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1 主いひ給ふ。汝の口にわが入れんとする預言の言を、わが民の耳に聽かしめよ。
2 此の言は眞實なれば、これを紙に認めよ。
3 民等の汝に向ひて企つる詭計を懼るな。彼等の不信仰の故に心を煩はすな。
4 すべて不信仰の者はその不信仰の中に死なん。
5 主かくいひ給ふ。視よ、われ地上に惡き事、卽ち劍と飢饉と死と滅亡とを齎さん。
6 そは不義は地上に增し加はり、彼らの害ふ業も地上に滿ち溢れたればなり。
7 されば主かくいひ給ふ。
8 今より後、不敬虔の故に彼らのなす惡しき業のために、我もはや默さじ。又彼らの不義に依りてなす惡しき業のために我もはや彼等を忍ばじ。視よ、罪なき血と義き血、我に呼ばはり、義き人の魂の聲常にわが許に上り來る。
9 主かくいひ給ふ。われ誠に彼等を審きて罪なきの血を彼等の中より受けん。
10 視よ、わが民、群の如く屠場に牽かれゆく。我今より後、これをエジプトの地に住ませじ。
11 われ強き手と高き肱とをもて彼等を導き出さん。又われ初になせし如く、エジプトに罰を蒙らせ、そのすべての地を亡さん。
12 願くはエジプトとその地の基、主の降さんとする懲戒と刑罰との故に嘆き悲まんことを。
13 願くは彼等の種は盡き、彼等の樹は疾風と霰と懼るべき星とのために荒されて、地を耕す農夫ども嘆き悲まんことを。
14 禍害なるかな、世とその中に住む者。
15 劍と彼等の滅亡近づけり。民と民相鬪はんがため、手に劔を持ちて起たん。
16 人々の間に動亂起るべし。又人々互に強くなり、その能力を恃みて、王たちをも大なる君侯たちをも無視にせん。
17 人町に入らんとすとも入ること能はじ。
18 高慢のために彼らの町は騷ぎ、その家は亡び、人々は懼れん。
19 人その隣を憐まず、糧の缺乏と大なる苦惱とのために、劔をもてその隣の家を侵し、彼等の持物を奪はん。
20 神いひ給ふ。視よ、我地のすべての王たちを呼び集め、日の出づる處と南と東とレバノンとに住む民等を起たしめ、彼等を互に反かしめ、そのなせし事に報復をなさしめん。
21 彼等の今日に至るまでわが選民になせしが如く、われ彼等になして、これを彼等の懷に返さん。主なる神かくいひ給ふ。
22 わが右の手罪を犯すものを赦さじ。地の上に罪なきものの血を流す人々の故にわが劔止むことあらじ。
23 火かれの怒より出でて燃ゆる藁の如く、地の基と罪人らとを呑み盡さん。
24 禍害なるかな、罪を犯し、わが誡命を守らざる者よと、神いひ給ふ。
25 われ彼らを赦さじ。堕落せる子等よ、我を離れ去れ。わが聖所を瀆すな。
26 主己を棄つる者を知り給ふが故に、彼等を死と屠殺とに渡し給ふ。
27 惡しき事全地に臨みて、彼等の中に止まらん。神己に對ひて罪を犯せし汝等を救ひ給はじ。
28 視よ、懼るべき幻象、日の出づる處より現はる。
29 アラビヤの龍の民多くの戰車を以て出で來る。その出でたつ日より叱咤の聲地上に轟く。これを聞く人皆懼れ慄かん。
30 怒を以て狂へるカルモニ人猪の如く出で、大なる能力をもて來る。彼等龍の民と戰ひ、その齒をもてアツスリヤの地の一部を荒さん。
31 而して後、龍ども己が素姓を憶ひてその戰鬪に勝利を獲ん。もし彼等その大なる能力に賴りてカルモニ人を攻むる計畫を立てなば。
32 カルモニ人惱みて彼等の勢威の故に默し、身を𢌞らして逃去らん。
33 アツスリヤの國より隱に窺ふ者出でて彼等を圍み、その一人を倒さん、かくて彼等の軍勢の中に恐怖と戰慄起り、彼等の王たちに對して亂起らん。
34 視よ、東より又北より南に至るまで、怒と嵐とにて滿てる、見るも恐ろしき雲出でたり。
35 此等の雲互に衝突して、大なる星、卽ち己が星を地上に隕さん、その時、劍より血流れて馬の腹、
36 又人の股と駱駝の脚に及ぶべし。
37 地上には大なる懼れと慄起らん。その怒を見る人々、懼れ慄かん。
38 その後南より、北より、又西の或方角より大なる嵐起らん。
39 東よりの強き風は、東の國と御怒をもて起されし雲とを閉ぢ込めん。又東風をもて滅亡を來らせんとせし星、南と西の方に逐ひやられん。
40 全地と、地に住む者とを亡さんがために、怒に滿ちたる強き大なる雲と星と擧げられん。彼等高く貴き者の上に、恐るべき星と、
41 火と霰と飛ぶ劍と洪水とを溢れしめん。すべての平地とすべての河とは、その水のあふれによりて荒されん。
42 彼等町と石垣と山と岡と林の樹と牧場の草と作物とを亡さん。
43 彼等その手を弛めずバビロンにまで到りて遂にこれを亡さん。
44 彼等バビロンに來り、その中を𢌞り、その上に星とすべての怒とを注ぎ出さん。その時埃と煙天にまで上り、すべての人その周圍に立ちて嘆かん。
45 而してその中に殘れる人々、バビロンを恐れしめたる者に仕へん。
46 アジヤよ、汝はバビロンの美麗とその榮光とを共に享けたり。
47 禍害なるかな、憐むべき者よ。汝己をバビロンの如きものとなせり。なんぢは汝の娘たちを淫行をもて飾れり。彼らは汝を愛する者、卽ち汝が常に共に淫行を行はんことを欲するものどもを喜ばせ、これを光榮とせり。
48 汝は憎むべき淫行を行ひし者の、すべての業とすべての異圖との跡を蹈めり。
49 故に神かくいひ給ふ。我汝の上に惡しき事を送らん。卽ち寡婦生活、貧窮、飢饉、劍、疫病なり。此等のものによりて汝らの家は荒れ果て、死と滅亡とに至らん。
50 汝に送らるる暑熱の昇り來らん時、汝の能力の光榮、花の如くに萎まん。
51 汝は鞭をもて弱くせらるる賤しき女の如く、傷をもて懲しめらるる者の如くならん。されば汝、なんちの力あるものと汝を愛する者とを受くること能はじ。
52 主かくいひ給ふ。われ豈嫉妬をもて、汝に向ひ行かんや。
53 汝常にわが選民を殺し、汝の手の鞭を喜び、酒に醉ひたる時、死者に向ひて、
54 『汝の顔の美しさを返せ』といはざりしや。
55 娼婦の値なんぢの懐にあれば、汝その報を受けん。
56 主いひ給ふ。汝わが選民になせし如く、神汝に報い、汝を惡しき業に渡さん、
57 汝の子らは飢饉によりて亡び、汝は劍によりて倒れ、汝の町は毀たれ、汝のすべてのもの、野に於て劍のために倒れん。
58 山に居る者も飢饉のために亡びん。彼らパンと水とのなきために、己等の肉を喰ひ、己等の血を飮まん。
59 すべてのものに勝りて不幸なる汝は、來りて再び惡を受けん。
60 彼等過ぎ往かんとする時に、怠れる町を侵し、汝の國の一部を亡し、汝の地の榮光ある所を亡して後、再亡されたるバビロンに還り來らん。
61 なんぢ彼等の前に粃糠の如くなりて、彼ら汝の前に火の如くならん。
62 彼ら汝の町を呑みつくし、汝の地と汝の山と汝の林と汝の實を結ぶ樹とを火を以て燒かん。
63 彼ら汝の子らを俘虜にし、汝の富を分捕物にして、汝の顔の榮を亡さん。