アタナシオ信経

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• 底本: 日本聖公会教務院文書局 [著]『日本聖公会祈祷書』,聖公会出版社,昭和16. 国立国会図書館デジタルコレクション:info:ndljp/pid/1110141/1/255

アタナシオ信経

日本聖公会

^一 救（すく）はれんと願（ねが）ふ者（もの）は、聖公会（せいこうかい）の信仰（しんこう）箇（か）條（じょう）を奉（ほう）ずること最（もつと）も肝要（かんよう）なり

^二 此（こ）の信仰（しんこう）箇（か）條（じょう）を乱（みだ）すことなく、全（まつた）く守（まも）る者（もの）にあらざれば必（かなら）ず世々（よよ）限（かぎ）りなく亡（ほろ）ぶべし

^三 聖公会（せいこうかい）の信仰（しんこう）箇（か）條（じょう）は左（さ）の如（ごと）し。唯一（ゆゐいつ）の神（かみ）に三（さん）位（ゐ）あり、三（さん）位（ゐ）は一体（いつたい）なり

^四 三（さん）位（ゐ）を乱（みだ）さず、一体（いつたい）を別（わか）たずして拝（をが）むべき事（こと）なり

^五 父（ちち）一（いち）位（ゐ）、子（こ）一（いち）位（ゐ）、聖霊（せいれい）一（いち）位（ゐ）なり

^六 されど父（ちち）も子（こ）も聖霊（せいれい）も神（かみ）たる事（こと）は一（ひとつ）なり。その栄光（えいこう）ひとしく、威稜（みいづ）限（かぎ）りなし

^七 父（ちち）に在（あ）るごとく、子（こ）にも在（あ）り、聖霊（せいれい）にもあるなり

^八 父（ちち）も造（つく）られず、子（こ）も造（つく）られず、聖霊（せいれい）も造（つく）られず

^九 父（ちち）も量（はか）りなく、子（こ）も量（はか）りなく、聖霊（せいれい）も量（はか）りなく

^十 父（ちち）も限（かぎ）りなく、子（こ）も限（かぎ）りなく、聖霊（せいれい）も限（かぎ）りなし

^十一 されど限（かぎ）りなき者（もの）は三（みつ）にあらず、唯（ただ）一（ひとつ）なり

^十二 また造（つく）られざる者（もの）は三（みつ）にあらず、量（はか）りなき者（もの）は三（みつ）にあらず、造（つく）られざる者（もの）も一（ひと）つ、量（はか）りなき者（もの）も一（ひと）つなり

^十三 父（ちち）も全能（ぜんのう）、子（こ）も全能（ぜんのう）、聖霊（せいれい）も全能（ぜんのう）なり

^十四 されど全能（ぜんのう）なる者（もの）は三（みつ）にあらず、唯（ただ）一（ひとつ）なり

^十五 父（ちち）も神（かみ）、子（こ）も神（かみ）、聖霊（せいれい）も神（かみ）なり

^十六 されど三（みつ）の神（かみ）にあらず、唯（ただ）一（ひとつ）の神（かみ）なり

^十七 父（ちち）も主（しゅ）、子（こ）も主（しゅ）、聖霊（せいれい）も主（しゅ）なり

^十八 されど三（みつ）の主（しゅ）にあらず、唯（ただ）一（ひとつ）の主（しゅ）なり

^十九 キリスト教（きょう）の真（しん）理（り）によれば三（さん）位（ゐ）をおの〳〵神（かみ）と信認（しんにん）し、主（しゅ）と信認（しんにん）せざるを得（え）ず

^二十 聖公会（せいこうかい）の教理（きょうり）には、三（みつ）の神（かみ）、三（みつ）の主（しゅ）ありといふことを禁（きん）ず

^二十一 父（ちち）は誰（たれ）よりも成（な）りたるにあらず、造（つく）られず、生（うま）れざるなり

^二十二 子（こ）は唯父（ただちち）よりの者（もの）にして、造（つく）られず、生（うま）れたるなり

^二十三 聖霊（せいれい）は父（ちち）と子（こ）よりの者（もの）にして、造（つく）られず、生（うま）れず、唯出（ただいづ）るなり

^二十四 一（ひとつ）の父（ちち）あり、三（みつ）の父（ちち）あらず。一（ひとつ）の子（こ）あり、三（みつ）の子（こ）あらず。一（ひとつ）の聖霊（せいれい）あり、三（みつ）の聖霊（せいれい）あらず

^二十五 この三（さん）位（ゐ）は前（ぜん）後（ご）ある事（こと）なく、また大小（だいしょう）ある事（こと）なし

^二十六 三（さん）位（ゐ）は皆（みな）ともに限（かぎ）りなく、共（とも）に等（ひと）しきなり

^二十七 されば凡（すべ）ての事（こと）に於（おい）て前（まへ）に云（い）へる如（ごと）く、一体（いつたい）に三（さん）位（ゐ）あり。三（さん）位（ゐ）は一体（いつたい）なりとして拝（をが）むべし

^二十八 救（すく）はれんと願（ねが）ふものは、三（さん）位（ゐ）一体（いつたい）を此（かく）の如（ごと）く思（おも）はざるべからず

^二十九 また限（かぎ）りなき救（すくひ）に至（いた）らんが為（ため）に、主（しゅ）イエス・キリストの肉体（にくたい）となり給（たま）ひしことをも真（まこと）に信（しん）ずるは肝要（かんよう）なり

^三十 それ正（ただ）しき信仰（しんこう）は、神（かみ）の子（こ）・主（しゅ）イエス・キリストの神（かみ）また人（ひと）たるを信（しん）じて言（い）ひ表（あらは）すことなり

^三十一 神（かみ）とは父（ちち）の性（せい）にて萬世（よろづよ）の前（さき）に生（うま）れ、人（ひと）とは母（はは）の性（せい）にて此（こ）の世（よ）に生（うま）れ給（たま）へることなり

^三十二 主（しゅ）は全（まつた）き神（かみ）・全（まつた）き人（ひと）にして霊魂（れいこん）と人体（じんたい）とを備（そな）へ給（たま）へり

^三十三 その神性（しんせい）によれば父（ちち）と等（ひと）しく、その人性（じんせい）によれば父（ちち）に劣（おと）る

^三十四 神（かみ）また人（ひと）なりと雖（いへど）も二（ふたつ）にあらず、唯（ただ）一（いつ）のキリストなり

^三十五 その一（いつ）なるは、神性（しんせい）を肉体（にくたい）に変（へん）ぜしに非（あら）ず。神（かみ）に人性（じんせい）を取（と）り給（たま）へるなり

^三十六 全（まつた）く一（いつ）なり。これ両性（りょうせい）を混（こん）ぜしによらず。唯（ただ）一（いつ）なるによる

^三十七 霊魂（れいこん）と肉体（にくたい）にて一（いつ）の人（ひと）なる如（ごと）く、神（かみ）と人（ひと）にて一（いつ）のキリストなり

^三十八 主（しゅ）は我（われ）らを救（すく）はんが為（ため）に苦難（くるしみ）を受（う）け、陰府（よみ）に下（くだ）り、三（みつ）日目（かめ）に死（し）にし者（もの）の中（うち）より甦（よみが）へり

^三十九 天（てん）に昇（のぼ）り、全能（ぜんのう）の神（かみ）なる父（ちち）の右（みぎ）に坐（ざ）し給（たま）へり。彼処（かしこ）より来（きた）りて生（い）ける人（ひと）と死（し）ねる人（ひと）を審（さば）き給（たま）はん

^四十 来（きた）り給（たま）ふとき凡（すべ）ての人（ひと）、その身（からだ）をもつて甦（よみが）へり、各自（おの〳〵）その行為（おこなひ）を陳（の）ぶべし

^四十一 善（ぜん）を行（おこな）ひし者（もの）は限（かぎ）りなき生命（いのち）に入（い）り、悪（あく）を行（おこな）ひしものは限（かぎ）りなき火（ひ）に入（い）るべし

^四十二 これ聖公会（せいこうかい）の信仰（しんこう）箇（か）條（じょう）なり。真（まこと）に之（これ）を確信（かくしん）する者（もの）に非（あらざ）れば救（すく）はるゝことを得（え）じ

父（ちち）と子（こ）と聖霊（せいれい）に栄光（えいこう）あれ

始（はじめ）にあり、今（いま）あり、世々（よよ）限（かぎ）りなく在（ある）なり。　アァメン

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