イザヤ書 (文語訳)
第1章
編集1:1
編集アモツの子イザヤが、ユダとエルサレムについて見た幻。これはユダの王、ウジヤ、ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの治世のことである。
1:2
編集天よ聞け、地よ耳を傾けよ、主が語られる。わたしは子らを育てて大きくした。しかし、彼らはわたしに背いた。
1:3
編集牛は飼い主を知り/ろばは主人の飼い葉桶を知っている。しかし、イスラエルは知らず/わたしの民は見分けない。
1:4
編集災いだ、罪を犯す国、咎の重い民/悪を行う者の子孫、堕落した子らは。彼らは主を捨て/イスラエルの聖なる方を侮り、背を向けた。
1:5
編集何故、お前たちは背きを重ね/なおも打たれようとするのか/頭は病み、心臓は衰えているのに。
1:6
編集頭から足の裏まで、満足なところはない。打ち傷、鞭のあと、生傷は/ぬぐわれず、包まれず/油で和らげてもらえない。
1:7
編集お前たちの地は荒廃し、町々は焼き払われ/田畑の実りは、お前たちの目の前で/異国の民が食い尽くし/異国の民に覆されて、荒廃している。
1:8
編集そして、娘シオンが残った/包囲された町として。ぶどう畑の仮小屋のように/きゅうり畑の見張り小屋のように。
1:9
編集もし、万軍の主がわたしたちのために/わずかでも生存者を残されなかったなら/わたしたちはソドムのようになり/ゴモラに似たものとなっていたであろう。
1:10
編集ソドムの支配者らよ、主の言葉を聞け。ゴモラの民よ/わたしたちの神の教えに耳を傾けよ。
1:11
編集お前たちのささげる多くのいけにえが/わたしにとって何になろうか、と主は言われる。雄羊や肥えた獣の脂肪の献げ物に/わたしは飽いた。雄牛、小羊、雄山羊の血をわたしは喜ばない。
1:12
編集こうしてわたしの顔を仰ぎ見に来るが/誰がお前たちにこれらのものを求めたか/わたしの庭を踏み荒らす者よ。
1:13
編集むなしい献げ物を再び持って来るな。香の煙はわたしの忌み嫌うもの。新月祭、安息日、祝祭など/災いを伴う集いにわたしは耐ええない。
1:14
編集お前たちの新月祭や、定められた日の祭りを/わたしは憎んでやまない。それはわたしにとって、重荷でしかない。それを担うのに疲れ果てた。
1:15
編集お前たちが手を広げて祈っても、わたしは目を覆う。どれほど祈りを繰り返しても、決して聞かない。お前たちの血にまみれた手を
1:16
編集洗って、清くせよ。悪い行いをわたしの目の前から取り除け。悪を行うことをやめ
1:17
編集善を行うことを学び/裁きをどこまでも実行して/搾取する者を懲らし、孤児の権利を守り/やもめの訴えを弁護せよ。
1:18
編集論じ合おうではないか、と主は言われる。たとえ、お前たちの罪が緋のようでも/雪のように白くなることができる。たとえ、紅のようであっても/羊の毛のようになることができる。
1:19
編集お前たちが進んで従うなら/大地の実りを食べることができる。
1:20
編集かたくなに背くなら、剣の餌食になる。主の口がこう宣言される。
1:21
編集どうして、遊女になってしまったのか/忠実であった町が。そこには公平が満ち、正義が宿っていたのに/今では人殺しばかりだ。
1:22
編集お前の銀は金滓となり/良いぶどう酒は水で薄められている。
1:23
編集支配者らは無慈悲で、盗人の仲間となり/皆、賄賂を喜び、贈り物を強要する。孤児の権利は守られず/やもめの訴えは取り上げられない。
1:24
編集それゆえ、主なる万軍の神/イスラエルの力ある方は言われる。災いだ/わたしは逆らう者を必ず罰し/敵対する者に報復する。
1:25
編集わたしは手を翻し/灰汁をもってお前の滓を溶かし/不純なものをことごとく取り去る。
1:26
編集また、裁きを行う者を初めのときのように/参議を最初のときのようにする。その後に、お前は正義の都/忠実な町と呼ばれるであろう。
1:27
編集シオンは裁きをとおして贖われ/悔い改める者は恵みの御業によって贖われる。
1:28
編集背く者と罪人は共に打ち砕かれ/主を捨てる者は断たれる。
1:29
編集慕っていた樫の木のゆえにお前たちは恥を受け/喜びとしていた園のゆえに嘲られる。
1:30
編集お前たちは葉のしおれた樫の木のように/水の涸れた園のようになる。
1:31
編集強い者も麻の屑となり、その行いは火花となり/共に燃え上がり、消す者はいない。
第2章
編集2:1
編集アモツの子イザヤが示されたるユダとヱルサレムとにかかる言
2:2
編集すゑの日にヱホバの家の山はもろもろの山のいただきに堅立ち もろもろの嶺よりもたかく擧り すべての國は流のごとく之につかん
2:3
編集おほくの民ゆきて相語いはん 率われらヱホバの山にのぼりヤコブの神の家にゆかん 神われらにその道ををしヘ給はん われらその路をあゆむべしと そは律法はシオンよりいでヱホバの言はヱルサレムより出べければなり
2:4
編集ヱホバはもろもろの國のあひだを鞫き おほくの民をせめたまはん 斯てかれらはその劒をうちかへて鋤となし その鎗をうちかへて鎌となし 國は國にむかひて劍をあげず 戰鬪のことを再びまなばざるべし
2:5
編集ヤコブの家よきたれ 我儕ヱホバの光にあゆまん
2:6
編集主よなんぢはその民ヤコブの家をすてたまへり 此はかれらのなかに東のかたの風俗みち 皆ペリシテ人のごとく陰陽師となり 異邦人のともがらと手をうちて盟をたてしが故なり
2:7
編集かれらの國には黄金白銀みちて財寶の數かぎりなし かれらの國には馬みちて戰車のかず限りなし
2:8
編集かれらの國には偶像みち 皆おのが手の工その指のつくれる者ををがめり
2:9
編集賤しきものは屈められ尊きものは卑せらる かれらを容したまふなかれ
2:10
編集なんぢ岩間にいり また土にかくれて ヱホバの畏るべき容貌とその稜威の光輝とをさくべし
2:11
編集この日には目をあげて高ぶるもの卑せられ 驕る人かがめられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん
2:12
編集そは萬軍のヱホバの一の日あり すべて高ぶる者おごる者みづからを崇るものの上にのぞみて之をひくくし
2:13
編集またレバノンのたかく聳たるすべての香柏バシヤンのすべての橿樹
2:14
編集もろもろの高山もろもろの聳えたる嶺
2:15
編集すべてのたかき櫓すべての堅固なる石垣
2:16
編集およびタルシシのすべての舟すべての慕ふべき美はしきものに臨むべし
2:17
編集この日には高ぶる者はかがめられ 驕る人はひくくせられ 唯ヱホバのみ高くあげられ給はん
2:18
編集かくて偶像はことごとく亡びうすべし
2:19
編集ヱホバたちて地を震動したまふとき人々そのおそるべき容貌とその稜威の光輝とをさけて巖の洞と地の穴とにいらん
2:20
編集その日人々おのが拜せんとて造れる白銀のぐうざうと黄金のぐうざうとを鼹鼠のあな蝙蝠の穴になげすて
2:21
編集岩々の隙けはしき山峽にいり ヱホバの起て地をふるひうごかしたまふその畏るべき容貌と稜威のかがやきとを避ん
2:22
編集なんぢら鼻より息のいでいりする人に倚ることをやめよ斯るものは何ぞかぞふるに足らん
第3章
編集3:1
編集みよ主ばんぐんのヱホバ、ヱルサレムおよびユダの賴むところ倚ところなる凡てその賴むところの糧 すべてその賴むところの水
3:2
編集勇士 戰士 審士 預言者 卜筮者 長老
3:3
編集五十人の首 貴顯者 議官 藝に長たる者および言語たくみなるものを除去りたまはん
3:4
編集われ童子をもてかれらの君とし嬰兒にかれらを治めしめん
3:5
編集民たがひに相虐げ 人おのおのその隣をしヘたげ 童子は老たる者にむかひて高ぶり 賤しきものは貴きものに對ひてたかぶらん
3:6
編集そのとき人ちちの家にて兄弟にすがりていはん 汝なほ衣あり われらの有司となりてこの荒敗をその手にてをさめよと
3:7
編集その日かれ聲をあげていはん 我なんぢらを愈すものとなるを得じ わが家に糧なくまた衣なし 我をたてて民の有司とすることなかれと
3:8
編集是かれらの舌と行爲とはみなヱホバにそむきてその榮光の目ををかししが故に ヱルサレムは敗れユダは仆れたればなり
3:9
編集かれらの面色はその惡きことの證をなし ソドムのごとくその罪をあらはして隱すことをせざるなり かれらの靈魂はわざはひなるかな自らその惡の報をとれり
3:10
編集なんぢら義人にいへ かならず福祉をうけんと 彼等はそのおこなひの實をくらふべければなり
3:11
編集惡者はわざはひなる哉かならず災禍をうけん その手の報きたるべければなり
3:12
編集わが民はをさなごに虐げられ婦女にをさめらる 唉わが民よなんぢを導くものは反てなんぢを迷はせ汝のゆくべき途を絶つ
3:13
編集ヱホバ立いでて公理をのべ起てもろもろの民を審判し給ふ
3:14
編集ヱホバ來りておのが民の長老ともろもろの君とをさばきて言給はん なんぢらは葡萄園をくひあらせり 貧きものより掠めとりたる物はなんぢらの家にあり
3:15
編集いかなれば汝等わが民をふみにじり貧きものの面をすりくだくやと これ主萬軍のヱホバのみことばなり
3:16
編集ヱホバまた言給はくシォンの女輩はおごり 項をのばしてあるき 眼にて媚をおくり 徐々としてあゆみゆくその足にはりんりんと音あり
3:17
編集このゆゑに主シオンのむすめらの頭をかぶろにしヱホバ彼らの醜所をあらはし給はん
3:18
編集その日主かれらが足にかざれる美はしき釧をとり 瓔珞 半月飾
3:19
編集耳環 手釧 面帕
3:20
編集華冠 脛飾 紳 香盒 符嚢
3:21
編集指環 鼻環
3:22
編集公服 上衣 外帔 金嚢
3:23
編集鏡 細布の衣 首帕 被衣などを取除きたまはん
3:24
編集而して馨はしき香はかはりて臭穣となり 紳はかはりて繩となり 美はしく編たる髮はかぶろとなり 華かなる衣はかはりて麁布のころもとなり 麗顔はかはりて烙鐵せられたる痕とならん
3:25
編集なんぢの男はつるぎにたふれ なんぢの勇士はたたかひに仆るべし
3:26
編集その門はなげきかなしみ シオンは荒廢れて地にすわらん
第4章
編集4:1
編集その日七人のをんな一人の男にすがりていはん 我儕おのれの糧をくらひ己のころもを着るべし ただ我儕になんぢの名をとなふることを許してわれらの恥をとりのぞけと
4:2
編集その日ヱホバの枝はさかえて輝かん 地よりなりいづるものの實はすぐれ並うるはしくして逃れのこれるイスラエルの益となるべし
4:3
編集而してシオンに遣れるもの ヱルサレムにとどまれる者 すべて此等のヱルサレムに存ふる者のなかに録されたるものは聖ととなへられん
4:4
編集そは主さばきするみたまと燒つくす靈とをもてシオンのむすめらの汚をあらひ ヱルサレムの血をその中よりのぞきたまふ期きたるべければなり
4:5
編集爰にヱホバはシオンの山のすべての住所と もろもろの聚會とのうへに 晝は雲と煙とをつくり夜はほのほの光をつくり給はん あまねく榮のうへに覆庇あるべし
4:6
編集また一つの假廬ありて 晝はあつさをふせぐ陰となり 暴風と雨とをさけてかくるる所となるべし
第5章
編集5:1
編集われわが愛する者のために歌をつくり 我があいするものの葡萄園のことをうたはん わが愛するものは土肥たる山にひとつの葡萄園をもてり
5:2
編集彼その園をすきかへし石をのぞきて嘉ぶだうをうゑ そのなかに望樓をたて酒榨をほりて嘉葡萄のむすぶを望みまてり 然るに結びたるものは野葡萄なりき
5:3
編集さればヱルサレムに住るものとユダの人よ 請なんぢら我とわがぶだうぞのとの間をさばけ
5:4
編集わが葡萄園にわれの作たるほか何のなすべき事ありや 我はよきぶだうの結ぶをのぞみまちしに 何なれば野葡萄をむすびしや
5:5
編集然ばわれわが葡萄園になさんとすることを汝等につげん 我はぶだうぞのの籬芭をとりさりてその食あらさるるにまかせ その垣をこぼちてその踐あらさるるにまかせん
5:6
編集我これを荒してふたたび剪ことをせず耕すことをせず棘と荊とをはえいでしめん また雲に命せてそのうヘに雨ふることなからしめん
5:7
編集それ萬軍のヱホバの葡萄園はイスラエルの家なり その喜びたまふところの植物はユダの人なり これに公平をのぞみたまひしに反りて血をながし これに正義をのぞみ給ひしにかへりて號呼あり
5:8
編集禍ひなるかな彼らは家に家をたてつらね 田圃に田圃をましくはへて 餘地をあまさず 己ひとり國のうちに住んとす
5:9
編集萬軍のヱホバ我耳につげて宣はく 實におほくの家はあれすたれ大にして美しき家は人のすむことなきにいたらん
5:10
編集十段のぶだうぞの僅かに一バテをみのり一ホメルの穀種はわづかに一エパを實るべし
5:11
編集禍ひなるかなかれらは朝つとにおきて濃酒をおひもとめ 夜のふくるまで止まりてのみ 酒にその身をやかるるなり
5:12
編集かれらの酒宴には琴あり 瑟あり 鼓あり 笛あり 葡萄酒あり されどヱホバの作爲をかへりみずその手のなしたまふところに目をとめず
5:13
編集斯るが故にわが民は無知にして虜にせられ その貴顯者はうゑ そのもろもろの民は渇によりて疲れはてん
5:14
編集また陰府はその欲望をひろくし その度られざる口をはる かれらの榮華 かれらの群衆 かれらの饒富 および喜びたのしめる人みなその中におつべし
5:15
編集賤しき者はかがめられ 貴きものは卑くせられ 目をあげて高ぶる者はひくくせらるべし
5:16
編集されど萬軍のヱホバは公平によりてあがめられ 聖なる神は正義によりて聖とせられ給ふべし
5:17
編集而して小羊おのが牧場にあるごとくに草をはみ 豐かなるものの田はあれて旅客にくらはれん
5:18
編集禍ひなるかな彼等はいつはりを繩となして惡をひき 索にて車をひくごとく罪をひけり
5:19
編集かれらは云 その成んとする事をいそぎて速かになせ 我儕これを見ん イスラエルの聖者のさだむることを逼來らせよ われらこれを知んと
5:20
編集禍ひなるかな かれらは惡をよびて善とし善をよびて惡とし 暗をもて光とし光をもて暗とし 苦をもて甘とし甘をもて苦とする者なり
5:21
編集わざはひなる哉 かれらは己をみて智しとし自らかへりみて聰とする者なり
5:22
編集禍ひなるかな かれらは葡萄酒をのむに丈夫なり 濃酒を和するに勇者なり
5:23
編集かれらは賄賂によりて惡きものを義となし 義人よりその義をうばふ
5:24
編集此によりて火舌の刈株をくらふがごとく また枯草の火焰のなかにおつるがごとく その根はくちはてその花は塵のごとくに飛さらん かれらは萬軍のヱホバの律法をすててイスラエルの聖者のことばを蔑したればなり
5:25
編集この故にヱホバその民にむかひて怒をはなち 手をのべてかれらを撃たまヘり 山はふるひうごきかれらの屍は衢のなかにて糞土のごとくなれり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手を伸したまふ
5:26
編集かくて旗をたててとほき國々をまねき彼等をよびて地の極より來らしめたまはん 視よかれら趨りて速かにきたるべし
5:27
編集その中には疲れたふるるものなく眠りまたは寢るものなし その腰の帶はとけずその履の紐はきれず
5:28
編集その矢は鋭その弓はことごとく張り その馬のひづめは石のごとくその車の輪は疾風のごとしと稱へられん
5:29
編集その嘷ること獅のごとく また小獅のごとく嘷うなりつつ獲物をつかみて掠去れども之をすくふ者なし
5:30
編集その日かれらが嘯響めくこと海のなりどよめくがごとし もし地をのぞまば暗と難とありて光は黑雲のなかにくらくなりたるを見ん
第6章
編集6:1
編集ウジヤ王のしにたる年われ高くあがれる御座にヱホバの坐し給ふを見しにその衣裾は殿にみちたり
6:2
編集セラピムその上にたつ おのおの六の翼あり その二をもて面をおほひ その二をもて足をおほひ 其二をもて飛翔り
6:3
編集たがひに呼いひけるは聖なるかな聖なるかな聖なるかな萬軍のヱホバ その榮光は全地にみつ
6:4
編集斯よばはる者の聲によりて閾のもとゐ搖うごき家のうちに煙みちたり
6:5
編集このとき我いへり 禍ひなるかな我ほろびなん 我はけがれたる唇の民のなかにすみて穢たるくちびるの者なるに わが眼ばんぐんのヱホバにまします王を見まつればなりと
6:6
編集爰にかのセラピムのひとり鉗をもて壇の上よりとりたる熱炭を手にたづさへて我にとびきたり
6:7
編集わが口に觸ていひけるは 視よこの火なんぢの唇にふれたれば旣になんぢの惡はのぞかれ なんぢの罪はきよめられたりと
6:8
編集我またヱホバの聲をきく曰く われ誰をつかはさん誰かわれらのために往べきかと そのとき我いひけるはわれ此にあり我をつかはしたまヘ
6:9
編集ヱホバいひたまはく往てこの民にかくのごとく告よ なんぢら聞てきけよ然どさとらざるべし 見てみよ然どしらざるべしと
6:10
編集なんぢこの民のこころを鈍くしその耳をものうくし その眼をおほヘ 恐らくは彼らその眼にて見その耳にてきき その心にてさとり翻ヘりて醫さるることあらん
6:11
編集ここに我いひけるは 主よいつまで如此あらんか 主こたヘたまはく 邑はあれすたれて住むものなく 家に人なく 邦ことごとく荒土となり
6:12
編集人々ヱホバに遠方までうつされ 廢りたるところ國中におほくならん時まで 如此あるべし
6:13
編集そのなかに十分の一のこる者あれども此もまた呑つくされん されど聖裔のこりてこの地の根となるべし彼のテレビントまたは橿樹がきらるることありともその根ののこるがごとし
第7章
編集7:1
編集ウジヤの子ヨタムその子ユダヤ王アハズのとき アラムの王レヂンとレマリヤの子イスラエル王ペカと上りきたりてヱルサレムを攻しがつひに勝ことあたはざりき
7:2
編集ここにアラムとエフライムと結合なりたりとダビデの家につぐる者ありければ 王のこころと民の心とは林木の風にうごかさるるが如くに動けり
7:3
編集その時ヱホバ、イザヤに言たまひけるは今なんぢと汝の子シヤルヤシユブと共にいでて布をさらす野の大路のかたはらなる上池の樋口にゆきてアハズを迎へ
7:4
編集これに告べし なんぢ 謹みて靜かなれ アラムのレヂン及びレマリヤの子はげしく怒るとも二の燼餘りたる煙れる片柴のごとし 懼るるなかれ心をよわくするなかれ
7:5
編集アラム、エフライム及びレマリヤの子なんぢにむかひて惡き謀ごとを企てていふ
7:6
編集われらユダに攻上りて之をおびやかし我儕のためにこれを破りとり タビエルの子をその中にたてて王とせんと
7:7
編集されど主ヱホバいひたまはく この事おこなはれずまた成ことなし
7:8
編集アラムの首はダマスコ、ダマスコの首はレヂンなり エフライムは六十五年のうちに敗れて國をなさざるべし
7:9
編集またエフライムの首はサマリヤ、サマリヤの首はレマリヤの子なり 若なんぢら信ぜずばかならず立ことを得じと
7:10
編集ヱホバ再びアハズに告ていひたまはく
7:11
編集なんぢの神ヱホバに一の豫兆をもとめよ 或はふかき處あるひは上のたかき處にもとめよ
7:12
編集アハズいひけるは我これを求めじ 我はヱホバを試むることをせざるべし
7:13
編集イザヤいひけるは ダビデのいへよ請なんぢら聞 なんぢら人をわづらはしこれを小事として亦わが神をも煩はさんとするか
7:14
編集この故に主みづから一の豫兆をなんぢらに賜ふべし 視よをとめ孕みて子をうまん その名をインマヌエルと稱ふべし
7:15
編集かれ惡をすて善をえらぶことを知ころほひにいたりて乳酥と蜂蜜とをくらはん
7:16
編集そはこの子いまだ惡をすて善をえらぶことを知ざるさきになんぢが忌きらふ兩の王の地はすてらるべし
7:17
編集ヱホバはエフライムがユダを離れし時よりこのかた臨みしことなき日を汝となんぢの民となんぢの父の家とにのぞませ給はん是アツスリヤの王なり
7:18
編集其日ヱホバ、エジプトなる河々のほとりの蠅をまねきアツスリヤの地の蜂をよびたまはん
7:19
編集皆きたりて荒たるたに岩穴すべての荊棘すべての牧場のうヘに止まるべし
7:20
編集その日主はかはの外ふより雇へるアツスリヤの王を剃刀として首と足の毛とを剃たまはん また髯をも除きたまふべし
7:21
編集その日人わかき牝犢ひとつと羊ふたつとを飼をらん
7:22
編集その出すところの乳おほきによりて乳酥をくらふことを得ん すべて國のうちに遺れるものは乳酥と蜂蜜とをくらふべし
7:23
編集その日千株に銀一千の價をえたる葡萄ありし處もことごとく荊と棘はえいづべし
7:24
編集荊とおどろと地にあまねきがゆゑに人々矢と弓とをもて彼處にゆくなり
7:25
編集鋤をもて掘たがへしたる山々もいばらと棘のために人おそれてその中にゆくことを得じ その地はただ牛をはなち羊にふましむる處とならん
第8章
編集8:1
編集ヱホバ我にいひたまひけるは一の大なる牌をとり そのうへに平常の文字にてマヘル シャラル ハシ バズと録せ
8:2
編集われ信實の證者なる祭司ウリヤおよびエベレキヤの子ゼカリヤをもてその證をなさしむ
8:3
編集われ預言者の妻にちかづきしとき彼はらみて子をうみければ ヱホバ我にいひたまはく その名をマヘル シャラル ハシ バズと稱へよ
8:4
編集そはこの子いまだ我が父わが母とよぶことを知らざるうちに ダマスコの富とサマリヤの財寳はうばはれてアツスリヤ王のまへに到るべければなり
8:5
編集ヱホバまた重て我につげたまへり云く
8:6
編集この民はゆるやかに流るるシロアの水をすててレヂンとレマリヤの子とをよろこぶ
8:7
編集此によりて主はいきほひ猛くみなぎりわたる大河の水をかれらのうヘに堰入たまはん 是はアツスリヤ王とそのもろもろの威勢とにして 百の支流にはびこり もろもろの岸をこえ
8:8
編集ユダにながれいり 溢れひろごりてその項にまで及ばん インマヌエルよ そののぶる翼はあまねくなんぢの地にみちわたらん
8:9
編集もろもろの民よ さばめき騒げなんぢら摧かるべし 遠きくにぐにの者よ きけ 腰におびせよ 汝等くだかるべし 腰に帶せよ なんぢら摧かるべし
8:10
編集なんぢら互にはかれ つひに徒勞ならん なんぢら言をいだせ遂におこなはれじ そは神われらとともに在せばなり
8:11
編集ヱホバつよき手をもて此如われに示し この民の路にあゆまざらんことを我にさとして言給はく
8:12
編集此民のすべて叛逆ととなふるところの者をなんぢら叛逆ととなふるなかれ 彼等のおそるるところを汝等おそるるなかれ慴くなかれ
8:13
編集なんぢらはただ萬軍のヱホバを聖としてこれを畏みこれを恐るべし
8:14
編集然らばヱホバはきよき避所となりたまはん 然どイスラエルの兩の家には躓く石となり妨ぐる磐とならん ヱルサレムの民には網罟となり機濫とならん
8:15
編集おほくの人々これによりて蹶きかつ仆れやぶれ 網せられまた捕へらるべし
8:16
編集證詞をつかね律法をわが弟子のうちに封べし
8:17
編集いま面をおほひてヤコブの家をかへりみ給はずといヘども 我そのヱホバを待そのヱホバを望みまつらん
8:18
編集視よわれとヱホバが我にたまひたる子輩とはイスラエルのうちの豫兆なり奇しき標なり 此はシオンの山にいます萬軍のヱホバの與へたまふ所なり
8:19
編集もし人なんぢらにつげて巫女および魔術者のさえづるがごとく細語がごとき者にもとめよといはば民はおのれの神にもとむべきにあらずや いかで活者のために死者にもとむることを爲んといへ
8:20
編集ただ律法と證詞とを求むべし 彼等のいふところ此言にかなはずば晨光あらじ
8:21
編集かれら國をヘあるきて苦みうゑん その飢るとき怒をはなち己が王おのが神をさして誼ひかつその面をうへに向ん
8:22
編集また地をみれば艱難と幽暗とくるしみの闇とあり かれらは昏黑におひやられん
第9章
編集9:1
編集今くるしみを受れども後には闇なかるべし 昔しはゼブルンの地ナフタリの地をあなどられしめ給ひしかど 後には海にそひたる地ヨルダンの外の地 ことくに人のガリラヤに榮をうけしめ給へり
9:2
編集幽暗をあゆめる民は大なる光をみ 死蔭の地にすめる者のうへに光てらせり
9:3
編集なんぢ民をましその歡喜を大にしたまひければ かれらは收穫時によろこぶがごとく掠物をわかつときに樂むがごとく汝の前によろこべり
9:4
編集そは汝かれらがおへる軛とその肩の笞と虐ぐるものの杖とを折り これを折りてミデアンの日のごとくなし給ひたればなり
9:5
編集すべて亂れたたかふ兵士のよろひと血にまみれたる衣とはみな火のもえくさとなりて焚るべし
9:6
編集ひとりの嬰兒われらのために生れたり 我儕はひとりの子をあたヘられたり 政事はその肩にあり その名は奇妙また議士 また大能の神とこしへのちち 平和の君ととなヘられん
9:7
編集その政事と平和とはましくははりて窮りなし 且ダビデの位にすわりてその國ををさめ今よりのちとこしへに公平と正義とをもてこれを立これを保ちたまはん 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし
9:8
編集主一言をヤコブにおくり之をイスラエルの上にのぞませ給へり
9:9
編集すべてのこの民エフライムとサマリヤに居るものとは知ならん かれらは高ぶり誇る心をもていふ
9:10
編集瓦くづるるともわれら斫石をもて建 くはの木きらるるともわれら香柏をもて之にかヘんと
9:11
編集この故にヱホバ、レヂンの敵をあげもちゐてイスラエルを攻しめ その仇をたけび勇しめたまはん
9:12
編集前にアラム人あり後にペシリテ人あり 口をはりてイスラエルを呑んとす 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ
9:13
編集然どこの民はおのれをうつものに歸らず萬軍のヱホバを求めず
9:14
編集斯るゆゑにヱホバ一日のうちに首と尾と椶櫚のえだと葦とをイスラエルより斷切たまはん
9:15
編集その首とは老たるもの尊きもの その尾とは謊言をのぶる預言者をいふなり
9:16
編集この民をみちびく者はこれを迷はせその引導をうくる者はほろぶるなり
9:17
編集このゆゑに主はその少壯者をよろこびたまはず その孤兒と寡婦とを憐みたまはざるべし 是その民はことごとく邪まなり惡をおこなふ者なり おのおのの口は愚かなる言をかたればなり 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ
9:18
編集惡は火のごとくもえ棘と荊とを食つくし茂りあふ林をやくべければみな煙となりむらがりて上騰らん
9:19
編集萬軍のヱホバの怒によりて地はくろく燒 その民は火のもえくさとなり人々たがひに相憐むことなし
9:20
編集人みぎに攫めどもなほ飢 ひだりに食へども尚あかず おのおのその腕の肉をくらふべし
9:21
編集マナセはエフライムを エフライムはマナセをくらひ 又かれら相合てユダを攻めん 然はあれどヱホバの怒やまずして尚その手をのばしたまふ
第10章
編集10:1
編集不義のおきてをさだめ暴虐のことばを録すものは禍ひなるかな
10:2
編集かれらは乏きものの訴をうけず わが民のなかの貧しきものの權利をはぎ寡婦の資產をうばひ孤兒のものを掠む
10:3
編集なんぢら懲しめらるる日きたらば何をなさんとするか 敗壞とほきより來らんとき何をなさんとするか なんぢら逃れゆきて誰にすくひを求めんとするか また何處になんぢらの榮をのこさんとするか
10:4
編集ただ縛められたるものの下にかがみ 殺されたるもののしたに伏仆れんのみ 然はあれどヱホバのいかり止ずして尚ほその手をのばしたまふ
10:5
編集咄アツスリヤ人 なんぢはわが怒の杖なり その手の笞はわが忿恚なり
10:6
編集われ彼をつかはして邪曲なる國をせめ我かれに命じて我がいかれる民をせめてその所有をかすめその財寶をうばはしめ かれらを街の泥のごとくに蹂躪らしめん
10:7
編集されどアツスリヤ人のこころざしは斯のごとくならず その心の念もまた斯のごとくならず そのこころは敗壞をこのみ あまたの國をほろぼし絶ん
10:8
編集かれ云 わが諸侯はみな王にあらずや
10:9
編集カルノはカルケミシの如く ハマテはアルパデの如く サマリヤはダマスコの如きにあらずや
10:10
編集わが手は偶像につかふる國々を得たり その彫たる像はヱルサレムおよびサマリヤのものに勝れたり
10:11
編集われ旣にサマリヤとその偶像とに行へるごとく亦ヱルサレムとその偶像とにおこなはざる可んやと
10:12
編集このゆゑに主いひたまふ 我シオンの山とヱルサレムとに爲んとする事をことごとく遂をはらんとき 我アツスリヤ王のおごれる心の實とその高ぶり仰ぎたる眼とを罰すべし
10:13
編集そは彼いヘらく われ手の力と智慧とによりて之をなせり 我はかしこし 國々の境をのぞき その獲たるものをうばひ 又われは丈夫にしてかの位に坐するものを下したり
10:14
編集わが手もろもろの民のたからを得たりしは巣をとるが如く また天が下を取收めたりしは遺しすてたる卵をとりあつむるが如くなりき あるひは翼をうごかし あるひは口をひらき あるひは喃々する者もなかりしなりと
10:15
編集斧はこれをもちゐて伐ものにむかひて己みづから誇ることをせんや 鋸は これを動かす者にむかひて己みづから高ぶることをせんや 此はあだかも笞がおのれを擧るものを動かし杖みづから木にあらざるものを擧んとするにひとし
10:16
編集このゆゑに主萬軍のヱホバは肥たるものを瘠しめ 且その榮光のしたに火のもゆるが如き火焰をおこし給はん
10:17
編集イスラエルの光は火のごとく その聖者はほのほの如くならん 斯て一日のうちに荊とおどろとを燒ほろぼし
10:18
編集又かの林と土肥たる田圃の榮をうせしめ 靈魂をも身をもうせしめて病るものの衰へたるが如くなさん
10:19
編集かつ林のうちに殘れる木わづかにして童子も算へうるが如くになるべし
10:20
編集その日イスラエルの遺れる者とヤコブの家ののがれたる者とは再びおのれを撃し者にたよらず誠意をもてイスラエルの聖者ヱホバにたよらん
10:21
編集その遺れるものヤコブの遺れるものは大能の神にかヘるべし
10:22
編集ああイスラエルよ なんぢの民は海の沙のごとしといへども遺りて歸りきたる者はただ僅少ならん そは敗壞すでにさだまり義にて溢るべければなり
10:23
編集主萬軍のヱホバの定めたまヘる敗壞はこれを徧く國内におこなひ給ふべし
10:24
編集このゆゑに主萬軍のヱホバいひたまはく シオンに住るわが民よアツスリヤ人エジプトの例にならひ笞をもて汝をうち杖をあげて汝をせむるとも懼るるなかれ
10:25
編集ただ頃刻にして忿恚はやまん 我がいかりは彼等をほろぼして息ん
10:26
編集萬軍のヱホバむかしミデアン人をオレブの巖のあたりにて撃たまひしごとくに禍害をおこして之をせめ 又その杖を海のうへに伸しエジプトの例にしたがひてこれを擧たまはん
10:27
編集その日かれの重荷はなんぢの肩より下 かれの軛はなんぢの頸よりはなれ その軛はあぶらの故をもて壞れん
10:28
編集かれアイにきたりミグロンを過ミクマシにてその輜重をとどめ
10:29
編集渡口をすぎてゲバに宿る ここに於てラマはをののきサウルギベア人は逃れはしれり
10:30
編集ガリムの女よなんぢ聲をあげて叫べ ライシよ耳をかたぶけて聽け アナトテよなんぢも聲をあげよ
10:31
編集マデメナはさすらひゲビムの民はのがれ走れり
10:32
編集この日かれノブに立とどまり シオンのむすめの山ヱルサレムの岡にむかひて手をふりたり
10:33
編集主ばんぐんのヱホバは雄々しくたけびてその枝を斷たまはん 丈高きものは伐おとされ聳えたる者はひくくせらるべし
10:34
編集また銕をもて茂りあふ林をきり給はん レバノンは能力あるものに倒さるべし
第11章
編集11:1
編集ヱツサイの株より一つの芽いで その根より一つの枝はえて實をむすばん
11:2
編集その上にヱホバの靈とどまらん これ智慧聰明の靈 謀略才能の靈 知識の靈 ヱホバをおそるるの靈なり
11:3
編集かれはヱホバを畏るるをもて歡樂とし また目みるところによりて審判をなさず 耳きくところによりて斷定をなさず
11:4
編集正義をもて貧しき者をさばき 公平をもて國のうちの卑しき者のために斷定をなし その口の杖をもて國をうちその口唇の氣息をもて惡人をころすべし
11:5
編集正義はその腰の帶となり 忠信はその身のおびとならん
11:6
編集おほかみは小羊とともにやどり 豹は小山羊とともにふし 犢 をじし 肥たる家畜ともに居てちひさき童子にみちびかれ
11:7
編集牝牛と熊とはくひものを同にし 熊の子と牛の子とともにふし 獅はうしのごとく藁をくらひ
11:8
編集乳兒は毒蛇のほらにたはふれ 乳ばなれの兒は手をまむしの穴にいれん
11:9
編集斯てわが聖山のいづこにても害ふことなく傷ることなからん そは水の海をおほへるごとくヱホバをしるの知識地にみつべければなり
11:10
編集その日ヱツサイの根たちてもろもろの民の旂となり もろもろの邦人はこれに服ひきたり榮光はそのとどまる所にあらん
11:11
編集その日主はまたふたたび手をのべてその民ののこれる僅かのものをアツスリヤ、エジプト、パテロス、エテオピア、エラム、シナル、ハマテおよび海のしまじまより贖ひたまふべし
11:12
編集ヱホバは國々の爲に旂をたててイスラエルの逐やられたる者をあつめ地の四極よりユダの散失たるものを集へたまはん
11:13
編集またエフライムの猜はうせ ユダを惱ますものは斷れ エフライムはユダをそねまず ユダはエフライムを惱ますことなかるべし
11:14
編集かれらは西なるペリシテ人の境にとびゆき相共にひがしの子輩をかすめ その手をエドムおよびモアブにのべアンモンの子孫をおのれに服はしめん
11:15
編集ヱホバ、エジプトの海汊をからし河のうへに手をふりて熱風をふかせ その河をうちて七の小流となし 履をはきて渉らしめたまはん
11:16
編集斯てその民ののこれる僅かのものの爲にアツスリヤより來るべき一つの大路あり 昔しイスラエルがエジプトの地よりいでし時のごとくなるべし
第12章
編集12:1
編集その日なんぢ言ん ヱホバよ我なんぢに感謝すべし 汝さきに我をいかり給ひしかどその怒はやみて我をなぐさめたまへり
12:2
編集視よ神はわが救なり われ依賴ておそるるところなし 主ヱホバはわが力わが歌なり ヱホバは亦わが救となりたまへりと
12:3
編集此故になんぢら欣喜をもて救の井より水をくむべし
12:4
編集その日なんぢらいはん ヱホバに感謝せよ その名をよべ その行爲をもろもろの民の中につたヘよ その名のあがむべきことを語りつげよと
12:5
編集ヱホバを頌うたヘ そのみわざは高くすぐれたればなり これを全地につたヘよ
12:6
編集シオンに住るものよ聲をあげてよばはれ イスラエルの聖者はなんぢの中にて大なればなり
第13章
編集13:1
編集アモツの子イザヤが示されたるバビロンにかかる重負の預言
13:2
編集なんぢらかぶろの山に旂をたて聲をあげ手をふり彼等をまねきて貴族の門にいらしめよ
13:3
編集われ旣にきよめ別ちたるものに命じ わが丈夫ほこりかにいさめる者をよびて わが怒をもらさしむ
13:4
編集山におほくの人の聲きこゆ大なる民あるがごとし もろもろの國民のよりつどひて喧めく聲きこゆ これ萬軍のヱホバたたかひの軍兵を召したまふなり
13:5
編集かれらはとほき國より天の極よりきたる これヱホバとその忿恚をもらす器とともに全國をほろぼさんとて來るなり
13:6
編集なんぢら泣號ぶべしヱホバの日ちかづき全能者よりいづる敗亡きたるべければなり
13:7
編集この故にすべての手はたれ凡の人のこころは消ゆかん
13:8
編集かれら慴きおそれ艱難と憂とにせまられ 子をうまんとする婦のごとく苦しみ互におどろき 相みあひてその面は燄のごとくならん
13:9
編集視よヱホバの日苛くして忿恚とはげしき怒とをもて來り この國をあらしその中よりつみびとを絶滅さん
13:10
編集天のもろもろの星とほしの宿は光をはなたず 日はいでてくらく月は その光をかがやかさざるべし
13:11
編集われ惡ことのために世をつみし 不義のために惡きものをばつし 驕れるものの誇をとどめ 暴ぶるものの傲慢をひくくせん
13:12
編集われ人をして精金よりもすくなくオフルの黄金よりも少なからしめん
13:13
編集かくて亦われ萬軍のヱホバの忿恚のとき烈しき怒りの日に天をふるはせ地をうごかしてその處をうしなはしむべし
13:14
編集かれらは逐るる鹿のごとく集むるものなき羊のごとくなりて各自おのれの民にかへりおのれの國にのがれゆかん
13:15
編集すべて其處にあるもの見出さるれば 刺れ 拘留らるるものは劍にたふされ
13:16
編集彼等の嬰兒はその目前にてなげくだかれ その家財はかすめうばはれ その妻はけがさるべし
13:17
編集視よわれ白銀をもかへりみず黄金をもよろこばざるメデア人をおこして之にむかはしめん
13:18
編集かれらは弓をもて若きものを射くだき腹の實をあはれむことなく小子をみてをしむことなし
13:19
編集すべての國の中にてうるはしくカルデヤ人がほこり飾となせるバビロンはむかし神にほろぼされたるソドム、ゴモラのごとくならん
13:20
編集ここに住むもの永くたえ世々にいたるまで居ものなく アラビヤ人もかしこに幕屋をはらず牧人もまたかしこにはその群をふさすることなく
13:21
編集ただ猛獸かしこにふし 吼るものその家にみち 鴕鳥かしこにすみ 牡山羊かしこに躍らん
13:22
編集豺狼その城のなかになき野犬えいぐわの宮にさけばん その時のいたるは近きにあり その日は延ることなかるべし
第14章
編集14:1
編集ヱホバ、ヤコブを憐みイスラエルをふたたび撰びて之をおのれの地におきたまはん 異邦人これに加りてヤコブの家にむすびつらなるべし
14:2
編集もろもろの民はかれらをその處にたづさへいたらん而してイスラエルの家はヱホバの地にてこれを奴婢となし曩におのれを虜にしたるものを虜にし おのれを虐げたるものを治めん
14:3
編集ヱホバなんぢの憂と艱難とをのぞき 亦なんぢが勤むるからき役をのぞきて安息をたまふの日
14:4
編集なんぢこの歌をとなヘバビロン王をせめていはん虐ぐる者いかにして息みしや 金をはたる者いかにして息みしやと
14:5
編集ヱホバあしきものの笞ともろもろの有司の杖とををりたまへり
14:6
編集かれらは怒をもてもろもろの民をたえず撃てはうち 忿恚をもてもろもろの國ををさむれど その暴虐をとどむる者なかりき
14:7
編集今は全地やすみを得おだやかを得 ことごとく聲をあげてうたふ
14:8
編集實にまつの樹およびレバノンの香柏さへもなんぢの故により歡びていふ 汝すでに仆たれば樵夫のぼりきたりてわれらを攻ることなしと
14:9
編集下の陰府はなんぢの故により動きて汝のきたるをむかへ世のもろもろの英雄の亡靈をおこし國々のもろもろの王をその位より起おこらしむ
14:10
編集かれらは皆なんぢに告ていはん 汝もわれらのごとく弱くなりしや 汝もわれらと同じくなりしやと
14:11
編集なんぢの榮華となんぢの琴の音はすでに陰府におちたり 蛆なんぢの下にしかれ蚯蚓なんぢをおほふ
14:12
編集あしたの子明星よいかにして天より隕しや もろもろの國をたふしし者よいかにして斫れて地にたふれしや
14:13
編集汝さきに心中におもへらく われ天にのぼり我くらゐを神の星のうへにあげ北の極なる集會の山にざし
14:14
編集たかき雲漢にのぼり至上者のごとくなるべしと
14:15
編集然どなんぢは陰府におとされ坑の最下にいれられん
14:16
編集なんぢを見るものは熟々なんぢを視なんぢに目をとめていはん この人は地をふるはせ列國をうごかし
14:17
編集世を荒野のごとくし もろもろの邑をこぼち 捕へたるものをその家にときかへさざりしものなるかと
14:18
編集もろもろの國の王たちはことごとく皆たふとき狀にておのおのその家にねぶる
14:19
編集然どなんぢは忌きらふべき枝のごとく おのが墓のそとにすてられその周圍には劍にて刺ころされ坑におろされ 石におほはれたる者ありて踐つけらるる屍にことならず
14:20
編集汝おのれの國をほろぼし おのれの民をころししが故に かれらとおなじく葬らるることあたはず それ惡をおこなふものの裔はとこしへに名をよばるることなかるべし
14:21
編集先祖のよこしまの故をもて その子孫のために戮場をそなへ 彼等をしてたちて地をとり世界のおもてに邑をみたすことなからしめよ
14:22
編集萬軍のヱホバのたまはく 我立てかれらを攻めバビロンよりその名と遺りたるものとを絶滅し その子その孫をたちほろぼさんと これヱホバの聖言なり
14:23
編集われバビロンを刺蝟のすみかとし沼とし且ほろびの箒をもてこれを掃除かんと これ萬軍のヱホバのみことばなり
14:24
編集萬軍のヱホバ誓をたてて言給はくわがおもひし事はかならず成 わがさだめし事はかならず立ん
14:25
編集われアツスリヤ人をわが地にてうちやぶり わが山々にてふみにじらん ここにおいて彼がおきし軛はイスラエル人よりはなれ 彼がおはせし重負はイスラエル人の肩よりはなるべし
14:26
編集これは全地のことにつきて定めたる謀略なり 是はもろもろの國のうへに伸したる手なり
14:27
編集萬軍のヱホバさだめたまへり誰かこれを破ることを得んや その手をのばしたまへり誰かこれを押返すことを得んや
14:28
編集アハズ王の死たる年おもにの預言ありき
14:29
編集曰く ペリシテの全地よなんぢをうちし杖をれたればとて喜ぶなかれ 蛇の根より蝮いでその果はとびかける巨蛇となるべければなり
14:30
編集いと貧しきものはものくひ乏しきものは安然にふさん われ飢饉をもてなんぢの根をしなせ汝がのこれる者をころすべし
14:31
編集門よなげけ邑よさけべ ペリシテよなんぢの全地きえうせたり そはけぶり北よりいできたり その軍兵の列におくるるものなし
14:32
編集その國の使者たちに何とこたふべきや 答ヘていはん ヱホバ、シオンの基をおきたまへり その民のなかの苦しむものは避所をこの中にえん
第15章
編集15:1
編集モアブにかかる重負のよげん 曰く/モアブのアルは一夜の間にあらされて亡びうせ モアブのキルは一夜のまに荒されてほろびうせん
15:2
編集かれバイテおよびデボンの高所にのぼりて哭き モアブはネボ及びメデバの上にてなげきさけぶ おのおのその頭を禿にしその鬚をことごとく剃たり
15:3
編集かれら麁服をきてその衢にあり 屋蓋または廣きところにて皆なきさけび悲しむこと甚だし
15:4
編集ヘシボンとエレアレと叫びてその聲ヤハズにまで聞ゆ この故にモアブの軍兵こゑをあげ その靈魂うちに在てをののけり
15:5
編集わが心モアブのために叫びよばはれり その貴族はゾアルおよびヱグラテシリシヤにのがれ 哭つつルヒテの坂をのぼり ホロナイムの途にて敗亡の聲をあぐ
15:6
編集ニムリムの水はかわき草はかれ苗はつきて緑蔬あらず
15:7
編集このゆゑに彼等はその獲たる富とその藏めたる物をたづさへて柳の河をわたらん
15:8
編集その泣號のこゑはモアブの境をめぐり 悲歎のこゑはエグライムにいたり なげきの聲はベエルエリムにいたる
15:9
編集デモンの水は血にて充 われデモンの上にひとしほ禍害をくはへ モアブの遁れたる者とこの地の遺りたるものとに獅をおくらん
第16章
編集16:1
編集なんぢら荒野のセラより羔羊をシオンの女の山におくりて國の首にをさむべし
16:2
編集モアブの女輩はアルノンの津にありてさまよふ鳥のごとく巣をおはれたる雛のごとくなるべし
16:3
編集相謀りて審判をおこなひ 亭午にもなんぢの蔭を夜のごとくならしめ 驅逐人をかくし 遁れきたるものを顯はすなかれ
16:4
編集わが驅逐人をなんぢとともに居しめ 汝モアブの避所となりて之をそこなふ者のまへより脱れしめよ 勒索者はうせ害ふものはたえ暴虐者は地より絶れん
16:5
編集ひとつの位あはれみをもて堅くたち眞實をおこなふ者そのうヘに坐せん 彼ダビデの幕屋にをりて審判をなし公平をもとめて義をおこなふに速し
16:6
編集われらモアブの傲慢をきけり その高ぶること甚だし われらその誇とたかぶりと忿恚とをきけり その大言はむなし
16:7
編集この故にモアブはモアブの爲になきさけび民みな哭さけぶべし なんぢら必らず甚だしく心をいためてキルハレステの乾葡萄のためになげくべし
16:8
編集そはヘシボンの畑とシブマのぶだうの樹とは凋みおとろヘたり その枝さきにはヤゼルにまでいたりて荒野にはびこりのびて海をわたりしが 國々のもろもろの主その美はしき枝ををりたり
16:9
編集この故にわれヤゼルの哭とひとしくシブマの葡萄の樹のためになかん ヘシボンよエレアレよわが涙なんぢをひたさん そは鬨聲なんぢが果物なんぢが收穫の實のうへにおちきたればなり
16:10
編集欣喜とたのしみとは土肥たる畑より取さられ 葡萄園には謳ふことなく歡呼ばふことなく酒榨にはふみて酒をしぼるものなし 我そのよろこびたつる聲をやめしめたり
16:11
編集このゆゑにわが心腸はモアブの故をもて琴のごとく鳴ひびき キルハレスの故をもてわが衷もまた然り
16:12
編集モアブは高處にいでて倦つかれその聖所にきたりて祈るべけれど驗あらじ
16:13
編集こはヱホバが曩にモアブに就てかたりたまへる聖言なり
16:14
編集されど今ヱホバかたりて言たまはくモアブの榮はその大なる群衆とともに傭人の期にひとしく 三年のうちに恥かしめをうけ 遺れる者はなはだ少なくして力なからん
第17章
編集17:1
編集ダマスコにかかはる重負の預言 いはく/視よダマスコは邑のすがたをうしなひて荒墟となるべし
17:2
編集アロエルの諸邑はすてられん獸畜のむれそこにすみてその伏やすめるをおびやかす者もなからん
17:3
編集エフライムの城はすたりダマスコの政治はやみ スリアの遺れる者はイスラエルの子輩のさかえのごとく消うせん 是は萬軍のヱホバの聖言なり
17:4
編集その日ヤコブの榮はおとろへその肥たる肉はやせて
17:5
編集あだかも收穫人の麥をかりあつめ腕をもて穂をかりたる後のごとくレパイムの谷に穂をひろひたるあとの如くならん
17:6
編集されど橄欖樹をうつとき二つ三の核を杪にのこし あるひは四つ五をみのりおほき樹の外面のえだに遺せるが如く採のこさるるものあるべし 是イスラエルの神ヱホバの聖言なり
17:7
編集その日人おのれを造れるものを仰ぎのぞみイスラエルの聖者に目をとめん
17:8
編集斯ておのれの手の工なる祭壇をあふぎ望まず おのれの指のつくりたるアシラの像と日の像とに目をとめじ
17:9
編集その日かれが堅固なるまちまちは 昔イスラエルの子輩をさけてすてさりたる森のなか嶺のうへに今のこれる荒跡のごとく荒地となるべし
17:10
編集そは汝おのがすくひの神をわすれ 己がちからとなるべき磐を心にとめざりしによる このゆゑになんぢ美くしき植物をうゑ異やうの枝をさし
17:11
編集かつ植たる日に籬をまはし朝に芽をいださしむれども 患難の日といたましき憂の日ときたりて收穫の果はとびさらん
17:12
編集唉おほくの民はなりどよめけり海のなりどよめく如くかれらも鳴動めけり もろもろの國はなりひびけり大水のなりひびくが如くかれらも鳴響けり
17:13
編集もろもろの國はおほくの水のなりひびくがごとく鳴響かん されど神かれらを攻たまふべし かれら遠くのがれて風にふきさらるる山のうヘの粃糠のごとく また旋風にふきさらるる塵のごとくならん
17:14
編集視よゆふぐれに恐怖あり いまだ黎明にいたらずして彼等は亡たり これ我儕をかすむる者のうくべき報われらを奪ふもののひくべき鬮なり
第18章
編集18:1
編集唉エテオピアの河の彼方なるさやさやと羽音のきこゆる地
18:2
編集この地蒹のふねを水にうかべ海路より使者をつかはさんとてその使者にいへらく 疾走る使よなんぢら河々の流のわかるる國にゆけ丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人を踐にじる民にゆけ
18:3
編集すべて世にをるもの地にすむものよ 山のうへに旗のたつとき汝等これを見ラッパの鳴響くときなんぢら之をきけ
18:4
編集そはヱホバわれに如此いひ給へりいはく 空はれわたり日てり收穫の熱むしてつゆけき雲のたるる間 われわが居所にしづかに居てながめん
18:5
編集收穫のまへにその芽またく生その花ぶだうとなりて熟せんとするとき かれ鎌をもて蔓をかり枝をきり去ん
18:6
編集斯てみな山のたけきとりと地の獸とになげあたへらるべし 猛鳥そのうヘにて夏をすごし地のけものその上にて冬をわたらん
18:7
編集そのとき河々の流のわかるる國の丈たかく肌なめらかなる 始めより今にいたるまで懼るべく繩もてはかり人をふみにじる民より 萬軍のヱホバにささぐる禮物をたづさへて 萬軍のヱホバの聖名のところシオンの山にきたるべし
第19章
編集19:1
編集エジプトにかかる重負のよげん いはく/ヱホバははやき雲にのりてエジプトに來りたまふ エジプトのもろもろの偶像はその前にふるひをののき エジプト人のこころはその衷にて消ゆかん
19:2
編集我エジプト人をたけび勇ましめてエジプト人を攻しめん斯てかれら各自その兄弟をせめおのおのその鄰をせめ 邑は邑をせめ國はくにを攻べし
19:3
編集エジプト人の靈魂うせてその中むなしくならん われその謀略をほろぼすべし かれらは偶像および呪文をとなふるもの巫女魔術者にもとむることを爲ん
19:4
編集われエジプト人を苛酷なる主人の手にわたさん あらあらしき王かれらを治むべし是主萬軍のヱホバの聖言なり
19:5
編集海の水はつき河もまた涸てかわかん
19:6
編集また河々はくさき臭をはなちエジプトの堭はみな漸次にへりてかわき葦と蘆とかれはてん
19:7
編集ナイルのほとりの草原ナイルの岸にほどちかき所すべてナイルの最寄にまきたる者はことごとく枯てちりうせん
19:8
編集漁者もまた歎き すべてナイルに釣をたるる者はかなしみ網を水のうへに施ものはおとろふべし
19:9
編集練たる麻にて物つくるもの白布を織ものは恥あわて
19:10
編集その柱はくだけ一切のやとはれたる者のこころ憂ひかなしまん
19:11
編集誠やゾアンの諸侯は愚なりパロの最もかしこき議官のはかりごとは癡鈍べし 然ばなんぢら何でパロにむかひて我はかしこきものの子 われは古への王の子なりといふを得んや
19:12
編集なんぢの智者いづくにありや 彼らもし萬軍のヱホバの定めたまひしエジプトに係はることを暁得ばこれをなんぢに告るこそよけれ
19:13
編集ゾアンのもろもろの諸侯は愚かなり ノフの諸侯は惑ひたり かれらはエジプトのもろもろの支派の隅石なるに却てエジプトをあやまらせたり
19:14
編集ヱホバ曲れる心をその中にまじへ給ひしにより 彼等はエジプトのすべて作ところを謬らせ恰かも酔る人の哇吐ときによろめくが如くならしめたり
19:15
編集エジプトにて或は首あるひは尾あるひは椶櫚のえだまたは葦すべてその作ところの工なかるべし
19:16
編集その日エジプトは婦女のごとくならん 萬軍のヱホバの動かしたまふ手のその上にうごくが故におそれをののくべし
19:17
編集ユダの地はエジプトに懼れらる この事をかたりつぐれば聽くもの皆おそる これ萬軍のヱホバ、エジプトに對ひて定めたまへる謀略の故によるなり
19:18
編集その日エジプトの地に五の邑あり カナンの方言をかたりまた萬軍のヱホバに誓ひをたてん その中のひとつは日邑ととなへらるべし
19:19
編集その日エジプトの地の中にヱホバをまつる一つの祭壇あり その境にヱホバをまつる一柱あらん
19:20
編集これエジプトの地にて萬軍のヱホバの徴となり證となるなり かれら暴虐者の故によりてヱホバに號求むべければ ヱホバは救ふもの護るものを遣してこれを助けたまはん
19:21
編集ヱホバおのれをエジプトに知せたまはん その日エジプト人はヱホバをしり犠牲と祭物とをもて之につかへん 誓願をヱホバにたてて成とぐべし
19:22
編集ヱホバ、エジプトを撃たまはん ヱホバこれを撃これを醫したまふ この故にかれらヱホバに歸らん ヱホバその懇求をいれて之をいやし給はん
19:23
編集その日エジプトよりアツスリヤにかよふ大路ありて アツスリヤ人はエジプトにきたり エジプト人はアツスリヤにゆき エジプト人とアツスリヤ人と相共につかふることをせん
19:24
編集その日イスラエルはエジプトとアツスリヤとを共にし三あひならび地のうへにて福祉をうくる者となるべし
19:25
編集萬軍のヱホバこれを祝して言たまはく わが民なるエジプトわが手の工なるアツスリヤわが產業なるイスラエルは福ひなるかな
第20章
編集20:1
編集アツスリヤのサルゴン王タルタンを遣してアシドドにゆかしむ 彼がアシドドを攻てとりし年にあたり
20:2
編集この時ヱホバ、アモツの子イザヤに托てかたりたまはく 往なんぢの腰よりあらたへの衣をとき汝の足より履をぬげ ここに於てかれその如くなし赤裸跣足にて歩めり
20:3
編集ヱホバ言給く わが僕イザヤは三年の間はだかはだしにてあゆみ エジプトとエテオピアとの豫兆となり奇しき標となりたり
20:4
編集斯のごとくエジプトの虜とエテオピアの俘囚とはアツスリヤの王にひきゆかれ その若きも老たるもみな赤裸跣足にて臀までもあらはしエジプトの恥をしめすべし
20:5
編集かれらはその恃とせるエテオピアその誇とせるエジプトのゆゑをもて懼れはぢん
20:6
編集その日この濱邊の民いはん 視よ われらの恃とせる國われらが遁れゆきて助をもとめアツスリヤ王の手より救出されんとせし國すでに斯のごとし 我儕はいかにして脱かるるを得んやと
第21章
編集21:1
編集うみべの荒野にかかる重負のよげん いはく/荒野よりおそるべき地より南のかたの暴風のふきすぐるが如くきたれり
21:2
編集われ苛き默示をしめされたり 欺騙者はあざむき荒すものはあらすべし エラムよ上れメデアよかこめ 我すでにすべての歎息をやめしめたり
21:3
編集この故にわが腰は甚だしくいたみ 產にのぞめる婦人の如き苦しみ我にせまれり われ悶へ苦しみて聞ことあたはず我をののきて見ことあたはず
21:4
編集わが心みだれまどひて慴き怖ること甚だし わが樂しめる夕はかはりて懼れとなりぬ
21:5
編集彼らは席をまうけ筵をしきてくひのみす もろもろの君よたちて盾にあぶらぬれ
21:6
編集ヱホバかく我にいひ給へり 汝ゆきて斥候をおきその見るところを告しめよ
21:7
編集かれ馬にのりて二列にならび來るものを見 また驢馬にのりたると駱駝にのりたるとをみば 耳をかたぶけて詳細にきくことをせしめよと
21:8
編集かれ獅の如く呼はりて曰けるは わが主よわれ終日やぐらに立よもすがら斥候の地にたつ
21:9
編集馬にのりて二列にならびたる者きたれり 彼こたへていはくバビロンは倒れたり 倒れたりそのもろもろの神の像はくだけて地にふしたり
21:10
編集蹂躙らるるわが民よわが打場のたなつものよ 我イスラエルの神萬軍のヱホバに聞るところのものを汝につげたり
21:11
編集ドマに係るおもにの預言 いはく/人ありセイルより我をよびていふ 斥候よ夜はなにのときぞ 斥候よ夜はなにの時ぞ
21:12
編集ものみ答へていふ 朝きたり夜またきたる 汝もしとはんとおもはば問 なんぢら歸りきたるべし
21:13
編集アラビヤにかかる重負のよげん 曰く/デダンの客商よなんぢらはアラビヤの林にやどらん
21:14
編集テマの地のたみよ水をたづさへて渇ける者をむかへ 糧をもて逃遁れたるものを迎へよ
21:15
編集かれらは刃をさけ 旣にぬきたる劍すでに張たる弓およびたたかひの艱難をさけて逃きたれり
21:16
編集そは主われにいひたまはく 傭人の期にひとしく一年のうちにケダルのすべての榮華はつきはてん
21:17
編集そののこれる弓士のかずとケダルの子孫のますらをとは少なかるべし 此はイスラエルの神ヱホバのかたり給へるなり
第22章
編集22:1
編集異象の谷にかかる重負のよげん 曰く/なんぢら何故にみな屋蓋にのぼれるか
22:2
編集汝はさわがしく喧すしき邑ほこりたのしむ邑 なんぢのうちの殺されたるものは劍をもて殺されしにあらず 亦たたかひにて死しにもあらず
22:3
編集なんぢの有司はみな共にのがれゆきしかど弓士にいましめられ 汝の民はとほくにげゆきしかど見出されて皆ともに縛められたり
22:4
編集この故にわれいふ回顧てわれを見るなかれ 我いたく哭かなしまん わが民のむすめの害はれたるによりて我をなぐさめんと勉むるなかれ
22:5
編集そは主萬軍のヱホバ異象のたにに騒亂ふみにじり惶惑の日をきたらせたまふ 垣はくづれ號呼のこゑは山々にきこゆ
22:6
編集エラムは箙をおひたり 歩兵と騎兵とありキルは盾をあらはせり
22:7
編集かくて戰車はなんぢの美しき谷にみち 騎兵はその門にむかひてつらなれり
22:8
編集ユダの庇護はのぞかる その日なんぢは林のいへの武具をあふぎのぞめり
22:9
編集なんぢらダビデのまちの壞おほきを見る なんぢら下のいけの水をあつめ
22:10
編集またヱルサレムの家をかぞへ且その家をこぼちて垣をかたくし
22:11
編集一つの水坑をかきとかきとの間につくりて古池の水をひけりされどこの事をなし給へるものを仰望まず この事をむかしより營みたまへる者をかへりみざりき
22:12
編集その日主萬軍のヱホバ命じて哭かなしみ首をかぶろにし麁服をまとへと仰せたまひしかど
22:13
編集なんぢらは喜びたのしみ牛をほふり羊をころし肉をくらひ酒をのみていふ 我儕くらひ且のむべし明日はしぬべければなりと
22:14
編集萬軍のヱホバ默示をわが耳にきかしめたまはく まことにこの邪曲はなんぢらが死にいたるまで除き清めらるるを得ずと これ主萬軍のヱホバのみことばなり
22:15
編集主ばんぐんのヱホバ如此のたまふ ゆけ宮ををさめ庫をつかさどるセブナにゆきていへ
22:16
編集なんぢここに何のかかはりありや また茲にいかなる人のありとして己がために墓をほりしや 彼はたかきところに墓をほり磐をうがちて己がために住所をつくれり
22:17
編集視よヱホバはつよき人のなげうつ如くに汝をなげうち給はん
22:18
編集なんぢを包みかためふりまはして闊かなる地に球のごとくなげいだしたまはん 主人のいへの恥となるものよ汝そこにて死そのえいぐわの車もそこにあらん
22:19
編集我なんぢをその職よりおひその位よりひきおとさん
22:20
編集その日われわが僕ヒルキヤの子エリアキムを召て
22:21
編集なんぢの衣をきせ汝の帶をもて固め なんぢの政權をその手にゆだぬべし 斯て彼ヱルサレムの民とユダの家とに父とならん
22:22
編集我またダビデのいへの鑰をその肩におかん 彼あくればとづるものなく彼とづればあくるものなし
22:23
編集我かれをたてて堅處にうちし釘のごとくすべし 而してかれはその父の家のさかえの位とならん
22:24
編集その父の家のもろもろの榮は彼がうへに懸る その子その孫およびすべての器のちひさきもの皿より瓶子にいたるまでも然らざるなし
22:25
編集萬軍のヱホバのたまはくその日かたき處にうちたる釘はぬけいで斫れておちん そのうへにかかれる負もまた絶るべし こはヱホバ語り給へるなり
第23章
編集23:1
編集ツロに係るおもにの預言 いはく/タルシシのもろもろの舟よなきさけベ ツロは荒廢れて屋なく入べきところなければなり かれら此事をキツテムの地にて告しらせらる
23:2
編集うみべの民よもだせ 曩には海をゆきかふシドンの商賣くさぐさの物をかしこに充せたり
23:3
編集ツロは大なる水をわたりくるシホルの種物とナイルがはの穀物とによりて収納をえたり ツロはもろもろの國のつどふ市なりき
23:4
編集シドンよはづべし そは海すなはち海城かくいへり曰く われ苦しまずうまず壯男をやしなはず處女をそだてざりきと
23:5
編集この音信のエジプトにいたるとき彼等ツロのおとづれによりて甚くうれふべし
23:6
編集なんぢらタルシシにわたれ 海邊のたみよ汝等なきさけぶべし
23:7
編集これは上れる世いにしへよりありし邑おのが足にてうつり遠くたびずまひせる邑なんぢらの樂しみの邑なりしや
23:8
編集斯のごとくツロに對ひてはかりしは誰なるか ツロは冕をさづけし邑 その中のあきうどは君 その中の貿易するものは地のたふとき者なりき
23:9
編集これ萬軍のヱホバの定め給ふところにして すべて華美にかざれる驕奢をけがし地のもろもろの貴者をひくくしたまはんが爲なり
23:10
編集タルシシの女よナイルのごとく己が地にあふれよ なんぢを結びかたむる帶ふたたびなかるべし
23:11
編集ヱホバその手を海の上にのべて國々をふるひうごかし給へり ヱホバ、カナンにつきて詔命をいだしその保砦をこぼたしめたまふ
23:12
編集彼いひたまはく虐げられたる處女シドンのむすめよ 汝ふたたびよろこぶことなかるべし 起てキツテムにわたれ彼處にてなんぢまた安息をえじ
23:13
編集カルデヤ人のくにを視よ この民はふたたびあることなし アツスリヤ人この國を野のけものの居所にさだめたり かれら櫓をたてもろもろの殿をこぼちて荒墟となせり
23:14
編集タルシシのもろもろの舟よなきさけべ なんぢの保砦はくだかれたり
23:15
編集その日ツロは七十年のあひだ忘れらるべし ひとりの王のながらふる日のかずなり七十年終りてのちツロは妓女のうたの如くならん
23:16
編集さきに忘れられたるうかれめよ琴をとりて城市をへめぐり 巧に弾じておほくの歌をうたひ人にふたたび記念らるべし
23:17
編集七十年をはりてヱホバまたツロを顧みたまはん ツロはふたたびその利潤をえて地のおもてにあるもろもろの國と淫をおこなふべし
23:18
編集その貿易とその獲たる利潤とはきよめてヱホバに獻ぐべければ之をたくはへず積ことをせざるなり その貿易はヱホバの前にをるものの用となり飽くらふ料となり華美なるころもの料とならん
第24章
編集24:1
編集視よヱホバこの地をむなしからしめ荒廢れしめこれを覆へしてその民をちらしたまふ
24:2
編集かくて民も祭司もひとしく 僕も主もひとしく 下婢も主婦もひとしく 買ものも賣ものもひとしく 貸ものも借ものもひとしく 利をはたるものも利をいだす者もひとしくこの事にあふべし
24:3
編集地はことごとく空しくことごとく掠められん こはヱホバの言たまへるなり
24:4
編集地はうれへおとろへ世は萎おとろへ地のたふときものも萎はてたり
24:5
編集民おきてにそむき法ををかし とこしへの契約をやぶりたるがゆゑに 地はその下にけがされたり
24:6
編集このゆゑに呪詛は地をのみつくしそこに住るものは罪をうけまた地の民はやかれて僅かばかり遺れり
24:7
編集あたらしき酒はうれへ葡萄はなえ 心たのしめるものはみな歎息せざるはなし
24:8
編集鼓のおとは寂まり歡ぶものの聲はやみ琴の音もまたしづまれり
24:9
編集彼等はふたたび歌うたひ酒のまず濃酒はこれをのむものに苦くなるべし
24:10
編集騒ぎみだれたる邑はすでにやぶられ毎家はことごとく閉て人のいるなし
24:11
編集街頭には酒の故によりて叫ぶこゑあり すべての歡喜はくらくなり地のたのしみは去ゆけり
24:12
編集邑はあれすたれたる所のみのこり その門もこぼたれて破れぬ
24:13
編集地のうちにてもろもろの民のなかにて遺るものは橄欖の樹のうたれしのちの果の如く葡萄の収穫はてしのちの實のごとし
24:14
編集これらのもの聲をあげてよばはん ヱホバの稜威のゆゑをもて海より歡びよばはん
24:15
編集この故になんぢら東にてヱホバをあがめ 海のしまじまにてイスラエルの神ヱホバの名をあがむべし
24:16
編集われら地の極より歌をきけり いはく榮光はただしきものに歸すと/われ云らく我やせおとろへたり我やせおとろへたり 我はわざはひなるかな 欺騙者はあざむき欺騙者はいつはりをもて欺むけり
24:17
編集地にすむものよ恐怖と陷阱と罟とはなんぢに臨めり
24:18
編集おそれの聲をのがるる者はおとしあなに陷り おとしあなの中よりいづるものは罟にかかるべし そは高處の窓ひらけ地の基ふるひうごけばなり
24:19
編集地は碎けにくだけ地はやぶれにやぶれ地は搖にゆれ
24:20
編集地はゑへる者のごとく蹌きによろめき仮廬のごとくふりうごく その罪はそのうへにおもく遂にたふれて再びおくることなし
24:21
編集その日ヱホバはたかき處にて高きところの軍兵を征め 地にて地のもろもろの王を征めたまはん
24:22
編集かれらは囚人が阱にあつめらるるごとく集められて 獄中にとざされ多くの日をへてのち刑せらるべし
24:23
編集かくて萬軍のヱホバ、シオンの山およびヱルサレムにて統治め かつその長老たちのまへに榮光あるべければ 月は面あからみ日ははぢて色かはるべし
第25章
編集25:1
編集ヱホバよ汝はわが神なり 我なんぢを崇めなんぢの名をほめたたへん 汝さきに妙なる事をおこなひ 古時より定めたることを眞實をもて成たまひたればなり
25:2
編集なんぢ邑をかへて石堆となし 堅固なる城を荒墟となし 外人の京都を邑とならしめず永遠にたつることを得ざらしめたまへり
25:3
編集この故につよき民はなんぢをあがめ 暴びたる國々の城はなんぢをおそるべし
25:4
編集そはなんぢ弱きものの保砦となり 乏しきものの難のときの保砦となり 雨風のふききたりて垣をうつごとく暴ぶるものの荒きたるときの避所となり 熱をさくる蔭となりたまへり
25:5
編集なんぢ外人の喧嘩をおさへて旱ける地より熱をとりのぞく如くならしめ 暴ぶるものの凱歌をとどめて雪の陰をもて熱をとどむる如くならしめたまはん
25:6
編集萬軍のヱホバこの山にてもろもろの民のために肥たるものをもて宴をまうけ 久しくたくはへたる葡萄酒をもて宴をまうく 膸おほき肥たるもの久しくたくはへたる清るぶだう酒の宴なり
25:7
編集又この山にてもろもろの民のかぶれる面帕と もろもろの國のおほへる外帔をとりのぞき
25:8
編集とこしへまで死を呑たまはん 主ヱホバはすべての面より涙をぬぐひ 全地のうへよりその民の凌辱をのぞき給はん これはヱホバの語りたまへるなり
25:9
編集その日此如いはん これはわれらの神なり われら俟望めり 彼われらを救ひたまはん 是ヱホバなり われらまちのぞめり 我儕そのすくひを歡びたのしむべしと
25:10
編集ヱホバの手はこの山にとどまり モアブはその處にてあくたの水のなかにふまるる藁のごとく蹂躙られん
25:11
編集彼そのなかにて游者のおよがんとして手をのばすが如く己が手をのばさん 然どヱホバその手の脆計とともにその傲慢を伏たまはん
25:12
編集なんぢの垣たかき堅固なる城はヱホバかたぶけたふし 地におとして塵にまじへたまはん
第26章
編集26:1
編集その日ユダの國にてこの歌をうたはん われらに堅固なる邑あり 神すくひをもてその垣その藩となしたまふべし
26:2
編集なんぢら門をひらきて忠信を守るただしき國民をいれよ
26:3
編集なんぢは平康にやすきをもて心志かたき者をまもりたまふ 彼はなんぢに依賴めばなり
26:4
編集なんぢら常盤にヱホバによりたのめ 主ヱホバはとこしへの巌なり
26:5
編集たかきに居るものを仆し そびえたる城をふせしめ 地にふせしめて塵にまじへ給へり
26:6
編集かくて足これをふまん 苦しむものは足にて之をふみ 貧しき者はその上をあゆまん
26:7
編集義きものの道は直からざるなし なんぢ義きものの途を直く平らかにし給ふ
26:8
編集ヱホバよ審判をおこなひたまふ道にてわれら汝をまちのぞめり われらの心はなんぢの名となんぢの記念の名とをしたふなり
26:9
編集わがこころ夜なんぢを慕ひたり わがうちなる靈あしたに汝をもとめん そは汝のさばき地におこなはるるとき世にすめるもの正義をまなぶべし
26:10
編集惡者はめぐまるれども公義をまなばず 直き地にありてなほ不義をおこなひヱホバの稜威を見ることをこのまず
26:11
編集ヱホバよなんぢの手たかく擧れどもかれら顧みず 然どなんぢが民をすくひたまふ熱心を見ばはぢをいだかん 火なんぢの敵をやきつくすべし
26:12
編集ヱホバよ汝はわれらのために平和をまうけたまはん 我儕のおこなひしことは皆なんぢの成たまへるなり
26:13
編集ヱホバわれらの神よなんぢにあらぬ他の主ども曩にわれらを治めたり 然どわれらはただ汝によりて汝の名をかたりつげん
26:14
編集かれら死たればまたいきず 亡靈となりたればまた復らず なんぢかれらを糺してこれを滅ぼし その記念の名をさへ悉くうせしめたまへり
26:15
編集ヱホバよなんぢこの國民をましたまへり此くにびとを増たまへり なんぢは尊ばれたまふ なんぢ地の界をことごとく擴めたまへり
26:16
編集ヱホバよかれら苦難のときに汝をあふぎのぞめり 彼等なんぢの懲罰にあへるとき切になんぢに禱告せり
26:17
編集ヱホバよわれらは孕める婦のうむとき近づきてくるしみ その痛みによりて叫ぶがごとく汝のまへに然ありき
26:18
編集われらは孕みまた苦しみたれどその產るところは風ににたり われら救を地にほどこさず世にすむ者うまれいでざりき
26:19
編集なんぢの死者はいきわが民の屍はおきん 塵にふすものよ醒てうたうたふべし なんぢの露は草木をうるほす露のごとく地はなきたまをいださん
26:20
編集わが民よゆけ なんぢの室にいり汝のうしろの戸をとぢて忿恚のすぎゆくまで暫時かくるべし
26:21
編集視よヱホバはその處をいでて地にすむものの不義をただしたまはん 地はその上なる血をあらはにして殺されたるものをまた掩はざるべし
第27章
編集27:1
編集その日ヱホバは硬く大いなるつよき劍をもて 疾走るへびレビヤタン曲りうねる蛇レビヤタンを罰しまた海にある鱷をころし給ふべし
27:2
編集その日如此うたはん うるはしき葡萄園あり之をうたへよ
27:3
編集われヱホバこれを護り をりをり水そそぎ 夜も晝もまもりて害ふものあらざらしめん
27:4
編集我にいきどほりなし願はくは荊棘のわれと戰はんことを 然ばわれすすみ迎へて皆もろともに焚盡さん
27:5
編集寧ろわが力にたよりて我とやはらぎを結べ われと平和をむすぶべし
27:6
編集後にいたらばヤコブは根をはりイスラエルは芽をいだして花さきその實せかいの面にみちん
27:7
編集ヤコブ主にうたるるといへども彼をうちしものの主にうたるるが如きことあらんや ヤコブの殺さるるは彼をころししものの殺さるるが如きことあらんや
27:8
編集汝がヤコブを逐たまへる懲罰は度にかなひぬ 東風のふきし日なんぢあらき風をもてこれをうつし給へり
27:9
編集斯るがゆゑにヤコブの不義はこれによりて潔められん これに因てむすぶ果は罪をのぞくことをせん 彼は祭壇のもろもろの石を碎けたる石灰のごとくになし アシラの像と日の像とをふたたび建ることなからしめん
27:10
編集堅固なる邑はあれてすさまじく棄去れたる家のごとく また荒野のごとし 犢このところにて草をはみ此所にてふし 且そこなる樹のえだをくらはん
27:11
編集その枝かるるとき折とらる 婦人きたりてこれを燒ん これは無知の民なるが故に之をつくれる者あはれまず これを形づくれるもの惠まざるべし
27:12
編集その日なんぢらイスラエルの子輩よ ヱホバは打落したる果をあつむるごとく 大河の流よりエジプトの川にいたるまでなんぢらを一つ一つにあつめたまふべし
27:13
編集その日大なるラッパ鳴ひびきアツスリヤの地にさすらひたる者 エジプトの地におひやられたる者 きたりてヱルサレムの聖山にてヱホバを拜むべし
第28章
編集28:1
編集酔るものなるエフライム人よなんぢらの誇の冠はわざはひなるかな 酒におぼるるものよ肥たる谷の首にある凋んとする花のうるはしき飾はわざはひなるかな
28:2
編集みよ主はひとりの力ある强剛者をもち給へり それは雹をまじへたる暴風のごとく壞りそこなふ狂風のごとく大水のあぶれ漲るごとく烈しくかれを地になげうつべし
28:3
編集酔るものなるエフライム人のほこりの冠は足にて踐にじられん
28:4
編集肥たる谷のかしらにある凋んとする花のうるはしきかざりは 夏こぬに熟したる初結の無花果のごとし 見るものこれをみて取る手おそしと呑いるるなり
28:5
編集その日萬軍のヱホバその民ののこれる者のために榮のかんむりとなり美しき冠となり給はん
28:6
編集さばきの席にざするものには審判の靈をあたへ軍を門よりおひかへす者には力をあたへ給ふべし
28:7
編集然どかれらも酒によりてよろめき濃酒によりてよろぼひたり 祭司と預言者とは濃酒によりてよろめき 酒にのまれ濃酒によりてよろぼひ 而して默示をみるときにもよろめき審判をおこなふときにも躓けり
28:8
編集すべて膳には吐たるものと穢とみちて潔きところなし
28:9
編集かれは誰にをしへて知識をあたへんとするか 誰にしめして音信を暁らせんとするか 乳をたち懷をはなれたる者にするならんか
28:10
編集そは誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にもすこしく敎ふ
28:11
編集このゆゑに神あだし唇と異なる舌とをもてこの民にかたりたまはん
28:12
編集曩にかれらに言たまひけるは此は安息なり疲困者にやすみをあたへよ 此は安慰なりと されど彼らは聞ことをせざりき
28:13
編集斯るがゆゑにヱホバの言かれらにくだりて 誡命にいましめをくはへ誡命にいましめをくはへ 度にのりをくはへ度にのりをくはへ 此にもすこしく彼にも少しくをしへん 之によりて彼等すすみてうしろに仆れそこなはれ罟にかかりて捕へらるべし
28:14
編集なんぢら此ヱルサレムにある民ををさむるところの輕慢者よヱホバの言をきけ
28:15
編集なんぢらは云り 我ら死と契約をたて陰府とちぎりをむすべり 漲りあふるる禍害のすぐるときわれらに來らじ そはわれら虛僞をもて避所となし欺詐をもて身をかくしたればなりと
28:16
編集このゆゑに神ヱホバかくいひ給ふ 視よわれシオンに一つの石をすゑてその基となせり これは試をへたる石たふとき隅石かたくすゑたる石なり これに依賴むものはあわつることなし
28:17
編集われ公平を準繩とし正義を錘とす 斯て雹はいつはりにてつくれる避所をのぞきさり水はその匿れたるところに漲りあふれん
28:18
編集汝らが死とたてし契約はきえうせ陰府とむすべるちぎりは成ことなし されば漲り溢るるわざはひのすぐるとき汝等はこれに踐たふさるべし
28:19
編集その過るごとになんぢらを捕へん 朝々にすぎ晝も夜もすぐ この音信をきき わきまふるのみにても慴きをるなり
28:20
編集その狀は床みじかくして身をのぶることあたはず 衾せまくして身をおほふこと能はざるが如し
28:21
編集そはヱホバ往昔ペラヂムの山にて起たまひしがごとくにたち ギベオンの谷にて忿恚をはなちたまひしが如くにいきどほり 而してその所爲をおこなひ給はん 奇しき所爲なり その工を成たまはん 異なる工なり
28:22
編集この故になんぢら侮るなかれ 恐くはなんぢらの縲絏きびしくならん 我すでに全地のうへにさだまれる敗亡あるよしを主萬軍のヱホバより聞たればなり
28:23
編集なんぢら耳をかたぶけてわが聲をきけ懇ろにわが言をきくべし
28:24
編集農夫たねをまかんに何で日々たがへし日々その地をすき その土塊をくだくことのみを爲んや
28:25
編集もし地の面をたひらかにせばいかで罌粟をまき 馬芹の種をおろし 小麥をうねにうゑ 大麥をさだめたる處にうゑ 粗麥を畔にうゑざらんや
28:26
編集斯のごときはかれの神これに智慧をあたへて敎へたまへるなり
28:27
編集けしは連耞にてうたず 馬芹はそのうへに車輪をきしらせず罌栗をうつには杖をもちひ 馬芹をうつには棒をもちふ
28:28
編集麥をくだくか否くるまにきしらせ馬にふませて落すことはすれども斷ずしかするにあらず これを碎くことをせざるべし
28:29
編集此もまた萬軍のヱホバよりいづ その謀略はくすしくその智慧はすぐれたり
第29章
編集29:1
編集ああアリエルよアリエルよ ああダビデの營をかまへたる邑よ としに年をくはへ節會まはりきたらば
29:2
編集われアリエルをなやまし之にかなしみと歎息とあらしめん 彼をアリエルのごとき者となすべし
29:3
編集われ汝のまはりに營をかまへ保砦をきづきて汝をかこみ櫓をたててなんぢを攻べし
29:4
編集かくてなんぢは卑くせられ 地にふしてものいひ塵のなかより低聲をいだしてかたらん 汝のこゑは巫女のこゑのごとく地よりいで汝のことばは塵のなかより囀づるがごとし
29:5
編集然どなんぢのあだの群衆はこまやかなる塵の如く あらぶるものの群衆はふきさらるる粃糠の如くならん 俄にまたたく間にこの事あるべし
29:6
編集萬軍のヱホバはいかづち 地震 おほごゑ 暴風 つむじかぜ及びやきつくす火の燄をもて臨みたまふべし
29:7
編集斯てアリエルを攻てたたかふ國々のもろもろ アリエルとその城とをせめたたかひて難ますものは みな夢のごとく夜のまぼろしの如くならん
29:8
編集飢たるものの食ふことを夢みて醒きたればその心なほ空しきがごとく 渇けるものの飮ことを夢みて醒きたれば疲れかつ頻にのまんことを欲するがごとく シオンの山をせめて戰ふくにぐにの群衆もまた然あらん
29:9
編集なんぢらためらへ而しておどろかん なんぢら放肆にせよ而して目くらまん かれらは酔りされど酒のゆゑにあらず かれらはよろめけりされど濃酒のゆゑにあらず
29:10
編集そはヱホバ酣睡の靈をなんぢらの上にそそぎ 而してなんぢらの目をとぢ なんぢらの面をおほひたまへり その目は預言者そのかほは先知者なり
29:11
編集かかるが故にすべての默示はなんぢらには封じたる書のことばのごとくなり 文字しれる人にわたして請これを讀といはんに答へて封じたるがゆゑによむこと能はずといはん
29:12
編集また文字しらぬ人にわたして請これをよめといはんにこたへて文字しらざるなりといはん
29:13
編集主いひ給はく この民は口をもて我にちかづき口唇をもてわれを敬へども その心はわれに遠かれり そのわれを畏みおそるるは人の誡命によりてをしへられしのみ
29:14
編集この故にわれこの民のなかにて再びくすしき事をおこなはん そのわざは奇しくしていとあやし かれらの中なる智者のちゑはうせ聰明者のさときはかくれん
29:15
編集己がはかりごとをヱホバに深くかくさんとする者はわざはひなるかな 暗中にありて事をおこなひていふ 誰かわれを見んや たれか我をしらんやと
29:16
編集なんぢらは曲れり いかで陶工をみて土塊のごとくおもふ可んや 造られし者おのれを作れるものをさして我をつくれるにあらずといふをえんや 形づくられたる器はかたちづくりし者をさして智慧なしといふを得んや
29:17
編集暫くしてレバノンはかはりて良田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたるならずや
29:18
編集その日聾者はこの書のことばをきき盲者の目はくらきより闇よりみることを得べし
29:19
編集謙だるものはヱホバによりてその歡喜をまし 人のなかの貧きものはイスラエルの聖者によりて快樂をうべし
29:20
編集暴るものはたえ 侮慢者はうせ 邪曲の機をうかがふ者はことごとく斷滅さるべければなり
29:21
編集かれらは訟をきく時まげて人をつみし 邑門にていさむるものを謀略におとしいれ 虛しき語をかまへて義人をしりぞく
29:22
編集この故にむかしアブラハムを贖ひたまひしヱホバはヤコブの家につきて如此いひたまふ ヤコブは今より恥をかうむらず その面はいまより色をうしなはず
29:23
編集かれの子孫はその中にわがおこなふ手のわざをみん その時わが名を聖としヤコブの聖者を聖としてイスラエルの神をおそるべし
29:24
編集心あやまれるものも知識をえ つぶやけるものも敎誨をまなばん
第30章
編集30:1
編集ヱホバのたまはく 悖るる子輩はわざはひなるかな かれら謀略をすれども我によりてせず 盟をむすべどもわが靈にしたがはず ますます罪につみをくはへん
30:2
編集かれらわが口にとはずしてエジプトに下りゆきパロの力をかりておのれを强くしエジプトの蔭によらん
30:3
編集パロのちからは反てなんぢらの恥となり エジプトの蔭によるは反てなんぢらの辱かしめとなるべし
30:4
編集かれの君たちはゾアンにあり かれの使者たちはハネスにきたれり
30:5
編集かれらは皆おのれを益することあたはざる民によりて恥をいだく かの民はたすけとならず益とならず かへりて恥となり謗となれり
30:6
編集南のかたの牲畜にかかる重負のよげん 曰く/かれらその財貨を若き驢馬のかたにおはせ その寳物を駱駝の背におはせて 牝獅 牡獅 まむし及びとびかける蛇のいづる苦しみと艱難との國をすぎて 己をえきすること能はざる民にゆかん
30:7
編集そのエジプトの助はいたづらにして虛し このゆゑに我はこれを休みをるラハブとよべり
30:8
編集いま往てこれをその前にて牌にしるし書にのせ 後の世に傳へてとこしへに證とすべし
30:9
編集これは悖れる民いつはりをいふ子輩ヱホバの律法をきくことをせざる子輩なり
30:10
編集かれら見るものに對ひていふ見るなかれと 默示をうる者にむかひていふ直きことを示すなかれ 滑かなることをかたれ虛僞をしめせ
30:11
編集なんぢら大道をさり逕をはなれ われらが前にイスラエルの聖者をあらしむるなかれと
30:12
編集此によりてイスラエルの聖者かくいひ給ふ なんぢらこの言をあなどり暴虐と邪曲とをたのみて之にたよれり
30:13
編集斯るがゆゑにこの不義なんぢらには凸出ておちんとするたかき垣のさけたるところのごとく その破壞にはかに暫しが間にきたらんと
30:14
編集主これを破りあだかも陶工の瓶をくだきやぶるがごとくして惜みたまはず その碎のなかに爐より火をとり池より水をくむほどの一片だに見出すことなからん
30:15
編集主ヱホバ、イスラエルの聖者かくいひたまへり なんぢら立かへりて靜かにせば救をえ 平穩にして依賴まば力をうべしと 然どなんぢらこの事をこのまざりき
30:16
編集なんぢら反ていへり 否われら馬にのりて逃走らんと この故になんぢら逃走らん 又いへりわれら疾きものに乗んと この故になんぢらを追もの疾かるべし
30:17
編集ひとり叱咤すれば千人にげはしり 五人しつたすればなんぢら逃走りて その遺るものは僅かに山嶺にある杆のごとく 岡のうへにある旗のごとくならん
30:18
編集ヱホバこれにより俟てのち恩惠を汝等にほどこし これにより上りてのちなんぢらを憐れみたまはん ヱホバは公平の神にましませり 凡てこれを俟望むものは福ひなり
30:19
編集シオンにをりヱルサレムにをる民よ なんぢは再びなくことあらじ そのよばはる聲に應じて必ずなんぢに惠をほどこしたまはん 主ききたまふとき直にこたへたまふべし
30:20
編集主はなんぢらになやみの糧とくるしみの水とをあたへ給はん なんぢを敎るもの再びかくれじ 汝の目はその敎るものを恒にみるべし
30:21
編集なんぢ右にゆくも左にゆくもその耳に これは道なりこれを歩むべしと後邊にてかたるをきかん
30:22
編集又なんぢら白銀をおほひし刻める像 こがねをはりし鑄たる像をけがれとし 穢物のごとく打棄ていはん 去れと
30:23
編集なんぢが地にまく種に主は雨をあたへ また地になりいづる糧をたまふ その土產こえて豐かならん その日なんぢの家畜はひろき牧場に草をはむべし
30:24
編集地をたがへす牛と驢馬とは團扇にてあふぎ箕にてとほし塩をくはへたる飼料をくらはん
30:25
編集大なる殺戮の日やぐらのたふるる時もろもろのたかき山もろもろのそびえたる嶺に河とみづの流とあるべし
30:26
編集かくてヱホバその民のきずをつつみ そのうたれたる創痍をいやしたまふ日には月のひかりは日の光のごとく日のひかりは七倍をくはへて七の日のひかりの如くならん
30:27
編集視よヱホバの名はとほき所よりきたり そのはげしき怒はもえあがる焰のごとく その唇はいきどほりにてみち その舌はやきつくす火のごとく
30:28
編集その氣息はみなぎりて項にまでいたる流のごとし 且ほろびの篩にてもろもろの國をふるひ又まどはす韁をもろもろの民の口におきたまはん
30:29
編集なんぢらは歌うたはん節會をまもる夜のごとし なんぢらは心によろこばん笛をならしヱホバの山にきたりイスラエルの磐につくときの如し
30:30
編集ヱホバはその稜威のこゑをきかしめ 烈しき怒をはなちて燒つくす火のほのほと暴風と大雨と雹とをもて その臂のくだることを示したまはん
30:31
編集ヱホバのこゑによりてアツスリヤ人はくじけん 主はこれを笞にてうち給ふべし
30:32
編集ヱホバの豫じめさだめたまへる杖をアツスリヤのうへにくはへたまふごとに 鼓をならし琴をひかん 主はうごきふるふ戰闘をもてかれらとたたかひ給ふべし
30:33
編集トペテは往古よりまうけられ また王のために備へられたり これを深くしこれを廣くしここに火とおほくの薪とをつみおきたり ヱホバの氣息これを硫黄のながれのごとくに燃さん
第31章
編集31:1
編集助をえんとてエジプトにくだり馬によりたのむものは禍ひなるかな 戰車おほきが故にこれにたのみ騎兵はなはだ强きがゆゑに之にたのむ されどイスラエルの聖者をあふがずヱホバを求ることをせざるなり
31:2
編集然はあれどもヱホバもまた智慧あるべし かならず禍害をくだしてその言をひるがへしたまはず 起てあしきものの家をせめ また不義を行ふ者の助をせめ給はん
31:3
編集かのエジプト人は人にして神にあらずその馬は肉にして靈にあらず ヱホバその手をのばしたまはば助くるものも蹟き たすけらるる者もたふれてみなひとしく亡びん
31:4
編集ヱホバ如此われにいひたまふ 獅のほえ壯獅の獲物をつかみてほえたけれるとき 許多のひつじかひ相呼つどひてむかひゆくとも その聲によりて挫けずその喧譁しきによりて臆せざるごとく 萬軍のヱホバくだりてシオンの山およびその岡にて戰ひ給ふべし
31:5
編集鳥の雛をまもるがごとく萬軍のヱホバはヱルサレムをまもりたまはん これを護りてこれをすくひ踰越てこれを援けたまはん
31:6
編集イスラエルの子輩よなんぢらさきには甚だしく主にそむけり 今たちかへるべし
31:7
編集なんぢらおのが手につくりて罪ををかしし白銀のぐうざう黄金の偶像をその日おのおのなげすてん
31:8
編集爰にアツスリヤびとは劍にてたふれん されど人のつるぎにあらず 劍かれらをほろぼさん されど世の人のつるぎにあらず かれら劍のまへより逃はしりその壯きものは役丁とならん
31:9
編集かれらの磐はおそれによりて逝去り その君たちは旗をみてくじけん こはヱホバの御言なり ヱホバの火はシオンにありヱホバの爐はヱルサレムにあり
第32章
編集32:1
編集茲にひとりの王あり 正義をもて統治め その君たちは公平をもて宰さどらん
32:2
編集また人ありて風のさけどころ暴雨ののがれどころとなり 旱ける地にある水のながれのごとく 倦つかれたる地にある大なる岩陰の如くならん
32:3
編集見るものの目はくらまず 聞ものの耳はかたぶけきくをうべし
32:4
編集躁がしきものの心はさとりて知識をえ 吃者の舌はすみやけくあざやかに語るをうべし
32:5
編集愚かなる者はふたたび尊貴とよばるることなく 狡猾なる者はふたたび大人とよばるることなかるべし
32:6
編集そは愚なるものは愚なることをかたり その心に不義をかもし邪曲をおこなひ ヱホバにむかひて妄なることをかたり 飢たる者のこころを空しくし渇けるものの飮料をつきはてしむ
32:7
編集狡猾なるものの用ゐる器はあしし 彼あしき企圖をまうけ虛僞のことばをもて苦しむ者をそこなひ 乏しき者のかたること正理なるも尚これを害へり
32:8
編集たふとき人はたふとき謀略をまうけ恒にたふとき事をおこなふ
32:9
編集安逸にをる婦等よおきてわが聲をきけ 思煩ひなき女等よわが言に耳を傾けよ
32:10
編集思煩ひなきをんなたちよ一年あまりの日をすぎて摺きあわてん そは葡萄の収穫むなしく果ををさむる期きたるまじければなり
32:11
編集やすらかにをる婦等よふるひおそれよ おもひわづらひなき者よをののきあわてよ 衣をぬぎ裸體になりて腰に麁服をまとへ
32:12
編集かれら良田のため實りゆたかなる葡萄の樹のために胸をうたん
32:13
編集棘と荊わが民の地にはえ 樂みの邑なるよろこびの家々にもはえん
32:14
編集そは殿はすてられ にぎはひたる邑はあれすたれ オペルと櫓とはとこしへに洞穴となり 野の驢馬のたのしむところ羊のむれの草はむところとなるべし
32:15
編集されど遂には靈うへより我儕にそそぎて 荒野はよき田となり 良田は林のごとく見ゆるとききたらん
32:16
編集そのとき公平はあれのにすみ 正義はよき田にをらん
32:17
編集かくて正義のいさをは平和 せいぎのむすぶ果はとこしへの平隱とやすきなり
32:18
編集わが民はへいわの家にをり 思ひわづらひなき住所にをり 安らかなる休息所にをらん
32:19
編集されどまづ雹ふりて林くだけ邑もことごとくたふるべし
32:20
編集なんぢらもろもろの水のほとりに種をおろし 牛および驢馬の足をはなちおく者はさいはひなり
第33章
編集33:1
編集禍ひなるかななんぢ害はれざるに人をそこなひ 欺かれざるに人をあざむけり なんぢが害ふこと終らば汝そこなはれ なんぢが欺くことはてなば汝あざむかるべし
33:2
編集ヱホバよわれらを惠み給へわれらなんぢを俟望めり なんぢ朝ごとにわれらの臂となり また患難のときにわれらの救となりたまへ
33:3
編集なりとどろく聲によりてもろもろの民にげはしり なんぢの起たまふによりてもろもろの國はちりうせぬ
33:4
編集蟊賊のものをはみつくすがごとく人なんぢらの財をとり盡さん また蝗のとびつどふがごとく人なんぢらの財にとびつどふべし
33:5
編集ヱホバは最たかし高處にすみたまふなり ヱホバはシオンに公正と正義とを充せたまひたり
33:6
編集なんぢの代はかたくたち 救と智惠と知識とはゆたかにあらん ヱホバをおそるるは國の寳なり
33:7
編集視よかれらの勇士は外にありてさけび 和をもとむる使者はいたく哭く
33:8
編集大路あれすたれて旅客たえ 敵は契約をやぶり諸邑をなみし人をもののかずとせず
33:9
編集地はうれへおとろヘ レバノンは恥らひて枯れ シヤロンはアラバの如くなり バシヤンとカルメルとはその葉をおとす
33:10
編集ヱホバ言給はく われ今おきん今たたん 今みづからを高くせん
33:11
編集なんぢらの孕むところは枇糠のごとく なんぢらの生ところは藁のごとし なんぢらの氣息は火となりてなんぢらを食ひつくさん
33:12
編集もろもろの民はやかれて灰のごとくなり 荊のきられて火にもやされたるが如くならん
33:13
編集なんぢら遠にあるものよ わが行ひしことをきけ なんぢら近にあるものよ わが能力をしれ
33:14
編集シオンの罪人はおそる 戰慄はよこしまなる者にのぞめり われらの中たれか燒つくす火に止ることを得んや 我儕のうち誰かとこしへに燒るなかに止るをえんや
33:15
編集義をおこなふもの直をかたるもの虐げてえたる利をいとひすつるもの手をふりて賄賂をとらざるもの 耳をふさぎて血をながす謀略をきかざるもの 目をとぢて惡をみざる者
33:16
編集かかる人はたかき處にすみ かたき磐はその櫓となり その糧はあたへられその水はともしきことなからん
33:17
編集なんぢの目ほうるはしき狀なる王を見 とほくひろき國をみるべし
33:18
編集汝の心はかの懼しかりしことどもを思ひいでん 會計せし者はいづくにありや 貢をはかりし者はいづくにありや 櫓をかぞへし者はいづくにありや
33:19
編集汝ふたたび暴民をみざるべし かの民の言語はふかくして悟りがたくその舌は異にして解がたし
33:20
編集われらの節會の邑シオンを見よ なんぢの目はやすらかなる居所となれるヱルサレムを見ん ヱルサレムはうつさるることなき幕屋にして その杙はとこしへにぬかれず その繩は一すぢだに斷れざるなり
33:21
編集ヱホバ我らとともに彼處にいまして稜威をあらはし給はん 斯てそのところはひろき川ひろき流あるところとなりて その中には漕舟もいらず巨艦もすぐることなかるべし
33:22
編集ヱホバはわれらを鞫きたまふもの ヱホバはわれらに律法をたてたまひし者 ヱホバはわれらの王にましまして我儕をすくひ給ふべければなり
33:23
編集なんぢの船纜はとけたり その桅杆のもとを結びかたむることあたはず 帆をあぐることあたはず その時おほくの財をわかち跛者までも掠物あらん
33:24
編集かしこに住るものの中われ病りといふ者なし彼處にをる民の咎はゆるされん
第34章
編集34:1
編集もろもろの國よちかづきてきけ もろもろの民よ耳をかたぶけよ 地と地にみつるもの世界とせかいより出るすべての者きけ
34:2
編集ヱホバはよろづの國にむかひて怒り そのよろづの軍にむかひて忿恚り かれらをことごとく滅し かれらを屠らしめたまふ
34:3
編集かれらは殺されて抛棄られ その屍の臭氣たちのぼり山はその血にて融されん
34:4
編集天の萬象はきえうせ もろもろの天は書巻のごとくにまかれん その萬象のおつるは葡萄の葉のおつるがごとく無花果のかれたる葉のおつるが如くならん
34:5
編集わが劍は天にてうるほひたり 視よエドムの上にくだり滅亡に定めたる民のうへにくだりて之をさばかん
34:6
編集ヱホバの劍は血にてみち脂にてこえ小羊と山羊との血 牡羊の腎のあぶらにて肥ゆ ヱホバはボズラにて牲のけものをころしエドムの地にて大にほふることをなし給へり
34:7
編集その屠場には野牛 こうし 牡牛もともに下る そのくには血にてうるほされ その塵はあぶらにて肥さるべし
34:8
編集こはヱホバの仇をかへしたまふ日にしてシオンの訟のために報をなしたまふ年なり
34:9
編集エドムのもろもろの河はかはりて樹脂となり その塵はかはりて硫磺となり その土はかはりてもゆる樹脂となり
34:10
編集晝も夜もきえずその烟つくる期なく上騰らん かくて世々あれすたれ永遠までもその所をすぐる者なかるべし
34:11
編集鵜と刺猬とそこを己がものとなし鷺と鴉とそこにすまん ヱホバそのうへに亂をおこす繩をはり空虛をきたらする錘をさげ給ふべし
34:12
編集國をつぐべき者をたてんとて貴者ふたたび呼集ることをせじ もろもろの諸侯はみな失てなくなるべし
34:13
編集その殿にはことごとく荊はえ 城にはことごとく刺草と薊とはえ 野犬のすみか駝鳥の場とならん
34:14
編集野のけものと豺狼とここにあひ 牡山羊その友をよび 鴟鴞もまた宿りてここを安所とせん
34:15
編集蛇ここに穴をつくり卵をうみてこれを孚しおのれの影の下に子をあつむ 鳶もまたその偶とともに此處にあつまらん
34:16
編集なんぢらヱホバの書をつまびらかにたづねて讀べし これらのもの一つも缺ることなく又ひとつもその偶をかくものあらじ そはヱホバの口このことを命じ その靈これらを集めたまふべければなり
34:17
編集ヱホバこれらのものに鬮をひかせ手づから繩をもて量り この地をわけあたへて永くかれらに保たしめ 世々にいたるまでここに住しめたまはん
第35章
編集35:1
編集荒野とうるほひなき地とはたのしみ 沙漠はよろこびて番紅の花のごとくに咲かがやかん
35:2
編集盛に咲かがやきてよろこび且よろこび且うたひ レバノンの榮をえカルメルおよびシヤロンの美しきを得ん かれらはヱホバのさかえを見われらの神のうるはしきを見るべし
35:3
編集なんぢら萎たる手をつよくし弱りたる膝をすこやかにせよ
35:4
編集心さわがしきものに對ていへ なんぢら雄々しかれ懼るるなかれ なんぢらの神をみよ 刑罰きたり神の報きたらん 神きたりてなんぢらを救ひたまふべし
35:5
編集そのとき瞽者の目はひらけ聾者の耳はあくことを得べし
35:6
編集そのとき跛者は鹿の如くにとびはしり唖者の舌はうたうたはん そは荒野に水わきいで沙漠に川ながるべければなり
35:7
編集やけたる沙は池となり うるほひなき地はみづの源となり 野犬のふしたるすみかは蘆葦のしげりあふ所となるべし
35:8
編集かしこに大路あり そのみちは聖道ととなへられん 穢れたるものはこれを過ることあたはず ただ主の民のために備へらる これを歩むものはおろかなりとも迷ふことなし
35:9
編集かしこに獅をらず あらき獸もその路にのぼることなし 然ばそこにて之にあふ事なかるべし ただ贖はれたる者のみそこを歩まん
35:10
編集ヱホバに贖ひすくはれし者うたうたひつつ歸てシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただき樂とよろこびとをえん 而して悲哀となげきとは逃さるべし
第36章
編集36:1
編集ヒゼキヤ王の十四年にアツスリヤの王セナケリブ上りきたりてユダのもろもろの堅固なる邑をせめとれり
36:2
編集アツスリヤ王ラキシよりラブシヤケをヱルサレムに遣はし大軍をひきゐてヒゼキヤ王のもとに往しむ ラブシヤケ漂工の野のおほぢの傍なる上の池の樋にそひてたてり
36:3
編集この時ヒゼキヤの子なる家司エリアキム 書記セブナ、アサフの子なる史官ヨア出てこれを迎ふ
36:4
編集ラブシヤケかれらにいひけるは なんぢら今ヒゼキヤにいへ大王アツスリヤの王かくいへり なんぢの恃とするその恃むところは何なるか
36:5
編集我いふ なんぢが説ところの軍のはかりごととその能力とはただ口唇のことばのみ 今なんぢ誰によりたのみて我にさかふことをなすや
36:6
編集視よなんぢエジプトに依賴めり これ傷める葦の杖によりたのめるがごとし もし人これに倚もたれなばその手をつきさされん エジプト王パロがすべて己によりたのむものに對するは斯のごとし
36:7
編集汝われらはわれらの神ヱホバに依賴めりと我にいはんかそは曩にヒゼキヤが高きところと祭壇とをみな取去てユダとヱルサレムとにむかひ汝等ここなる一つの祭壇のまへにて拜すべしといへる夫ならずや
36:8
編集いま請わが君アツスリヤ王に賭をせよ われ汝に二千の馬を與ふべければ汝よりこれに乗ものをいだせ 果して出しうべしや
36:9
編集然ばいかで我君のいとちひさき僕の長一人をだに退くることを得んや なんぞエジプトによりたのみて戰車と騎兵とをえんとするや
36:10
編集いま我のぼりきたりてこの國をせめほろぼすはヱホバの旨にあらざるべけんや ヱホバわれにいひたまはく のぼりゆきてこの國をせめぼろぼせと
36:11
編集爰にエリアキムとセブナとヨアと共にラブシヤケにいひけるは請スリアの方言にて僕輩にかたれ我儕これをさとりうるなり石垣のうへなる民のきくところにてはユダヤの方言をもてわれらに語るなかれ
36:12
編集ラブシヤケいひけるは わが君はこれらのことをなんぢの君となんぢとにのみ語らんために我をつかはししならんや なんぢらと共におのが糞をくらひおのが溺をのまんとする石垣のうへに坐する人々にも我をつかはししならずや
36:13
編集斯てラブシヤケたちてユダヤの方言もて大聲によばはりいひけるは なんぢら大王アツスリヤ王のことばをきくべし
36:14
編集王かくのたまへり なんぢらヒゼキヤに惑はさるるなかれ 彼なんぢらを救ふことあたはず
36:15
編集ヒゼキヤがなんぢらをヱホバに賴しめんとする言にしたがふなかれ 彼いへらく ヱホバかならず我儕をすくひこの邑はアツスリヤ王の手にわたさるることなしと
36:16
編集ヒゼキヤに聽從ふなかれ アツスリヤ王かくのたまへり なんぢらわれと親和をなし出できたりて我にくだれ おのおのその葡萄とその無花果とをくらひ かのおのその井の水をのむことを得べし
36:17
編集遂には我きたりて汝等をほかの國にたづさへゆかん その國はなんぢの國のごとき國にして 穀物 ぶだう酒 パンおよび葡萄園あり
36:18
編集おそらくはをヒゼキヤなんぢらに説てヱホバわれらを救ふべしといはん 然どももろもろの國の神等のなかにその國をアツスリヤ王の手より救へる者ありしや
36:19
編集ハマテ、アルバデの神等いづこにありや セバルワイムの神等いづこにありや 又わが手よりサマリヤを救出しし神ありや
36:20
編集これらの國のもろもろの神のなかに誰かその國をわが手よりすくひいだしし者ありや さればヱホバも何でわが手よりヱルサレムを救ひいだし得んと
36:21
編集如此ありければ民は默して一言をもこたへざりき そは之にこたふるなかれとの王のおほせありつればなり
36:22
編集そのときヒルキヤの子なる家司エリアキム書記セブナおよびアサフの子なる史官ヨアころもを裂てヒゼキヤにゆき之にラブシヤケの言をつげたり
第37章
編集37:1
編集ヒゼキヤ王これをききてその衣をさき麁衣をまとひてヱホバの家にゆき
37:2
編集家司エリアキム書記セブナおよび祭司のなかの長老等をして皆あらたへをまとはせてアモツの子預言者イザヤのもとにゆかしむ
37:3
編集かれらイザヤにいひけるは ヒゼキヤ如此いへり けふは患難と責と辱かしめの日なり そは子うまれんとして之をうみいだすの力なし
37:4
編集なんぢの神ヱホバあるひはラブシヤケがもろもろの言をききたまはん 彼はその君アツスリヤ王につかはされて活る神をそしれり なんぢの神ヱホバその言をききて或はせめたまふならん されば請なんぢこの遺れるもののために祈禱をささげよと
37:5
編集かくてヒゼキヤ王の諸僕イザヤにいたる
37:6
編集イザヤかれらに言けるは なんぢらの君につげよ ヱホバ斯いひたまへり曰く アツスリヤ王のしもべら我をののしりけがせり なんぢらその聞しことばによりて懼るるなかれ
37:7
編集視よわれかれが意をうごかすべければ 一つの風聲をききておのが國にかへらん かれをその國にて劍にたふれしむべし
37:8
編集爰にラブシヤケはアツスリヤ王がラキシを離れさりしとききて歸りけるとき際しも王はリブナを攻をれり
37:9
編集このときエテオピアの王テルハカの事についてきけり云く かれいでて汝とたたかふべしと このことをききて使者をヒゼキヤに遣していふ
37:10
編集なんぢらユダの王ヒゼキヤにつげて如此いへ なんぢが賴める神なんぢを欺きてヱルサレムはアツスリヤ王の手にわたされじといふを聽ことなかれ
37:11
編集視よアツスリヤの王等もろもろの國にいかなることをおこなひ如何してこれを悉くほろぼししかを汝ききしならん されば汝すくはるることを得んや
37:12
編集わが先祖たちの滅ぼししゴザン、ハラン、レゼフおよびテラサルなるエデンの族など此等のくにぐにの神はその國をすくひたりしや
37:13
編集ハマテの王アルバデの王セバルワイムの都の王ヘナの王およびイワの王はいづこにありやと
37:14
編集ヒゼキヤつかひの手より書をうけて之を讀り しかしてヒゼキヤ、ヱホバの宮にのぼりゆきヱホバの前にこのふみを展ぶ
37:15
編集ヒゼキヤ、ヱホバに祈ていひけるは
37:16
編集ケルビムの上に坐したまふ萬軍のヱホバ、イスラエルの神よ ただ汝のみ地のうへなるよろづの國の神なり なんぢは天地をつくりたまへり
37:17
編集ヱホバよ耳をかたむけて聽たまヘ ヱホバよ目をひらきて視たまヘ セナケリブ使者して活る神をそしらしめし言をことごとくききたまへ
37:18
編集ヱホバよ實にアツスリヤの王等はもろもろの國民とその地とをあらし毀ち
37:19
編集かれらの神たちを火になげいれたり これらのものは神にあらず 人の手の工にして あるひは木あるひは石なり 斯るがゆゑに滅ぼされたり
37:20
編集さればわれらの神ヱホバよ 今われらをアツスリヤ王の手より救ひいだして 地のもろもろの國にただ汝のみヱホバなることを知しめたまへ
37:21
編集ここにアモツの子イザヤ人をつかはしてヒゼキヤにいはせけるは イスラエルの神ヱホバかくいひたまふ 汝はアツスリヤ王セナケリブのことにつきて我にいのれり
37:22
編集ヱホバが彼のことにつきて語り給へるみことばは是なり いはくシオンの處女はなんぢを侮りなんぢをあざけり ヱルサレムの女子はなんぢの背後より頭をふれり
37:23
編集汝がそしりかつ罵れるものは誰ぞ なんぢが聲をあげ目をたかく向てさからひたるものはたれぞ イスラエルの聖者ならずや
37:24
編集なんぢその使者によりて主をそしりていふ 我はおほくの戰車をひきゐて山々のいただきに登りレバノンの奧にまでいりぬ 我はたけたかき香柏とうるはしき松樹とをきり またその境なるたかき處にゆき腴たる地の林にゆかん
37:25
編集我は井をほりて水をのみたり われは足跖をもてエジプトの河々をからさんと
37:26
編集なんぢ聞ずや これらのことはわが昔よりなす所 いにしへの日よりさだめし所なり 今なんぢがこの堅城をこぼちあらして石堆となすも亦わがきたらしし所なり
37:27
編集そのなかの民はちから弱くをののきて恥をいだき 野草のごとく靑き菜のごとく屋蓋の草のごとく未だそだたざる苗のごとし
37:28
編集我なんぢが居ること出入すること又われにむかひて怒りさけべることをしる
37:29
編集なんぢが我にむかひて怒りさけべると汝がほこれる言とわが耳にいりたれば我なんぢの鼻に環をはめ汝のくちびるに鑣をつけて汝がきたれる路よりかへらしめん
37:30
編集ヒゼキヤよ我がなんぢにたまふ徴はこれなり なんぢら今年は落穂より生たるものを食ひ 明年は糵生より出たるものを食はん 三年にあたりては種ことをなし收ことをなし 葡萄ぞのを作りてその果を食ふべし
37:31
編集ユダの家ののがれて遺れる者はふたたび下は根をはり上は果を結ぶべし
37:32
編集そは遺るものはヱルサレムよりいで脱るるものはシオンの山よりいづるなり 萬軍のヱホバの熱心これを成たまふべし
37:33
編集この故にヱホバ、アツスリヤの王については如此いひたまふ 彼はこの城にいらず ここに箭をはなたず盾を城のまへにならべず 壘をきづきて攻ることなし
37:34
編集かれはそのきたりし道よりかへりてこの城にいらず
37:35
編集我おのれの故によりて僕ダビデの故によりて この城をまもり この城をすくはん これヱホバ宣給るなり
37:36
編集ヱホバの使者いできたりアツスリヤの陣營のなかにて十八萬五千人をうちころせり早晨におきいでて見ればみな死てかばねとなれり
37:37
編集アツスリヤ王セナケリブ起てかへりゆきニネベにとどまる
37:38
編集一日おのが神ニスロクのみやにて禮拜をなし居しにその子アデランメレクとシヤレゼルと劍をもて彼をころし而してアララテの地ににげゆけり かれが子エサルハドンつぎて王となりぬ
第38章
編集38:1
編集そのころヒゼキヤやみて死んとせしにアモツの子預言者イザヤきたりて彼にいふ ヱホバ如此いひたまはく なんぢ家に遺言をとどめよ 汝しにて活ることあたはざればなり
38:2
編集爰にヒゼキヤ面を壁にむけてヱホバに祈りいひけるは
38:3
編集ああヱホバよ 願くはわがなんぢの前に眞實をもて一心をもてあゆみ なんぢの目によきことを行ひたるをおもひいでたまへ 斯てヒゼキヤ甚くなきぬ
38:4
編集ヱホバの言イザヤにのぞみて曰く
38:5
編集なんぢ往てヒゼキヤにいへ なんぢの祖ダビデの神ヱホバかくいひ給はく 我なんぢの禱告をききなんぢの涙をみたり 我なんぢの齢を十五年ましくはへ
38:6
編集且なんぢとこの城とを救ひてアツスリヤわうの手をのがれしめん又われこの城をまもるべし
38:7
編集ヱホバ語りたまひたる此事を成たまふ證にこの徴をなんぢに賜ふ
38:8
編集視よわれアハズの日晷にすすみたる日影を十度しりぞかしめんといひければ乃ちひばかりにすすみたる日影十度しりぞきぬ
38:9
編集ユダの王ヒゼキヤ病にかかりてその病のいえしのち記しし書は左のごとし
38:10
編集我いへり わが齢ひの全盛のとき陰府の門にいりわが餘年をうしなはんと
38:11
編集我いへり われ再びヱホバを見奉ることあらじ再びいけるものの地にてヱホバを見奉ることあらじ われは無ものの中にいりてふたたび人を見ることあらじ
38:12
編集わが住所はうつされて牧人の幕屋をとりさるごとくに我をはなる わがいのちは織工の布をまきをはりて機より翦はなすごとくならん なんぢ朝夕のあひだに我をたえしめたまはん
38:13
編集われは天明におよぶまで己をおさへてしづめたり 主は獅のごとくに我もろもろの骨を碎きたまふ なんぢ朝夕の間にわれを絶しめたまはん
38:14
編集われは燕のごとく鶴のごとくに哀みなき鳩のごとくにうめき わが眼はうへを視ておとろふ ヱホバよわれは迫りくるしめらる 願くはわが中保となりたまへ
38:15
編集主はわれとものいひ且そのごとくみづから成たまへり われ何をいふべきか わが世にある間わが靈魂の苦しめる故によりて愼みてゆかん
38:16
編集主よこれらの事によりて人は活るなり わが靈魂のいのちも全くこれらの事によるなり 願くはわれを醫しわれを活したまへ
38:17
編集視よわれに甚しき艱苦をあたへたまへるは我に平安をえしめんがためなり 汝わがたましひを愛して滅亡の穴をまぬかれしめ給へり そはわが罪をことごとく背後にすてたまへり
38:18
編集陰府はなんぢに感謝せず 死はなんぢを讃美せず 墓にくだる者はなんぢの誠實をのぞまず
38:19
編集唯いけるもののみ活るものこそ汝にかんしやするなれ わが今日かんしやするが如し 父はなんぢの誠實をその子にしらしめん
38:20
編集ヱホバ我を救ひたまはん われら世にあらんかぎりヱホバのいへにて琴をひきわが歌をうたはん
38:21
編集イザヤいへらく無花果の一團をとりきたりて腫物のうへにつけよ 王かならずいえん
38:22
編集ヒゼキヤも亦いへらく わがヱホバの家にのぼることにつきては何の兆あらんか
第39章
編集39:1
編集そのころバラダンの子バビロン王メロダクバラダン、ヒゼキヤが病をうれへて愈しことをききければ書と禮物とをおくれり
39:2
編集ヒゼキヤその使者のきたるによりて喜びこれに財物 金銀 香料 たふとき油ををさめたる家およびすべての軍器ををさめたる家また庫のなかなる物をことごとく見す おほよそヒゼキヤのいへの裏にあるものと全國のうちにあるものと 見せざるものは一もあらざりき
39:3
編集ここに預言者イザヤ、ヒゼキヤ王のもとに來りていひけるは この人々はなにをいひしや何處よりなんぢのもとに來りしや ヒゼキヤ曰けるは かれらはとほき國よりバビロンより我にきたれり
39:4
編集イザヤいふ 彼等はなんぢの家にてなにを見たりしや ヒゼキヤ答ふ かれらはわが家にあるものを皆みたり又わが庫のなかにあるものは一つをもかれらに見せざるものなかりき
39:5
編集イザヤ、ヒゼキヤにいふ なんぢ萬軍のヱホバの言をきけ
39:6
編集みよ日きたらん なんぢの家のものなんぢの列祖がけふまで蓄へたるものは皆バビロンにたづさへゆかれて遺るもの一もなかるべし 是はヱホバのみことばなり
39:7
編集なんぢの身より生れいでん者もとらはれ寺人とせられてバビロン王の宮のうちにあらん
39:8
編集ヒゼキヤ、イザヤにいひけるは 汝がかたるヱホバのみことばは善し また云 わが世にあるほどは太平と眞理とあるべしと
第40章
編集40:1
編集なんぢらの神いひたまはく なぐさめよ汝等わが民をなぐさめよ
40:2
編集懇ろにヱルサレムに語り之によばはり告よ その服役の期すでに終り その咎すでに赦されたり そのもろもろの罪によりてヱホバの手よりうけしところは倍したりと
40:3
編集よばはるものの聲きこゆ云く なんぢら野にてヱホバの途をそなへ沙漠にわれらの神の大路をなほくせよと
40:4
編集もろもろの谷はたかくもろもろの山と岡とはひくくせられ 曲りたるはなほく崎嶇はたひらかにせらるべし
40:5
編集斯てヱホバの榮光あらはれ人みな共にこれを見ん こはヱホバの口より語りたまへるなり
40:6
編集聲きこゆ云く よばはれ答へていふ何とよばはるべきか いはく人はみな草なり その榮華はすべて野の花のごとし
40:7
編集草はかれ花はしぼむ ヱホバの息そのうへに吹ければなり 實に民はくさなり
40:8
編集草はかれ花はしぼむ 然どわれらの神のことばは永遠にたたん
40:9
編集よき音信をシオンにつたふる者よ なんぢ高山にのぼれ 嘉おとづれをヱルサレムにつたふる者よ なんぢ強く聲をあげよ こゑを揚ておそるるなかれ ユダのもろもろの邑につけよ なんぢらの神きたり給へりと
40:10
編集みよ主ヱホバ能力をもちて來りたまはん その臂は統治めたまはん 賞賜はその手にあり はたらきの値はその前にあり
40:11
編集主は牧者のごとくその群をやしなひ その臂にて小羊をいだき之をその懷中にいれてたづさへ乳をふくまする者をやはらかに導きたまはん
40:12
編集たれか掌心をもてもろもろの水をはかり指をのばして天をはかり また地の塵を量器にもり天秤をもてもろもろの山をはかり權衡をもてもろもろの岡をはかりしや
40:13
編集誰かヱホバの靈をみちびきその議士となりて敎しや
40:14
編集ヱホバは誰とともに議りたまひしや たれかヱホバを聰くしこれに公平の道をまなばせ知識をあたへ明通のみちを示したりしや
40:15
編集視よもろもろの國民は桶のひとしづくのごとく 權衡のちりのごとくに思ひたまふ島々はたちのぼる塵埃のごとし
40:16
編集レバノンは柴にたらずそのなかの獸は燔祭にたらず
40:17
編集ヱホバの前にはもろもろの國民みななきにひとし ヱホバはかれらを無もののごとく空きもののごとく思ひたまふ
40:18
編集然ばなんぢら誰をもて神にくらべ いかなる肖像をもて神にたぐふか
40:19
編集偶像はたくみ鑄てつくり 金工こがねをもて之をおほひ白銀をもて之がために鏈をつくれり
40:20
編集かかる寳物をそなへえざる貧しきものは朽まじき木をえらみ良匠をもとめてうごくことなき像をたたしむ
40:21
編集なんぢら知ざるか なんぢら聞ざるか 始よりなんぢらに傳へざりしか なんぢらは地の基をおきしときより悟らざりしか
40:22
編集ヱホバは地のはるか上にすわり地にすむものを蝗のごとく視たまふ おほぞらを薄絹のごとく布き これを住ふべき幕屋のごとくはり給ふ
40:23
編集又もろもろの君をなくならしめ地の審士をむなしくせしむ
40:24
編集かれらは僅かに植られ僅かに播れ その幹わづかに地に根ざししに 神そのうへを吹たまへば即ちかれて藁のごとく暴風にまきさらるべし
40:25
編集聖者いひ給はく さらばなんぢら誰をもて我にくらべ我にたぐふか
40:26
編集なんぢら眼をあげて高をみよ たれか此等のものを創造せしやをおもへ 主は數をしらべてその萬象をひきいだしおのおのの名をよびたまふ 主のいきほひ大なり その力のつよきがゆゑに一も缺ることなし
40:27
編集ヤコブよなんぢ何故にわが途はヱホバにかくれたりといふや イスラエルよ汝なにゆゑにわが訟はわが神の前をすぎされりとかたるや
40:28
編集汝しらざるか聞ざるかヱホバはとこしへの神地のはての創造者にして倦たまふことなく また疲れたまふことなく その聰明こと測りがたし
40:29
編集疲れたるものには力をあたへ勢力なきものには強きをまし加へたまふ
40:30
編集年少きものもつかれてうみ壯んなるものも衰へおとろふ
40:31
編集然はあれどヱホバを俟望むものは新なる力をえん また鷲のごとく翼をはりてのぼらん 走れどもつかれず歩めども倦ざるべし
第41章
編集41:1
編集もろもろの島よわがまへに默せ もろもろの民よあらたなる力をえて近づききたれ 而して語れ われら寄集ひて諭らはん
41:2
編集たれか東より人をおこししや われは公義をもて之をわが足下に召し その前にもろもろの國を服せしめ また之にもろもろの王ををさめしめ かれらの劍をちりのごとくかれらの弓をふきさらるる藁のごとくならしむ
41:3
編集斯て彼はこれらのものを追 その足いまだ行ざる道をやすらかに過ゆけり
41:4
編集このことは誰がおこなひしや たが成しや たが太初より世々の人をよびいだししや われヱホバなり 我ははじめなり終なり
41:5
編集もろもろの島はこれを見ておそれ地の極はをののきて寄集ひきたれり
41:6
編集かれら互にその隣をたすけ その兄弟にいひけるは なんぢ雄々しかれ
41:7
編集木匠は鐵工をはげまし鎚をもて平らぐるものは鐵碪をうつものを勵ましていふ 接合せいとよしと また釘をもて堅うして搖くことなからしむ
41:8
編集然どわが僕イスラエルよ わが選めるヤコブわが友アブラハムの裔よ
41:9
編集われ地のはてより汝をたづさへきたり地のはしよりなんぢを召 かくて汝にいへり 汝はわが僕われ汝をえらみて棄ざりきと
41:10
編集おそるるなかれ 我なんぢとともにあり 驚くなかれ我なんぢの神なり われなんぢを強くせん 誠になんぢを助けん 誠にわがただしき右手なんぢを支へん
41:11
編集視よなんぢにむかひて怒るものはみな恥をえて惶てふためかん なんぢと爭ふものは無もののごとくなりて滅亡せん
41:12
編集なんぢ尋ぬるとも汝とたたかふ人々にあはざるべし 汝といくさする者はなきものの如くなりて虚しくなるべし
41:13
編集そは我ヱホバなんぢの神はなんぢの右手をとりて汝にいふ 懼るるなかれ我なんぢを助けんと
41:14
編集またヱホバ宣給ふ なんぢ虫にひとしきヤコブよイスラエルの人よ おそるるなかれ我なんぢをたすけん汝をあがなふものはイスラエルの聖者なり
41:15
編集視よわれ汝をおほくの鋭歯ある新しき打麥の器となさん なんぢ山をうちて細微にし岡を粃糠のごとくにすべし
41:16
編集なんぢ簸げば風これを巻さり 狂風これを吹ちらさん 汝はヱホバによりて喜びイスラエルの聖者によりて誇らん
41:17
編集貧しきものと乏しきものと水を求めて水なくその舌かわきて衰ふるとき われヱホバ聽てこたへん 我イスラエルの神かれらを棄ざるなり
41:18
編集われ河をかぶろの山にひらき泉を谷のなかにいだし また荒野を池となし乾ける地を水の源と變ん
41:19
編集我あれのに香柏 合歎樹 もちの樹 および油の樹をうゑ沙漠に松 杉 及び黄楊をともに置ん
41:20
編集かくて彼等これを見てヱホバの手の作たまふところイスラエルの聖者の造り給ふ所なるをしり且こころをとめ且ともどもにさとらん
41:21
編集ヱホバ言給く なんぢらの道理をとり出せ ヤコブの王いひたまはく 汝等のかたき證をもちきたれ
41:22
編集これを持來りてわれらに後ならんとする事をしめせ そのいやさきに成るべきことを示せ われら心をとめてその終をしらん 或はきたらんとする事をわれらに聞すべし
41:23
編集なんぢら後ならんとすることをしめせ我儕なんぢらが神なることを知らん なんぢら或はさいはひし或はわざはひせよ 我儕ともに見ておどろかん
41:24
編集視よなんぢらは無もののごとし なんぢらの事はむなし なんぢらを撰ぶものは憎むべきものなり
41:25
編集われ一人を起して北よりきたらせ我が名をよぶものを東よりきたらしむ 彼きたりもろもろの長をふみて泥のごとくにし陶工のつちくれを踐がごとくにせん
41:26
編集たれか初よりこれらの事をわれらに告てしらしめたりや たれか上古よりわれらに告てこは是なりといはしめたりや 一人だに告るものなし一人だに聞するものなし 一人だになんぢらの言をきくものなし
41:27
編集われ豫じめシオンにいはん なんぢ視よ かれらを見よと われ又よきおとづれを告るものをヱルサレムに予へん
41:28
編集われ見るに一人だになし かれらのなかに謀略をまうくるもの一人だになし 我かれらに問どこたふるもの一人だになし
41:29
編集かれらの爲はみな徒然にして無もののごとし その偶像は風なりまた空しきなり
第42章
編集42:1
編集わが扶くるわが僕わが心よろこぶわが撰人をみよ 我わが靈をかれにあたへたり かれ異邦人に道をしめすべし
42:2
編集かれは叫ぶことなく聲をあぐることなくその聲を街頭にきこえしめず
42:3
編集また傷める蘆ををることなくほのくらき燈火をけすことなく 眞理をもて道をしめさん
42:4
編集かれは衰へず喪膽せずして道を地にたてをはらん もろもろの島はその法言をまちのぞむべし
42:5
編集天をつくりてこれをのべ 地とそのうへの產物とをひらき そのうへの民に息をあたへ その中をあゆむものに靈をあたへたまふ神ヱホバかく言給ふ
42:6
編集云くわれヱホバ公義をもてなんぢを召たり われなんぢの手をとり汝をまもり なんぢを民の契約とし異邦人のひかりとなし
42:7
編集而して瞽の目を開き俘囚を獄よりいだし 暗にすめるものを檻のうちより出さしめん
42:8
編集われはヱホバなり是わが名なり 我はわが榮光をほかの者にあたへず わがほまれを偶像にあたへざるなり
42:9
編集さきに預言せるところはや成れり 我また新しきことをつげん 事いまだ兆さざるさきに我まづなんぢらに聞せんと
42:10
編集海にうかぶもの 海のなかに充るもの もろもろの島およびその民よ ヱホバにむかひて新しき歌をうたひ 地の極よりその頌美をたたへまつれ
42:11
編集荒野とその中のもろもろの邑とケダル人のすめるもろもろの村里はこゑをあげよ セラの民はうたひて山のいただきよりよばはれ
42:12
編集榮光をヱホバにかうぶらせ その頌美をもろもろの島にて語りつげよ
42:13
編集ヱホバ勇士のごとく出たまふ また戰士のごとく熱心をおこし 聲をあげてよばはり大能をあらはして仇をせめ給はん
42:14
編集われ久しく聲をいださず默して己をおさへたり 今われ子をうまんとする婦人のごとく叫ばん 我いきづかしくかつ喘がん
42:15
編集われ山と岡とをあらし且すべてその上の木草をからし もろもろの河を島としもろもろの池を涸さん
42:16
編集われ瞽者をその未だしらざる大路にゆかしめ その未だしらざる徑をふましめ 暗をその前に光となし 曲れるをその前になほくすべし 我これらの事をおこなひて彼らをすてじ
42:17
編集刻みたる偶像にたのみ鑄たる偶像にむかひて汝等はわれらの神なりといふものは退けられて大に恥をうけん
42:18
編集聾者よきけ 瞽者よ眼をそそぎてみよ
42:19
編集瞽者はたれぞ わが僕にあらずや 誰かわがつかはせる使者の如き瞽者あらんや 誰かわが友の如きめしひあらんや 誰かヱホバの僕のごときめしひあらんや
42:20
編集汝おほくのことを見れども顧みず 耳をひらけども聞ざるなり
42:21
編集ヱホバおのれ義なるがゆゑに大にしてたふとき律法をたまふをよろこび給へり
42:22
編集然るにこの民はかすめられ奪はれて みな穴中にとらはれ獄のなかに閉こめらる 斯てその掠めらるるを助くる者なく その奪はれたるを償へといふ者なし
42:23
編集なんぢらのうち誰かこのことに耳をかたぶけん たれか心をもちゐて後のために之をきかん
42:24
編集ヤコブを奪はせしものは誰ぞ かすむる者にイスラエルをわたしし者はたれぞ 是ヱホバにあらずや われらヱホバに罪ををかし その道をあゆまず その律法にしたがふことを好まざりき
42:25
編集この故にヱホバ烈しき怒をかたぶけ 猛きいくさをきたらせ その烈しきこと火の如く四圍にもゆれども彼しらず その身に焚せまれども心におかざりき
第43章
編集43:1
編集ヤコブよなんぢを創造せるヱホバいま如此いひ給ふ イスラエルよ汝をつくれるもの今かく言給ふ おそるるなかれ我なんぢを贖へり 我なんぢの名をよべり汝はわが有なり
43:2
編集なんぢ水中をすぐるときは我ともにあらん河のなかを過るときは水なんぢの上にあふれじ なんぢ火中をゆくとき焚るることなく火焰もまた燃つかじ
43:3
編集我はヱホバなんぢの神イスラエルの聖者 なんぢの救主なり われエジプトを予えてなんぢの贖代となし エテオピアとセバとをなんぢに代ふ
43:4
編集われ看てなんぢを寶とし尊きものとして亦なんぢを愛す この故にわれ人をもてなんぢにかへ 民をなんぢの命にかへん
43:5
編集懼るるなかれ我なんぢとともにあり 我なんぢの裔を東よりきたらせ西より汝をあつむべし
43:6
編集われ北にむかひて釋せといひ南にむかひて留るなかれといはん わが子輩を遠きよりきたらせ わが女らを地の極よりきたらせよ
43:7
編集すべてわが名をもて稱へらるる者をきたらせよ 我かれらをわが榮光のために創造せり われ曩にこれを造りかつ成をはれり
43:8
編集目あれども瞽者のごとく耳あれど聾者のごとき民をたづさへ出よ
43:9
編集國々はみな相集ひもろもろの民はあつまるべし 彼等のうち誰かいやさきに成るべきことをつげ之をわれらに聞することを得んや その證人をいだして己の是なるをあらはすべし 彼等ききて此はまことなりといはん
43:10
編集ヱホバ宣給くなんぢらはわが證人わがえらみし僕なり 然ばなんぢら知てわれを信じわが主なるをさとりうべし 我よりまへにつくられし神なく我よりのちにもあることなからん
43:11
編集ただ我のみ我はヱホバなり われの外にすくふ者あることなし
43:12
編集われ前につげまた救をほどこし また此事をきかせたり 汝等のうちには他神なかりき なんぢらはわが證人なり 我は神なり これヱホバ宣給るなり
43:13
編集今よりわれは主なりわが手より救ひいだし得るものなし われ行はば誰かとどむることを得んや
43:14
編集なんぢらを贖ふものイスラエルの聖者ヱホバかく言たまふ なんぢらの爲にわれ人をバビロンにつかはし彼處にあるカルデヤ人をことごとく下らせ その宴樂の船にのりてのがれしむ
43:15
編集われはヱホバなんぢらの聖者イスラエルを創造せしもの又なんぢらの王なり
43:16
編集ヱホバは海のなかに大路をまうけ大なる水のなかに徑をつくり
43:17
編集戰車および馬 軍兵 武士をいできたらせ ことごとく仆れて起ることあたはず 皆ほろびて燈火のきえうするが如くならしめ給へり
43:18
編集ヱホバ言給く なんぢら往昔のことを思ひいづるなかれ また上古のことをかんがふるなかれ
43:19
編集視よわれ新しき事をなさん頓ておこるべし なんぢら知ざるべけんや われ荒野に道をまうけ沙漠に河をつくらん
43:20
編集野の獸われを崇むべし 野犬および駝鳥もまた然り われ水を荒野にいだし河を沙漠にまうけてわが民わがえらびたる者にのましむべければなり
43:21
編集この民はわが頌美をのべしめんとて我おのれのために造れるなり
43:22
編集然るにヤコブよ汝われを呼たのまざりき イスラエルよ汝われを厭ひたり
43:23
編集なんぢ燔祭のひつじを我にもちきたらず犠牲をもて我をあがめざりき われ汝にそなへものの荷をおはせざりき また乳香をもて汝をわづらはせざりき
43:24
編集なんぢは銀貨をもて我がために菖蒲をかはず 犠牲のあぶらをもて我をあかしめず 反てなんぢの罪の荷をわれに負せ なんぢの邪曲にて我をわづらはせたり
43:25
編集われこそ我みづからの故によりてなんぢの咎をけし汝のつみを心にとめざるなれ
43:26
編集なんぢその是なるをあらはさんがために己が事をのべて我に記念せしめよ われら相共にあげつらふべし
43:27
編集なんぢの遠祖つみををかし汝のをしへの師われにそむけり
43:28
編集この故にわれ聖所の長たちを汚さしめヤコブを詛はしめイスラエルをののしらしめん
第44章
編集44:1
編集されどわが僕ヤコブよわが撰みたるイスラエルよ今きけ
44:2
編集なんぢを創造し なんぢを胎内につくり又なんぢを助くるヱホバ如此いひたまふ わがしもベヤコブよわが撰みたるヱシュルンよおそるるなかれ
44:3
編集われ渇けるものに水をそそぎ乾たる地に流をそそぎ わが靈をなんぢの子輩にそそぎ わが恩惠をなんぢの裔にあたふべければなり
44:4
編集斯てかれらは草のなかにて川のほとりの柳のごとく生そだつべし
44:5
編集ある人はいふ我はヱホバのものなりと ある人はヤコブの名をとなへん ある人はヱホバの有なりと手にしるしてイスラエルの名をなのらん
44:6
編集ヱホバ、イスラエルの王イスラエルをあがなふもの萬軍のヱホバ如此いひたまふ われは始なりわれは終なり われの外に神あることなし
44:7
編集我いにしへの民をまうけしより以來 たれかわれのごとく後事をしめし又つげ又わが前にいひつらねんや 試みに成んとすること來らんとすることを告よ
44:8
編集なんぢら懼るるなかれ慴くなかれ 我いにしへより聞せたるにあらずや告しにあらずや なんぢらはわが證人なり われのほか神あらんや 我のほかには磐あらず われその一つだに知ことなし
44:9
編集偶像をつくる者はみな空しく かれらが慕ふところのものは益なし その證を見るものは見ことなく知ことなし 斯るがゆゑに恥をうくべし
44:10
編集たれか神をつくり又えきなき偶像を鑄たりしや
44:11
編集視よその伴侶はみなはぢん その匠工らは人なり かれら皆あつまりて立ときはおそれてもろともに恥るなるべし
44:12
編集鐵匠は斧をつくるに炭の火をもてこれをやき鎚もてこれを鍛へつよき碗をもてこれをうちかたむ 飢れば力おとろへ水をのまざればつかれはつべし
44:13
編集木匠はすみなはをひきはり朱にてゑがき鐁にてけづり文回をもて畫き 之を人の形にかたどり人の美しき容にしたがひて造り 而して家のうちに安置す
44:14
編集あるひは香柏をきりあるひは槲をとり あるひは橿をとり 或ははやしの樹のなかにて一をえらび あるひは杉をうゑ雨をえて長たしむ
44:15
編集而して人これを薪となし之をもておのが身をあたため又これを燃してパンをやき又これを神につくりてをがみ偶像につくりてその前にひれふす
44:16
編集その半は火にもやしその半は肉をにて食ひ あるひは肉をあぶりてくひあき また身をあたためていふ ああ我あたたまれり われ熱きをおぼゆ
44:17
編集斯てその餘をもて神につくり偶像につくりてその前にひれふし之ををがみ之にいのりていふ なんぢは吾神なり我をすくへと
44:18
編集これらの人は知ことなく悟ることなし その眼ふさがりて見えず その心とぢてあきらかならず
44:19
編集心のうちに思ふことをせず智識なく明悟なきがゆゑに我そのなかばを火にもやしその炭火のうへにパンをやき肉をあぶりて食ひ その木のあまりをもて我いかで憎むべきものを作るべけんや 我いかで木のはしくれに俯伏すことをせんやといふ者もなし
44:20
編集かかる人は灰をくらひ 迷へる心にまどはされて己がたましひを救ふあたはず またわが右手にいつはりあるにあらずやとおもはざるなり
44:21
編集ヤコブよ イスラエルよ 此等のことを心にとめよ 汝はわが僕なり 我なんぢを造れり なんぢわが僕なり イスラエルよ我はなんぢを忘れじ
44:22
編集我なんぢの愆を雲のごとくに消し なんぢの罪を霧のごとくにちらせり なんぢ我にかへれ我なんぢを贖ひたればなり
44:23
編集天よ うたうたヘヱホバこのことを成たまへり 下なる地よよばはれ もろもろの山よ林およびその中のもろもろの木よ こゑを發ちてうたふべし ヱホバはヤコブを贖へり イスラエルのうちに榮光をあらはし給はん
44:24
編集なんぢを贖ひなんぢを胎内につくれるヱホバかく言たまふ 我はヱホバなり我よろづのものを創造し ただ我のみ天をのべ みづから地をひらき
44:25
編集いつはるものの豫兆をむなしくし卜者をくるはせ智者をうしろに退けてその知識をおろかならしむ
44:26
編集われわが僕のことばを遂しめ わが使者のはかりごとを成しめ ヱルサレムについては民また住はんといひ ユダのもろもろの邑については重ねて建らるべし我その荒廢たるところを舊にかへさんといふ
44:27
編集また淵に命ず かわけ我なんぢのもろもろの川をほさんと
44:28
編集又クロスについては彼はわが牧者すべてわが好むところを成しむる者なりといひ ヱルサレムについてはかさねて建られその宮の基すゑられんといふ
第45章
編集45:1
編集われヱホバわが受膏者クロスの右手をとりてもろもろの國をそのまへに降らしめ もろもろの王の腰をとき扉をその前にひらかせて門をとづるものなからしめん
45:2
編集われ汝のまへにゆきて崎嶇をたひらかにし 銅の門をこぼち くろがねの關木をたちきるべし
45:3
編集われなんぢに暗ところの財貨とひそかなるところに藏せるたからとを予へ なんぢに我はヱホバなんぢの名をよべるイスラエルの神なるを知しめん
45:4
編集わが僕ヤコブわが撰みたるイスラエルのために我なんぢの名をよべり 汝われを知ずといへどわれ名をなんぢに賜ひたり
45:5
編集われはヱホバなり 我のほかに神なし 一人もなし 汝われをしらずといへども我なんぢを固うせん
45:6
編集而して日のいづるところより西のかたまで人々我のほかに神なしと知べし 我はヱホバなり他にひとりもなし
45:7
編集われは光をつくり又くらきを創造す われは平和をつくりまた禍害をさうざうす 我はヱホバなり 我すべてこれらの事をなすなり
45:8
編集天ようへより滴らすべし 雲よ義をふらすべし 地はひらけて救を生じ義をもともに萌いだすべし われヱホバ之を創造せり
45:9
編集世人はすゑものの中のひとつの陶器なるに己をつくれる者とあらそふはわざはひなるかな 泥塊はすゑものつくりにむかひて汝なにを作るかといふべけんや 又なんぢの造りたる者なんぢを手なしといふべけんや
45:10
編集父にむかひて汝なにゆゑに生むことをせしやといひ 婦にむかひて汝なにゆゑに產のくるしみをなししやといふ者はわざはひなるかな
45:11
編集ヱホバ、イスラエルの聖者イスラエルを造れるもの如此いひたまふ 後きたらんとすることを我にとへ またわが子女とわが手の工とにつきて汝等われに言せよ
45:12
編集われ地をつくりてそのうへに人を創造せり われ自らの手をもて天をのべ その萬象をさだめたり
45:13
編集われ義をもて彼のクロスを起せり われそのすべての道をなほくせん 彼はわが邑をたてわが俘囚を價のためならず報のためならずして釋すべし これ萬軍のヱホバの聖言なり
45:14
編集ヱホバ如此いひたまふ エジプトがはたらきて得しものとエテオピアがあきなひて得しものとはなんぢの有とならん また身のたけ高きセバ人きたりくだりて汝にしたがひ繩につながれて降り なんぢのまへに伏しなんぢに祈りていはん まことに神はなんぢの中にいませり このほかに神なし一人もなしと
45:15
編集救をほどこし給ふイスラエルの神よ まことに汝はかくれています神なり
45:16
編集偶像をつくる者はみな恥をいだき辱かしめをうけ諸共にはぢあわてて退かん
45:17
編集されどイスラエルはヱホバにすくはれて永遠の救をえん なんぢらは世々かぎりなく恥をいだかず辱かしめをうけじ
45:18
編集ヱホバは天を創造したまへる者にしてすなはち神なり また地をもつくり成てこれを堅くし徒然にこれを創造し給はず これを人の住所につくり給へり ヱホバかく宣給ふ われはヱホバなり我のほかに神あることなしと
45:19
編集われは隱れたるところ地のくらき所にてかたらず 我はヤコブの裔になんぢらが我をたづぬるは徒然なりといはず 我ヱホバはただしき事をかたり直きことを告ぐ
45:20
編集汝等もろもろの國より脱れきたれる者よ つどひあつまり共にすすみききたれ 木の像をになひ救ふことあたはざる神にいのりするものは無智なるなり
45:21
編集なんぢらその道理をもちきたりて述よ また共にはかれ 此事をたれか上古より示したりや 誰かむかしより告たりしや 此はわれヱホバならずや 我のほかに神あることなし われは義をおこなひ救をほどこす神にして我のほかに神あることなし
45:22
編集地の極なるもろもろの人よ なんぢら我をあふぎのぞめ然ばすくはれん われは神にして他に神なければなり
45:23
編集われは己をさして誓ひたり この言はただしき口よりいでたれば反ることなし すべての膝はわがまへに屈み すべての舌はわれに誓をたてん
45:24
編集人われに就ていはん正義と力とはヱホバにのみありと 人々ヱホバにきたらん すべてヱホバにむかひて怒るものは恥をいだくべし
45:25
編集イスラエルの裔はヱホバによりて義とせられ且ほこらん
第46章
編集46:1
編集ベルは伏しネボは屈む かれらの像はけものと家畜とのうへにあり なんぢらが擡げあるきしものは荷となりて疲れおとろへたるけものの負ところとなりぬ
46:2
編集かれらは屈みかれらは共にふし その荷となれる者をすくふこと能はずして己とらはれゆく
46:3
編集ヤコブの家よイスラエルのいへの遺れるものよ 腹をいでしより我におはれ胎をいでしより我にもたげられしものよ 皆われにきくべし
46:4
編集なんぢらの年老るまで我はかはらず白髮となるまで我なんぢらを負ん 我つくりたれば擡ぐべし我また負ひかつ救はん
46:5
編集なんぢら我をたれに比べ たれに配ひ たれに擬らへ かつ相くらぶべきか
46:6
編集人々ふくろより黄金をかたぶけいだし權衡をもて白銀をはかり金工をやとひてこれを神につくらせ之にひれふして拜む
46:7
編集彼等はこれをもたげて肩にのせ 負ひゆきてその處に安置す すなはち立てその處をはなれず 人これにむかひて呼はれども答ふること能はず 又これをすくひて苦難のうちより出すことあたはず
46:8
編集なんぢら此事をおもひいでて堅くたつべし 悖逆者よこのことを心にとめよ
46:9
編集汝等いにしへより以來のことをおもひいでよ われは神なり我のほかに神なし われは神なり我のごとき者なし
46:10
編集われは終のことを始よりつげ いまだ成ざることを昔よりつげ わが謀畧はかならず立つといひ すべて我がよろこぶことを成んといへり
46:11
編集われ東より鷲をまねき遠國よりわが定めおける人をまねかん 我このことを語りたれば必らず來らすべし 我このことを謀りたればかならず成すべし
46:12
編集なんぢら心かたくなにして義にとほざかるものよ我にきけ
46:13
編集われわが義をちかづかしむ可ればその來ること遠からず わが救おそからず 我すくひをシオンにあたへ わが榮光をイスラエルにあたへん
第47章
編集47:1
編集バビロンの處女よ くだりて塵のなかにすわれ カルデヤ人のむすめよ座にすわらずして地にすわれ 汝ふたたび婀娜にして嬌なりととなへらるることなからん
47:2
編集礱をとりて粉をひけ 面帕をとりさり袿をぬぎ髓をあらはして河をわたれ
47:3
編集なんぢの肌はあらはれなんぢの恥はみゆべし われ仇をむくいて人をかへりみず
47:4
編集われらを贖ひたまふ者はその名を萬軍のヱホバ、イスラエルの聖者といふ
47:5
編集カルデヤ人のむすめよ なんぢ口をつぐみてすわれ 又くらき所にいりてをれ 汝ふたたびもろもろの國の主母ととなへらるることなからん
47:6
編集われわが民をいきどほりわが產業をけがして之をなんぢの手にあたへたり 汝これに憐憫をほどこさず年老たるもののうへに甚だおもき軛をおきたり
47:7
編集汝いへらく我とこしへに主母たらんと 斯てこれらのことを心にとめず亦その終をおもはざりき
47:8
編集なんぢ歡樂にふけり安らかにをり 心のうちにただ我のみにして我のほかに誰もなく我はやもめとなりてをらず また子をうしなふことを知まじとおもへる者よなんぢ今きけ
47:9
編集子をうしなひ寡婦となるこの二つのこと一日のうちに俄になんぢに來らん汝おほく魔術をおこなひひろく呪詛をほどこすと雖もみちみちて汝にきたるべし
47:10
編集汝おのれの惡によりたのみていふ 我をみるものなしと なんぢの智慧となんぢの聰明とはなんぢを惑せたり なんぢ心のうちにおもへらくただ我のみにして我のほかに誰もなしと
47:11
編集この故にわざはひ汝にきたらん なんぢ呪ひてこれを除くことをしらず 艱難なんぢに落きたらん 汝これをはらふこと能はず なんぢの思ひよらざる荒廢にはかに汝にきたるべし
47:12
編集今なんぢわかきときより勤めおこなひたる呪詛とおほくの魔術とをもて立むかふべしあるひは益をうることあらん あるひは敵をおそれしむることあらん
47:13
編集なんぢは謀畧おほきによりて倦つかれたり かの天をうらなふもの星をみるもの新月をうらなふ者もし能はば いざたちて汝をきたらんとする事よりまぬかれしむることをせよ
47:14
編集彼らは藁のごとくなりて火にやかれん おのれの身をほのほの勢力よりすくひいだすこと能はず その火は身をあたたむべき炭火にあらず又その前にすわるべき火にもあらず
47:15
編集汝がつとめて行ひたる事は終にかくのごとくならん 汝のわかきときより汝とうりかひしたる者おのおのその所にさすらひゆきて一人だになんぢを救ふものなかるべし
第48章
編集48:1
編集ヤコブの家よなんぢら之をきけ 汝らはイスラエルの名をもて稱へられ ユダの根源よりいでヱホバの名によりて誓ひイスラエルの神をかたりつぐれども 眞實をもてせず正義をもてせざるなり
48:2
編集かれらはみづから聖京のものととなヘイスラエルの神によりたのめり その名は萬軍のヱホバといふ
48:3
編集われ今よりさきに成しことを旣にいにしへより告たり われ口よりいだして旣にのべつたへたり 我にはかにこの事をおこなひ而して成ぬ
48:4
編集われ汝がかたくなにして項の筋はくろがねその額はあかがねなるを知れり
48:5
編集このゆゑに我はやくよりかの事をなんぢにつげ その成ざるさきに之をなんぢに聞しめたり 恐くはなんぢ云ん わが偶像これを成せり刻みたるざう鑄たる像これを命じたりと
48:6
編集なんぢ旣にきけり 凡てこれを視よ 汝ら之をのべつたへざるか われ今より新なる事なんぢが未だしらざりし秘事をなんぢに示さん
48:7
編集これらの事はいま創造せられしにて上古よりありしにあらず この日よりさきに汝これを聞ざりき 然らずば汝いはん視よわれこれを知れりと
48:8
編集汝これを聞こともなく知こともなく なんぢの耳はいにしへより開けざりき 我なんぢが欺きあざむきて生れながら悖逆者ととなへられしを知ればなり
48:9
編集わが名のゆゑによりて我いかりを遲くせん わが頌美のゆゑにより我しのびてなんぢを絶滅すことをせじ
48:10
編集視よわれなんぢを煉たり されど白銀の如くせずして患難の爐をもてこころみたり
48:11
編集われ己のため我おのれの爲にこれを成ん われ何でわが名をけがさしむべき 我わが榮光をほかの者にあたることをせじ
48:12
編集ヤコブよわが召たるイスラエルよ われにきけ われは是なり われは始また終なり
48:13
編集わが手は地のもとゐを置わが右の手は天をのべたり 我よべば彼等はもろともに立なり
48:14
編集汝ら皆あつまりてきけ ヱホバの愛するものヱホバの好みたまふ所をバビロンに成し その腎はカルデヤ人のうへにのぞまん 彼等のうち誰かこれらの事をのべつげしや
48:15
編集ただ我のみ我かたれり 我かれをめし我かれをきたらせたり その道さかゆべし
48:16
編集なんぢら我にちかよりて之をきけ 我はじめより之をひそかに語りしにあらず その成しときより我はかしこに在り いま主ヱホバわれとその靈とをつかはしたまへり
48:17
編集なんぢの贖主イスラエルの聖者ヱホバかく言給く われはなんぢの神ヱホバなり 我なんぢに益することを敎へ なんぢを導きてそのゆくべき道にゆかしむ
48:18
編集願くはなんぢわが命令にききしたがはんことを もし然らばなんぢの平安は河のごとく 汝の義はうみの波のごとく
48:19
編集なんぢの裔はすなのごとく 汝の體よりいづる者は細沙のごとくになりて その名はわがまへより絶るることなく亡さるることなからん
48:20
編集なんぢらバビロンより出てカルデヤ人よりのがれよ なんらぢ歡の聲をもてのべきかせ地のはてにいたるまで語りつたヘ ヱホバはその僕ヤコブをあがなひ給へりといヘ
48:21
編集ヱホバかれらをして沙漠をゆかしめ給へるとき彼等はかわきたることなかりき ヱホバ彼等のために磐より水をながれしめ また磐をさきたまへば水ほどばしりいでたり
48:22
編集ヱホバいひたまはく惡きものには平安あることなし
第49章
編集49:1
編集もろもろの島よ我にきけ 遠きところのもろもろの民よ耳をかたむけよ 我うまれいづるよりヱホバ我を召し われ母の胎をいづるよりヱホバわが名をかたりつげたまへり
49:2
編集ヱホバわが口を利劍となし我をその手のかげにかくし 我をとぎすましたる矢となして箙にをさめ給へり
49:3
編集また我にいひ給はく 汝はわが僕なり わが榮光のあらはるべきイスラエルなりと
49:4
編集されど我いへり われは徒然にはたらき益なくむなしく力をつひやしぬと 然はあれど誠にわが審判はヱホバにあり わが報はわが神にあり
49:5
編集ヤコブをふたたび己にかへらしめイスラエルを己のもとにあつまらせんとて 我をうまれいでしより立ておのれの僕となし給へるヱホバいひ給ふ(我はヱホバの前にたふとくせらる 又わが神はわが力となりたまへり)
49:6
編集その聖言にいはく なんぢわが僕となりてヤコブのもろもろの支派をおこし イスラエルのうちののこりて全うせしものを歸らしむることはいと輕し 我また汝をたてて異邦人の光となし 我がすくひを地のはてにまで到らしむ
49:7
編集ヱホバ、イスラエルの贖主イスラエルの聖者は人にあなどらるるもの 民にいみきらはるるもの 長たちに役せらるる者にむかひて如此いひたまふ もろもろの王は見てたちもろもろの君はみて拜すべし これ信實あるヱホバ、イスラエルの聖者なんぢを選びたまへるが故なり
49:8
編集ヱホバ如此いひたまふ われ惠のときに汝にこたへ救の日になんぢを助けたり われ汝をまもりて民の契約とし國をおこし荒すたれたる地をまた產業としてかれらにつがしめん
49:9
編集われ縛しめられたる者にいでよといひ暗にをるものに顯れよといはん かれら途すがら食ふことをなし もろもろの禿なる山にも牧草をうべし
49:10
編集かれらは飢ずかわかず 又やけたる砂もあつき日もうつことなし 彼等をあはれむもの之をみちびきて泉のほとりに和かにみちびき給ければなり
49:11
編集我わがもろもろの山を路とし わが大路をたかくせん
49:12
編集視よ人々あるひは遠きよりきたり あるひは北また西よりきたらん 或はまたシニムの地よりきたるべし
49:13
編集天ようたへ地よよろこべ もろもろの山よ聲をはなちてうたヘ ヱホバはその民をなぐさめその苦むものを憐みたまへばなり
49:14
編集然どシオンはいへりヱホバ我をすて主われをわすれたまへりと
49:15
編集婦その乳兒をわすれて己がはらの子をあはれまざることあらんや 縦ひかれら忘るることありとも我はなんぢを忘るることなし
49:16
編集われ掌になんぢを彫刻めり なんぢの石垣はつねにわが前にあり
49:17
編集なんぢの子輩はいそぎ來り なんぢを毀つもの汝をあらす者は汝より出さらん
49:18
編集なんぢ目をあげて環視せよ これらのもの皆あひあつまりて汝がもとに來るべし ヱホバ宣給く われは活なんぢ此等をみな身によそほひて飾となし 新婦の帶のごとくに之をまとふべし
49:19
編集なんぢの荒かつ廢れたるところ毀たれたる地は こののち住ふもの多くして狹きをおぼえん なんぢを呑つくししもの遙にはなれ去るべし
49:20
編集むかし別れたりしなんぢの子輩はのちの日なんぢの耳のあたりにて語りあはん云く ここは我がために狹し なんぢ外にゆきて我にすむべき所をえしめよと
49:21
編集その時なんぢ心裏にいはん 誰かわがために此等のものを生しや われ子をうしなひて獨居りかつ俘れ且さすらひたり 誰かこれを育てしや 視よわれ一人のこされたり 此等はいづこに居しや
49:22
編集主ヱホバいひたまはく 視よわれ手をもろもろの國にむかひてあげ 旗をもろもろの民にむかひてたてん 斯てかれらはその懷中になんぢの子輩をたづさへ その肩になんぢの女輩をのせきたらん
49:23
編集もろもろの王はなんぢの養父となり その后妃はなんぢの乳母となり かれらはその面を地につけて汝にひれふし なんぢの足の塵をなめん 而して汝わがヱホバなるをしり われを俟望むものの恥をかうぶることなきを知るならん
49:24
編集勇士がうばひたる掠物をいかでとりかへし 強暴者がかすめたる虜をいかで救いだすことを得んや
49:25
編集されどヱホバ如此いひたまふ云く ますらをが掠めたる虜もとりかへされ 強暴者がうばひたる掠物もすくひいださるべし そは我なんぢを攻るものをせめてなんぢの子輩をすくふべければなり
49:26
編集我なんぢを虐ぐるものにその肉をくらはせ またその血をあたらしき酒のごとくにのませて酔しめん 而して萬民はわがヱホバにして汝をすくふ者なんぢを贖ふものヤコブの全能者なることを知るべし
第50章
編集50:1
編集ヱホバかくいひ給ふ わがなんぢらの母をさりたる離書はいづこにありや 我いづれの債主になんぢらを賣わたししや 視よなんぢらはその不義のために賣られ なんぢらの母は汝らの咎戻のために去られたり
50:2
編集わがきたりし時なにゆゑ一人もをらざりしや 我よびしとき何故ひとりも答ふるものなかりしや わが手みぢかくして贖ひえざるか われ救ふべき力なからんや 視よわれ叱咤すれば海はかれ河はあれのとなりそのなかの魚は水なきによりかわき死て臭氣をいだすなり
50:3
編集われ黑きころもを天にきせ麁布をもて蔽となす
50:4
編集主ヱホバは敎をうけしものの舌をわれにあたへ言をもて疲れたるものを扶支ふることを知得しめたまふ また朝ごとに醒しわが耳をさまして敎をうけし者のごとく聞ことを得しめたまふ
50:5
編集主ヱホバわが耳をひらき給へり われは逆ふことをせず退くことをせざりき
50:6
編集われを撻つものにわが背をまかせわが鬚をぬくものにわが頬をまかせ 恥と唾とをさくるために面をおほふことをせざりき
50:7
編集主ヱホバわれを助けたまはん この故にわれ恥ることなかるべし 我わが面を石の如くして恥しめらるることなきを知る
50:8
編集われを義とするもの近きにあり たれか我とあらそはんや われら相共にたつべし わが仇はたれぞや近づききたれ
50:9
編集主ヱホバわれを助け給はん 誰かわれを罪せんや 視よかれらはみな衣のごとくふるび蠧のためにくひつくされん
50:10
編集汝等のうちヱホバをおそれその僕の聲をきくものは誰ぞや 暗をあゆみて光をえざるともヱホバの名をたのみおのれの神にたよれ
50:11
編集火をおこし火把を帶るものよ汝等みなその火のほのほのなかをあゆめ 又なんぢらの燃したる火把のなかをあゆめ なんぢら斯のごとき事をわが手よりうけて悲みのうちに臥べし
第51章
編集51:1
編集義をおひ求めヱホバを尋ねもとむるものよ我にきけ なんぢらが斫出されたる磐となんぢらの掘出されたる穴とをおもひ見よ
51:2
編集なんぢらの父アブラハム及びなんぢらを生たるサラをおもひ見よ われ彼をその唯一人なりしときに召しこれを祝してその子孫をまし加へたり
51:3
編集そはヱホバ、シオンを慰め またその凡てあれたる所をなぐさめて その荒野をエデンのごとくその沙漠をヱホバの園のごとくなしたまへり 斯てその中によろこびと歡樂とあり感謝とうたうたふ聲とありてきこゆ
51:4
編集わが民よわが言にこころをとめよ わが國人よわれに耳をかたぶけよ 律法はわれより出づ われわが途をかたく定めてもろもろの民の光となさん
51:5
編集わが義はちかづきわが救はすでに出たり わが臂はもろもろの民をさばかん もろもろの島はわれを俟望み わがかひなに依賴ん
51:6
編集なんぢら目をあげて天を觀また下なる地をみよ 天は烟のごとくきえ地は衣のごとくふるびその中にすむ者これとひとしく死ん されどわが救はとこしへにながらへ わが義はくだくることなし
51:7
編集義をしるものよ心のうちにわが律法をたもつ民よ われにきけ 人のそしりをおそるるなかれ人のののしりに慴くなかれ
51:8
編集そはかれら衣のごとく蠧にはまれ羊の毛のごとく蟲にはまれん されどわが義はとこしへに存らへ わがすくひ萬代におよぶべし
51:9
編集さめよ醒よヱホバの臂よちからを着よ さめて古への時むかしの代にありし如くなれ ラハブをきりころし鱷をさしつらぬきたるは汝にあらずや
51:10
編集海をかわかし大なる淵の水をかわかし また海のふかきところを贖はれたる人のすぐべき路となししは汝にあらずや
51:11
編集ヱホバに贖ひすくはれしもの歌うたひつつ歸りてシオンにきたり その首にとこしへの歡喜をいただきて快樂とよろこびとをえん 而してかなしみと歎息とはにげさるべし
51:12
編集我こそ我なんぢらを慰むれ 汝いかなる者なれば死べき人をおそれ草の如くなるべき人の子をおそるるか
51:13
編集いかなれば天をのべ地の基をすゑ汝をつくりたまへるヱホバを忘れしや 何なれば汝をほろぼさんとて豫備する虐ぐるものの憤れるをみて常にひねもす懼るるか 虐ぐるものの忿恚はいづこにありや
51:14
編集身をかがめゐる俘囚はすみやかに解れて 死ることなく穴にくだることなく その食はつくること無るべし
51:15
編集我は海をふるはせ波をなりどよめかする汝の神ヱホバなり その御名を萬軍のヱホバといふ
51:16
編集我わが言をなんぢの口におきわが手のかげにて汝をおほへり かくてわれ天をうゑ地の基をすゑ シオンにむかひて汝はわが民なりといはん
51:17
編集ヱルサレムよさめよさめよ起よ なんぢ前にヱホバの手よりその忿恚のさかづきをうけて飮み よろめかす大杯をのみ且すひほしたり
51:18
編集なんぢの生るもろもろの子のなかに汝をみちびく者なく 汝のそだてたるもろもろの子の中にてなんぢの手をたづさふる者なし
51:19
編集この二のこと汝にのぞめり誰かなんぢのために歎んや 荒廢の饑饉ほろびの劍なんぢに及べり我いかにして汝をなぐさめんや
51:20
編集なんぢの子らは息たえだえにして網にかかれる羚羊のごとくし街衢の口にふす ヱホバの忿恚となんぢの神のせめとはかれらに滿たり
51:21
編集このゆゑに苦しめるもの酒にあらで酔たるものよ之をきけ
51:22
編集なんぢの主ヱホバおのが民の訟をあげつらひ給ふ なんぢの神かくいひ給ふ 我よろめかす酒杯をなんぢの手より取除き わがいきどほりの大杯をとりのぞきたり 汝ふたたびこれを飮ことあらじ
51:23
編集我これを汝をなやますものの手にわたさん 彼らは曩になんぢの靈魂にむかひて云らく なんぢ伏せよわれら越ゆかんと 而してなんぢその背を地のごとくし衢のごとくし彼等のこえゆくに任せたり
第52章
編集52:1
編集シオンよ醒よさめよ汝の力を衣よ 聖都ヱルサレムよなんぢの美しき衣をつけよ 今より割禮をうけざる者および潔からざるものふたたび汝にいること無るべければなり
52:2
編集なんぢ身の塵をふりおとせ ヱルサレムよ起よすわれ 俘れたるシオンのむすめよ汝がうなじの繩をときすてよ
52:3
編集そはヱホバかく言給ふ なんぢらは價なくして賣られたり 金なくして贖はるべし
52:4
編集主ヱホバ如此いひ給ふ 曩にわが民エジプトにくだりゆきて彼處にとどまれり アツスリヤ人ゆゑなくして彼等をしへたげたり
52:5
編集ヱホバ宣給く わが民はゆゑなくして俘れたり されば我ここに何をなさん ヱホバのたまはく 彼等をつかさどる者さけびよばはり わが名はつねに終日けがさるるなり
52:6
編集この故にわが民はわが名をしらん このゆゑにその日には彼らこの言をかたるものの我なるをしらん 我ここに在り
52:7
編集よろこびの音信をつたへ平和をつげ 善おとづれをつたへ救をつげ シオンに向ひてなんぢの神はすべ治めたまふといふものの足は山上にありていかに美しきかな
52:8
編集なんぢが斥候の聲きこゆ かれらはヱホバのシオンに歸り給ふを目と目とあひあはせて視るが故にみな聲をあげてもろともにうたへり
52:9
編集ヱルサレムの荒廢れたるところよ聲をはなちて共にうたふべし ヱホバその民をなぐさめヱルサレムを贖ひたまひたればなり
52:10
編集ヱホバそのきよき手をもろもろの國人の目のまへにあらはしたまへり 地のもろもろの極までもわれらの神のすくひを見ん
52:11
編集なんぢら去よされよ 彼處をいでて汚れたるものに觸るなかれ その中をいでよ ヱホバの器をになふ者よ なんぢら潔くあれ
52:12
編集なんぢら急ぎいづるにあらず趨りゆくにあらず ヱホバはなんぢらの前にゆきイスラエルの神はなんぢらの軍後となり給ふべければなり
52:13
編集視よわがしもべ智慧をもておこなはん 上りのぼりて甚だたかくならん
52:14
編集曩にはおほくの人かれを見ておどろきたり(その面貌はそこなはれて人と異なりその形容はおとろへて人の子とことなれり)
52:15
編集後には彼おほく國民にそそがん 王たち彼によりて口を緘まん そはかれら未だつたへられざることを見いまだ聞ざることを悟るべければなり
第53章
編集53:1
編集われらが宣るところを信ぜしものは誰ぞや ヱホバの手はたれにあらはれしや
53:2
編集かれは主のまへに芽えのごとく 燥きたる土よりいづる樹株のごとくそだちたり われらが見るべきうるはしき容なく うつくしき貌はなく われらがしたふべき艶色なし
53:3
編集かれは侮られて人にすてられ 悲哀の人にして病患をしれり また面をおほひて避ることをせらるる者のごとく侮られたり われらも彼をたふとまざりき
53:4
編集まことに彼はわれらの病患をおひ我儕のかなしみを擔へり 然るにわれら思へらく彼はせめられ神にうたれ苦しめらるるなりと
53:5
編集彼はわれらの愆のために傷けられ われらの不義のために碎かれ みづから懲罰をうけてわれらに平安をあたふ そのうたれし痍によりてわれらは癒されたり
53:6
編集われらはみな羊のごとく迷ひておのおの己が道にむかひゆけり 然るにヱホバはわれら凡てのものの不義をかれのうへに置たまへり
53:7
編集彼はくるしめらるれどもみづから謙だりて口をひらかず 屠場にひかるる羔羊の如く毛をきる者のまへにもだす羊の如くしてその口をひらかざりき
53:8
編集かれは虐待と審判とによりて取去れたり その代の人のうち誰か彼が活るものの地より絶れしことを思ひたりしや 彼はわが民のとがの爲にうたれしなり
53:9
編集その墓はあしき者とともに設けられたれど 死るときは富るものとともになれり かれは暴をおこなはずその口には虚僞なかりき
53:10
編集されどヱホバはかれを碎くことをよろこびて之をなやましたまへり 斯てかれの靈魂とがの献物をなすにいたらば彼その末をみるを得その日は永からん かつヱホバの悦び給ふことは彼の手によりて榮ゆべし
53:11
編集かれは己がたましひの煩勞をみて心たらはん わが義しき僕はその知識によりておほくの人を義とし又かれらの不義をおはん
53:12
編集このゆゑに我かれをして大なるものとともに物をわかち取しめん かれは強きものとともに掠物をわかちとるべし 彼はおのが靈魂をかたぶけて死にいたらしめ愆あるものとともに數へられたればなり 彼はおほくの人の罪をおひ愆あるものの爲にとりなしをなせり
第54章
編集54:1
編集なんぢ孕まず子をうまざるものよ歌うたふべし 產のくるしみなきものよ聲をはなちて謳ひよばはれ 夫なきものの子はとつげるものの子よりおほしと 此はヱホバの聖言なり
54:2
編集汝が幕屋のうちを廣くし なんぢが住居のまくをはりひろげて吝むなかれ 汝の綱をながくしなんぢの杙をかたくせよ
54:3
編集そはなんぢが右に左にひろごり なんぢの裔はもろもろの國をえ 荒廢れたる邑をもすむべき所となさしむべし
54:4
編集懼るるなかれなんぢ恥ることなからん 惶てためくことなかれ汝はぢしめらるることなからん 若きときの恥をわすれ寡婦たりしときの恥辱をふたたび覺ることなからん
54:5
編集なんぢを造り給へる者はなんぢの夫なり その名は萬軍のヱホバ なんぢを贖ひ給ふものはイスラエルの聖者なり 全世界の神ととなへられ給ふべし
54:6
編集ヱホバ汝をまねきたまふ 棄られて心うれふる妻また若きとき嫁てさられたる妻をまねくがごとしと 此はなんぢの神のみことばなり
54:7
編集我しばし汝をすてたれど大なる憐憫をもて汝をあつめん
54:8
編集わが忿恚あふれて暫くわが面をなんぢに隱したれど 永遠のめぐみをもて汝をあはれまんと 此はなんぢをあがなひ給ふヱホバの聖言なり
54:9
編集このこと我にはノアの洪水のときのごとし 我むかしノアの洪水をふたたび地にあふれ流るることなからしめんと誓ひしが そのごとく我ふたたび汝をいきどほらず 再びなんぢを責じとちかひたり
54:10
編集山はうつり岡はうごくとも わが仁慈はなんぢよりうつらず 平安をあたふるわが契約はうごくことなからんと 此はなんぢを憐みたまふヱホバのみことばなり
54:11
編集なんぢ苦しみをうけ暴風にひるがへされ 安慰をえざるものよ 我うるはしき彩色をなしてなんぢの石をすゑ 靑き玉をもてなんぢの基をおき
54:12
編集くれなゐの玉をもてなんぢの櫓をつくり むらさきの玉をもてなんぢの門をつくり なんぢの境内はあまねく寳石にてつくるべし
54:13
編集又なんぢの子輩はみなヱホバに敎をうけ なんぢの子輩のやすきは大ならん
54:14
編集なんぢ義をもて堅くたち 虐待よりとほざかりて慴ることなく また恐懼よりとほざかるべし そは恐懼なんぢに近づくことなければなり
54:15
編集縦ひかれら群集ふとも我によるにあらず 凡てむれつどひて汝をせむる者はなんぢの故にたふるべし
54:16
編集みよ炭火をふきおこして用ゐべき器をいだす鐵工はわが創造するところ 又あらし滅ぼす者もわが創造するところなり
54:17
編集すべてなんぢを攻んとてつくられしうつはものは利あることなし 興起ちてなんぢとあらそひ訴ふる舌はなんぢに罪せらるべし これヱホバの僕等のうくる產業なり 是かれらが我よりうくる義なりとヱホバのたまへり
第55章
編集55:1
編集噫なんぢら渇ける者ことごとく水にきたれ 金なき者もきたるべし 汝等きたりてかひ求めてくらへ きたれ金なく價なくして葡萄酒と乳とをかへ
55:2
編集なにゆゑ糧にもあらぬ者のために金をいだし 飽ことを得ざるもののために勞するや われに聽從へ さらばなんぢら美物をくらふをえ脂をもてその靈魂をたのしまするを得ん
55:3
編集耳をかたぶけ我にきたりてきけ 汝等のたましひは活べし われ亦なんぢらととこしへの契約をなしてダビデに約せし變らざる惠をあたへん
55:4
編集視よわれ彼をたててもろもろの民の證とし又もろもろの民の君となし命令する者となせり
55:5
編集なんぢは知ざる國民をまねかん 汝をしらざる國民はなんぢのもとに走りきたらん 此はなんぢの神ヱホバ、イスラエルの聖者のゆゑによりてなり ヱホバなんぢを尊くしたまへり
55:6
編集なんぢら遇ことをうる間にヱホバを尋ねよ 近くゐたまふ間によびもとめよ
55:7
編集惡きものはその途をすて よこしまなる人はその思念をすててヱホバに反れ さらば憐憫をほどこしたまはん 我等の神にかへれ豐に赦をあたへ給はん
55:8
編集わたしの思いは、あなたたちの思いと異なりわたしの道はあなたたちの道と異なると主は言われる。
55:9
編集天の地よりたかきがごとく わが道はなんぢらの道よりも高く わが思はなんぢらの思よりもたかし
55:10
編集天より雨くだり雪おちて復かへらず 地をうるほして物をはえしめ 萌をいださしめて播ものに種をあたへ 食ふものに糧をあたふ
55:11
編集如此わが口よりいづる言もむなしくは我にかへらず わが喜ぶところを成し わが命じ遣りし事をはたさん
55:12
編集なんぢらは喜びて出きたり平穩にみちびかれゆくべし山と岡とは聲をはなちて前にうたひ野にある樹はみな手をうたん
55:13
編集松樹はいばらにかはりてはえ岡拈樹は棘にかはりてはゆべし 此はヱホバの頌美となり並とこしへの徴となりて絶ることなからん
第56章
編集56:1
編集ヱホバ如此いひ給ふ なんぢら公平をまもり正義をおこなふべし わが救のきたるはちかく わが義のあらはるるは近ければなり
56:2
編集安息日をまもりて汚さず その手をおさへて惡きことをなさず 斯おこなふ人かく堅くまもる人の子はさいはひなり
56:3
編集ヱホバにつらなれる異邦人はいふなかれ ヱホバ必ず我をその民より分ち給はんと 寺人もまたいふなかれ われは枯たる樹なりと
56:4
編集ヱホバ如此いひたまふ わが安息日をまもり わが悦ぶことをえらみて我が契約を堅くまもる寺人には
56:5
編集我わが家のうちにてわが垣のうちにて子にも女にもまさる記念のしるしと名とをあたへ 並とこしへの名をたまふて絶ることなからしめん
56:6
編集またヱホバにつらなりこれに事ヘ ヱホバの名を愛しその僕となり 安息日をまもりて汚すことなく凡てわが契約をかたくまもる異邦人は
56:7
編集我これをわが聖山にきたらせ わが祈の家のうちにて樂ましめん かれらの燔祭と犠牲とはわが祭壇のうへに納めらるべし わが家はすべての民のいのりの家ととなへらるべければなり
56:8
編集イスラエルの放逐れたるものを集めたまふ主ヱホバのたまはく 我さらに人をあつめて旣にあつめられたる者にくはへん
56:9
編集野獸よみなきたりてくらへ 林にをるけものよ皆きたりてくらへ
56:10
編集斥候はみな瞽者にしてしることなし みな唖なる犬にして吠ることあたはず みな夢みるもの臥ゐるもの眠ることをこのむ者なり
56:11
編集この犬はむさぼること甚だしくして飽ことをしらず かれらは悟ることを得ざる牧者にして皆おのが道にむかひゆき 何れにをる者もおのおの己の利をおもふ
56:12
編集かれら互にいふ請われ酒をたづさへきたらん われら濃酒にのみあかん かくて明日もなほ今日のごとく大にみち足はせんと
第57章
編集57:1
編集義者ほろぶれども心にとむる人なく 愛しみ深き人々とりさらるれども義きものの禍害のまへより取去るるなるを悟るものなし
57:2
編集かれは平安にいり 直きをおこなふ者はその寐床にやすめり
57:3
編集なんぢら巫女の子 淫人また妓女の裔よ 近ききたれ
57:4
編集なんぢら誰にむかひて戯れをなすや 誰にむかひて口をひらき舌をのばすや なんぢらは悸逆の子輩いつはりの黨類にあらずや
57:5
編集なんぢらは橿樹のあひだ緑りなる木々のしたに心をこがし 谷のなか岩の狹間に子をころせり
57:6
編集なんぢは谷のなかの滑かなる石をうくべき嗣業とし これをなんぢが所有とす なんぢ亦これに灌祭をなし之にそなへものを献げたり われ之によりていかで心をなだむべしや
57:7
編集なんぢは高くそびえたる山の上になんぢの床をまうけ かつ其處にのぼりゆきて犠牲をささげたり
57:8
編集また戸および柱のうしろに汝の記念をおけり なんぢ我をはなれて他人に身をあらはし 登りゆきてその床をひろくし かれらと誓をなし 又かれらの床を愛し これがためにその所をえらびたり
57:9
編集なんぢ香膏とおほくの薫物とをたづさへて王にゆき 又なんぢの使者をとほきにつかはし陰府にまで己をひくくせり
57:10
編集なんぢ途のながきに疲れたれどなほ望なしといはず なんぢ力をいきかへされしによりて衰弱ざりき
57:11
編集なんぢ誰をおそれ誰のゆゑに慴きていつはりをいひ 我をおもはず亦そのことを心におかざりしや われ久しく默したれど汝かへりて我をおそれざりしにあらずや
57:12
編集我なんぢの義をつげしめさん なんぢの作はなんぢに益せじ
57:13
編集なんぢ呼るときその集めおきたるもの汝をすくへ 風はかれらを悉くあげさり 息はかれらを吹さらん 然どわれに依賴むものは地をつぎわが聖山をうべし
57:14
編集また人いはん 土をもり土をもりて途をそなへよ わが民のみちより躓礙をとりされと
57:15
編集至高く至上なる永遠にすめるもの聖者となづくるもの如此いひ給ふ 我はたかき所きよき所にすみ 亦こころ碎けてへりくだる者とともにすみ 謙だるものの靈をいかし碎けたるものの心をいかす
57:16
編集われ限なくは爭はじ我たえずは怒らじ 然らずば人のこころ我がまへにおとろへん わが造りたる靈はみな然らん
57:17
編集彼のむさぼりの罪により我いかりて之をうちまた面をおほひて怒りたり 然るになほ悖りて己がこころの途にゆけり
57:18
編集されど我その途をみたり 我かれを愈すべし 又かれを導きてふたたび安慰をかれとその中のかなしめる者とにかへすべし
57:19
編集我くちびるの果をつくれり 遠きものにも近きものにも平安あれ平安あれ 我かれをいやさん 此はヱホバのみことばなり
57:20
編集然はあれど惡者はなみだつ海のごとし 靜かなること能はずしてその水つねに濁と泥とをいだせり
57:21
編集わが神いひたまはく惡きものには平安あることなしと
第58章
編集58:1
編集大によばはりて聲ををしむなかれ 汝のこゑをラッパのごとくあげ わが民にその愆をつげヤコブの家にその罪をつげしめせ
58:2
編集かれらは日々われを尋求めわが途をしらんことをこのむ 義をおこなひ神の法をすてざる國のごとく義しき法をわれにもとめ神と相近づくことをこのめり
58:3
編集かれらはいふ われら斷食するになんぢ見たまはず われら心をくるしむるになんぢ知たまはざるは何ぞやと 視よなんぢらの斷食の日にはおのがこのむ作をなし その工人をことごとく惱めつかふ
58:4
編集視よなんぢら斷食するときは相あらそひ相きそひ惡の拳をもて人をうつ なんぢらの今のだんじきはその聲をうへに聞えしめんとにあらざるなり
58:5
編集斯のごとき斷食はわが悦ぶところのものならんや かくのごときは人その靈魂をなやますの日ならんや その首を葦のごとくにふし麁服と灰とをその下にしくをもて斷食の日またヱホバに納らるる日ととなふべけんや
58:6
編集わが悦ぶところの斷食はあくの繩をほどき 軛のつなをとき虐げらるるものを放ちさらしめ すべての軛ををるなどの事にあらずや
58:7
編集また飢たる者になんぢのパンを分ちあたへ さすらへる貧民をなんぢの家にいれ裸かなるものを見てこれに衣せ おのが骨肉に身をかくさざるなどの事にあらずや
58:8
編集しかる時はなんぢのひかり暁の如くにあらはれいで 汝すみやかに愈さるることを得 なんぢの義はなんぢの前にゆき ヱホバの榮光はなんぢの軍後となるべし
58:9
編集また汝よぶときはヱホバ答へたまはん なんぢ叫ぶときは我ここに在りといひ給はん/もし汝のなかより軛をのぞき指點をのぞき惡きことをかたるを除き
58:10
編集なんぢの靈魂の欲するものをも飢たる者にほどこし 苦しむものの心を滿足しめば なんぢの光くらきにてりいで なんぢの闇は晝のごとくならん
58:11
編集ヱホバは常になんぢをみちびき 乾けるところにても汝のこころを滿足しめ なんぢの骨をかたうし給はん なんぢは潤ひたる園のごとく水のたえざる泉のごとくなるべし
58:12
編集汝よりいづる者はひさしく荒廢れたる所をおこし なんぢは累代やぶれたる基をたてん 人なんぢをよびて破隙をおぎなふ者といひ 市街をつくろひてすむべき所となす者といふべし
58:13
編集もし安息日になんぢの歩行をとどめ 我聖日になんぢの好むわざをおこなはず 安息日をとなへて樂日となし ヱホバの聖日をとなへて尊むべき日となし 之をたふとみて己が道をおこなはず おのが好むわざをなさず おのが言をかたらずば
58:14
編集その時なんぢヱホバを樂しむべし ヱホバなんぢを地のたかき處にのらしめ なんぢが先祖ヤコブの產業をもて汝をやしなひ給はん こはヱホバ口より語りたまへるなり
第59章
編集59:1
編集ヱホバの手はみぢかくして救ひえざるにあらず その耳はにぶくして聞えざるにあらず
59:2
編集惟なんぢらの邪曲なる業なんぢらとなんぢらの神との間をへだてたり 又なんぢらの罪その面をおほひて聞えざらしめたり
59:3
編集そはなんぢらの手は血にてけがれ なんぢらの指はよこしまにて汚れ なんぢらのくちびるは虚僞をかたり なんぢらの舌は惡をささやき
59:4
編集その一人だに正義をもてうつたへ眞實をもて論らふものなし 彼らは虚浮をたのみ虚僞をかたり 惡しきくはだてをはらみ不義をうむ
59:5
編集かれらは蝮の卵をかへし蛛網をおる その卵をくらふものは死るなり 卵もし踐るればやぶれて毒蛇をいだす
59:6
編集その織るところは衣になすあたはず その工をもて身をおほふこと能はず かれらの工はよこしまの工なり かれらの手には暴虐のおこなひあり
59:7
編集かれらの足はあくにはしり罪なき血をながすに速し かれらの思念はよこしまの思念なり 殘害と滅亡とその路徑にのこれり
59:8
編集彼らは平穩なる道をしらず その過るところに公平なく又まがれる小徑をつくる 凡てこれを踐ものは平穩をしらず
59:9
編集このゆゑに公平はとほくわれらをはなれ正義はわれらに追及ず われら光をのぞめど暗をみ 光輝をのぞめど闇をゆく
59:10
編集われらは瞽者のごとく牆をさぐりゆき目なき者のごとく模りゆき正午にても日暮のごとくにつまづき 強壯なる者のなかにありても死るもののごとし
59:11
編集l我儕はみな熊のごとくにほえ鴿のごとくに甚くうめき 審判をのぞめどもあることなく 救をのぞめども遠くわれらを離る
59:12
編集われらの愆はなんぢの前におほく われらのつみは證してわれらを訟へ われらのとがは我らとともに在り われらの邪曲なる業はわれら自らしれり
59:13
編集われら罪ををかしてヱホバを棄われらの神にはなれてしたがはず 暴虐と悖逆とをかたり虚僞のことばを心にはらみて説出すなり
59:14
編集公平はうしろに退けられ正義ははるかに立り そは 眞實は衢間にたふれ 正直はいることを得ざればなり
59:15
編集眞實はかけてなく惡をはなるるものは掠めうばはる/ヱホバこれを見てその公平のなかりしを悦びたまはざりき
59:16
編集ヱホバは人なきをみ中保なきを奇しみたまへり 斯てその臂をもてみづから助け その義をもてみづから支たまへり
59:17
編集ヱホバ義をまとひて護胸とし救をその頭にいただきて兜となし 仇をまとひて衣となし 熱心をきて外服となしたまへり
59:18
編集かれらの作にしたがひて報をなし敵にむかひていかり仇にむかひて報をなし また島々にむくいをなし給はん
59:19
編集西方にてヱホバの名をおそれ 日のいづる所にてその榮光をおそるべし ヱホバは堰ぎとめたる河のその氣息にふき潰えたるがごとくに來りたまふ可ればなり
59:20
編集ヱホバのたまはく贖者シオンにきたりヤコブのなかの愆をはなるる者につかんと
59:21
編集ヱホバいひ給く なんぢの上にあるわが靈なんぢの口におきたるわがことばは 今よりのち永遠になんぢの口よりなんぢの裔の口より汝のすゑの裔の口よりはなれざるべし わがかれらにたつる契約はこれなりと此はヱホバのみことばなり
第60章
編集60:1
編集起よひかりを發て なんぢの光きたりヱホバの榮光なんぢのうへに照出たればなり
60:2
編集視よくらきは地をおほひ闇はもろもろの民をおほはん されど汝の上にはヱホバ照出たまひてその榮光なんぢのうへに顯はるべし
60:3
編集もろもろの國はなんぢの光にゆき もろもろの王はてり出るなんぢが光輝にゆかん
60:4
編集なんぢの目をあげて環視せ かれらは皆つどひて汝にきたり 汝の子輩はとほきより來り なんぢの女輩はいだかれて來らん
60:5
編集そのときなんぢ視てよろこびの光をあらはし なんぢの心おどろきあやしみ且ひろらかになるべし そは海の富はうつりて汝につき もろもろの國の貨財はなんぢに來るべければなり
60:6
編集おほくの駱駝ミデアンおよびエバのわかき駱駝なんぢの中にあまねくみち シバのもろもろの人こがね乳香をたづさへきたりてヱホバの譽をのべつたへん
60:7
編集ケダルのひつじの群はみな汝にあつまりきたり ネバヨテの牡羊はなんぢに事へ わが祭壇のうへにのぼりて受納られん 斯てわれわが榮光の家をかがやかすべし
60:8
編集雲のごとくにとび鳩のその窠にとびかへるが如くしてきたる者はたれぞ
60:9
編集もろもろの島はわれを俟望み タルシシのふねは首先になんぢの子輩をとほきより載きたり 並かれらの金銀をともにのせきたりてなんぢの神ヱホバの名にささげ イスラエルの聖者にささげん ヱホバなんぢを輝かせたまひたればなり
60:10
編集異邦人はなんぢの石垣をきづき かれらの王等はなんぢに事へん そは我いかりて汝をうちしかどまた惠をもて汝を憐みたればなり
60:11
編集なんぢの門はつねに開きて夜も日もとざすことなし こは人もろもろの國の貨財をなんぢに携へきたり その王等をひきゐ來らんがためなり
60:12
編集なんぢに事へざる國と民とはほろび そのくにぐには全くあれすたるべし
60:13
編集レバノンの榮はなんぢにきたり 松 杉 黄楊はみな共にきたりて我が聖所をかがやかさん われ亦わが足をおく所をたふとくすべし
60:14
編集汝を苦しめたるものの子輩はかがみて汝にきたり 汝をさげしめたる者はことごとくなんぢの足下にふし 斯て汝をヱホバの都イスラエルの聖者のシオンととなへん
60:15
編集なんぢ前にはすてられ憎まれてその中をすぐる者もなかりしが 今はわれ汝をとこしへの華美よよの歡喜となさん
60:16
編集なんぢ亦もろもろの國の乳をすひ王たちの乳房をすひ 而して我ヱホバなんぢの救主なんぢの贖主ヤコブの全能者なるを知るべし
60:17
編集われ黄金をたづさへきたりて赤銅にかへ 白銀をたづさへきたりて鐵にかへ 赤銅を木にかへ鐵を石にかへ なんぢの施政者をおだやかにし なんぢを役するものを義うせん
60:18
編集強暴のこと再びなんぢの地にきこえず 殘害と敗壞とはふたたびなんぢの境にきこえず 汝その石垣をすくひととなへ その門を譽ととなへん
60:19
編集晝は日ふたたびなんぢの光とならず 月もまた輝きてなんぢを照さず ヱホバ永遠になんぢの光となり なんぢの神はなんぢの榮となり給はん
60:20
編集なんぢの日はふたたび落ず なんぢの月はかくることなかるべし そはヱホバ永遠になんぢの光となり 汝のかなしみの日畢るべければなり
60:21
編集汝の民はことごとく義者となりてとこしへに地を嗣ん かれはわが植たる樹株わが手の工わが榮光をあらはす者となるべし
60:22
編集その小きものは千となり その弱きものは強國となるべし われヱホバその時いたらば速かにこの事をなさん
第61章
編集61:1
編集主ヱホバの靈われに臨めり こはヱホバわれに膏をそそぎて貧きものに福音をのべ傳ふることをゆだね 我をつかはして心の傷める者をいやし俘囚にゆるしをつげ 縛められたるものに解放をつげ
61:2
編集ヱホバのめぐみの年とわれらの神の刑罰の日とを告しめ 又すべて哀むものをなぐさめ
61:3
編集灰にかへ冠をたまひてシオンの中のかなしむ者にあたへ 悲哀にかへて歡喜のあぶらを予へ うれひの心にかへて讃美の衣をかたへしめたまふなり かれらは義の樹 ヱホバの植たまふ者 その榮光をあらはす者ととなへられん
61:4
編集彼等はひさしく荒たる處をつくろひ 上古より廢れたる處をおこし 荒たる邑々をかされて新にし世々すたれたる處をふたたび建べし
61:5
編集外人はたちてなんぢらの群をかひ 異邦人はなんぢらの畑をたがへす者となり 葡萄をつくる者とならん
61:6
編集然どなんぢらはヱホバの祭司ととなへられ われらの神の役者とよばれ もろもろの國の富をくらひ かれらの榮をえて自らほこるべし
61:7
編集曩にうけし恥にかへ倍して賞賜をうけ凌辱にかへ嗣業をえて樂むべし 而してその地にありて倍したる賞賜をたもち永遠によろこびを得ん
61:8
編集われヱホバは公平をこのみ邪曲なるかすめごとをにくみ 眞實をもて彼等にむくいをあたへ 彼等ととこしへの契約をたつべければなり
61:9
編集かれらの裔はもろもろの國のなかに知れ かれらの子輩はもろもろの民のなかに知れん すべてこれを見るものはそのヱホバの祝したまへる裔なるを辨ふべし
61:10
編集われヱホバを大によろこび わが靈魂はわが神をたのしまん そは我にすくひの衣をきせ義の外服をまとはせて 新郎が冠をいただき新婦が玉こがねの飾をつくるが如くなしたまへばなり
61:11
編集地は芽をいだし畑はまけるものを生ずるがごとく 主ヱホバは義と譽とをもろもろの國のまへに生ぜしめ給ふべし
第62章
編集62:1
編集われシオンの義あさ日の光輝のごとくにいで ヱルサレムの救もゆる松火のごとくになるまではシオンのために默さずヱルサレムのために休まざるべし
62:2
編集もろもろの國はなんぢの義を見 もろもろの王はみななんぢの榮をみん 斯てなんぢはヱホバの口にて定め給ふ新しき名をもて稱へらるべし
62:3
編集また汝はうるはしき冠のごとくヱホバの手にあり 王の冕のごとくなんぢの神のたなごころにあらん
62:4
編集人ふたたび汝をすてられたる者といはず 再びなんぢの地をあれたる者といはじ 却てなんぢをヘフジバ(わが悦ぶところ)ととなへ なんぢの地をベウラ(配偶)ととなふべし そはヱホバなんぢをよろこびたまふ なんぢの地は配偶をえん
62:5
編集わかきものの處女をめとる如くなんぢの子輩はなんぢを娶らん 新郎の新婦をよろこぶごとくなんぢの神なんぢを喜びたまふべし
62:6
編集ヱルサレムよ我なんぢの石垣のうへに斥候をおきて終日終夜たえず默すことなからしむ なんぢらヱホバに記念したまはんことを求むるものよ 自らやすむなかれ
62:7
編集ヱホバ、ヱルサレムをたてて全地に譽をえしめ給ふまでは息め奉るなかれ
62:8
編集ヱホバその右手をさしその大能の臂をさし誓ひて宣給く われ再びなんぢの五穀をなんぢの敵にあたへて食はせず 異邦人はなんぢが勞したる酒をのまざるべし
62:9
編集収穫せしものは之をくらひてヱホバを讃たたへ 葡萄をあつめし者はわが聖所の庭にて之をのむべし
62:10
編集門よりすすみゆけ進みゆけ 民の途をそなへ土をもり土をもりて大路をまうけよ 石をとりのぞけ もろもろの民に旗をあげて示せ
62:11
編集ヱホバ地の極にまで告てのたまはく 汝等シオンの女にいへ 視よなんぢらの救きたる 視よ主の手にその恩賜あり はたらきの價はその前にあり
62:12
編集而してかれらはきよき民またヱホバにあがなはれたる者ととなへられん なんぢは人にもとめ尋らるるもの棄られざる邑ととなへらるべし
第63章
編集63:1
編集このエドムよりきたり緋衣をきてボヅラよりきたる者はたれぞ その服飾はなやかに大なる能力をもて嚴しく歩みきたる者はたれぞ これは義をもてかたり大にすくひをほどこす我なり
63:2
編集なんぢの服飾はなにゆゑに赤くなんぢの衣はなにゆゑに酒榨をふむ者とひとしきや
63:3
編集我はひとりにて酒榨をふめり もろもろの民のなかに我とともにする者なし われ怒によりて彼等をふみ忿恚によりてかれらを蹈にじりたれば かれらの血わが衣にそそぎわが服飾をことごとく汚したり
63:4
編集そは刑罰の日わが心の中にあり 救贖の歳すでにきたれり
63:5
編集われ見てたすくる者なく扶る者なきを奇しめり この故にわが臂われをすくひ我いきどほり我をささへたり
63:6
編集われ怒によりてもろもろの民をふみおさへ 忿恚によりてかれらを酔しめ かれらの血を地に流れしめたり
63:7
編集われはヱホバのわれらに施したまへる各種のめぐみとその譽とをかたりつげ 又その憐憫にしたがひ其おほくの恩惠にしたがひてイスラエルの家にほどこし給ひたる大なる恩寵をかたり告ん
63:8
編集ヱホバいひたまへり 誠にかれらはわが民なり 虚僞をせざる子輩なりと 斯てヱホバはかれらのために救主となりたまへり
63:9
編集かれらの艱難のときはヱホバもなやみ給ひてその面前の使をもて彼等をすくひ その愛とその憐憫とによりて彼等をあがなひ彼等をもたげ昔時の日つねに彼等をいだきたまへり
63:10
編集然るにかれらは悖りてその聖靈をうれへしめたる故にヱホバ翻然かれらの仇となりて自らこれを攻たまへり
63:11
編集爰にその民いにしへのモーセの日をおもひいでて曰けるは かれらとその群の牧者とを海より携へあげし者はいづこにありや 彼等のなかに聖靈をおきしものは何處にありや
63:12
編集榮光のかひなをモーセの右にゆかしめ 彼等のまへに水をさきて自らとこしへの名をつくり
63:13
編集彼等をみちびきて馬の野をはしるがごとく躓かで淵をすぎしめたりし者はいづこに在りや
63:14
編集谷にくだる家畜の如くにヱホバの靈かれらをいこはせ給へり 主よなんぢは斯おのれの民をみちびきて榮光の名をつくり給へり
63:15
編集ねがはくは天より俯觀なはし その榮光あるきよき居所より見たまへ なんぢの熱心となんぢの大能あるみわざとは今いづこにありや なんぢの切なる仁慈と憐憫とはおさへられて我にあらはれず
63:16
編集汝はわれらの父なり アブラハムわれらを知ず イスラエルわれらを認めず されどヱホバよ汝はわれらの父なり 上古よりなんぢの名をわれらの贖主といへり
63:17
編集ヱホバよ何故にわれらをなんぢの道より離れまどはしめ我儕のこころを頑固にして汝を畏れざらしめたまふや 願くはなんぢの僕等のためになんぢの產業なる支派のために歸りたまへ
63:18
編集汝のきよきたみ地をえて久しからざるにわれらの敵なんぢの聖所をふみにじれり
63:19
編集我儕はなんぢに上古より治められざる者のごとく なんぢの名をもて稱られざる者のごとくなりぬ
第64章
編集64:1
編集願くはなんぢ天を裂てくだり給へ なんぢのみまへに山々ふるひ動かんことを
64:2
編集火の柴をもやし火の水を沸すがごとくして降りたまへ かくて名をなんぢの敵にあらはし もろもろの國をなんぢのみまへに戰慄かしめたまへ
64:3
編集汝われらが逆料あたはざる懼るべき事をおこなひ給ひしときに降りたまへり 山々はその前にふるひうごけり
64:4
編集上古よりこのかた汝のほかに何なる神ありて俟望みたる者にかかる事をおこなひしや いまだ聽ず いまだ耳にいらず いまだ目にみしことなし
64:5
編集汝はよろこびて義をおこなひなんぢの途にありてなんぢを紀念するものを迎へたまふ 視よなんぢ怒りたまへり われらは罪ををかせり かかる狀なること旣にひさし 我儕いかで救はるるを得んや
64:6
編集我儕はみな潔からざる物のごとくなり われらの義はことごとく汚れたる衣のごとし 我儕はみな木葉のごとく枯れ われらのよこしまは暴風のごとく我らを吹去れり
64:7
編集なんぢの名をよぶ者なく みづから勵みて汝によりすがる者なし なんぢ面をおほひてわれらを顧みたまはず われらが邪曲をもてわれらを消失せしめたまへり
64:8
編集されどヱホバよ汝はわれらの父なり われらは泥塊にしてなんぢは陶工なり 我らは皆なんぢの御手のわざなり
64:9
編集ヱホバよいたく怒りたまふなかれ 永くよこしまを記念したまふなかれ 願くは顧みたまへ 我儕はみななんぢの民なり
64:10
編集汝のきよき諸邑は野となりシオンは野となりヱルサレムは荒廢れたり
64:11
編集我らの先祖が汝を讃たたへたる榮光ある我儕のきよき宮は火にやかれ 我儕のしたひたる處はことごとく荒はてたり
64:12
編集ヱホバよこれらの事あれども汝なほみづから制へたまふや なんぢなほ默してわれらに深くくるしみを受しめたまふや
第65章
編集65:1
編集我はわれを求めざりしものに問もとめられ 我をたづねざりしものに見出され わが名をよばざりし國にわれ曰らく われは此にあり我はここに在と
65:2
編集善らぬ途をあゆみおのが思念にしたがふ悖れる民をひねもす手をのべて招けり
65:3
編集この民はまのあたり恒にわが怒をひき 園のうちにて犠牲をささげ 瓦の壇にて香をたき
65:4
編集墓のあひだにすわり隱密なる處にやどり 猪の肉をくらひ憎むべきものの羹をその器皿にもりて
65:5
編集人にいふなんぢ其處にたちて我にちかづくなかれ そは我なんぢよりも聖しと 彼らはわが鼻のけぶり終日もゆる火なり
65:6
編集視よこの事わが前にしるされたり われ默さずして報いかへすべし 必ずかれらの懷中に報いかへすべし
65:7
編集ヱホバいひ給く なんぢらの邪曲となんぢらが列祖のよこしまとはともに報いかへすべし かれらは山上にて香をたき岡のうへにて我を汚ししがゆゑに 我まづその作をはかりてその懷中にかへすべし
65:8
編集ヱホバ如此いひたまふ 人ぶだうのなかに汁あるを見ばいはん これを壞るなかれ福祉その中にあればなりと 我わが僕等のために如此おこなひてことごとくは壞らじ
65:9
編集ヤコブより一裔をいだしユダよりわれ山々をうけつぐべき者をいださん わが撰みたる者はこれをうけつぎ我がしもべらは彼處にすむべし
65:10
編集シヤロンは羊のむれの牧場となりアコルの谷はうしの群のふす所となりて我をたづねもとめたるわが民の有とならん
65:11
編集然どなんぢらヱホバを棄わがきよき山をわすれ 机をガド(禍福の神)にそなへ雜合せたる酒をもりてメニ(運命の神)にささぐる者よ
65:12
編集われ汝らを劍にわたすべく定めたり なんぢらは皆かがみて屠らるべし 汝等はわが呼しときこたへず わが語りしとききかず わが目にあしき事をおこなひ わが好まざりし事をえらみたればなり
65:13
編集このゆゑに主ヱホバかく言給ふ わが僕等はくらへども汝等はうゑ わが僕等はのめども汝等はかわき 我しもべらは喜べどもなんぢらははぢ
65:14
編集わが僕等はこころ樂きによりて歌うたへども汝等はこころ哀きによりて叫び また靈魂うれふるによりて泣嗁ぶべし
65:15
編集なんぢらが遺名はわが撰みたるものの呪詛の料とならん 主ヱホバなんぢらを殺したまはん 然どおのれの僕等をほかの名をもて呼たまふべし
65:16
編集斯るがゆゑに地にありて己のために福祉をねがふものは眞實の神にむかひて福祉をもとめ 地にありて誓ふものは眞實の神をさして誓ふべし さきの困難は忘れられてわが目よりかくれ失たるに因る
65:17
編集視よわれ新しき天とあたらしき地とを創造す 人さきのものを記念することなく之をその心におもひ出ることなし
65:18
編集然どなんぢらわが創造する者によりて永遠にたのしみよろこべ 視よわれはヱルサレムを造りてよろこびとしその民を快樂とす
65:19
編集われヱルサレムを喜びわが民をたのしまん 而して泣聲とさけぶ聲とはふたたびその中にきこえざるべし
65:20
編集日數わづかにして死る嬰兒といのちの日をみたさざる老人とはその中にまたあることなかるべし 百歳にて死るものも尚わかしとせられ 百歳にて死るものを詛れたる罪人とすべし
65:21
編集かれら家をたてて之にすみ葡萄園をつくりてその果をくらふべし
65:22
編集かれらが建るところにほかの人すまず かれらが造るところの果はほかの人くらはず そはわが民のいのちは樹の命の如く 我がえらみたる者はその手の工ふるびうするとも存ふべければなり
65:23
編集かれらの勤勞はむなしからず その生ところの者はわざはひにかからず 彼等はヱホバの福祉をたまひしものの裔にしてその子輩もあひ共にをる可ればなり
65:24
編集かれらが呼ざるさきにわれこたへ 彼らが語りをへざるに我きかん
65:25
編集豺狼とこひつじと食物をともにし 獅は牛のごとく藁をくらひ 蛇はちりを糧とすべし 斯てわが聖山のいづこにても害ふことなく傷ることなからん これヱホバの聖言なり
第66章
編集66:1
編集ヱホバ如此いひたまふ 天はわが位地はわが足臺なり なんぢら我がために如何なる家をたてんとするか 又いかなる處かわが休憩の場とならん
66:2
編集ヱホバ宣給く 我手はあらゆる此等のものを造りてこれらの物ことごとく成れり 我はただ苦しみまた心をいため我がことばを畏れをののくものを顧みるなりと
66:3
編集牛をほふるものは人をころす者のごとく 羔を犠牲とするものは狗をくびりころす者のごとく 祭物をささぐるものは豕の血をささぐる者のごとく 香をたくものは偶像をほむる者のごとし 彼等はおのが途をえらみその心ににくむべき者をたのしみとせり
66:4
編集我もまた災禍をえらびて彼等にあたへ その懼るるところの事を彼らに臨ましめん そは我よびしとき應ふるものなく我かたりしとき聽ことをせざりき わが目にあしき事をおこなひわが好まざる事をえらみたればなり
66:5
編集なんぢらヱホバの言をおそれをののく者よヱホバの言をきけ なんぢらの兄弟なんぢらを憎みなんぢらをわが名のために逐出していふ 願くはヱホバその榮光をあらはして我儕になんぢらの歡喜を見せしめよと 然どかれらは恥をうけん
66:6
編集騒亂るこゑ邑よりきこえ聲ありて宮よりきこゆ 此はヱホバその仇にむくいをなしたまふ聲なり
66:7
編集シオンは產のなやみを知ざるさきに生 その劬勞きたらざるさきに男子をうみいだせり
66:8
編集誰がかかる事をききしや誰がかかる類をみしや 一の國はただ一日のくるしみにて成べけんや 一つの國民は一時にうまるべけんや 然どシオンはくるしむ間もなく直にその子輩をうめり
66:9
編集ヱホバ言給く われ產にのぞましめしに何でうまざらしめんや なんぢの神いひたまはく 我はうましむる者なるにいかで胎をとざさんや
66:10
編集ヱルサレムを愛するものよ皆かれとともに喜べ かれの故をもてたのしめ 彼のために悲めるものよ皆かれとともに喜びたのしめ
66:11
編集そはなんぢら乳をすふ如くヱルサレムの安慰をうけて飽ことを得ん また乳をしぼるごとくその豐なる榮をうけておのづから心さわやかならん
66:12
編集ヱホバ如此いひたまふ 視よわれ河のごとく彼に平康をあたへ 漲ぎる流のごとく彼にもろもろの國の榮をあたへん 而して汝等これをすひ背におはれ膝におかれて樂しむべし
66:13
編集母のその子をなぐさむるごとく我もなんぢらを慰めん なんぢらはヱルサレムにて安慰をうべし
66:14
編集なんぢら見て心よろこばん なんぢらの骨は若草のさかゆるごとくだるべし ヱホバの手はその僕等にあらはれ又その仇をはげしく怒りたまはん
66:15
編集視よヱホバは火中にあらはれて來りたまふその 車輦ははやちのごとし 烈しき威勢をもてその怒をもらし火のほのほをもてその譴をほどこし給はん
66:16
編集ヱホバは火をもて劍をもてよろづの人を刑ひたまはん ヱホバに刺殺さるるもの多かるべし
66:17
編集ヱホバ宣給く みづからを潔くしみづからを別ちて園にゆき その中にある木の像にしたがひ 豕の肉けがれたる物および鼠をくらふ者はみな共にたえうせん
66:18
編集我かれらの作爲とかれらの思念とをしれり 時きたらばもろもろの國民ともろもろの族とをあつめん 彼等きたりてわが榮光をみるべし
66:19
編集我かれらのなかに一つの休徴をたてて逃れたる者をもろもろの國すなはちタルシシよく弓をひくブル、ルデおよびトバル、ヤワン又わが聲名をきかずわが榮光をみざる遙かなる諸島につかはさん 彼等はわが榮光をもろもろの國にのべつたふべし
66:20
編集ヱホバいひ給ふ かれらはイスラエルの子輩がきよき器にそなへものをもりてヱホバの家にたづさへきたるが如く なんぢらの兄弟をもろもろの國の中よりたづさへて馬 車 轎 騾 駱駝にのらしめ わが聖山ヱルサレムにきたらせてヱホバの祭物とすべし
66:21
編集ヱホバいひ給ふ 我また彼等のうちより人をえらびて祭司としレビ人とせんと
66:22
編集ヱホバ宣給く わが造らんとする新しき天とあたらしき地とわが前にながくとどまる如く なんちの裔となんぢの名はながくとどまらん
66:23
編集ヱホバいひ給ふ新月ごとに安息日ごとによろづの人わが前にきたりて崇拜をなさん
66:24
編集かれら出てわれに逆きたる人の屍をみん その蛆しなずその火きえず よろづの人にいみきらはるべし