アモス書(文語訳)

<聖書<文語訳旧約聖書

w:舊新約聖書 [文語]』w:日本聖書協会、1953年

w:明治元訳聖書

w:アモス書

第1章

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テコアの牧者の中なるアモスの言 是はユダの王ウジヤの世 イスラエルの王ヨアシの子ヤラベアムの世 地震の二年前に彼が見されたる者にてイスラエルの事を論るなり 其言に云く

ヱホバ、シオンより呼號りエルサレムより聲を出したまふ 牧者の牧塲は哀きカルメルの巓は枯る

ヱホバかく言たまふ ダマスコは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは鐵の打禾車をもてギレアデを打り

我ハザエルの家に火を遣りベネハダデの宮殿を焚ん

我ダマスコの關を碎きアベンの谷の中よりその居民を絶のぞきベテエデンの中より王の杖を執る者を絶のぞかん スリアの民は擄へられてキルにゆかん ヱホバこれを言ふ

ヱホバかく言たまふ ガザは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとく曳ゆきてこれをエドムに付せり

我ガザの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん

我アシドドの中よりその居民を絶のぞきアシケロンの中より王の杖を執る者を絶除かん 我また手を反してエクロンを撃ん ペリシテ人の遺れる者亡ぶべし 主ヱホバこれを言ふ

ヱホバかく言たまふ ツロは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは俘囚をことごとくエドムに付しまた兄弟の契約を忘れたり

我ツロの石垣の内に火を遣り一切の殿を焚ん

ヱホバかく言たまふ エドムは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼は劍をもてその兄弟を追ひ全く憐憫の情を斷ち恒に怒りて人を害し永くその憤恨をたくはへたり

我テマンに火を遣りポヅラの一切の殿を焚ん

ヱホバかく言たまふ アンモンの人々は三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはその國境を廣めんとてギレアデの孕める婦を剖たり

我ラバの石垣の内に火を放ちその一切の殿を焚ん 是は戰鬪の日に吶喊の聲をもて爲され暴風の日に旋風をもて爲されん

彼らの王はその牧伯等と諸共に擄へられて往ん ヱホバこれを言ふ

第2章

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ヱホバかく言たまふ モアブは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼はエドムの王の骨を焼て灰となせり

我モアブに火を遣りケリオテの一切の殿を焚ん モアブは噪擾と吶喊の聲と喇叭の音の中に死ん

我その中より審判長を絶除きその諸の牧伯を之とともに殺さん ヱホバはこれを言ふ

ヱホバかく言たまふ ユダは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らはヱホバの律法を輕んじその法度を守らずその先祖等が從ひし僞の物に惑はさる

我ユダに火を遣りエルサレムの諸の殿を焚ん

ヱホバかく言たまふ イスラエルは三の罪あり 四の罪あれば我かならず之を罰して赦さじ 即ち彼らは義者を金のために賣り貧者を鞋一足のために賣る

彼らは弱き者の頭に地の塵のあらんことを喘ぎて求め柔かき者の道を曲げ又父子共に一人の女子に行て我聖名を汚す

彼らは質に取れる衣服を一切の壇の傍に敷きてその上に偃し罰金をもて得たる酒をその神の家に飮む

嚮に我はアモリ人を彼らの前に絶たり アモリ人はその高きこと香柏のごとくその強きこと橡の樹のごとくなりしが我その上の果と下の根とをほろぼしたり

我は汝らをエジプトの地より携へのぼり四十年のあひだ荒野において汝らを導き終にアモリ人の地を汝らに獲させたり

我は汝らの子等の中より預言者を興し汝らの少者の中よりナザレ人を興したり イスラエルの子孫よ然るにあらずや ヱホバこれを言ふ

然るに汝らはナザレ人に酒を飮ませ預言者に命じて預言するなかれと言り

視よ我麥束を積滿せる車の物を壓するがごとく汝らを壓せん

その時は疾走者も逃るに暇あらず 強き者もその力を施すを得ず 勇士も己の生命を救ふこと能はず

弓を執る者も立ことを得ず 足駛の者も自ら救ふ能はず 馬に騎れる者も己の生命を救ふこと能はず

勇士の中の心剛き者もその日には裸にて逃ん ヱホバこれを言ふ

第3章

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イスラエルの子孫よヱホバが汝らにむかひて言ところ我がエジプトの地より導き上りし全家にむかひて言ところの此言を聽け

地の諸の族の中にて我ただ汝ら而已を知れり この故に我なんぢらの諸の罪のために汝らを罰せん

二人もし相會せずば爭で共に歩かんや

獅子もし獲物あらずば豈林の中に吼んや 猛獅子もし物を攫まずば豈その穴より聲を出さんや

もし羂の設なくば鳥あに地に張れる網にかからんや 網もし何の得るところも無くば豈地よりあがらんや

邑にて喇叭を吹かば民おどらかざらんや 邑に災禍のおこるはヱホバのこれを降し給ふならずや

夫主ヱホバはその隱れたる事をその僕なる預言者に傳へずしては何事をも爲たまはざるなり

獅子吼ゆ 誰か懼れざらんや 主ヱホバ言語たまふ 誰か預言せざらんや

アシドドの一切の殿に傳へエジプトの地の一切の殿に宣て言へ 汝等サマリヤの山々に集りその中にある大なる紛亂を觀その中間におこなはるる虐遇を觀よ

ヱホバいひたまふ 彼らは正義をおこなふことを知ず 虐げ取し物と奪ひたる物とをその宮殿に積蓄ふ

是故に主ヱホバかく言たまふ 敵ありて此國を攻かこみ汝の權力を汝より取下さん 汝の一切の殿は掠めらるべし

ヱホバかく言たまふ 牧羊者は獅子の口より羊の兩足あるひは片耳を取かへし得るのみ サマリヤに於て床の隅またはダマスコ錦の榻に坐するイスラエルの子孫もその救はるること是のごとくならん

萬軍の神 主ヱホバかく言たまふ 汝ら聽てヤコブの家に證せよ

我イスラエルの諸の罪を罰する日にはベテルの壇を罰せん 其壇の角は折て地に落べし

我また冬の家および夏の家をうたん 象牙の家ほろび大きなる家失ん ヱホバこれを言ふ

第4章

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バシヤンの牝牛等よ汝ら此言を聽け 汝らはサマリヤの山に居り弱者を虐げ貧者を壓し又その主にむかひて此に持きたりて我らに飮せよと言ふ

主ヱホバ己の聖を指し誓ひて云ふ 視よ日汝らの上に臨む その日には人汝らを鈎にかけ汝等の遺餘者を釣魚鈎にかけて曳いださん

汝らは各々その前なる石垣の破壞たる處より奔出てハルモンに逃往ん ヱホバこれを言ふ

汝らベテルに往て罪を犯しギルガルに往て益々おほく罪を犯せ 朝ごとに汝らの犠牲を携へゆけ 三日ごとに汝らの什一を携へゆけ

酵いれたる者を感謝祭に獻げ願意よりする禮物を召てこれを告示せ イスラエルの子孫よ 汝らは斯するを好むなりと主ヱホバ言たまふ

また我汝らの一切の邑に於て汝らの齒を清からしめ汝らの一切の處において汝らの食を乏しからしめたり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言給ふ

また我収穫までには尚三月あるに雨をとどめて汝らに下さず かの邑には雨を降しこの邑には雨をふらさざりき 此田圃は雨を得 彼田圃は雨を得ずして枯れたり

二三の邑別の一の邑に躚めきゆきて水を飮ども飽ことあたはず 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ

我枯死殻と朽腐穗とをもて汝等を撃なやませり また汝らの衆多の園と葡萄園と無花果樹と橄欖樹とは蝗これを食へり 然るに汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ

我なんぢらの中にエジプトに爲し如く疫病をおこし劍をもて汝らの少き人を殺し又汝らの馬を奪さり汝らの營の臭氣をして騰りて汝らの鼻を撲しめたり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバいひたまふ

我なんぢらの中の邑を滅すことソドム、ゴモラを神の滅したまひし如くしたれば汝らは熖の中より取いだしたる燃柴のごとくなれり 然るも汝らは我に歸らずとヱホバ言たまふ

イスラエルよ然ば我かく汝に行はん 我是を汝に行ふべければイスラエルよ汝の神に會ふ準備をせよ

彼は即ち山を作りなし風を作り出し人の思想の如何なるをその人に示しまた晨光をかへて黒暗となし地の高處を踏む者なり その名を萬軍の神ヱホバといふ

第5章

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イスラエルの家よ我が汝らに對ひて宣る此言を聽け 是は哀歎の歌なり

處女イスラエルは仆れて復起あがらず彼は己の地に扑倒さる 之を扶け起す者なし

主ヱホバかく言たまふ イスラエルの家においては前に千人出たる邑は只百人のみのこり前に百人出たる邑は只十人のみのこらん

ヱホバかくイスラエルの家に言たまふ 汝ら我を求めよ さらば生べし

ベテルを求むるなかれ ギルガルに往なかれ ベエルシバに赴く勿れ ギルガルは必ず擄へられゆきベテルは無に歸せん

汝らヱホバを求めよ 然ば生べし 恐くはヱホバ火のごとくにヨセフの家に落くだりたまひてその火これを焼ん ベテルのためにこれを熄す者一人もあらじ

汝ら公道を茵蔯に變じ正義を地に擲つる者よ

昴宿および參宿を造り死の蔭を變じて朝となし晝を暗くして夜となし海の水を呼て地の面に溢れさする者を求めよ 其名はヱホバといふ

彼は滅亡を忽然強者に臨ましむ 滅亡つひに城に臨む

彼らは門にありて勸戒る者を惡み正直を言ふ者を忌嫌ふ

汝らは貧き者を踐つけ麥の贐物を之より取る この故に汝らは鑿石の家を建しと雖どもその中に住ことあらじ 美しき葡萄園を作りしと雖どもその酒を飮ことあらじ

我知る汝らの愆は多く汝らの罪は大なり 汝らは義き者を虐げ賄賂を取り門において貧き者を推抂ぐ

是故に今の時は賢き者黙す 是惡き時なればなり

汝ら善を求めよ 惡を求めざれ 然らば汝ら生べし また汝らが言ごとく萬軍の神ヱホバ汝らと偕に在さん

汝ら惡を惡み善を愛し門にて公義を立よ 萬軍の神ヱホバあるひはヨセフの遺れる者を憐れみたまはん

是故に主たる萬軍の神ヱホバかく言たまふ 諸の街衢にて啼ことあらん 諸の大路にて人哀哉哀哉と呼ん 又農夫を呼きたりて哀哭しめ啼女を招きて啼しめん

また諸の葡萄園にも啼こと有べし 其は我汝らの中を通るべければなり ヱホバこれを言たまふ

ヱホバの日を望む者は禍なるかな 汝ら何とてヱホバの日を望むや 是は昏くして光なし

人獅子の前を逃れて熊に遇ひ又家にいりてその手を壁に附て蛇に咬るるに宛も似たり

ヱホバの日は昏くして光なく暗にして耀なきに非ずや

我は汝らの節筵を惡みかつ藐視む また汝らの集會を悦ばじ

汝ら我に燔祭または素祭を獻ぐるとも我之を受納れじ 汝らの肥たる犢の感謝祭は我これを顧みじ

汝らの歌の聲を我前に絶て汝らの琴の音は我これを聽じ

公道を水のごとくに正義をつきざる河のごとくに流れしめよ

イスラエルの家よ汝らは四十年荒野に居し間犠牲と供物を我に獻げたりしや

かへつて汝らは汝らの王シクテを負ひ汝らの偶像キウンを負へり 是即ち汝らの神とする星にして汝らの自ら造り設けし者なり

然ば我汝らをダマスコの外に移さん 萬軍の神ととなふるヱホバこれを言たまふ

第6章

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身を安くしてシオンに居る者思ひわづらはずしてサマリヤの山に居る者 諸の國にて勝れたる國の中なる聞高くしてイスラエルの家に就きしたがはるる者は禍なるかな

カルネに渉りゆき彼處より大ハマテに至りまたペリシテ人のガテに下りて視よ其等は此二國に愈るや 彼らの土地は汝らの土地よりも大なるや

汝等は災禍の日をもて尚遠しと爲し強暴の座を近づけ

自ら象牙の牀に臥し寢臺の上に身を伸し群の中より羔羊を取り圏の中より犢牛を取て食ひ

琴の音にあはせて唄ひ噪ぎダビデのごとくに樂器を製り出し

大斝をもて酒を飮み最も貴とき膏を身に抹りヨセフの艱難を憂へざるなり

是故に今彼等は擄はれて俘囚人の眞先に立て往んかの身を伸したる者等の嘈の聲止べし

萬軍の神ヱホバ言たまふ 主ヱホバ己を指て誓へり 我ヤコブが誇る所の物を忌嫌ひその宮殿を惡む 我この邑とその中に充る者とを付すべし

一の家に十人遺りをるとも皆死ん

而してその親戚すなはち之を焚く者その死骸を家より運びいださんとて之を取あげまたその家の奧に潛み居る者に向ひて他になほ汝とともに居る者あるやと言ふとき對へて一人も無しと言ん 此時かの人また言べし 黙せよヱホバの名を口に擧ること有べからずと

視よヱホバ命を下し大なる家を撃て墟址とならしめ小き家を撃て微塵とならしめたまふ

馬あに能く岩の上を走らんや 人あに牛をもて岩を耕へすことを得んや 然るに汝らは公道を毒に變じ正義の果を茵蔯に變じたり

汝らは無物を喜び我儕は自分の力をもて角を得しにあらずやと言ふ

是をもて萬軍の神ヱホバ言たまふ イスラエルの家よ我一の國を起して汝らに敵せしめん 是はハマテの入口よりアラバの川までも汝らをなやまさん

第7章

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主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち草の再び生ずる時にあたりて彼蝗を造りたまふ その草は王の刈たる後に生じたるものなり

その蝗地の青物を食盡しし後我言り 主ヱホバよ願くは赦したまへ ヤコブは小し 爭でか立ことを得んと

ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これを爲じと言たまふ

主ヱホバの我に示したまへる所是のごとし 即ち主ヱホバ火をもて罰せんとて火を呼たまひければ火大淵を焚きまた産業の地を焚かんとす

時に我言り 主ヱホバよ願くは止みたまへ ヤコブは小し爭でか立ことを得んと

ヱホバその行へる事につきて悔をなし我これをなさじと主ヱホバ言たまふ

また我に示したまへるところ是のごとし 即ち準縄をもて築ける石垣の上にヱホバ立ちその手に準縄を執たまふ

而してヱホバ我にむかひアモス汝何を見るやと言たまひければ準縄を見ると我答へしに主また言たまはく我準縄を我民イスラエルの中に設く 我再び彼らを見過しにせじ

イサクの崇邱は荒されイスラエルの聖所は毀たれん 我劍をもちてヤラベアムの家に起むかはん

時にベテルの祭司アマジヤ、イスラエルの王ヤラベアムに言遣しけるはイスラエルの家の眞中にてアモス汝に叛けり 彼の諸の言には此地も堪るあたはざるなり

即ちアモスかく言り ヤラベアムは劍によりて死ん イスラエルは必ず擄へられてゆきてその國を離れんと

而してアマジヤ、アモスに言けるは先見者よ 汝往てユダの地に逃れ彼處にて預言して汝の食物を得よ

然どベテルにては重ねて預言すべからず 是は王の聖所王の宮なればなり

アモス對へてアマジヤに言けるは我は預言者にあらず また預言者の子にも非ず 我は牧者なり 桑の樹を作る者なりと

然るにヱホバ羊に從ふ所より我を取り往て我民イスラエルに預言せよとヱホバわれに宣へり

今ヱホバの言を聽け 汝は言ふイスラエルにむかひて預言する勿れ イサクの家にむかひて言を出すなかれと

是故にヱホバかく言たまふ 汝の妻は邑の中にて妓婦となり汝の男子女子は劍に斃れ汝の地は繩をもて分たれん 而して汝は穢れたる地に死にイスラエルは擄られゆきてその國を離れん

第8章

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主ヱホバの我に示したまへるところ是のごとし 即ち熟したる果物一筐あり

ヱホバわれにむかひてアモス汝何を見るやと言たまひければ熟したる果物一筐を見ると答へしにヱホバ我に言たまはく我民イスラエルの終いたれり 我ふたたび彼らを見過しにせじ

主ヱホバ言たまふ 其日には宮殿の歌は哀哭に變らん 死屍おびただしくあり 人これを遍き處に投棄ん 黙せよ

汝ら喘ぎて貧しき者に迫り且地の困難者を滅す者よ之を聽け

汝らは言ふ月朔は何時過去んか 我等穀物を賣んとす 安息日は何時過去んか 我ら麥倉を開かんとす 我らエパを小くしシケルを大くし僞の權衡をもて欺く事をなし

銀をもて賤しき者を買ひ鞋一足をもて貧き者を買ひかつ屑麥を賣いださんと

ヱホバ、ヤコブの榮光を指て誓ひて言たまふ 我かならず彼等の一切の行爲を何時までも忘れじ

之がために地震はざらんや地に住る者みな哭かざらんや 地みな河のごとく噴あがらん エジプトの河のごとく湧あがり又沈まん

主ヱホバ言たまふ其日には我日をして眞晝に沒せしめ地をして白晝に暗くならしめ

汝らの節筵を悲傷に變らせ汝らの歌を盡く哀哭に變らせ一切の人に麻布を腰に纒はしめ一切の人に頂を剃しめ其日をして獨子を喪へる哀傷のごとくならしめ其終をして苦き日のごとくならしめん

主ヱホバ言たまふ 視よ日至らんとす その時我饑饉たを此國におくらん 是はパンに乏しきに非ず 水に渇くに非ず ヱホバの言を聽ことの饑饉なり

彼らは海より海とさまよひ歩き北より東と奔まはりてヱホバの言を求めん 然ど之を得ざるべし

その日には美しき處女も少き男もともに渇のために絶いらん

かのサマリヤの罪を指て誓ひダンよ汝の神は活くと言ひまたベエルシバの路は活くと言る者等は必ず仆れん 復興ることあらじ

第9章

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我觀るに主壇の上に立て言たまはく柱の頭を撃て閾を震はせ之を打碎きて一切の人の首に落かからしめよ 其遺れる者をば我劍をもて殺さん 彼らの逃る者も逃おほすることを得ず 彼らの遁るる者もたすからじ

假令かれら陰府に掘くだるとも我手をもて之を其處より曳いださん 假令かれら天に攀のぼるとも我これを其處より曳おろさん

假令かれらカルメルの巓に匿るるとも我これを捜して其處より曳いださん 假令かれら海の底に匿れて我目を逃るるとも我蛇に命じて其處にて之を咬しめん

假令かれらその敵に擄はれゆくとも我劍に命じて其處にて之を殺さしめん 我かれらの上に我目を注ぎて災禍を降さん 福祉を降さじ

主たる萬軍のヱホバ地に捫れば地鎔けその中に住む者みな哀む 即ち全地は河のごとくに噴あがりエジプトの河のごとくにまた沈むなり

彼は樓閣を天に作り穹蒼の基を地の上に置ゑまた海の水を呼て地の面にこれを斟ぐなり 其名をヱホバといふ

ヱホバ言たまふ イスラエルの子孫よ 我は汝らを視ことエテオピア人を觀がごとくするにあらずや 我はイスラエルをエジプトの國よりペリシテ人をカフトルよりスリア人をキルより導き來りしにあらずや

視よ我主ヱホバその目を此罪を犯すところの國に注ぎ之を地の面より滅し絶ん 但し我はヤコブの家を盡くは滅さじ ヱホバこれを言ふ

我すなはち命を下し篩にて物を篩ふがごとくイスラエルの家を萬國の中にて篩はん 一粒も地に落ざるべし

我民の罪人即ち災禍われらに及ばず我らに降らじと言をる者等は皆劍によりて死ん

其日には我ダビデの倒れたる幕屋を興しその破壞を修繕ひその傾\圯たるを興し古代の日のごとくに之を建なほすべし

而して彼らはエドムの遺餘者および我名をもて稱へらるる一切の民を獲ん 此事を行ふ ヱホバかく言なり

ヱホバ言ふ 視よ日いたらんとす その時には耕者は刈者に相繼ぎ葡萄を踐む者は播種者に相繼がん また山々には酒滴り岡は皆鎔て流れん

我わが民イスラエルの俘囚を返さん 彼らは荒たる邑々を建なほして其處に住み葡萄園を作りてその酒を飮み園圃を作りてその果を食はん

我かれらをその地に植つけん 彼らは我がこれに與ふる地より重ねて抜とらるることあらじ 汝の神ヱホバこれを言ふ