イソップ童話集/狼と鶴
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- 一ぴきの狼が、つかまえたうさぎをモリモリたべているうちに、ひょいと骨をのどに、ひっかけてしまいました。
- 狼はくるしがって、森中をかけまわりながら、
- 「この骨をぬいてくれた者には、うんとたくさんのおれいをする。」
- と、申しました。
- すると一羽の鶴が、おれいをもらいたかったので、
- 「では私がぬいてあげましょう。」
- と、云って、そのながいくちばしを、狼の口のなかへつっこんで、うまく骨をぬきとってやりました。
- そこで鶴は、
- 「さあ狼さん、やくそくのおれいを下さい。」
- と、申しますと、やれやれとのどをさすっていた狼は、急に目をむいて、
- 「何だと、もう一度云ってみろ、この欲ばりめ、きさまはおれの口の中から、無事にそのくちばしをあげられたことを、この上もないおれいだ、とおもわないのか、さっさとにげないと、かみころすぞ。」
- と、おどしつけました。