汚し聖きと聖からざるとの區別をなさず潔きと穢たるとの差別を敎へずその目を掩ひてわが安息日を顧みず我はかれらの中に汚さる

その中にある公伯等は食を撕くところの豺狼のごとくにして血をながし靈魂を滅し物を掠めとらんとす

その預言者等は灰砂をもて是等を塗り虛浮物を見僞の占卜を人になしヱホバの告あらざるに主ヱホバかく言たまふと言ふなり

國の民は暴虐をおこなひ奪ふ事をなし難める者と貧き者を掠め道に反きて他國の人を虐ぐ

我一箇の人の國のために石垣を築き我前にあたりてその破壞處に立ち我をして之を滅さしめざるべき者を彼等の中に尋れども得ざるなり

主ヱホバいふ是故に我わが怒を彼らに斟ぎわが憤の火をもて彼らを滅し彼らの行爲をその首に報ゆ

第23章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ爰に二人の婦女あり一人の母の女子なり

彼等エジプトにおいて淫を行ひその少き時に淫を行へり即ち彼處において人かれらの乳を拈り彼處においてその處女の乳房に觸る

その名は姊はアホラ妹はアホリバと云ふ彼ら我に歸して男子女子を生り彼らの本名はアホラはサマリヤと言ひアホリバはヱルサレムと云ふなり

アホラは我有たる間に淫を行ひてその戀人等に焦れたり是すなはちその隣なるアツスリヤ人にして

紫の衣を着る者牧伯たる者督宰たる者なり是等は皆美麗き秀でたる人馬に乗る者なり

彼凡てアツスリヤの秀でたる者と淫を行ひ且その焦れたる諸の者すなはちその諸の偶像をもてその身を汚せり

彼またエジプトよりの淫行を捨ざりき即ち彼の少き時に彼ら彼と寢ねその處女の乳房にさはりその淫慾を彼の身の上に洩せり

是故に我彼をその戀人の手に付しその焦れたるアツスリヤの子孫の手に付せり

是に於て彼等かれの陰所を露しその子女を奪ひ劍をもて彼を殺して婦人の中にその名を聞えしめその身の上に鞫を行へり

彼の妹アホリバこれを見彼よりも甚だしくその慾を縱恣にしその姊の淫行よりもましたる淫行をなし

その隣なるアツスリヤの人々に戀焦れたり彼らはすなはち牧伯たる者 督宰たる者 華美に粧ひたる者 馬に騎る者にして皆美しき秀でたる者なり

我かれがその身を汚せしを見たり彼らは共に一の途をあゆめり

彼その淫行を増り彼壁に彫つけたる人々を見たり是すなはち朱をもて壁に彫つけたるカルデヤ人の像にして

腰には帶を結び首には垂さがれる帓巾を戴けり是等は皆君王たる者の形ありてその生れたる國なるカルデヤのバビロン人に似たり

彼その目に是等を見てこれに戀焦れ使者をカルデヤにおくりて之にいたらしむ

是に於てバビロンの人々彼の許にきたりて戀の床に就きその淫行をもて彼を汚したりしが彼らにその身を汚さるるにおよびて彼その心にかれらを疎んず

彼その淫行を露しその陰所を顯したれば我心彼を疎んず吾心かれの姊を疎んじたるがごとし

彼その淫行を増しその少き日にエジプトに於て淫をおこなひし事を憶え

彼らの戀人に焦るその人の肉は驢馬の肉のごとく其精は馬の精のごとし

汝は己の少き時にエジプト人が汝の處女の乳房のために汝の乳にさはりたる時の淫行を顧みるなり

この故に主ヱホバかく言ふアホリバよ我汝が心に疎んずるに至りしところの戀人等を激して汝を攻しめ彼らをして四方より汝に攻きたらしむべし

即ちバビロンの人々およびカルデヤの諸の人々ペコデ、シヨワ、コア並にアツスリヤの諸の人々美しき秀でたる人々牧伯等および督宰等 大君および名高き人 凡て馬に騎る者

鋒車および輪を持ち衆多の民をひきゐて汝に攻め來り大楯小楯および兜をそなへて四方より汝に攻かからん我裁判をかれらに委ぬべし彼らすなはち其律法によりて汝を鞫かん

我汝にむかひてわが嫉妬を發すれば彼ら怒をもて汝を待ひ汝の鼻と耳を切とるべし汝のうちの存れる者は劍に仆れん彼ら汝の子女を奪ふべし汝の中の殘れる者は火に燒ん

彼ら汝の衣を剝脱り汝の美しき妝飾を取べし

我汝の淫行を除き汝がエジプトの地より行ひ來れるところの邪淫を除き汝をして重て彼らに目をつけざらしめ再びエジプトの事を憶はざらしめん

主ヱホバかく言ふ視よ我汝が惡む者の手汝が心に疎ずる者の手に汝を付せば

彼ら怨憎をもて汝を待ひ汝の得たる物を盡く取り汝を赤裸に成おくべし是をもて汝が淫をおこなヘる陰所露にならん汝の淫行と邪淫もしかり

汝異邦人を慕ひて淫をおこなひ彼らの偶像をもて身を汚したるに由て是等の事汝におよぶなり

汝その姊の途に歩みたれば我かれの杯を汝の手に交す

主ヱホバかく言ふ汝その姊の深き大なる杯を飮べし是は笑と嘲を充す者なり

醉と憂汝に滿ちん汝の姊サマリヤの杯は駭異と滅亡の杯なり

汝これを飮み乾しこれを吸つくしその碎片を咬み汝の乳房を摘去ん我これを言ふと主ヱホバ言ふ

然ば主ヱホバかく言ふ汝我を忘れ我を後に棄たれば汝またその淫行と邪淫の罪を負べし

斯てヱホバ我にいひたまふ人の子よ汝アホラとアホリバを鞫かんとするや然らば彼らにその憎むべき事等を示せ

夫彼らは姦淫をおこなへり又血その手にあり彼らその偶像と姦淫をおこなひ又その我に生たる男子等に火の中をとほらしめてこれを燒り

加之また是をなせり即ち彼ら同日にわが聖處を汚しわが安息日を犯せり

彼らその偶像のために男子等を宰りしその日にわが聖處に來りてこれを汚し斯わが家の中に事をなせり

且又彼らは使者をやりて遠方より人を招きて至らしむ其人々のために汝身を洗ひ目を畵き妝飾を着け

華美なる床に坐し臺盤をその前に備へその上にわが香とわが膏を置り

斯て群衆の喧噪その中に靜りしがその多衆の人々の上にまた曠野よりサバ人を招き寄たり彼らは手に腕環をはめ首に美しき冠を戴けり

我かの姦淫のために衰弱たる女の事を云り今は早彼の姦淫その姦淫をなしをはらんかと

彼らは遊女の所にいるごとくに彼の所に入たり斯かれらすなはち淫婦アホラとアホリバの所に入ぬ

義人等姦婦の律法に照し故殺の律法に照して彼らを鞫かん彼らは姦婦にしてまたその手に血あればなり

主ヱホバかく言ふ我群衆を彼等に攻きたらしめ彼らを是に付して虐と掠にあはしめん

群衆かれらを石にて撃ち劍をもて斬りその子女を殺し火をもてその家を燒べし

斯我この地に邪淫を絕さん婦女みな自ら警めて汝らのごとくに邪淫をおこなはざるべし

彼ら汝らの邪淫の罪を汝らに報いん汝らはその偶像の罪を負ひ而して我の主ヱホバなるを知にいたるべし

第24章

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九年の十月十日にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ汝此日すなはち今日の名を書せバビロンの王今日ヱルサレムを攻をるなり

汝背ける家に譬喩をかたりて之に言へ主ヱホバかく言たまふ釜を居ゑ居ゑてこれに水を斟いれ

其肉の凡て佳き所を集めて股と肩とを之に入れ佳き骨をこれに充し

羊の選擇者を取れ亦薪一束を取り下に入れて骨を煮釜を善く煮たて亦その中の骨を煮よ

是故に主ヱホバかく言ふ禍なるかな血の流るる邑銹のつきたる釜 その銹これを離れざるなり肉を一箇一箇に取いだせ之がために籤を掣べからず

彼の血はその中にあり彼乾ける磐の上にこれを置りこれを土にそそぎて塵に覆はれしめず

我怒を來らせ仇を復さんがためにその血を乾ける磐の上に置て塵に覆はれざらしめたり

是故に主ヱホバかく言ふ禍なるかな血の流るる邑我またその薪の束を大にすべし

薪を積かさね火を燃し肉を善く煮てこれを煮つくしその骨をも燒しむべし

而して釜を空にして炭火の上に置きその銅をして熱くなりて燒しめ其汚穢をして中に鎔しめその銹を去しむべし

旣に手を盡したれどもその大なる銹さらざればその銹を火に投棄べし

汝の汚穢の中に淫行あり我汝を淨めんとしたれども汝淨まらざりしに因てわが怒を汝に洩しつくすまでは汝その汚穢をはなれて淨まることあらじ

我ヱホバこれを言り是至る我これを爲べし止ず惜まず悔ざるなり汝の道にしたがひ汝の行爲にしたがひて彼ら汝を鞫かん主ヱホバこれを言ふ

ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ我頓死をもて汝の目の喜ぶ者を取去ん汝哀かず泣ず涙をながすべからず

聲をたてずして哀け死人のために哀哭をなすなかれ冠物を戴き足に鞋を穿べし鬚を掩ふなかれ人のおくれる食物を食ふべからず

朝に我人々に語りしが夕にわが妻死ねり明朝におよびて我命ぜられしごとくなせり

茲に人々我に言けるは此汝がなすところの事は何の意なるや我らに告ざるや

我かれらに言けるはヱホバの言我にのぞみて言ふ

イスラエルの家にいふべし主ヱホバかく言ふ視よ我汝らの勢力の榮汝らの目の喜愛汝らの心の望なるわが聖所を汚さん汝らが遺すところの子女等は劍に仆れん

汝らもわが爲るごとくなし鬚を覆はず人のおくれる食物を食はず

首に冠物を戴き足に履を穿き哀かず泣ずその罪の中に痩衰へて互に呻かん

斯エゼキエル汝らに兆とならん彼がなしたるごとく汝ら爲ん是事の至らん時に汝ら我の主ヱホバなるを知べし

人の子よわが彼らの力かれらの樂むところの榮その目の喜愛その心の望その子女を取去る日

その日に逃亡者汝の許に來り汝の耳に告ることあらん

その日に汝逃亡者にむかひて口を啓き語りて再び默せざらん斯汝かれらに兆となるべし彼らは遂に我のヱホバなるを知ん

第25章

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ヱホバの言我に臨みて言ふ

人の子よ汝の面をアンモンの人々に向けこれに向ひて預言し

アンモンの人々に言べし汝ら主ヱホバの言を聽け主ヱホバかく言ひたまふ汝わが聖處の汚さるる事につきイスラエルの地の荒さるる事につき又ユダの家の擄へ移さるることにつきて嗚呼心地善しと言り

是故に視よ我汝を東方の人々に付して所有と爲さしめん彼等汝の中に畜圈を設け汝の中にその住宅を建て汝の作物を食ひ汝の乳を飮ん

ラバをば我駱駝を豢ふ地となしアンモンの人々の地をば羊の臥す所となすべし汝ら我のヱホバなるを知にいたらん

主ヱホバかく言たまふ汝イスラエルの地の事を見て手を拍ち足を蹈み傲慢を極めて心に喜べり

是故に視よ我わが手を汝に伸べ汝を國々に付して掠奪に遭しめ汝を國民の中より絕ち諸國に斷し滅すべし汝我のヱホバなるを知るにいたらん

主ヱホバかく言たまふモアブとセイル言ふユダの家は他の諸の國と同じと

是故に我モアブの肩を闢くべし即ちその邑々その最遠の邑にして國の莊嚴なるベテエシモテ、バアルメオンおよびキリヤタイムよりこれを闢き

之をアンモンの人々に添て東方の人々に與へその所有となさしめアンモンの人々をして國々の中に記憶らるること无しめん

我モアブに鞫を行ふべし彼ら我のヱホバなるを知にいたらん

主ヱホバかく言たまふエドムは怨恨をふくんでユダの家に事をなし且これに怨を復して大に罪を得たり

是故に主ヱホバかく言たまふ我エドムの上にわが手を伸して其中より人と畜を絕去り之をテマンより荒地となすべしデダンの者は劍に仆れん

我わが民イスラエルの手をもてエドムにわが仇を報いん彼らわが怒にしたがひわが憤にしたがひてエドムに行ふべしエドム人すなはち我が仇を復すなるを知ん主ヱホバこれを言ふ

主ヱホバかく言たまふペリシテ人は怨を含みて事をなし心に傲りて仇を復し舊き恨を懷きて滅すことをなせり

是故に主ヱホバかく言たまふ視よ我ペリシテ人の上に手を伸べケレテ人を絕ち海邊に遺れる者を滅すべし

我怒の罰をもて大なる復仇を彼らに爲ん我仇を彼らに復す時に彼らは我のヱホバなるを知べし

第26章

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十一年の月の首の日にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よツロはヱルサレムの事につきて言り嗚呼心地よし諸の國民の門破る是我に移るならん我は豐滿になるべし彼は荒はてたりと

是故に主ヱホバかく言たまふツロよ我汝を攻め海のその波濤を起すが如く多くの國人を汝に攻きたらしむべし

彼らツロの石墻を毀ちその櫓を倒さん我その塵を拂ひ去りて是を乾ける磐と爲べし

是は海の中の網を張る處とならん我これを言ばなりと主ヱホバいひたまふ是は諸の國人に掠めらるべし

その野にをる女子等は劍に殺されん彼らすなはち我のヱホバなるを知べし

主ヱホバかく言たまふ視よ我王の王なるバビロンの王ネブカデネザルをして馬車騎兵群衆および多くの民を率て北よりツロに攻きたらしむべし

野にをる汝の女子等をば彼劍にかけて殺し又汝にむかひて雲梯を建て汝にむかひて壘を築き汝にむかひて干を備へ

破城槌を汝の石垣に向けその斧をもて汝の櫓を打碎かん

その衆多の馬の煙塵汝を覆はん彼等敝れたる城に入るごとくに汝の門々に入來らん時その騎兵と輪と車の聲のために汝の石垣震動べし

彼その馬の蹄をもて汝の諸の衢を踏あらし劍をもて汝の民を殺さん汝の榮光の柱地に仆るべし

彼ら汝の財寶を奪ひ汝の商貨を掠め汝の石垣を打崩し汝の樂き舘を毀ち汝の石と木と土を水に沈めん

我汝の歌の聲を止めん汝の琴の音は復聞えざるべし

我汝を乾ける磐となさん汝は網を張る處となり再び建ことなかるべし我ヱホバこれを言ふと主ヱホバ言たまふ

主ヱホバ、ツロにかく言たまふ島々汝の仆るる聲 手負の呻吟 および汝の中の殺戮によりて震動ざらんや

海の君主等皆その座を下り朝服を脱ぎ繡ある衣を去り恐懼を身に纏ひ地に坐し時となく怖れ汝の事を驚かん

彼ら汝の爲に哀の詞を擧て汝に言ふべし汝海より出たる住處名の高き邑自己もその居民も共に海に於て勢力ある者その凡の居民に己を恐れしむる者よ汝如何にして亡びたるや

それ島々は汝の仆るる日に震ひ海の島々は汝の亡ぶるに驚くなり

主ヱホバかく言たまふ我汝を荒たる邑となし人の住はざる邑々のごとく爲し洋海を沸あがらしめて大水に汝を掩沒しめん時

汝を墓に往る者等の所昔時の民の所に下し汝をして下の國に住しめ古昔よりの墟址に於て彼の墓に下れる者等とともに居しめ汝の中に復人の住こと无らしむべし而して我活る人の地に榮を創造いださん

我汝をもて人の戒懼となすべし汝は復有ることなし人汝を尋るも終に汝を看ざるべし主ヱホバこれを言ふなり

第27章

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ヱホバの言また我に臨みて言ふ

人の子よ汝ツロのために哀の詞を宣べ

ツロに言べし汝海の口に居りて諸の國人の商人となり多衆の島々に通ふ者よ主ヱホバかく言たまふツロよ汝言ふ我の美は極れりと

汝の國は海の中にあり汝を建る者汝の美を盡せり

人セニルの樅をもて船板を作りレバノンより香柏を取て汝のために檣を作り

バシヤンの樫をもて汝の漿を作りキッテムの島より至れる黄楊に象牙を嵌て汝の坐板を作れり

汝の帆はエジプトより至れる文布にして旗に用ふべし汝の天遮はエリシヤの島より至れる藍と紫の布なり

汝の水手はシドンとアルワデの人なりツロよ汝の中にある賢き者汝の舵師となる

ゲバルの老人等およびその賢き者汝の中にをりて汝の漏を繕ひ海の諸の船およびその舟子汝の中にありて汝の貨物を交易す

ペルシヤ人ルデ人フテ人汝の軍にありて汝の戰士となる彼等汝の中に干と兜を懸け汝に光輝を與ふ

アルワデの人々および汝の軍勢汝の四周の石垣の上にあり勇士等汝の櫓にあり彼等汝の四周の石垣にその楯をかけ汝の美を盡せり

その諸の貨物に富るがためにタルシシ汝と商をなし銀 鐵 錫および鉛をもて汝と交易を爲り

ヤワン、トバルおよびメセクは汝の商賈にして人の身と銅の器をもて汝と貿易を行ふ

トガルマの族馬と騎馬および騾をもて汝と交易し

デダンの人々汝と商をなせり衆の島々汝の手にありて交易し象牙と黑檀をもて汝と貿易せり

汝の製造品の多がためにスリア汝と商をなし赤玉 紫貨 繡貨 細布 珊瑚および瑪瑙をもて汝と交易す

ユダとイスラエルの地汝に商をなしミンニテの麥と菓子と蜜と油と乳香をもて汝と交易す

汝の製造物の多がため諸の貨物の多きがためにダマスコ、ヘルボンの酒と曝毛をもて汝と交易せり

ウザルのベダンとヤワン熟鐵をもて汝と交易す肉桂と菖蒲汝の市にあり

デダン車の毛氈を汝に商へり

アラビヤとケダルの君等とは汝の手に在りて商をなし羔羊と牡羊と牡山羊をもて汝と交易す

シバとラアマの商人汝と商をなし諸の貴き香料と諸の寶石と金をもて汝と交易せり

ハランとカンネとエデンとシバの商賈とアツスリヤとキルマデ汝と商をなし

華美なる物と紫色なる繡の衣服と香柏の箱の綾を盛て紐にて結たる者とをもて汝の市にあり

タルシシの船汝のために往來して商賣を爲す汝は海の中にありて豐滿にして榮あり

水手汝を蕩て大水の中にいたるに海の中にて東風汝を打破る

汝の財寶汝の商貨物汝の交易の物汝の舟子汝の舵師汝の漏を繕ふ者汝の貨物を商ふ者汝の中にあるところの凡ての軍人並に汝の中の乗者みな汝の壞るる日に海の中に陷るべし

汝の舵師等の叫號の聲にその處々震ふ

凡て棹を執る者舟子および凡て海の舵師その船より下りて陸に立ち

汝のために聲を擧げて痛く哭き塵を首に蒙り灰の中に輾轉び

汝のために髮を剃り麻布を纏ひ汝のために心を痛めて泣き甚く哭くべし

彼等悲みて汝のために哀の詞を宣べ汝を弔ひて言ふ孰かツロの如くなる海の中に滅びたる者の如くなると

汝の商貨の海より出し時は汝衆多の國民を厭しめ汝の衆多の財寶と貨物をもて世の王等を富しめたりしが

汝海に壞れて深き水にあらん時は汝の貨物汝の乗人みな陷らん

島々に住る者皆汝に駭かんその君等大に恐れてその面を振はすべし

國々の商賈汝のために嘶かん汝は人の戒懼となり限りなく失果ん

第28章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よツロの君に言ふべし主ヱホバかく言たまふ汝心に高ぶりて言ふ我は神なり神の座に坐りて海の中にありと汝は人にして神にあらず而して神の心のごとき心を懷くなり

夫汝はダニエルよりも賢かり隱れたる事として汝に明ならざるは无し

汝の智慧と明哲によりて汝富を獲金銀を汝の庫に收め

汝の大なる智慧と汝の貿易をもて汝の富有を増しその富有のために心に高ぶれり

是故に主ヱホバかく言ふ汝神の心のごとき心を懷くに因り

視よ我異國人を汝に攻きたらしめん是國々の暴き人々なり彼ら劍を拔きて汝が智慧をもて得たるところの美しき者に向ひ汝の美を汚し

汝を穴に投いれん汝は海の中にて殺さるる者のごとき死を遂べし

汝は人にして神にあらず汝を殺す者の手にあるも尚その己を殺す者の前に我は神なりと言んとするや

汝は割禮をうけざる者の死を異國人の手に遂べし我これを言ばなりとヱホバ言たまふ

ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よツロの王のために哀の詞を述べこれに言べし主ヱホバかく言たまふ汝は全く整へたる者の印智慧の充ち美の極れる者なり

汝神の園エデンに在りき諸の寶石 赤玉 黄玉 金剛石 黄綠玉 葱垳 碧玉 靑玉 紅玉 瑪瑙および金汝を覆へり汝の立らるる日に手鼓と笛汝のために備へらる

汝は膏そそがれしケルブにして掩ふことを爲り我汝を斯なせしなり汝神の聖山に在り又火の石の間に歩めり

汝はその立られし日より終に汝の中に惡の見ゆるにいたるまでは其行全かりき

汝の交易の多きがために汝の中には暴逆滿ちて汝罪を犯せり是故に掩ふことを爲ところのケルブよ我神の山より汝を汚し出し火の石の間より汝を滅し去べし

汝その美麗のために心に高ぶり其榮耀のために汝の智慧を汚したれば我汝を地に擲ち汝を王等の前に置て觀物とならしむべし

汝正しからざる交易をなして犯したる多くの罪を以て汝の聖所を汚したれば我なんぢの中より火を出して汝を燒き凡て汝を見る者の目の前にて汝を地に灰となさん

國々の中にて汝を知る者は皆汝に驚かん汝は人の戒懼となり限なく失果てん

ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ汝の面をシドンに向けこれに向ひて預言し

言べし主ヱホバかく言たまふシドンよ視よ我汝の敵となる我汝の中において榮耀を得ん我彼らを鞫き我の聖き事を彼らに顯す時彼ら我のヱホバなるを知ん

われ疫病を是におくりその衢に血あらしめんその四方より是に來るところの劍に殺さるる者その中に仆るべし彼らすなはち我のヱホバなるを知ん

イスラエルの家にはその周圍にありて之を賤むる者の所より重て惡き荊棘苦き芒薊來ることなし彼らは我の主ヱホバなるを知にいたらん

主ヱホバかく言ふ我イスラエルの家をその散されたる國々より集めん時彼らに由りて我の聖き事を異國人の目の前にあらはさん彼らはわが僕ヤコブに與へたるその地に住ん

彼ら彼處に安然に住み家を建て葡萄園を作らん彼らの周圍にありて彼らを藐視る者を悉く我が鞫かん時彼らは安然に住み我ヱホバの己の神なるを知らん

第29章

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十年の十月の十二日にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ汝の面をエジプトの王パロにむけ彼とエジプト全國にむかひて預言し

語りて言べし主ヱホバかく言たまふエジプトの王パロよ視よ我汝の敵となる汝その河に臥すところの鱷よ汝いふ河は我の所有なり我自己のためにこれを造れりと

我鉤を汝の腮に鉤け汝の河の魚をして汝の鱗に附しめ汝および汝の鱗に附る諸の魚を汝の河より曳いだし

汝と汝の河の諸の魚を曠野に投すてん汝は野の面に仆れん汝を取あぐる者なく集むる者なかるべし我汝を地の獸と天の鳥の餌に與へん

エジプトの人々皆我のヱホバなるを知ん彼等のイスラエルの家におけるは葦の杖のごとくなりき

イスラエル汝の手を執ば汝折れてその肩を盡く裂き又汝に倚ば汝破れてその腰を盡く振へしむ

是故に主ヱホバかく言ふ視よ我劍を汝に持きたり人と畜を汝の中より絕ん

エジプトの地は荒て空曠なるべし彼らすなはち我のヱホバなるを知ん彼河は我の有なり我これを作れりと言ふ

是故に我汝と汝の河々を罰しエジプトの地をミグドルよりスエネに至りエテオピアの境に至るまで盡く荒して空曠くせん

人の足此を渉らず獸の足此を渉らじ四十年の間此に人の住ことなかるべし

我エジプトの地を荒して荒たる國々の中にあらしめんその邑々は荒て四十年の間荒たる邑々の中にあるべし我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん

但し主ヱホバかく言たまふ四十年の後我エジプト人をその散されたる諸の民の中より集めん

即ちエジプトの俘囚人を歸しその生れし國なるバテロスの地にかへらしむべし彼らは其處に卑き國を成ん

是は諸の國よりも卑くして再び國々の上にいづることなかるべし我かれらを小くすれば彼らは重て國々を治むることなし

彼らは再びイスラエルの家の恃とならじイスラエルはこれに心をよせてその罪をおもひ出さしむることなかるべし彼らすなはち我の主ヱホバなるを知ん

茲に二十七年の一月の一日にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よバビロンの王ネブカデネザルその軍勢をしてツロにむかひて大に働かしむ皆首禿げ皆肩破る然るに彼もその軍勢もその爲るところの事業のためにツロよりその報を得ず

是故に主ヱホバかくいふ視よ我バビロンの王ネブカデネザルにエジプトの地を與へん彼その衆多の財寳を取り物を掠め物を奪はん是その軍勢の報たらん

彼の勞動る値として我エジプトの地をかれに與ふ彼わがために之をなしたればなり主ヱホバこれを言ふ

當日に我イスラエルの家に一の角を生ぜしめ汝をして彼らの中に口を啓くことを得せしめん彼等すなはち我がヱホバなるを知べし

第30章

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ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ預言して言へ主ヱホバかく言たまふ汝ら叫べ其日は禍なるかな

その日近しヱホバの日近し是雲の日これ異邦人の時なり

劍エジプトに臨まん殺さるる者のエジプトに仆るる時エテオピアに痛苦あるべし敵その財寶を奪はんその基址は毀たるべし

エテオピア人フテ人ルデ人凡て加勢の兵およびクブ人ならびに同盟の國の人々彼らとともに劍にたふれん

ヱホバかく言ふエジプトを扶くる者は仆れ其驕るところの勢力は失せんミグドルよりスエネにいたるまで人劍によりて己の中に仆るべし主ヱホバこれを言なり

其は荒て荒地の中にあり其邑々は荒たる邑の中にあるべし

我火をエジプトに降さん時又是を助くる者の皆ほろびん時は彼等我のヱホバなるを知ん

その日には使者船にて我より出てかの心強きエテオピア人を懼れしめんエジプトの日にありし如く彼等の中に苦痛あるべし視よ是は至る

主ヱホバかく言たまふ我バビロンの王ネブカデネザルをもてエジプトの喧噪を止むべし

彼および彼にしたがふ民即ち國民の中の暴き者を召來りてその國を滅さん彼ら劍をぬきてエジプトを攻めその殺せる者を國に滿すべし

我その河々を涸し國を惡き人の手に賣り外國人の手をもて國とその中の物を荒すべし我ヱホバこれを言り

主ヱホバかく言たまふ我偶像を毀ち神々をノフに絕さんエジプトの國よりは再び君のいづることなかるべし我エジプトの國に畏怖を蒙らしめん

我バテロスを荒しゾアンに火を擧げノに鞫を行ひ

わが怒をエジプトの要害なるシンに洩しノの群衆を絕つべし

我火をエジプトに降さんシンは苦痛に悶えノは打破られノフは日中敵をうけん

アベンとピベセテの少者は劍に仆れ其中の人々は擄ゆかれん

テバネスに於ては吾がエジプトの軛を其處に摧く時に日暗くならんその誇るところの勢力は失せん雲これを覆はんその女子等は擄へゆかれん

かく我エジプトに鞫をおこなはん彼等すなはち我のヱホバなるを知べし

十一年の一月の七日にヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ我エジプトの王パロの腕を折れり是は再び束へて藥を施し裹布を卷て之を裹み強く爲して劍を執にたへしむること能はざるなり

是故に主ヱホバかく言たまふ視よ我エジプトの王パロを罰し其強き腕と折たる腕とを俱に折り劍をその手より落しむべし

我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん

而してバビロンの王の腕を強くして我劍をこれに授けん然ど我パロの腕を折れば彼は刺透されたる者の呻くが如くにその前に呻かん

我バビロンの王の腕を強くせんパロの腕は弱くならん我わが劍をバビロンの王の手に授けて彼をしてエジプトにむかひて之を伸しむる時は人衆我のヱホバなるを知ん

我エジプト人を諸の民の中に散し諸の國に散さん彼らすなはち我のヱホバなるを知るべし

第31章

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十一年の三月の一日にヱホバの言我に臨みて云ふ

人の子よエジプトの王パロとその群衆に言へ汝はその大なること誰に似たるや

アツスリヤはレバノンの香柏のごとし其枝美しくして生茂りその丈高くして其巓雲に至る

水これを大ならしめ大水これを高からしむ其川々その植れる處を環りその流を野の諸の樹に及ぼせり

是によりてその長野の諸の樹よりも高くなりその生長にあたりて多の水のために枝葉茂りその枝長く伸たり

その枝葉に空の諸の鳥巢をくひ其枝の下に野の諸の獸子を生みその蔭に諸の國民住ふ

是はその大なるとその枝の長きとに由て美しかりき其根多くの水の傍にありたればなり

神の園の香柏これを蔽ふことあたはず樅もその枝葉に及ばず槻もその枝に如ず神の園の樹の中その美しき事これに如ものあらざりき

我これが枝を多してこれを美しくなせりエデンの樹の神の園にある者皆これを羨めり

是故に主ヱホバかく言ふ汝その長高くなれり是は其巓雲に至りその心高く驕れば

我これを萬國の君たる者の手に付さん彼これを處置せん其惡のために我これを打棄たり

他國人國々の暴き者これを截倒して棄つ其枝葉は山々に谷々に墮ち其枝は碎けて地の諸の谷川にあり地の萬民その蔭を離れてこれを遺つ

その倒れたる上に空の諸の鳥止まり其枝の上に野の諸の獸居る

是水の邊の樹その高のために誇ることなくその巓を雲に至らしむることなからんためまた水に濕ふ者の高らかに自ら立ことなからんためなり夫是等は皆死に付されて下の國に入り他の人々の中にあり墓に下る者等と偕なるべし

主ヱホバかく言たまふ彼が下の國に下れる日に我哀哭あらしめ之がために大水を蓋ひその川々をせきとめたれば大水止まれり我レバノンをして彼のために哭かしめ野の諸の樹をして彼のために痩衰へしむ

我かれを陰府に投くだして墓に下る者と共ならしむる時に國々をしてその墮る響に震動しめたり又エデンの諸の樹レバノンの勝れたる最美しき者凡て水に濕ふ者皆下の國に於て慰を得たり

彼等も彼とともに陰府に下り劍に刺れたる者の處にいたる是すなはちその助者となりてその蔭に坐し萬國民の中にをりし者なり

エデンの樹の中にありて汝は其榮とその大なること孰に似たるや汝は斯エデンの樹とともに下の國に投下され劍に刺透されたる者とともに割禮を受ざる者の中にあるべしパロとその群衆は是のごとし主ヱホバこれを言ふ

第32章

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茲にまた十二年の十二月の一日にヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よエジプトの王パロのために哀の詞を述て彼に言ふべし汝は自ら萬國の中の獅子に擬へたるが汝は海の鱷の如くなり汝河の中に跳起き足をもて水を濁しその河々を蹈みだす

主ヱホバかく言たまふ我衆多の國民の中にてわが網を汝に打掛け彼らをしてわが網にて汝を引あげしめん

而して我汝を地上に投すて汝を野の面に擲ち空の諸の鳥をして汝の上に止らしめ全地の獸をして汝に飽しむべし

我汝の肉を山々に遺て汝の屍を堆くして谷々を埋むべし

我汝の溢るる血をもて地を濕し山にまで及ぼさん谷川には汝盈べし

我汝を滅する時は空を蔽ひその星を暗くし雲をもて日を掩はん月はその光を發たざるべし

我空の照る光明を盡く汝の上に暗くし汝の地を黑暗となすべし主ヱホバこれを言ふ

我なんぢの滅亡を諸の民汝の知ざる國々の中に知しめて衆多の民をして心を傷ましめん

我衆多の民をして汝に驚かしめんその王等はわが其前にわれの劍を振ふ時に戰慄かん汝の仆るる日には彼ら各人その生命のために絕ず發振ん

即ち主ヱホバかく言たまふバビロンの王の劍汝に臨まん

我汝の群衆をして勇士の劍に仆れしめん彼等は皆國々の暴き者なり彼らエジプトの驕傲を絕さん其の群衆は皆ほろぼさるべし

我その家畜を盡く多の水の傍より絕去ん人の足再び之を濁すことなく家畜の蹄これを濁すことなかるべし

我すなはちその水を淸しめ其河々をして油のごとく流れしめん主ヱホバこれを云ふ

我エジプトの國を荒地となしてその國荒てこれが富を失ふ時また我その中に住る者を盡く撃つ時人々我のヱホバなるを知ん

是哀の詞なり人悲みてこれを唱へん國々の女等悲みて之を唱ふべし即ち彼等エジプトとその諸の群衆のために悲みて之を唱へん主ヱホバこれを言ふ

十二年の月の十五日にヱホバの言また我に臨みて言ふ

人の子よエジプトの群衆のために哀き是と大なる國々の女等とを下の國に投くだし墓にくだる者と共ならしめよ

汝美しき事誰に勝るや下りて割禮なき者とともに臥せよ

彼らは劍に殺さるる者の中に仆るべし劍已に付してあり是とその諸の群衆を曳下すべし

勇士の強き者陰府の中より彼にその助者と共に言ふ割禮を受ざる者劍に殺されたる者彼等下りて臥す

彼處にアツスリアとその凡の群衆をりその周圍に之が墓あり彼らは皆殺され劍に仆れたる者なり

かれの墓は穴の奧に設けてありその群衆墓の四周にあり是皆殺されて劍に仆れたる者生者の地に畏怖をおこせし者なり

彼處にエラムありその凡の群衆その墓の周圍にあり是皆ころされて劍に仆れ割禮を受ずして下の國に下りし者生者の地に畏怖をおこせし者にて夫穴に下れる者等とともに恥辱を蒙るなり

殺されたる者の中にその床を置きてその凡の群衆と共にすその墓周圍にあり彼等は皆割禮を受ざる者にして劍に殺さる彼ら生者の地に畏怖をおこしたれば穴に下れる者とともに恥辱を蒙るなり彼は殺されし者の中に置る

彼處にメセクとトバルおよびその凡の群衆ありその墓周圍にあり彼らは皆割禮を受ざる者にして劍に殺さる是生者の地に畏怖をおこしたればなり

彼らは割禮を受ずして仆れたる勇士とともに臥さず是等はその武器を持て陰府に下りその劍を枕にすその罪は骨にあり是生者の地に於て勇士を畏れしめたればなり

汝は割禮を受ざる者の中に打碎け劍に殺されたる者とともに臥ん

彼處にエドムとその王等とその諸の君等あり彼らは勇力をもちながら劍に殺さるる者の中に入り割禮なき者および穴に下れる者とともに臥すべし

彼處に北の君等皆あり又シドン人皆あり彼らは殺されし者等とともに下り人を怖れしむる勇力をもちて羞辱を受く彼處に彼らは割禮を受ずして劍に殺されたる者とともに臥し穴に下れる者とともに恥辱を蒙る

パロかれらを見その諸の群衆の事につきて心を安めんパロとその軍勢皆劍に殺さる主ヱホバこれを言ふ

我かれをして生者の地に畏怖をおこさしめたりパロとその諸の群衆は割禮をうけざる者の中にありて劍に殺されし者とともに臥す主ヱホバこれを言ふ

第33章

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爰にヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ汝の民の人々に告て之に言へ我劍を一の國に臨ましめん時その國の民おのれの國人の中より一人を選みて之を守望人となさんに

かれ國に劍の臨むを見ラッパを吹てその民を警むることあらん

然るに人ラッパの音を聞て自ら警めず劍つひに臨みて其人を失ふにいたらばその血はその人の首に歸すべし

彼ラッパの音を聞て自ら警むることを爲ざればその血は己に歸すべし然どもし自ら警むることを爲ばその生命を保つことを得ん

然れども守望者劍の臨むを見てラッパを吹ず民警戒をうけざるあらんに劍のぞみて其中の一人を失はば其人は己の罪に死るなれど我その血を守望者の手に討問めん

然ば人の子よ我汝を立てイスラエルの家の守望者となす汝わが口より言を聞き我にかはりて彼等を警むべし

我惡人に向ひて惡人よ汝死ざるべからずと言んに汝その惡人を警めてその途を離るるやうに語らずば惡人はその罪に死んなれどその血をば我汝の手に討問むべし

然ど汝もし惡人を警めて翻りてその途を離れしめんとしたるに彼その途を離れずば彼はその罪に死ん而して汝はおのれの生命を保つことを得ん

然ば人の子よイスラエルの家に言へ汝らは斯語りて言ふ我らの愆と罪は我らの身の上にあり我儕はその中にありて消失ん爭でか生ることを得んと

汝かれらに言べし主ヱホバ言たまふ我は活く我惡人の死るを悦ばず惡人のその途を離れて生るを悦ぶなり汝ら翻へり翻へりてその惡き道を離れよイスラエルの家よ汝等なんぞ死べけんや

人の子よ汝の民の人々に言べし義人の義はその人の罪を犯せる日にはその人を救ふことあたはず惡人はその惡を離れたる日にはその惡のために仆るることあらじ義人はその罪を犯せる日にはその義のために生ることを得じ

我義人に汝かならず生べしと言んに彼その義を恃みて罪ををかさばその義は悉く忘らるべし其をかせる罪のために彼は死べし

我惡人に汝かならず死べしと言んに彼その惡を離れ公道と公義を行ふことあらん

即ち惡人質物を歸しその奪ひし者を還し惡をなさずして生命の憲法にあゆみなば必ず生ん死ざるべし

その犯したる各種の罪は記憶らるることなかるべし彼すでに公道と公義を行ひたれば必ず生べし

汝の民の人々は主の道正しからずと言ふ然ど實は彼等の道の正しからざるなり

義人もしその義を離れて罪ををかさば是がために死べし

惡人もしその惡を離れて公道と公義を行ひなば是がために生べし

然るに汝らは主の道正しからずといふイスラエルの家よ我各人の行爲にしたがひて汝等を鞫くべし

我らが擄へうつされし後すなはち十二年の十月の五日にヱルサレムより脱逃者きたりて邑は撃敗られたりと言ふ

その逃亡者の來る前の夜ヱホバの手我に臨み彼が朝におよびて我に來るまでに我口を開けり斯わが口開けたれば我また默せざりき

即ちヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よイスラエルの地の彼の墟址に住る者語りて云ふアブラハムは一人にして此地を有てり我等は衆多し此地はわれらの所有に授かると

是故に汝かれらに言ふべし主ヱホバかく言ふ汝らは血のままに食ひ汝らの偶像を仰ぎ且血を流すなれば尚此地を有つべけんや

汝等は劍を恃み憎むべき事を行ひ各々人の妻を汚すなれば此地を有つべけんや

汝かれらに斯言べし主ヱホバかく言ふ我は活くかの荒場に居る者は劍に仆れん野の表にをる者をば我獸にあたへて噬はしめん要害と洞穴とにをる者は疫病に死ん

我この國を全く荒さん其誇るところの權勢は終に至らんイスラエルの山々は荒て通る者なかるべし

彼らが行ひたる諸の憎むべき事のために我その國を全く荒さん時に彼ら我のヱホバなるを知ん

人の子よ汝の民の人々垣の下家の門にて汝の事を論じ互に語りあひ各々その兄弟に言ふ去來われら如何なる言のヱホバより出るかを聽んと

彼ら民の集會のごとくに汝に來り吾民のごとくに汝の前に坐して汝の言を聞ん然ども之を行はじ彼らは口に悦ばしきところの事をなし其心は利にしたがふなり

彼等には汝悦ばしき歌美しき聲美く奏る者のごとし彼ら汝の言を聞ん然ど之をおこなはじ

視よその事至る其事のいたる時には彼らおのれの中に預言者あるを知べし

第34章

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ヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ汝イスラエルの牧者の事を預言せよ預言して彼ら牧者に言ふべし主ヱホバかく言ふ己を牧ふところのイスラエルの牧者は禍なるかな牧者は群を牧ふべき者ならずや

汝らは脂を食ひ毛を纏ひ肥たる物を屠りその群をば牧はざるなり

汝ら其弱き者を強くせずその病る者を醫さずその傷ける者を裹まず散されたる者をひきかへらず失たる者を尋ねず手荒に嚴刻く之を治む

是は牧者なきに因て散り失せ野の諸の獸の餌となりて散失するなり

我羊は諸の山々に諸の高丘に迷ふ我羊全地の表に散りをれど之を索す者なく尋ぬる者なし

是故に牧者よ汝らヱホバの言を聽け

主ヱホバ言たまふ我は活く我羊掠められわが羊野の諸の獸の餌となる又牧者あらず我牧者わが羊を尋ねず牧者己を牧ふてわが羊を牧はず

是故に牧者よ汝らヱホバの言を聞け

主ヱホバ斯言たまふ視よ我牧者等を罰し吾羊を彼らの手に討問め彼等をしてわが群を牧ふことを止しめて再び己を牧ふことなからしめ又わが羊をかれらの口より救とりてかれらの食とならざらしむべし

主ヱホバかく言たまふ我みづからわが群を索して之を守らん

牧者がその散たる羊の中にある日にその群を守るごとく我わが群を守り之がその雲深き暗き日に散たる諸の處よりこれを救ひとるべし

我かれらを諸の民の中より導き出し諸の國より集めてその國に携へいりイスラエルの山の上と谷の中および國の凡の住居處にて彼らを養はん

善き牧場にて我かれらを牧はんその休息處はイスラエルの高山にあるべし彼處にて彼らは善き休息所に臥しイスラエルの山々の上にて肥たる牧場に草を食はん

主ヱホバいひたまふ我みづから我群を牧ひ之を偃しむべし

亡たる者は我これを尋ね逐はなたれたる者はこれを引返り傷けられたる者はこれを裹み病る者はこれを強くせん然ど肥たる者と強き者は我これを滅さん我公道をもて之を牧ふべし

主ヱホバかく言たまふ汝等わが群よ我羊と羊の間および牡羊と牡山羊の間の審判をなさん

汝等は善き牧場に草食ひ足をもてその殘れる草を蹈あらし又淸たる水を飮み足をもてその殘餘を濁す是汝等にとりて小き事ならんや

わが群汝等が足にて蹈あらしたる者を食ひ汝等が足にて濁したる者を飮べけんや

是をもて主ヱホバ斯かれらに言たまふ視よ我肥たる羊と痩たる羊の間を審判くべし

汝等は脅と肩とをもて擠し角をもて弱き者を盡く衝て遂に之を外に逐散せり

是によりて我わが群を助けて再び掠められざらしめ又羊と羊の間をさばくべし

我かれらの上に一人の牧者をたてん其人かれらを牧ふべし是わが僕ダビデなり彼はかれらを牧ひ彼らの牧者となるべし

我ヱホバかれらの神とならん吾僕ダビデかれらの中に君たるべし我ヱホバこれを言ふ

我かれらと平和の契約を結び國の中より惡き獸を滅し絕つべし彼らすなはち安かに野に住み森に眠らん

我彼らおよび吾山の周圍の處々に福祉を下し時に隨ひて雨を降しめん是すなはち福祉の雨なるべし

野の樹はその實を結び地はその產物を出さん彼等は安然にその國にあるべし我がかれらの軛を碎き彼らをその僕となせる人の手より救ひいだす時に彼等は我のヱホバなるを知べし

彼等は重ねて國々の民に掠めらるる事なく野の獸かれらを食ふことなかるべし彼等は安然に住はん彼等を懼れしむる者なかるべし

我かれらのために一の栽植處を起してその名を聞えしめん彼等は重ねて國の饑饉に滅ぶることなく再び外邦人の凌辱を蒙ることなかるべし

彼らはその神なる我ヱホバが己と共にあるを知り自己イスラエルの家はわが民なることを知るべし主ヱホバこれを言ふ

汝等はわが羊わが牧場の群なり汝等は人なり我は汝らの神なりと主ヱホバ言たまふ

第35章

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爰にヱホバの言われに臨みて言ふ

人の子よ汝の面をセイル山にむけ之にむかひて預言し

之にいふべし主ヱホバかく言ふセイル山よ視よ我汝を罰し汝にむかひてわが手を伸べ汝を全く荒し

汝の邑々を滅すべし汝は荒はてん而して我のヱホバなるを知にいたらん

汝果しなき恨を懷きてイスラエルの人々をその艱難の時その終の罪の時に劍の手に付せり

是故に主ヱホバ言ふ我は活く我汝を血になさん血汝を追べし汝血を嫌はざれば血汝を追ん

我セイル山を全く荒し其處に往來する者を絕ち


殺されし者をその山々に滿すべし劍に殺されし者汝の岡々谷々および窪地窪地に仆れん

我汝を長に荒地となさん汝の邑々には人の住むことあらじ汝等すなはち我のヱホバなるを知にいたらん

汝言ふこの二箇の民二箇の國は我が所有なり我等これを獲んとヱホバ其處に居せしなり

是故に主ヱホバいふ我は活く汝が恨をもて彼らに示したる忿怒と嫉惡に循ひて我汝に事をなさん我汝を鞫くことを以て我を彼等に示すべし

汝は我ヱホバの汝がイスラエルの山々にむかひて是は荒はて我儕の食に授かるといひて吐たるところの諸の謗讟を聞たることを知にいたらん

汝等口をもて我にむかひて誇り我にむかひて汝等の言を多くせり我これを聞く

主ヱホバ斯いひたまふ全地の歡ぶ時に我汝を荒地となさん

汝イスラエルの家の產業の荒るを喜びたれば我汝をも然なすべしセイル山よ汝荒地とならんエドムも都て然るべし人衆すなはち我のヱホバなるを知にいたらん

第36章

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人の子よ汝イスラエルの山々に預言して言べしイスラエルの山々よヱホバの言を聽け

主ヱホバかく言たまふ敵汝等の事につきて言ふ嗚呼是等の舊き高處我儕の所有となると

是故に汝預言して言へ主ヱホバかく言ふ彼等汝らを荒し四方より汝らを呑り是をもて汝等は國民の中の殘餘者の所有となり亦人の口齒にかかりて噂せらる

然ばイスラエルの山々よ主ヱホバの言を聞け主ヱホバ山と岡と窪地と谷と滅びたる荒跡と人の棄たる邑々即ちその周圍に殘れる國民に掠められ嘲けらるる者にかく言たまふ

即ち主ヱホバかく言たまふ我まことに吾が嫉妬の火焰をもやして國民の殘餘者とエドム全國の事を言り是等は心に歡樂を極め心に誇りて吾地をおのれの所有となし之を奪ひ掠めし者なり

然ばイスラエルの國の事を預言し山と岡と窪地と谷とに言ふべし主ヱホバかく言たまふ汝等諸の國民の羞辱を蒙りしに因て我わが嫉妬と忿怒を發して語れり

是をもて主ヱホバかく言たまふ我わが手を擧ぐ汝の周圍の諸の國民は必ず自身羞辱を蒙るべし

然どイスラエルの山々よ汝等は枝を生じわが民イスラエルのために實を結ばん此事遠からず成ん

視よ我汝らに臨み汝らを眷みん汝らは耕されて種をまかるべし

我汝等の上に人を殖さん是皆悉くイスラエルの家の者なるべし邑々には人住み墟址は建直さるべし

我なんぢらの上に人と牲畜を殖さん是等は殖て多く子を生ん我汝らの上に昔時のごとくに人を住しめ汝らの初の時よりもまされる恩惠を汝等に施すべし汝等は我がヱホバなるを知にいたらん

我わが民イスラエルの人を汝らの上に歩ましめん彼等汝を有つべし汝はかれらの產業となり重ねて彼等に子なからしむることあらじ

主ヱホバかく言ひたまふ彼等汝らに向ひ汝は人を食ひなんぢの民をして子なからしめたりと言ふ

是故に主ヱホバ言たまふ汝ふたたび人を食ふべからず再び汝の民を躓かしむべからず

我汝をして重ねて國々の民の嘲笑を聞しめじ汝は重ねて國々の民の羞辱を蒙ることあらず汝の民を躓かしむることあらじ主ヱホバこれを言ふ

ヱホバの言また我にのぞみて言ふ

人の子よ昔イスラエルの家その國に住み己の途と行爲とをもて之を汚せりその途は月穢ある婦の穢のごとくに我に見えたり

彼等國に血を流し且その偶像をもて國を汚したるに因て我わが怒を彼等に斟ぎ

彼らを諸の國の民の中に散したれば則ち諸の國に散ぬ我かれらの道と行爲とにしたがひて彼等を鞫けり

彼等その往ところの國々に至りしが遂にわが聖き名を汚せり即ち人かれらを見てこれはヱホバの民にしてかれの國より出來れる者なりと言り

是をもて我イスラエルの家がその至れる國々にて瀆せしわが聖き名を惜めり

此故に汝イスラエルの家に言べし主ヱホバかく言たまふイスラエルの家よ我汝らのために之をなすにあらず汝らがその至れる國々にて汚せしわが聖き名のためになすなり

我國々の民の中に汚されたるわが大なる名即ち汝らがかれらの中にありて汚したるところの者を聖くせん國々の民はわが汝らに由て我の聖き事をその目の前にあらはさん時我がヱホバなるを知ん

我汝等を諸の民の中より導き出し諸の國より集めて汝らの國に携いたり

淸き水を汝等に灑ぎて汝等を淸くならしめ汝等の諸の汚穢と諸の偶像を除きて汝らを淸むべし

我新しき心を汝等に賜ひ新しき靈魂を汝らの衷に賦け汝等の肉より石の心を除きて肉の心を汝らに與へ

吾靈を汝らの衷に置き汝らをして我が法度に歩ましめ吾律を守りて之を行はしむべし

汝等はわが汝らの先祖等に與へし地に住て吾民とならん我は汝らの神となるべし

我汝らを救ひてその諸の汚穢を離れしめ穀物を召て之を増し饑饉を汝らに臨ませず

樹の果と田野の作物を多くせん是をもて汝らは重て饑饉の羞を國々の民の中に蒙ることあらじ

汝らはその惡き途とその善らぬ行爲を憶えてその罪とその憎むべき事のために自ら恨みん

主ヱホバ言たまふ我が之を爲は汝らのためにあらず汝らこれを知れよイスラエルの家よ汝らの途を愧て悔むべし

主ヱホバかく言たまふ我汝らの諸の罪を淸むる日に邑々に人を住しめ墟址を再興しめん

荒たる地は前に往來の人々の目に荒地と見たるに引かへて耕さるるに至るべし

人すなはち言ん此荒たりし地はエデンの園のごとくに成り荒滅び圮れたりし邑々は堅固なりて人の住に至れりと

汝らの周圍に殘れる國々の民はすなはち我ヱホバが圮れし者を再興し荒たるところに栽植することを知にいたらん我ヱホバこれを言ふ之を爲ん

主ヱホバかく言たまふイスラエルの家我が是を彼らのために爲んことをまた我に求むべきなり我群のごとくに彼ら人々を殖さん

荒たる邑々には聖き群のごとくヱルサレムの節日の群のごとくに人の群滿ん人々すなはち我がヱホバなるを知べし

第37章

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爰にヱホバの手我に臨みヱホバ我をして靈にて出行しめ谷の中に我を放賜ふ其處には骨充てり

彼その周圍に我をひきめぐりたまふに谷の表には骨はなはだ多くあり皆はなはだ枯たり

彼われに言たまひけるは人の子よ是等の骨は生るや我言ふ主ヱホバよ汝知たまふ

彼我に言たまふ是等の骨に預言し之に言べし枯たる骨よヱホバの言を聞け

主ヱホバ是らの骨に斯言たまふ視よ我汝らの中に氣息を入しめて汝等を生しめん

我筋を汝らの上に作り肉を汝らの上に生ぜしめ皮をもて汝らを蔽ひ氣息を汝らの中に與へて汝らを生しめん汝ら我がヱホバなるを知ん

我命ぜられしごとく預言しけるが我が預言する時に音あり骨うごきて骨と骨あひ聯る

我見しに筋その上に出きたり肉生じ皮上よりこれを蔽ひしが氣息その中にあらず

彼また我に言たまひけるは人の子よ氣息に預言せよ人の子よ預言して氣息に言へ主ヱホバかく言たまふ氣息よ汝四方の風より來り此殺されし者等の上に呼吸きて是を生しめよ

我命ぜられしごとく預言せしかば氣息これに入て皆生きその足に立ち甚だ多くの群衆となれり

斯て彼われに言たまふ人の子よ是等の骨はイスラエルの全家なり彼ら言ふ我らの骨は枯れ我らの望は竭く我儕絕はつるなりと

是故に預言して彼らに言へ主ヱホバかく言たまふ吾民よ我汝等の墓を啓き汝らをその墓より出きたらしめてイスラエルの地に至らしむべし

わが民よ我汝らの墓を開きて汝らを其墓より出きたらしむる時汝らは我のヱホバなるを知ん

我わが靈を汝らの中におきて汝らを生しめ汝らをその地に安んぜしめん汝等すなはち我ヱホバがこれを言ひ之を爲たることを知にいたるべし

ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よ汝一片の木を取てその上にユダおよびその侶なるイスラエルの子孫と書き又一片の木をとりてその上にヨセフおよびその侶なるイスラエルの全家と書べし是はエフライムの木なり

而して汝これを俱にあはせて一の木となせ是汝の手の中にて相聯らん

汝の民の人々汝に是は何の意なるか我儕に示さざるやと言ふ時は

これに言ふべし主ヱホバかく言たまふ我エフライムの手にあるヨセフとその侶なるイスラエルの支派の木を取り之をユダの木に合せて一の木となしわが手にて一とならしめん

汝が書つけたるところの木を彼らの目のまへにて汝の手にあらしめ

かれらに言ふべし主ヱホバかく言たまふ我イスラエルの子孫をその往るところの國々より出し四方よりかれを集めてその地に導き

その地に於て汝らを一の民となしてイスラエルの山々にをらしめん一人の王彼等全體の王たるべし彼等は重て二の民となることあらず再び二の國に分れざるべし

彼等またその偶像とその憎むべき事等およびその諸の愆をもて身を汚すことあらじ我かれらをその罪を犯せし諸の住處より救ひ出してこれを淸むべし而して彼らはわが民となり我は彼らの神とならん

わが僕ダビデかれらの王とならん彼ら全體の者の牧者は一人なるべし彼らはわが律法にあゆみ吾法度をまもりてこれを行はん

彼らは我僕ヤコブに我が賜ひし地に住ん是其先祖等が住ひし所なり彼處に彼らとその子及びその子の子とこしなへに住はん吾僕ダビデ長久にかれらの君たるべし

我かれらと和平の契約を立ん是は彼らに永遠の契約となるべし我かれらを堅うし彼らを殖しわが聖所を長久にかれらの中におかん

我が住所は彼らの上にあるべし我かれらの神となり彼らわが民とならん

わが聖所長久にかれらの中にあるにいたらば國々の民は我のヱホバにしてイスラエルを淸むる者なるを知ん

第38章

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ヱホバの言我にのぞみて言ふ

人の子よロシ、メセクおよびトバルの君たるマゴグの地の王ゴグに汝の面をむけ之にむかひて預言し

言べし主ヱホバかく言たまふロシ、メセク、トバルの君ゴグよ視よ我なんぢを罰せん

我汝をひきもどし汝の腮に鉤をほどこして汝および汝の諸の軍勢と馬とその騎者を曳いだすべし是みな其服粧に美を極め大楯小楯をもち凡て劍を執る者にして大軍なり

ペルシヤ、エテオピアおよびフテこれとともにあり皆楯と盔をもつ

ゴメルとその諸の軍隊北の極のトガルマの族とその諸の軍隊など衆多の民汝とともにあり

汝準備をなせ汝と汝にあつまれるところの軍隊みな備をせよ而して汝かれらの保護となれ

衆多の日の後なんぢ罰せられん末の年に汝かの劍をのがれてかへり衆多の民の中より集りきたれる者の地にいたり久しく荒ゐたるイスラエルの山々にいたらん是は國々より導きいだされて皆安然に住ふなり

汝その諸の軍隊および衆多の民をひきゐて上り暴風のごとく至り雲のごとく地を覆はん

主ヱホバかくいひたまふ其日に汝の心に思想おこり惡き謀計をくはだてて

言ん我平原の邑々にのぼり穩にして安然に住る者等にいたらん是みな石垣なくして居り關も門もあらざる者なりと

斯して汝物を奪ひ物を掠め汝の手をかへして彼の人の住むにいたれる墟址を攻め又かの國々より集りきたりて地の墺區にすみて群と財寶をもつところの民をせめんとす

シバ、デダン、タルシシの商賈およびその諸の小獅子汝に言ん汝物を奪はんとて來れるや汝物を掠めんために軍隊をあつめしや金銀をもちさり群と財寶を取り多くの物を奪はんとするやと

是故に人の子よ汝預言してゴグに言へ主ヱホバかくいひたまふ其日に汝わが民イスラエルの安然に住むを知ざらんや

汝すなはち北の極なる汝の處より來らん衆多の民汝とともにあり皆馬に乗る其軍隊は大にしてその軍勢は夥多し

而して汝わが民イスラエルに攻きたり雲のごとくに地を覆はんゴグよ末の日にこの事あらんすなはち我汝をわが地に攻きたらしめ汝をもて我の聖き事を國々の民の目のまへにあらはして彼らに我をしらしむべし

主ヱホバかく言たまふ我の昔日わが僕なるイスラエルの預言者等をもて語りし者は汝ならずや即ち彼ら其頃年ひさしく預言して我汝を彼らに攻きたらしめんと言り

主ヱホバいひたまふ其日すなはちゴグがイスラエルの地に攻來らん日にわが怒面にあらはるべし

我嫉妬と燃たつ怒をもて言ふ其日には必ずイスラエルの地に大なる震動あらん

海の魚空の鳥野の獣凡て地に匍ふところの昆蟲凡て地にある人わが前に震へん又山々崩れ嶄巌たふれ石垣みな地に仆れん

主ヱホバいひたまふ我劍をわが諸の山に召きたりて彼をせめしめん人々の劍その兄弟を撃べし

我疫病と血をもて彼の罪をたださん我漲ぎる雨と雹と火と硫磺を彼とその軍勢および彼とともなる多の民の上に降すべし

而して我わが大なることと聖きことを明かにし衆多の國民の目のまへに我を示さん彼らはすなはち我のヱホバなることをしるべし

第39章

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人の子よゴグにむかひ預言して言へ主ヱホバかく言たまふロシ、メセク、トバルの君ゴグよ視よ我汝を罰せん

我汝をひきもどし汝をみちびき汝をして北の極より上りてイスラエルの山々にいたらしめ

汝の左の手より弓をうち落し右の手より矢を落しむべし

汝と汝の諸の軍勢および汝とともなる民はイスラエルの山々に仆れん我汝を諸の類の鷙鳥と野の獣にあたへて食しむべし

汝は野の表面に仆れん我これを言ばなりと主ヱホバ言たまふ

我マゴグと島々に安然に住る者とに火をおくり彼らをして我のヱホバなるを知しめん

我わが聖き名をわが民イスラエルの中に知しめ重てわが聖き名を汚さしめじ國々の民すなはち我がヱホバにしてイスラエルにありて聖者なることを知るにいたらん

主ヱホバいひたまふ視よ是は來れり成れり是わが言る日なり

茲にイスラエルの邑々に住る者出きたり甲冑 大楯 小楯 弓 矢 手鎗 手矛および槍を燃し焚き之をもて七年のあひだ火を燃さん

彼ら野より木をとりきたること無く林より木をきりとらずして甲冑をもて火を燃しまた己を掠めし者をかすめ己の物を奪ひし者の物を奪はん主ヱホバこれを言ふ

其日に我イスラエルにおいて墓地をゴグに與へん是往來の人の谷にして海の東にあり是往來の人を礙げん其處に人ゴグとその群衆を埋めこれをゴグの群衆の谷となづけん

イスラエルの家之を埋めて地を淸むるに七月を費さん

國の民みなこれを埋め之によりて名をえん是我が榮光をあらはす日なり

彼等定れる人を選む其人國の中をゆきめぐりて往來の人とともにかの地の面に遺れる者を埋めてこれを淸む七月の終れる後かれら尋ぬることをなさん

國を行巡る者往來し人の骨あるを見るときはその傍に標をたつれば死人を埋むる者これをゴグの群衆の谷に埋む

邑の名もまた群衆ととなへられん斯かれら國を淸めん

人の子よ主ヱホバかく言ふ汝諸の類の鳥と野の諸の獸に言べし汝等集ひ來り我が汝らのために殺せるところの犧牲に四方より聚れ即ちイスラエルの山々の上なる大なる犠牲に臨み肉を食ひ血を飮め

汝ら勇士の肉を食ひ地の君等の血を飮め 牡羊 羔羊 牡山羊 牡牛など凡てバシヤンの肥たる畜を食ヘ

汝らわが汝らのために殺せるところの犠牲につきて飽まで脂を食ひ醉まで血を飮べし

汝らわが席につきて馬と騎者と勇士と諸の軍人に黶べしと主ヱホバいひたまふ

我わが榮光を國々の民にしめさん國々の民みな我がおこなふ審判を見我がかれらの上に加ふる手を見るべし

是日より後イスラエルの家我ヱホバの己の神なることを知ん

又國々の民イスラエルの家の擄へうつされしは其惡によりしなるを知べし彼等われに背きたるに因て我わが面を彼らに隱し彼らをその敵の手に付したれば皆劍に仆れたり

我かれらの汚穢と愆惡とにしたがひて彼らを待ひわが面を彼等に隱せり

然ば主ヱホバかく言たまふ我今ヤコブの俘擄人を歸しイスラエルの全家を憐れみ吾聖き名のために熱中せん

彼らその地に安然に住ひて誰も之を怖れしむる者なきに至る時はその我にむかひて爲たるところの諸の悖れる行爲のために愧べし

我かれらを國々より導きかへりその敵の國々より集め彼らをもて我の聖き事を衆多の國民にしめす時

彼等すなはち我ヱホバの己の神なるを知ん是は我かれらを國々に移し又その地にひき歸りて一人をも其處にのこさざればなり

我わが靈をイスラエルの家にそそぎたれば重て吾面を彼らに隱さじ主ヱホバこれを言ふ

第40章

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我らの擄へ移されてより二十五年邑の撃破られて後十四年その年の初の月の十日其日にヱホバの手われに臨み我を彼處に携へ往く

即ち神異象の中に我をイスラエルの地にたづさへゆきて甚だ高き山の上におろしたまふ其處に南の方にあたりて邑のごとき者建てり

彼我をひきて彼處にいたり給ふに一箇の人あるを見るその面容は銅のごとくにして手に麻の繩と間竿を執り門に立てり

其人われに言けるは人の子よ汝目をもて視耳をもて聞き我が汝にしめす諸の事に心をとめよ汝を此にたづさへしはこれを汝にしめさんためなり汝が見るところの事を盡くイスラエルの家に告よと

斯ありて視るに家の外の四周に墻垣ありその人の手に六キユビトの間竿ありそのキユビトは各一キユビトと一手濶なり彼その墻の厚を量るに一竿ありその高もまた一竿あり

彼東向の門にいたりその階をのぼりて門の閾を量るに其濶一竿あり即ち第一の閾の濶一竿なり

守房は長一竿廣一竿守房と守房の間は五キユビトあり内の門の廊の傍なる門の閾も一竿あり

内の門の廊を量るに一竿あり

又門の廊を量るに八キユビトありその柱は二キユビトなりその門の廊は内にあり

東向の門の守房は此旁に三箇彼處に三箇あり此三みな其寸尺おなじ柱もまた此處彼處ともにその寸尺おなじ

門の入口の廣をはかるに十キユビトあり門の長は十三キユビトなり

守房の前に一キユビトの界あり彼旁の界も一キユビトなり守房は此旁彼旁ともに六キユビトなり

彼また此守房の屋背より彼屋背まで門をはかるに入口より入口まで二十五キユビトあり

柱は六十キユビトに作れる者なり門のまはりに庭ありて柱にまでおよぶ

入口の門の前より内の門の廊の前にいたるまで五十キユビトあり

守房と門の内面の周圍の柱とに閉窓あり墻垣の差出たる處にもしかり内面の周圍には窓あり柱には棕櫚あり

彼また我を外庭に携ゆくに庭の周圍に設けたる室と鋪石あり鋪石の上に三十の室あり

鋪石は門の側にありて門の長におなじ是下鋪石なり

彼下の門の前より内庭の外の前までの廣を量るに東と北とに百キユビトあり

又外庭なる北向の門の長と寛をはかれり

守房その此旁に三箇彼旁に三箇あり柱および差出たる處もあり是は前の門の寸尺のごとく長五十キユビト濶二十五キユビトなり

その窓と差出たる處と棕櫚は東向の門にある者の寸尺と同じ七段の階級を經て上るに差出たる處その前にあり

内庭の門は北と東の門に向ふ彼門より門までを量るに百キユビトあり

彼また我を南に携ゆくに南向の門ありその柱と差出たる處をはかるに前の寸尺の如し

是とその差出たる處の周圍に窓あり彼窓のごとしその門は長五十キユビト濶二十五キユビトなり

七段の階級をへて登るべし差出たる處その前にありその柱の上には此旁に一箇彼旁に一箇の棕櫚あり

内庭に南向の門あり門より門まで南の方をはかるに百キユビトあり

彼我を携へて南の門より内庭に至る彼南の門をはかるにその寸尺前のごとし

その守房と柱と差出たる處は前の寸尺のごとしその門と差出たる處の周圍とに窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビトなり

差出たる處周圍にありその長二十五キユビト濶五キユビト

其差出たる處は外庭に出づその柱の上に棕櫚あり八段の階級をへて升るべし

彼また内庭の東の方に我をたづさへゆきて門をはかるに前の寸尺の如し

その守房と柱および差出たる處は寸尺前のごとしその門と差出たる處の周圍とに窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビト

その差出たる處は外庭にいづ柱の上には此旁彼旁に棕櫚あり八段の階級をへて升るべし

彼われを北の門にたづさへゆきてこれを量るに寸尺おなじ

その守房と柱と差出たる處ありその周園に窓あり門の長五十キユビト濶二十五キユビト

その柱は外庭に出づ柱の上に此旁彼旁に棕櫚あり八段の階をへて升るべし

門の柱の傍に戸のある室あり其處は燔祭の牲を洗ふところなり

門の廊に此旁に二の臺彼旁に二の臺あり其上に燔祭 罪祭 愆祭の牲畜を屠るべし

北の門の入口に升るに外面に於て門の廊の傍に二の臺あり亦他の旁にも二の臺あり

門の側に此旁に四の臺彼旁に四の臺ありて八なり其上に屠ることを爲す

升口に琢石の四の臺あり長一キユビト半廣一キユビト半高一キユビトなり燔祭および犠牲を宰るところの器具をその上に置く

内の周圍に一手寛の曲釘うちてあり犠牲の肉は臺の上におかる

内の門の外において内庭に謳歌人の室あり一は北の門の側にありて南にむかひ一は南の門の側にありて北にむかふ

彼われに言ふ此南にむかへる室は殿をまもる祭司のための者

北にむかへる室は壇をまもる祭司のための者なり彼等はレビの子孫の中なるザドクの後裔にしてヱホバに近よりて之に事ふるなり

而して彼庭をはかるに長百キユビト寛百キユビトにして四角なり殿の前に壇あり

彼殿の廊に我をひきゆきて廊の柱を量るに此旁も五キユビト彼方も五キユビトあり門の廣は此旁三キユビト彼旁三キユビトなり

廊の長は二十キユビト寛は十一キユビト階級によりて升るべし柱にそふて柱あり此旁に一箇彼旁に一箇

第41章

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彼殿に我をひきゆきて柱を量るに此旁の寛六キユビト彼旁の寛六キユビト幕屋の寛なり

戸の寛は十キユビト戸の側柱は此旁も五キユビト彼旁も五キユビト彼量るに其長四十キユビト廣二十キユビトあり

内にいりて戸の柱を量るに二キユビトあり戸は六キユビト戸の濶は七キユビト

彼量るに其長二十キユビト廣二十キユビトにして殿に向ふ彼我に言けるは是至聖所なり

彼室の壁を量るに六キユビトあり室の周圍の連接屋の寛は四キユビトなり

連接屋は三階にして各三十の間あり室の壁周圍の連接屋の側にありて連接屋は之に連りて堅く立つ然れども室の壁に挿入て堅く立るにあらず

連接屋は上にいたるに隨ひて廣くなり行く即ち家の圍牆家の四周に高くのぼれば家は上廣くして下のより上のにのぼる樣は中の割合にしたがふなり

我室に高き處あるを見る連接屋の基は一竿に足てその連接る處まで六キユビトなり

連接屋にある外の壁の厚は五キユビト室の連接屋の傍の隙もまた然り

室の間にあたりて家の四周に廣二十キユビトの處あり

連接屋の戸は皆かの隙にむかふ一の戸は北にむかひ一の戸は南にむかふ其隙たる處は四周にありて廣五キユビトなり

西の方にあたる離處の前の建物は廣七十キユビトその建物の周圍の壁は厚五キユビト長九十キユビト

彼殿をはかるにその長百キユビトあり離處とその建物とその壁は長百キユビト

殿の面および離處の東面は廣百キユビトなり

彼後なる離處の前の建物の長を量れり其此旁彼旁の廊下は百キユビトありまた内殿と庭の廊を量り

彼の三にある處の閾と閉窓と周圍の廊下を量れり閾の對面に當りて周圍に嵌板あり窓まで地を量りしが窓は皆蔽ふてあり

戸の上なる處内室と外の處および内外の周圍の諸の壁まで量ることをなせり

ケルビムと棕櫚と造りてあり二のケルビムの間毎に一本の棕櫚ありケルブには二の面あり

此旁には人の面ありて棕櫚にむかひ彼旁には獅子の面ありて棕櫚にむかふ家の周圍に凡て是のごとく造りてあり

地より戸の上までケルビムと棕櫚の設あり殿の壁も然り

殿には四角の戸柱あり聖所の前にも同形の者あり

壇は木にして高三キユビト長二キユビトなり是に隅木ありその臺と其周圍も木なり彼われに言けるは是はヱホバの前の壇なり

殿と聖所とには二の戸あり

その戸に二の扉あり是二の開扉なり此戸に二箇彼戸に二箇の扉あり

殿の戸にケルビムと棕櫚つくりてあり壁におけるがごとし外の廊の前に木の段あり

廊の横壁と家の連接屋と段には此旁彼旁に閉窓と棕櫚あり

第42章

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彼われを携へ出して北におもむく路よりして外庭にいたり我を室に導く是は北の方にありて離處に對ひ建物に對ひをる

その百キユビトの長ある所の前に至るに戸は北の方にあり寛は五十キユビト

内庭の二十キユビトなる處に對ひ外庭の鋪石に對ふ廊下の上に廊下ありて三なり

室の前に寛十キユビトの路あり又内庭にいたるところの百キユビトの路あり室の戸は北にむかふ

その建物の上の室は下のと中のとに比れば狹し是は廊下の爲に其場を削らるればなり

是等は三階にして庭の柱の如くは柱あらず是をもて上のは下のと中のよりもその場狹し

室の前にあたりて外に垣あり室にそひて外庭にいたる其長五十キユビト

外庭の室の長は五十キユビトにして殿に對ふ所は百キユビトあり

その下の方より是等の室いづ外庭よりこれに往ときは其入口東にあり

南の庭垣の廣き方にあたり離處とその建物にむかひて室あり

北の方なる室のごとく其前に路ありその長寛およびその出口その建築みな同じ

その入口のごとく南の方なる室の入口も然り路の頭に入口あり是は垣に連るところの路にて東より來る路なり

彼われに言けるは離處の前なる北の室と南の室は聖き室にしてヱホバに近くところの祭司の至聖き物を食ふべき所なり其處にかれら最聖き物 素祭 罪祭 愆祭の物を置べし其處は聖ければなり

祭司は入たるときは聖所より外庭に出べからず彼等職掌を行ふところの衣服を其處に置べし是聖ければなり而して他の衣を着て民に屬するの處に近くべし

彼内室を量ることを終て東向の門の路より我を携へ出して四方を量れり

彼間竿をもて東面を量るにその周圍 間竿五百竿あり

又北面をはかるにその周圍 間竿五百竿あり

また南面をはかるに間竿五百竿あり

また西面にまはりて量るに間竿五百竿あり

斯四方を量れり周圍に牆ありその長 五百竿 寛 五百竿 聖所と俗所とを區別つなり

第43章

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彼われを携へて門にいたる其門は東に向ふ

時にイスラエルの神の榮光東よりきたりしがその聲大水の音のごとくにして地その榮光に照さる

其狀を見るに我がこの邑を滅しに來りし時に見たるところの狀の如くに見ゆ又ケバル河の邊にて我が見しところの形のごとき形の者あり我すなはち俯伏す

ヱホバの榮光東向の門よりきたりて室に入る

靈われを引あげて内庭にたづさへいるにヱホバの榮光室に充をる

我聽に室より我に語ふ者あり又人ありてわが傍に立つ

彼われに言たまひけるは人の子よ吾位のある所我脚の跖のふむ所此にて我長久にイスラエルの子孫の中に居んイスラエルの家とその王等再びその姦淫とその王等の屍骸およびその崇邱をもてわが聖き名を汚すことなかるべし

彼らその閾をわが閾の側に設け其門柱をわが門柱の傍に設けたれば我と其等との間には只壁一重ありしのみ而して彼ら憎むべき事等をおこなひて吾が聖名を汚したるが故に我怒りてかれらを滅したり

彼ら今はその姦淫とその王等の屍骸をわが前より除き去ん我また彼らの中に長久に居べし

人の子よ汝この室をイスラエルの家に示せ彼らその惡を愧ぢまたこの式樣を量らん

彼らその爲たる諸の事を愧なば彼らに此室の製法とその式樣その出口入口その一切の製法その一切の則その一切の製法その一切の法をしらしめよ是をかれらの目の前に書て彼らにその諸の製法とその一切の則を守りてこれを爲しむべし

室の法は是なり山の頂の上なるその地は四方みな最聖し是室の法なり

壇の寸尺はキユビトをもて言ば左のごとしそのキユビトは一キユビトと手寛あり壇の底は一キユビト寛一キユビトその周圍の邊は半キユビト是壇の臺なり

土に坐れる底座より下の層まで二キユビト寛一キユビト又小き層より大なる層まで四キユビト寛一キユビトなり

正壇は四キユビト壇の上の面に四の角あり

壇の上の面は長十二キユビト寛十二キユビトにしてその四面角なり

その層は四方とも長十四キユビト寛十四キユビトその四周の縁は半キユビトその底は四方一キユビトその階は東に向ふ

彼われに言けるは人の子よ主ヱホバかく言たまふ壇を建て其上に燔祭を献げ血を灑ぐ日には是をその則とすべし

主ヱホバかく言ふ汝レビの支派ザドクの裔にして我にちかづき事ふるところの祭司等に犢なる牡牛を罪祭として與ふべし

又その血を取てこれをその四の角と層の四隅と四周の邊に抹り斯して之を淸め潔ようすべし

汝罪祭の牛を取てこれを聖所の外にて殿の中の定まれる處に焚べし

第二日に汝全き牡山羊を罪祭に献ぐべし即ちかれら牡牛をもて淸めしごとく之をもて壇を淸むべし

汝潔禮を終たる時は犢なる牡牛の全き者および群の全き牡羊を献ぐべし

汝これをヱホバの前に持きたるべし祭司等これに鹽を撒かけ燔祭としてヱホバに献ぐべし

七日の間汝日々に牡山羊を罪祭に供ふべしまた彼ら犢なる牡牛と群の牡羊との全き者を供ふべし

七日の間かれら壇を潔ようしこれを淸めその手を滿すべし

是等の日滿て八日にいたりて後は祭司等汝らの燔祭と酬恩祭をその壇の上に奉へん我悦びて汝らを受納べし主ヱホバこれを言たまふ

第44章

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斯て彼我を引て聖所の東向なる外の門の路にかへるに門は閉てあり

ヱホバすなはち我に言たまひけるは此門は閉おくべし開くべからず此より誰も入るべからずイスラエルの神ヱホバ此より入たれば是は閉おくべきなり

その君は君たるが故にこの内に坐してヱホバの前に食をなさん彼は門の廊の路より入りまたその路より出ん

彼また我をひきて北の門の路より家の前に至りしが視るにヱホバの榮光ヱホバの家に滿ゐたれば我俯伏けるに

ヱホバわれに言たまふ人の子よヱホバの家の諸の則とその諸の法につきて我が汝に告るところの諸の事に心を用ひ目を注ぎ耳を傾け又殿の入口と聖所の諸の出口に心を用ひよ

而して悖れる者なるイスラエルの家に言べし主ヱホバ斯いふイスラエルの家よ汝らその行ひし諸の憎むべき事等をもて足りとせよ

即ち汝等は心にも割禮をうけず肉にも割禮をうけざる外國人をひききたりて吾聖所にあらしめてわが家を汚し又わが食なる脂と血を獻ぐることを爲り斯汝らの諸の憎むべき事の上に彼等また吾契約を破れり

汝ら我が聖物を守る職守を怠り彼らをして我が聖所において汝らにかはりて我の職守を守らしめたり

主ヱホバかく言たまふイスラエルの子孫の中に居るところの諸の異邦人の中凡て心に割禮をうけず肉に割禮をうけざる異邦人はわが聖所に入るべからず

亦レビ人も迷へるイスラエルがその憎むべき偶像をしたひて我を棄て迷ひし時に我を棄ゆきたる者はその罪を蒙るべし

即ち彼らは吾が聖所にありて下僕となり家の門を守る者となり家にて下僕の業をなさん又彼ら民のために燔祭および犠牲の牲畜を殺し民のまへに立てこれに事へん

彼等その偶像の前にて民に事ヘイスラエルの家を礙かせて罪におちいらしめたるが故に主ヱホバ言ふ我手をあげて彼らを罰し彼らをしてその罪を蒙らしめたり

彼らは我に近づきて祭司の職をなすべからず至聖所にきたりわが諸の聖き物に近よるべからずその恥とその行ひし諸の憎むべき事等の報を蒙るべし

我かれらをして宮守の職務をおこなはしめ宮の諸の業および其中に行ふべき諸の事を爲しむべし

然どザドクの裔なるレビの祭司等すなはちイスラエルの子孫が我を棄て迷謬し時にわが聖所の職守を守りたる者等は我に近づきて事へ我まへに立ち脂と血をわれに獻げん主ヱホバこれを言ふなり

即ち彼等わが聖所にいり吾が臺にちかづきて我に事へわが職守を守るべし

彼等内庭の門にいる時は麻の衣を衣べし内庭の門および家において職をなす時は毛服を身につくべからず

首には麻の冠をいただき腰には麻の袴を穿つべし汗のいづるごとくに身をよそほふべからず

彼ら外庭にいづる時すなはち外庭にいでて民に就く時はその職をなせるところの衣服を脱てこれを聖き室に置き他の衣服をつくべし是その服をもて民を聖くすること無らんためなり

彼ら頭を剃べからず又髮を長く長すべからずその頭髮を剪るべし

祭司たる者は内庭に入ときに酒をのむべからず

又寡婦および去れたる婦を妻にめとるべからず唯イスラエルの家の出なる處女を娶るべし又は祭司の妻の寡となりし者を娶るべし

彼らわが民を敎へ聖き物と俗の物の區別および汚れたる物と潔き物の區別を之に知しむべし

爭論ある時は彼ら起ちて判决き吾定例にしたがひて斷决をなさん我が諸の節期において彼らわが法と憲を守るべく又わが安息日を聖くすべし

死人の許にいたりて身を汚すべからず只父のため母のため息子のため息女のため兄弟のため夫なき姉妹のためには身を汚すも宜し

斯る人にはその潔齋の後なほ七日を數へ加ふべし

彼聖所にいたり内庭にいり聖所にて職を執行ふ日には罪祭を獻ぐべし主ヱホバこれを言ふ

彼らの產業は是なり即ち我これが產業たり汝らイスラエルの中にて彼らに所有を與ふべからず我すなはちこれが所有たるなり

祭物および罪祭愆祭の物是等を彼等食ふべし凡てイスラエルの中の奉納物は彼らに歸す

諸の物の初實の初および凡て汝らが献ぐる諸の献物みな祭司に歸すべし汝等その諸の麥粉の初を祭司に與ふべし是汝の家に幸福あらしめんためなり

鳥にもあれ獸にもあれ凡て自ら死にたる者又は裂ころされし者をば祭司たる者食ふべからず

第45章

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汝ら籤をひき地をわかちて產業となす時は地の一分を取り聖き者となしてヱホバに献ぐべし其長は二萬五千寛は一萬なるべし是は其四方周圍凡て聖し

此中聖所に屬する者は長五百寛五百にして周圍四角なり又五十キユビトの隙地その周圍にあり

汝この量りたる處より長二萬五千寛一萬の場を度り取るべし此うちに聖所至聖所を設くべし

是は地の聖場なりヱホバに近づき事ふる聖所の役者なる祭司等に屬すべし是かれらの家を建てまた聖所を設くる聖地なり

又長二萬五千寛一萬の處家に事ふるレビ人に屬し其所有に二十の室あるべし

その献げたる聖地に並びて汝ら寛五千長二萬五千の處を分ち邑の所有となすべし是はイスラエルの全家に屬す

又君たる者の分はかの献げたる聖地と邑の所有の此處彼處にあり献げたる聖地に沿ひ邑の所有に沿ひ西は西にわたり東は東に渉るべし西の極より東の極まで其長は支派の分の一と等し

イスラエルの中に彼が有ところの者は地にあり吾君等は重てわが民を虐ぐることなくイスラエルの家にその支派にしたがひて地を與へおかん

主ヱホバかく言たまふイスラエルの君等よ汝ら足ことを知れ虐ぐることと掠むる事を止め公道と公義を行へ我民を逐放すことを止よ主ヱホバこれを言ふ

汝ら公平き權衡公平きエパ公平きバテを用ふべし

エパとバテとはその量を同じうすべし即ちバテもホメルの十分一を容れエパもホメルの十分一を容るべしホメルに準じてその度量を定むべし

シケルは二十ゲラに當る二十シケル二十五シケル十五シケルを汝等マネとなすべし

汝らが献ぐべき献物は左のごとし一ホメルの小麥の中よりエパの六分一を献げ一ホメルの大麥の中よりエパの六分一を献ぐべし

油の例油のバテは是のごとし一コルの中よりバテの十分一を献ぐべしコルは十バテを容る者にて即ちホメルなり十バテ一ホメルとなればなり

又イスラエルの腴なる地より群二百ごとに一箇の羊を出して素祭および燔祭 酬恩祭の物に供へ民の罪を贖ふことに用ひしむべし主ヱホバこれを言ふ

國の民みなこの獻物をイスラエルの君にもちきたるべし

又君たる者は祭日朔日安息日およびイスラエルの家の諸の節期に燔祭 素祭 灌祭を奉ぐべし即ち彼イスラエルの家の贖罪をなすために罪祭 素祭 燔祭 酬恩祭を執行なふべし

主ヱホバかく言たまふ正月の元日に汝犢なる全き牡牛を取り聖所を淸むべし

又祭司は罪祭の牲の血を取りて殿の門柱にぬり壇の層の四隅と内庭の門の柱に塗べし

月の七日に汝等また迷ふ人および拙き者のために斯なして殿のために贖をなすべし

正月の十四日に汝ら逾越節を守り七日の間祝をなし無酵パンを食ふべし

その日に君は己のため又國の諸の民のために牡牛を備へて罪祭となし

七日の節筵の間七箇の牡牛と七箇の牡羊の全き者を日々に七日の間備へてヱホバに燔祭となし又牡山羊を日々に備へて罪祭となすべし

彼また素祭として一エパを牡牛のために一エパを牡山羊のために備へ油一ヒンをエパに加ふべし

七月の十五日の節筵に彼また罪祭 燔祭 素祭および油を是のごとく七日の間備ふべし

第46章

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主ヱホバかく言たまふ内庭の東向の門は事務をなすところの六日の間は閉ぢ置き安息日にこれを開き又月朔にこれを開くべし

君たる者は外より門の廊の路をとほりて入り門の柱の傍に立つべし祭司等その時かれの爲に燔祭と酬恩祭を備ふべし彼は門の閾において禮拜をなして出べし但し門は暮まで閉べからず

國の民は安息日と月朔とにその門の入口においてヱホバの前に禮拜をなすべし

君が安息日にヱホバに獻ぐる燔祭には六の全き羔羊と一の全き牡羊を用ふべし

又素祭は牡羊のために一エパを用ふべし羔羊のために用ふる素祭はその手の出しうる程を以し一エパに油一ヒンを加ふべし

月朔には犢なる一頭の全き牡牛および六の羔羊と一の牡羊の全き者を用ふべし

素祭は牛のために一エパ牡羊のために一エパ羔羊のために其手のおよぶ程を備へ一エパに油一ヒンを加ふべし

君は來る時に門の廊の路より入りまたその路より出べし

國の民祭日にヱホバの前に來る時は北の門よりいりて禮拜をなせる者は南の門より出で南の門より入る者は北の門より出べし其入りたる門より歸るべからず眞直に進みて出べし

君彼らの中にありてその入る時に入りその出る時に出べし

祭日と祝日には素祭として牛のために一エパ牡羊のために一エパ羔羊のためにその手の出し得る程を備へ一エパに油一ヒンを加ふべし

君もし自ら好んでヱホバに燔祭を備へんとし又は自ら好んで酬恩祭を備へんとせば彼のために東向の門を開くべし彼は安息日に爲ごとくその燔祭と酬恩祭を備ふべし又彼が出たる時はその出たる後に門を閉べし

汝日々に一歳の全き羔羊一箇を燔祭としてヱホバに備ふべし即ち朝ごとにこれを備ふべし

汝朝ごとに素祭をこれに加ふべし即ち一エパの六分一と麥粉を濕す油一ヒンの三分一とを素祭としてヱホバに獻ぐべし是は長久に續くところの例典なり

即ち朝ごとに羔羊と素祭と油とを燔祭にそなへて止ことなかるべし

主ヱホバかく言たまふ君もし其子の一人に讓物をなす時は是その人の產業となりその子孫に傳はりて之が所有となるべし

然ど若その產業の中をその僕の一人に與ふる時は是は解放の年までその人に屬し居て遂に君にかへるべし彼の產業は只その子孫にのみ傳はるべきなり

君たる者は民の產業を取て民をその所有より逐放すべからず只己の所有の中をその子等に傳ふべし是わが民のその所有をはなれて散ことなからんためなり

斯て彼門の傍の入口より我をたづさへいりて北向なる祭司の聖き室にいたるに西の奧に一箇の處あり

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