イソップ童話集/はげあたまの騎士
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- はげあたまの騎士がありました。
- それをかくすために、いつも、かつらをかぶって居りました。そのかつらは、人の髪の毛で、たいへんうまく出来ているので、だれもかつらだなどと気のつく人はありませんでした。
- あるとき、友だちと狩に出かけますと、にわかに大風がふいて来て、あっという間に、その騎士の帽子ばかりか、かつらまでいっしょに、とおくへふきとばしてしまいました。
- あとは、つるつるのはげあたまです。みんなはどっと笑ってはやしたてました。
- はげあたまの騎士は、まっかになって、はげあたまをかかえながらいいました。
- 「私のものでもない髪の毛が私のあたまからとんで行ったって、ちっともふしぎじゃないさ。あの髪の毛はほんとうのもち主―いっしょに生れたもち主さえもみすてたんじゃないか。」