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第一章 總論
一〇
 

指す調󠄁整案に於ては、各種產業の經營合理化󠄁によつて生產費の引下を圖る手段として劈頭に統一的原價計算制度の樹立勵行を揭げ次󠄁いで十六日統一原價計算要󠄁綱草案を發表した。これは原價計算の國家的性格を一層󠄁强調󠄁するものであり、これに對する國民的認󠄁識は、この要󠄁綱發表を境として一段と深められて行くであらう。尙財務管理委員會の準則に於ては原價計算の目的として、會計の補助手段として損益計算を明瞭正確ならしむることを擧げて居るが、これは目的といふよりは原價計算の派󠄂生的效果と解してよいであらう。

第四節󠄁 我國に於ける原價計算の國家的運󠄁動

 原價計算は營利意識から硏究されて來たのであることは繰り返󠄁す迄もない。我國に於て正式に原價計算の學的硏究が始まつたのは第一次󠄁世界戰爭時代であるが寧󠄀ろ戰後時代だと云ひたい。だがその後に於ても暫らくの間は原價計算を專攻するの學徒の數は極めて寥々たる狀態であつて現今の如く會計學徒にして、この問題に手を染めぬものは先づないと云ひ度い程󠄁の隆󠄁盛さに比すれば今昔の感を禁じ得ないものがある。我原價計算も、まさに驚異的進󠄁展振りではないか。世は原價計算の時